竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第13話 そして体育祭へ

 ヴィラン侵入による臨時休校が明けて翌日。

 

「八百万、これ帯電性の毛のサンプル」

「ありがとうございます。本当は私が容器を用意しなければいけませんでしたのに」

 

 いつもどおり早めに登校した呼人は、後から登校してきた八百万に先日の約束どおり毛のサンプルを渡す。それを八百万のところに来た耳郎も見ていた。

 

「別に良いよ。同居人の関係でいっぱい余ってるんだそういうの」

「同居人、ですか?」

「うん。まあ気になるなら容器だけ後で返してくれたら良い」

「わかりました」

 

 八百万は所謂お嬢様であり、こういうところを丁寧にしたがるのだ。

 

「ねえ百竜。うちにもなんかそういう使えそうなのない?

「何かって?」

「その、戦うのに使えるものっていうか……」

 

 そう言って2人は、先日のヴィラン襲撃の際の自分たちの戦いの事を話し始める。誰も近接戦が得手じゃなかったために囲まれて危なかったこと。上鳴の電気で一気に蹴散らしたこと。最後は電気の効かない相手に上鳴が人質に取られて危なかったけど先生が助けてくれたこと。そしてその後合流してきた尾白と一緒に脱出したこと。

 

「うち、ほとんど何も出来なくて……」

 

 そう言う彼女は、いつもの快活な様子がなりを潜めていた。更に、隣の八百万も同じ様子である。

 

「音かあ。この前の鱗なんて耳郎にとっては自爆だろうし、破裂させたら使い捨てだからな。耳郎の場合は、自分の戦い方を見直してコスチュームを改造していくことを考えた方が良いんじゃないか?」

「例えば?」

 

 食い下がる耳郎だが、呼人に音の利用に関するノウハウはあまりない。高周波の叫び声で人の脳を揺さぶるか、巨大な咆哮で威嚇、あるいは物理的にぶっ飛ばすか、ということぐらいしか出来ないのだ。音の調整も少しは出来るようになったのだが、使いでがないということで訓練の内容からはかなり前に外している。

 

「例えば……今思いつくのは、音流すやつの周波数変える装置ぐらいかな。そんなのできるかわからないけど」

「周波数を変えてどうするんですの? 百竜さんのように高い音を出すのはあまり……」

「物質には固有周波数って言ってその周波数の音を浴び続けると共振して破壊されるっていうのがあるだろ? あれで色んな物質の固有周波数覚えとけば……と言ってもあんまり実用的じゃないな。物質の固有周波数って凄いまちまちだから、ヴィランと戦う時に一番変わらないことって言ったら相手が人間ってことだけど……」

「だけど?」

「人間相手に使うってことは相手が破裂するってことだからな」

 

 その様子を想像した耳郎と八百万が若干引いた顔をする。若干というかかなり引いている。

 

「うわっ……百竜あんたえぐいよ……」

「そういう事も出来るって話だ。あ、でも耳郎のコスチューム見て思ったことはあるぞ」

「まじ? 改善点とか?」

「うん。あれ、何でスピーカーは足につけたんだ? 足につけるよりも手につけたほうが向ける先も自由になるし相手に悟られにくいだろ。後振動を飛ばして使うつもりなら、空気を伝わせるよりも直接相手に触ったりして伝えたほうが破壊力が高いぞ」

 

 身振りをして、足からの射線と腕からの射線を示しながら呼人は思ったことを説明する。

 

「空気は音を伝達する物質の中では、たしかに一番伝達速度が遅い、ですわね」

「空気を媒介にした衝撃波より、固体を媒介にしたほうがダメージは大きい。なんなら、棒か鞭みたいなものを使って相手に直に衝撃を流したらどうだ? 耳のは切られるとまずいだろうけど、武器なら切られても大丈夫だし」

 

 八百万と呼人の説明を聞いた耳郎は、少し考え込む。

 

「……そう言えば、うちあんまり音のこと知らないんだよね……。音楽とかは結構好きなんだけど。勉強したら何か思いつくかな」

「耳郎さんの音と言えども、結局は物理現象ですわ。それなら、物理現象として学べば何か発見があるかも知れません」

「……うん。ちょっと勉強してみる」

 

 耳郎が納得した一方で、八百万もまた呼人に尋ねる。

 

「百竜さん、私は何か、もっと戦いに強くなる方法はありませんか?」

「うーん……。耳郎にも言えることなんだけど、あまり俺に頼らない方が良いぞ」

 

 急に消極的な呼人の言葉に、2人は疑問を浮かべる。

 

「え、何で? てか確かに頼り過ぎか」

「それは、そうですが……」

「ヒーローとしてやっていくなら、自分でやっていかないと行けない。それはもちろん個性の使い方もな。答えがずっとあるわけじゃないからな。それに、俺の考えは相手をどう倒すかってことに特化してる。それじゃあ思いつかない発想もあるだろうし、自分で考えてみてほしい」

「それは……もちろんです。でも、見識の広い百竜さんにもお聞きしたいですわ」

 

 耳郎が知らず知らずのうちに百竜に頼ろうとしていた一方で、八百万はそれをしっかりと認識していた。もともと彼女は自分の個性を活かすために自分で学習してきた部分が多い。そのため、百竜の言葉も参考にしようと思っていただけなのだ。

 

「まあそう言う事なら、俺の『敵を倒すため』の考えなんだが」

「はい」

「もっと体術磨いた方が良いんじゃないか、とは思うな。ただ時間は相当かかるけど」

「体術、ですか」

「そう、体術、というか色んな武器を使う術かな。俺が八百万の個性を使えたとしたら、相手に合わせて武器を作り変えたり、戦闘中に武器を切り替えたりしながら戦うと思う。あとは攻撃を受ける瞬間にそこに金属の鎧を出すとかな。ちなみに、出せるものの条件はどんな感じなんだ? 機械も行けるのか?」

「機械はまだほとんど勉強中ですわ。特に電子回路が……電気を使用しないからくりなら少しは」

「なら、それは作れるようになるとして、やっぱり格闘戦とか武器での戦闘技術を鍛えた方が良いと思うな。八百万の個性って、轟みたいにその個性で一気に制圧出来るものじゃないだろ?」

「……はい。それは、確かに……」

 

 轟の名前を聞いた瞬間、八百万の表情が僅かに曇る。同じ推薦組である轟を八百万が気にしている一方で、轟は八百万の事をあまり見ていない。更に演習での実力なども見て、彼には敵わないのではないかと思ってしまっているのだ。

 

「どしたのヤオモモ」

「いえ……」

「別に、だから轟の方が凄いって言ってるわけじゃないからな。むしろ他のメンバーと連携するとしたら、絶対八百万の方が向いてる。そういう意味では、あいつがソロメインなのに対して八百万は連携がメインだ。でも、その上で1人で戦う方法って言うなら、俺は作った簡単なものを使うすべを磨くべきだと思う」

「でも……いえ、そうですわね。負けたと思っていては駄目ですわね。それで、簡単なものを使う術、というのは……」

 

 八百万の問いに、そこまで教えてしまって良いものかと呼人は悩むが、彼女の本領はやはり連携にある。ならば、個人の戦闘力は、ヒントを言っても考えることを放棄することにならないかも知れない。

 

「あくまで、あくまで個人で戦うとき、の話だからな。例えば、耳郎を例に使わせてもらうけど、耳郎と戦うとき、音を封じる、あるいは音が通用しないようにしたら、強さは半減するだろ?」

「まあ、そうだね。うちはまだ百竜の言ってるみたいなのはできないし」

 

 耳郎はただ音を出すだけでなく耳から伸びる2本のプラグを自在に伸ばしたり縮めたり、あるいは動かして振り回したり出来るのだが、それも百竜の言うレベルに到達しているとは思っていなかった。

 

「ありがとう。けど、八百万と戦うときは違う。音を封じたら電気が出てきて、電気を封じたら爆発物が出てきて、それ全部封じたら色んな武器や兵器が出てくる。それ全部使えたら、めちゃくちゃ厄介だろ?」

「確かに……そうですわ」

「そんな相手、考えたくないかも。ヤオモモと演習で当たるの嫌だな」

「そのときはちゃんと耳栓しますわ」

 

 八百万の耳郎対策に、耳郎は嫌そうな顔をする。

 

「まあ、その対応力、多様さが八百万の武器だってことだ。それをどう活かすかは、自分で考えてみてくれ」

「……はい、ありがとうございま―――」

 

 

「おーい、百竜! おはよー」

 

 3人が話しているところに、始業間際になって上鳴が登校してきた。朝から元気が良い。

 

「あれ、話してるところだった?」

「いえ、私達の話は終わりましたわ」

 

 目線で良いのかと尋ねる呼人に、八百万は小さく頷く。彼女には、あのヒントで十分だったのだろう。耳郎もまた、図書館行ってみようかな、と自分の出来る事を考えようとしている。

 

「じゃあ、ちょっと百竜借りてくぜ!」

 

 そう言われて百竜は、上鳴の机まで連れて行かれる。

 

「昨日一日考えてみたんだけどよ。俺、ヴィランと戦った時全く駄目だったんだよな。触れたらスタンガンみたいには出来るけどそもそも触れないし……だから、百竜のあの毛使って何か出来ないかって考えたんだ」

 

 そう言って上鳴が取り出したのは、一冊のノート。彼がそれを開くと、たくさんの走り書きの中に、いくつかの道具が書かれていた。

 

「やっぱ、剣とかナイフとか、何か電気を流せるものが欲しいなって思って」

 

 やはりそう来たかと、呼人はスマホを取り出し、一枚の画像を上鳴に見せた。

 

「これ見たことあるか?」

「警棒?」

「警棒型スタンガン―――ようするに棒の形したスタンガンだ」

「スタンガ、え、マジ?」

 

 それと自分のアイデアを見比べて、上鳴は素っ頓狂な声を出す。

 

「マジだ」

「マジかあ……俺のアイデアじゃやっぱ駄目かあ」

「別にそういうわけじゃないだろ。ただ、お前の能力を活かすのは別に俺の毛を使わなくても科学で簡単に出来るってことだ。お前科学技術をなめるなよ? 俺の帯電性の毛の使いみちなんて、繊維に織り込んでも電気をためられることぐらいだ。電気を溜めることぐらいならバッテリーでも出来るからな。それに、お前の場合は自分で電気を通電できるから、金属さえあればいくらでも電気を相手に届けられる」

「お、おう。お前急に饒舌だな」

「田舎暮らしの俺にとっちゃあ、日本の科学すげえだからな」

 

 海外、それも山奥や辺境の地など科学技術と縁遠い場所で長い事過ごしていたため、呼人は科学というものの素晴らしさを身にしみて実感していた。

 

「まあ確かに、お前の場合は電気を『どう』相手に届けるか、って問題がつきまとうだろうから、その辺りは機械に詳しいやつに聞いた方が良いと思う。もちろんそのスタンガンみたいに近接で、ってのも良いけどな。でもそれだったら、棒より鞭の方がリーチ良くないか?」

「確かに……でも鞭使うのって難しいだろ?」

「剣とか棒も、ちゃんと練習すればめちゃくちゃ難しいぞ」

「うぬぬ……」

 

 そう言って少し考え込んだ上鳴は、呼人が紙をペラペラめくっていると、ぽんっと手を打ち鳴らして顔を上げる。

 

「相澤先生のあれ、どうだ? あの……何ていうんだあの布みたいなの」

「名前は俺も知らないが……まあ、剣よりは利便性が高そうだとは思うぞ」

「だよな! 後で先生に……聞いてみたいけど怖そうだな」

「先生は真面目な奴にはちゃんと対応してくれるだろ。後、お前もちゃんと電気のこと勉強しろよ」

「勉強って?」

「電気ってのはあくまで物理現象だからな。お前が放電するのは個性の力だけど、放電された電気は物理法則に従うんだ。だから、そういうのをちゃんと勉強したら、何か使えそうな発想があるかもしれないぞ」

「その口調、さてはお前、何か思いついてるだろ。教えてくれよー」

 

 思わせぶりな百竜の言葉に上鳴はその首元を掴んでがっくんがっくんと揺さぶり始める。

 

「じ・ぶ・ん・で―――考える癖をつけろ。ふぅ、苦しかった」

「まあ、確かにお前に全部聞くのもなんか違うなとは思うんだけどさ」

「わかってるならそうしてくれ」

 

 あやっぱり? あはは、と明るく上鳴が笑っていると、始業時間が迫ったことで飯田が皆に席につくよう促し始める。そして―――

 

 

『相澤先生復帰はええ!!』

 

 教室の扉を明けて入ってきたミイラ男、もとい包帯で雁字搦めの相澤先生への皆の第一声がそれだった。

 

 先日、ヴィラン制圧後に警察に聞いた話では、両腕の粉砕骨折に顔面骨折エトセトラと、かなりの大怪我だったはずである。雄英高校にはリカバリーガールという、人の傷を治してしまう保険医がいるが、緑谷の腕が一日で治らなかったところを見ると、何か条件があるのだろう。

 

「俺の怪我は良い。それより。まだ戦いが残ってる」

 

 その言葉に、皆の表情が固まる。すわまたヴィランが来るのかと。

 だが。

 

「雄英体育祭が迫ってる」

 

『また学校っぽいの来たあああああ!!』

 

 皆の緊張は興奮へと変わる。

 ―――――まさに学校っぽいそれ、再び。

 

(体育祭ってなんだったかな)




モンスターの紹介用の話はいずれ作ろうと思います。まだ出てるモンスターが少なすぎて多分1話の最低字数に到達しないんじゃ……。

後3日に一回ぐらいのペースで投稿しようと思ってたのに忘れてました。明日も投稿するかもしれません。現状43話まで執筆完了、ストーリーとしては期末試験後の漫画だとなんやかんやあって一学期終了のなんやかんやの部分でショートカットされたところです。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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  • あまり興味がない
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