竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
「百竜は、どこでその戦い方を?」
『……海外にいた間、ずっと日本の元プロヒーローに育てられてたんだ』
「そういう、ことか。通りでヒーローについて詳しくないのに強いわけだ」
『そういうことだ。少し口を閉じていろ。舌を噛むぞ』
尾白が黙ったのを確認して、山岳地帯の岩壁を駆け上がる。オドガロンはその生活域の関係上、厳しい高低差を上り下りしていた。この程度の岩肌なら、登るのは造作もない。
そして少しの後に開けたところに飛び出す。そこからは、50メートルほど先に耳郎と八百万、そしてそれに正対するヴィランと人質に取られた上鳴の姿が見て取れた。
「っ!」
駆け出していきそうになる尾白を、呼人は尾をひっかけて制する。
「(飛び出すなよ。俺達がばれたら意味がない)」
そう言うと、呼人は腕を淡い桃色の鱗のついたものに変化させると、そこをこすってシャボンを発生させ、その中に何かを吹き込む。
「(何やってるんだ? さっき撃ったのは使えないのか?)」
「(さっきので確実に無力化するなら、頭を撃って殺すしかなくなる。だがこっちは時間さえかければ、眠らせることが出来る。中途半端に手や足を撃ち抜くだけじゃ駄目なんだ)」
「(だが……)」
「(危なくなったらすぐに撃つ。だから待っててくれ)」
呼人が生み出した複数のシャボンは、静かに目的の場所へと漂い始める。
それをじれったそうに見ている尾白に、呼人は自分の考えを話す。
「(それに――)」
「(それに?)」
「(恐怖を感じ、死地に臨んだとき、人は大きく成長する。そんな機会はそうそうあるものじゃない)」
呼人のその言葉を理解した尾白は、血相を変えて呼人の胸元を掴む。
「なっ! ―――(だから3人を危険に晒すのか!?)」
「(絶対に殺させない自信はある。戦士としての成長には絶対に必要なことだ)」
その言葉に尾白は拳を振り上げるが、それを振り下ろすことが出来ない。呼人の目が、冷めているのでもふざけているのでもなく、真剣なものだったからだ。
「(殺させないと約束する。それでも許せないなら、今すぐヴィランを撃つ。お前が決めろ)」
そして、決断を迫られたのは、尾白自身だった。
今すぐ、仲間を助ける。仲間を信じる。仲間の未来を考える。そのどちらも、天秤にかけるには重すぎるもので。直後、どちらの選択をする必要も無くなった。
「な、にっ……」
ヴィランが両腕から血を吹き出しながら後ろへと倒れ込んだのだ。
「尾白、3人を避難させろ!」
「百竜は!?」
「どの顔を見せられるんだ。ここから見張っておく」
あんなことを真剣な顔で言っておきながらも、終わったらその選択を恥じる。彼も自分の選択が正しいとは思っていなかったのに、仲間の将来のためにあの決断をした。
そう思えば、尾白の呼人への不信感と怒りは薄れていた。
「貸し1つだぞ」
「……でかい貸しになりそうだ」
その答えを満足そうに聞くと、尾白は岩山を走り抜けていく。彼の機動力は、直線よりもここのような足場の悪い場所において本領を発揮する。
(ついでに足をもらっておくか)
尾白の背中を見送った呼人は、変化させた左腕を構え直すと、2度、弾を放つ。直進した弾は、それぞれ身を起こそうとしていたヴィランの太ももを撃ち抜いた。
『――――――』
『心配するな。もうほとんど制御できてる』
そのまま男に照準を定めていた呼人に、3人と合流した尾白が尻尾を振って3人に気付かれないように合図をしてくる。そしてそのまま4人で岩山を下っていた。
それと時を同じくして、大きな破壊音が鳴り響く。
そちらに目を向けると天井に大きな穴が空いていた。オールマイトが、敵の巨体のヴィラン、脳無を吹き飛ばしたのだ。
それを確認すると、呼人もまた4人の行く先にヴィランがいないことを確認しながら下山していった。
(あー、ちと効いたなこれは)
その口からはわずかに血が溢れていたが、それを乱暴に拭って入り口への道を急ぐ。自分の未熟さ故の負傷など、人に見せるつもりは無かった。
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その後、オールマイトに続いて到着した雄英の先生たち、現役のプロヒーローによって全てのヴィランが制圧、拿捕された。唯一逃げた、リーダー格の男と黒い靄の転移能力の使い手を除いて。
プロヒーロー達の間には、残されたヴィラン達のあまりに軽いチンピラ具合とその目的の大きさのギャップに、今後起きることへの大きな不安が残ったが、それを生徒達が知ることはなかった。
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「はっはっは。それで久しぶりに自傷したのか。難儀なもんだな」
「もう治った」
ヴィラン集結事件の後、色々な手続き、処理などを経て帰宅した呼人は、まだ早い時間だが肉や野菜を買って帰って適当に料理し、凄い速度でそれを食べていた。更に家にあったカップ麺や食パンなども、食い合わせをあまり考えずに口に放り込む。
能力を使った際に損傷を負い、それを回復させるためにエネルギーが必要となったのだ。
「それにしても、“鋼龍”は限定的な変化なら制御できてるんじゃなかったかい?」
「いや―――ほとんどオドガロンのまま司る部分だけ変化させて、そのまましばらく能力を使い続けたからな。体が堪えきれなかった」
故の負傷。
呼人が自分の個性の制御を重視している一因が、この『自傷』である。強大過ぎる力を外界への影響を及ぼさないように制御、利用しようとすると、その反動や影響がどこかへと漏れ出すのだ。そしてそれは時折、個性を使っているはずの呼人に牙を剥く。
今回は非常に小規模な能力の使用と変化だったため傷も浅かったが、それでも制御しきれなかったことには変わりない。
何より今回のそれは、突発的に無茶をしたというわけではなく以前から訓練してきた方法だったため、それを完璧に出来なかったのが問題であった。
「ごちそうさまでした」
「また凄い量食ったな」
「とっとと治したかったから、米を炊いてる時間がもったいなかった」
おかげで食費がなかなか馬鹿にならない。それほど金には困っていないが、それでも重度の金食い虫であるのが呼人の個性だ。基本的に個性を使う使わないに関わらず必要とするエネルギー量が相当に増え、また個性の使い方次第で更に消費するのだ。
「それにしても―――“敵連合”か。なかなか気合の入った集団だな?」
「にしては実力がちゃちかった。オールマイトの戦った相手は相当だったみたいだけど」
「ふむ。諜報活動は専門外だが……少し調べてみるか」
「そもそもあんたちゃんとヒーロー業できてるのか?」
呼人がそう尋ねると、神王寺はニヤリと笑いながら大きな本を鞄から取り出す。
「ヒーローのすすめ、だとさ。いやはや、色々と進歩していてなかなかおもしれえよ。まあやることは変わってない。ヴィランをとっちめたり、ヴィランから市民を守ったりするだけだ。後は事故の救助活動。近くのヒーロー達との意思疎通はなかなか難しいが、まあ“適応”するだろ」
「おっさんは合わないって?」
「あくまで俺は名前の売れてないよそ者だからな。向こうは俺が何を出来るかわかってないし、俺も他のヒーローが何を出来るかわかってない。なるべく血は使わないですむように気をつけるけどな」
神王寺の個性はそれほど派手なものではないのだが、彼の体、正確には彼の血に宿る力だと判明しているが、それが、まあ特異な性質を持っている。そのため、特に救助活動においては救おうと思えば死にかけの人間ですら救えるのが、彼なのだ。その分副作用が大きいため大大的に使えるものではないが。
「よし、それじゃあ走りに行ってくる」
「行ってらっしゃい」
個性によってモンスターの力を利用できる呼人だが、人間の体を鍛えることは怠っていない。
『――――――』
『まだ時間が早いだろ。今日は帰ってくるのが早かっただけだから。みんなで先にやっててくれ』
『――――――』
早く日課をやるぞと言うモンスター達をなだめて、呼人は外に出た。
ここに何か書きたいことがあったんですけどね。忘れました。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
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欲しい
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勝手にニヤつくからいらない
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あまり興味がない