竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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一次創作にしろ二次創作にしろ、第一話が一番難しく感じます。


第1話 モンスターを宿す少年

 感じたのは、破壊的な爆発音と、その心地よさ。まだ幼い頃の、少ししか残っていない記憶。初めて彼らの力を借りた時の記憶だ。

 

 

******

 

 

『ラー、ガルルガ、また喧嘩してんの?』

『―――――――』

『―――――――』

 

 目覚めてすぐに、頭の奥が騒がしいので思考に潜ってみると、またいつもの2頭が喧嘩をしていた。いつものことなので呼人は軽くしか注意しないし、周りの奴らも呆れた様子で見て見ぬ振りをしている。老齢の連中の中には今すぐにでも止めに入りたそうにしている者も居るが、自分たちが参加したら2頭が余計ハッスルするだけだとわかっているので黙っている状態だ。

 むしろ今にも混ざりたそうにしている他の喧嘩っ早い連中を抑えている方が良いと判断している連中もいるが、とても止まりそうにない。

 

 頭の奥で喧嘩したままの2頭から送られてくるイメージを意図的に遮断して、呼人は寝室からリビングに出る。カナダで生活していたときとは比べるべくもない広さの部屋だが、呼人にはあまり気にならない。むしろカナダの頃の家でも狭いと言えば狭いし、ここでも広いと言えば広い。

 

「グッモーニン、ミスターモンスター。昨晩はよく眠れたか?」

「その呼び方やめてくれって神王寺さん。呼人で良いよ」

「じゃあコールマン?」

 

 おちゃらけた様子でそう言う神王寺明博、同居人に、呼人は軽くため息をつくことしか出来ない。彼が自分の事を気遣ってくれようとしているのがわかるからだ。なにせ今日は呼人の人生始めての受験の日。なんなら学校という場所に行くことすら初めてである。

 

 その直後、冷蔵庫から天然水のペットボトルを取り出した呼人が顔をしかめたのを見て、神王寺が興味深そうに尋ねる。

 

「とうした?」

「ラーとガルルガが喧嘩してるところに今オドと他何頭かが参戦した」

「それはまた、派手だな」

 

 いつにもまして大規模なその喧嘩に、神王寺も苦笑いする。大抵は若い2頭が喧嘩していて老齢の連中にたしなめられるか、年寄連中が喧嘩していて周りから冷めた目で見られて恥ずかしくなってやめるかなのだが、今日に限っては戦火が拡大したのである。

 

『ゾラ、喧嘩してる奴らのイメージ切っとくから何か言ってたら教えて』

『――――――』

 

 竜たちの中でも温厚で皆の親父分とも言えるゾラに頼むと、心よく了解してくれた。というかゾラに沈めてもらえば一応止まるには止まるのだが、日本に戻ってからハッスルさせられていないためうまく息抜きしてもらわないと困るのである。

 

「思いっきり動ける場所がありゃあな」

「流石にここじゃあ無理だ。北海道とか東北の山奥ならまだ大丈夫だろうが」

「はぁ……憂鬱だ」

 

 こんなので学校生活やっていけるのかと。そもそも受かってはいないのだが、それは神王寺も呼人も気にしてはいない。少なくとも呼人の感性や実力、そして個性は、神王寺の母校でも通用すると神王寺はわかっていた。

 

 この世界で呼人と竜たちの他に唯一彼らの事を知っているのが神王寺なのだ。神王寺しか知らないのはいくつかの理由があるが、彼の個性が特例特殊であり、個性研究の第一人者たる神王寺をして『これ研究しても意味ないわ』と言わしめた上に、研究できないとわかっていても利用したいと思うぐらいには有用な特性を持っていることが大きな理由の一つである。 

 

 

 

 

 個性。それは超常の力。

 

 首が伸びる、体の一部が変質する、水を操るエトセトラ。

 

 かつては超能力、異能の力などとも呼ばれていたようなそれらは、ある時期を堺に多くの人間に普及し、今ではある種の、それこそ『髪が黒い』や『薬指が人差し指より長い』と言った個性と同等のものとして扱われるようになり、正式名称として“個性”という名を関するに至った。

 

 そんな超常の力は、当然の如くそれまでの身体能力と言った差異とは一線を画した影響を社会にもたらした。

 

 当然の話しはあるが、個性を使用できない頃の人間の身体能力は機械に到底及ばないものであるし、筋力以外のエネルギー発揮の手段を持たないため、身体を鍛えた警察と警察組織にのみ許された銃火器によって簡単に制圧しうるものであった。

 

 だが、個性が全てを変えた。ものによっては原理不明。ものによっては物理法則を突破。ものによってはオーバーテクノロジー。ものによっては―――。

 

 研究した所で明確な法則が見つからず、それ故本人以外には制御が出来ないどころか本人ですら制御できないことがある。

 

 そんなものが悪事に利用されれば―――。

 

 そうして、《ヴィラン》と《ヒーロー》という存在が現れた。前者は、犯罪者の中でも一般に禁止された個性の悪事への利用をする者として。そして後者は、そうしたヴィランを始めとした脅威から市民を守る存在として。

 

 ただヴィランの対としての存在ではなく、災害救助、医療、復旧活動、果ては料理など、要するに個性をもって市民に寄与する存在がヒーローと呼ばれる。

 

 

 

 

 

「俺はしばらく出てくるけど、何か必要なものはあるか?」

「どこ行くの? 自然あるとこ?」

「まあそうだな。今回は沖縄まで行ってくる」

「ん、じゃあ現地の写真と海水のサンプルよろしく」

「飽きねえなお前も」

「俺じゃねえって」

 

 神王寺が出張で各地に赴く度に、呼人はこうして現地の自然を感じられるものを要求する。これは何も呼人が必要としているのではなく、呼人の中に宿るモンスター達が、その魂に染み付いた大自然への渇望を満たすために要求しているのだ。そもそも彼らの力を借りなければただの人間である呼人が、各地の海水のサンプルなんてもらっても意味が無いのである。

 

 先に神王寺が部屋を出る。借りているのは都内の通常のアパート。支払いは呼人と神王寺の半々だ。外見はただの部屋だが、内装、とくに呼人の自室に置かれているものは、特殊な材質で作られたものばかりが置かれている。

 

『―――――』 

『わかってるってジョー。ちゃんと飯食うから。喧嘩は終わった?』

『―――――』

『そうか。ありがと』

 

 食事にうるさい、というよりは神経質なジョーの伝えてきたイメージに、呼人もいつものように答える。ジョーや他の連中と交わしてきたイメージによると、彼女の種は身体的に常時空腹かつエネルギーを補給しなければ死んでしまうという存在であったため、生前は延々となにかを食べていたらしい。そんな彼女だから、食事をしっかり取ることにはうるさいのだ。

 それでなくても神王寺の個性はエネルギーを多量に消費する。相当量食べることが必要なのである。

 

 ちなみに実体を持っていた頃は小型モンスターや竜どころか龍の連中すらも畏れていたジョーだが、空腹になることが無くなった今はかなりおとなしくなっている。というより他に喧嘩っ早い連中が多すぎて目立っていない。まあ今でもおいしい物を呼人が食べると味覚を共有して楽しんではいるのだが。

 

「ごちそうさまでした」

 

 ざっと5人前以上。それを食べるのに20分もかからない。この辺り、基本的に大型で大食らいな竜達とたくさんイメージを交わしてきたため、呼人の感覚はおかしくなっている。

 

 出掛けの準備を終えた呼人は、今日のためだけに神王寺が用意してくれた学生服を着用し、鏡の前に立つ。

 

 両親から受け継いだ黒髪を短く切りそろえ、今日の目の色は暗い赤。口を軽く開けると、その犬歯が牙のように顎まで伸びた後もとに戻る。

 

「よし、それじゃあ、行ってきます」

 

 返事が無い部屋へと向かって、それでも呼人は声をかけて家を出る。自分を人間の世界へと縛り付けるために。

 

 

 これは、狩人と英雄の物語。龍と竜の血を継いだ少年の、狩人の心をたどる、物語である。




ヒロアカの読み込みが足りないので更新はそんなハイペース(一日一話とかは無理)には進まない予定。

あらすじに入らなかったのでここに追記。

*本作のモンハン要素においては、戦闘や能力の描写上作者独自の解釈を入れる可能性があります

例)グラン・ミラオスの出現によって周囲の海が沸き立ち紅く染まる、という設定があるが、沸き立ったところで水は無色のまま沸騰するものであり、グラン・ミラオスの体液、もしくはマグマの成分が水中に広がって紅く染まると考えられる。

といった具合です。あまりに突飛なことは出さないようにしますが、主人公の能力の説明上必要な場合の処置です。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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