竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第18話 雄英体育祭・3

『さあ先頭の轟とA組爆豪が『ザ・フォール』を突破したぁ!! 他の選手はどうだ!? 続いて器用に綱を渡っていくA組蛙吹と蔓で体を支えるB組塩崎! そのすぐ後ろには、腕力だけで綱を渡っていく百竜!! ―――流石に疲れたかペースが落ちてるぞ!!』

 

 百竜は、綱に両手でぶら下がったと、そのまま両手を交互に前へ出してどんどん進んでいた。

 綱渡り、というのは一応したことがあるのだが、如何せん滑りやすい靴でやったことはない。ここまで“個性の使用無し”で走ってきた呼人は、それを貫くために腕力で渡り切るという選択をした。

 

 本当はもっとやりやすい方法があったのだが、いちいち綱を切断しないと使えない手なので断念した。妨害行為で失格は嫌だった。

 

「はっはっふぅ。……流石に疲れてきた」

 

 呼人は体を鍛えた結果相当の筋肉がついて体が重いために、距離が長いと疲れる。跳躍で渡れそうなところは無理して跳躍で渡ってきたので残りはわずかになっているが。

 

 そうこうしている間に、先に行っていた蛙吹他数名が突破した。

 

「よしっ、行くか!」

 

 呼人も再び綱にぶら下がり、先へと進んでいく。

 

 その頃先頭の2人は、すでに次の障害へと到達していた。

 

『早くも最終関門! 一面ただのグラウンド! しかしその実態は一面全部『地雷原』!! 『怒りのアフガン』だ!! 地雷の位置はよく見ればわかるようになってるぞ!! 注意力を無くすなよ!!』

 

 先頭を行く轟は足元を一つ一つ確認しながら抜けていくが、爆発の利用で宙に受ける爆豪がその隣を抜けていこうとする。

 

「宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえぞ半分野郎!!」

 

『ここで先頭が変わる――!! 確かにこの障害は爆豪の方が有利だが轟も食い下がる!! 終盤に来て熱い展開だああ!!』

 

 爆豪が空中から突破して行こうとする一方、轟がその腕をつかんで活かせまいと妨害し、先頭の2人の侵攻ペースが下がっていた。

 

 そして少し後。後方での巨大な爆発音と共に2人の頭上を一人の選手がすっ飛んでいった。

 

 

******

 

 

「地雷原……爆発しても怪我はしなさそうだな。ちょっと衝撃と音がうるさいぐらい……なら強行突破だ」

 

 およそ10番目に『怒りのアフガン』に到達した呼人は、すぐにどんな障害かを確認すると地雷原へと突っ込んだ。そして、きっちり地雷を踏み抜いた。

 

 爆発によって体に力がかかるがそれに逆らわず、転がるようにして前に進んですぐに立ち上がる。その流れをよどみなく繰り返して、前を行く選手たちとの差を埋めていく。

 

『後続も追い上げてきたあ!! 追いついてきた百竜は爆風の中を強行突破中!! しかし速えなおい!! だがやはり引っ張り合いながらも前を行くこいつらが速え!』

 

(流石に個性を移動に使えるやつは速いな)

 

 直後、後方から大きな爆発音がして頭上を何かが吹っ飛んでいく。呼人の目は、爆風で視界があちこちへと跳びながらもそれをしっかりと見据えていた。

 

 それ。すなわち仮想敵の装甲板。

 

(うまい手を使いやがる!)

 

 上空を吹っ飛んでいくそいつは、おそらく呼人がやっていることを大規模にやり、その一撃で大幅な飛距離を稼いでいるのだ。

 

『後方で大爆発!! しかもこいつはわざとだA組緑谷爆風を利用して猛追している―――!!?』

 

 プレゼント・マイクが叫んだ瞬間、歓声が盛り上がり、更に緑谷がもう一度爆発を利用して最終関門を一番に突破した瞬間、それは爆発した。

 

 装甲板で爆風を受けきれると判断した緑谷は、普通は忌避するはずの地雷をあえて集めて起爆させ、その爆風を受けて一気に加速していた。

 

『見たかよリスナー達この大逆転劇!! 一番にこのスタジアムに戻ってきたのはこの男!! 誰が予想できたか緑谷出久だあ!! 更に轟、爆豪!! 少し遅れて百竜が戻ってきた!! お前のクラスは一体どういう教育をしてんだイレイザー・ヘッド!』

『俺じゃねえよ。あいつらが勝手にたきつけあってんだろ』

 

 結局4着で戻ってきた呼人は珍しく前傾姿勢になって項垂れていた。酷使していた肩と背中を休ませているのだ。少し休めば回復するが、連続使用では疲労は溜まってしまう。

 

「1位は緑谷か。個性は使わなかったんだな」

 

 緑谷は個性を使う度に暴発させて故障している。だが今負傷していないとなると、今回の競争を個性抜きで突破したことになる。それは、呼人がやってみせようとしたことを地力で上回ったことをしめしていた。

 

「俺がやらなくても良かったな」

 

 個性抜きでの勝ちを取りたいと思ったのだが、それは他の選手に達成されてしまった。自分の体の鍛え具合もしっかり確認できた。恐らく明後日ぐらいには更に背中や腕が成長しているだろうが。

 

「ぬおー負けた。意外と悔しいなこれは」

 

 勝ち負けには興味は無い、なんて轟には言ってみせたが、いざやってみるとこれである。競うというのは、存外楽しいものなのだと実感していた。

 

 

******

 

 

「結果がモニターに表示されるわよ! しっかり見なさい!」

 

 モニターに突破した順に42名分の結果が表示される。42名。それが予選通過を果たした選手の数だ。A組は個性の使いすぎでお腹が非常に痛そうな青山を含めて全員が通過している。

 

 そしてこれはまだ終わりではない。本選はここから先―――

 

「落ちちゃった人もまだ見せ場は用意されているわ! 安心しなさい! そしてこれからがいよいよ本選!」

 

 そうミッドナイトが宣言すると、モニターの表示が切り替わる。

 

「第二種目は、騎馬戦よ!」

 

 『騎馬戦』。人間で騎馬を組んでその上に騎手役が乗り、はちまきを奪い合う種目。

 

 本選が個人戦ではないことに選手がざわつく中、ミッドナイトは説明を始める。

 

・1チームの人数は2~4人で固定ではない。

・ルールは通常の騎馬戦に準拠。

・ただしハチマキを奪われても崩されても負けにはならず組み直して良い。

・ハチマキはただ枚数ではなく順位に応じたポイントがそれぞれに割り振られる。

・悪質な崩しは禁止。違反した場合は一発退場。

 

「んーつまりハチマキ奪って回ればオーケーってことか?」

「まあそういうことだね。でも一人じゃないから、好き勝手に動き回っちゃ駄目だけど」

「それまた難儀な」

 

 ハチマキを奪おうが崩そうがチームが減らない以上、奪われたチームは一切の守りを捨ててハチマキを奪いに来る。ただ奪うだけでなく、戦略が重要になってきそうだ。

 

 そして、さらなる爆弾は最後に投下された。

 

「ポイントは下から5ずつ増えていくわ! だけど1位だけ別格の1000万ポイントよ!」

 

「えっ―――」

 

 その言葉に皆耳を疑うが、ミッドナイトは繰り返す。

 

「1位のポイントは1000万ポイント。上に行く者には大きな受難を。もう何度も聞いてきたでしょう! これがPlus Ultraよ!」

 

 ミッドナイトの言葉に、その場の全員が殺気立った目を緑谷へと向ける。

 そんな中呼人は、隣にいた尾白に小さな声で話しかけていた。

 

「これ如何に1000万に関わらずにいいとこ取りするかじゃないのか?」

「……確かに、それもありかもしれないね」

 

 2人が静かに意見交換する中時間を追うことに周りの殺気は増大。殺伐とした空気が漂い始め、緑谷の冷や汗が凄いことになっていた。

 

「チーム決めの交渉時間は15分! 今からスタートよ!」

 

「じゃ、また戦場で」

「戦場って。それじゃあ、試合場で会おうか」

 

 

******

 

 

 と言って別れたものの。正直呼人は組む相手がいない。障子と尾白は、むしろここでは対戦しようという話になったため別々のチームを組むために離れている。最悪、誰でも良いので肩車乗ってくれるやつがいれば―――

 そう考えていた所で、声をかけてくる者があった。

 

「あんた、入試1位だったんだな」

「ん? 宣戦布告の――」

 

 かけられた声に振り返り、見覚えのある顔に答えようとした瞬間、呼人の意識は体を離れ、気がつくとモンスター達の前にいた。

 

『――――――』

『あれ、俺何でここにいるんだ?』

『――――――』

『――――――』

『まじか。そんな個性があるんだな』

 

 モンスター達に推測されることを説明をされた所で、モンスターの中でも先生役であるクックに強烈なデコピンをかまされ、呼人は目を覚ます。

 

「あー効く。お前の個性エグいな」

 

 顔を上げると、驚いた顔の宣戦布告の生徒が立っていた。

 

「……何で目覚めた?」

「知り合いが―――」

 

 再び意識が体を離れ、そして再び引き戻される。

 

「おい普通に話してんのに個性使うなよ」

「……わかったよ。で、何であんた効かないんだ?」

「……秘密にしろよ?」

 

 宣戦布告の生徒が頷いたのを確認して、呼人は情報をはぐらかして説明する。

 

「個性の都合上か俺の中には別人格があるんだ。そいつに叩き起こされてる感じだ」

「……そういう相手にはきかないのか」

「さあな。まあ俺は効くけど叩き起こされてすぐに戻ってこれる。で、悪いけど後ろのそいつもお前がひっかけてるのか?」

 

 後ろのそいつ。ぼうっとした表情の尾白を指差して呼人が尋ねると、宣戦布告の生徒は小さく頷く。

 

「なら一回起こすぞ。話はその後聞く」

「……話ってなんだ」

「騎馬組もうって話じゃないのか?」

 

 そう当然のように聞き返す呼人に、彼は驚いた表情を見せた。これまで彼の個性を知った人間は、皆それを忌避してきたのだ。

 

「洗脳かけたのに、協力してくれんのか」

「俺もどっちにしろ騎馬組まなきゃならんからな。それに個性を使うのはありなんだろ」

「……」

 

 その生徒が衝撃を受けている間に、呼人は尾白を起こす。自分がされたように強烈なデコピンをお見舞いすると尾白も目を覚ました。

 

 

******

 

 

 尾白が目を覚ました所で、改めて呼人は男――心操人使に説明を求めた。

 

「……2人ぐらい洗脳して騎馬になってもらおうと思っただけだ」

 

 心操は障害物競走も、その『洗脳』という個性を使って複数の選手を洗脳して足場代わりなどに使って突破していた。

 

「なんで普通に頼まなかった?」

「頼まれても知らない相手なんて断るだろ」

「まあ確かに、組むなら知ってる人とが良いね」

 

 心操の個性によって洗脳をかけられていたことを呼人から聞いた尾白は憤慨したが、個性を使うのが当然だという呼人の言うことも理解できたので、少し許せないところはあるものの、とりあえず話を聞くことにしている。

 

「俺は別に組んでも良いけどな。誰と組みたいとか無いし。というか1000万から離れてうまく稼げる相手が乗ってくれれば誰でも」

「百竜……身も蓋も無さすぎだ」

 

 極論誰が上に乗ってもやることは変わらない! と堂々と言い放つ呼人に、尾白が苦言を呈する。

 

「……あんた、変わってんな」

「何がだ?」

「こんな個性、卑怯でヴィラン向けのそれだぞ」

 

 そう静かに言った心操の胸元を掴み、呼人は彼を引き寄せる。隣で尾白が制止していたが、無視した。

 

「なんか遠慮してると思ったら、お前自分の個性が嫌いなのか」

「そういうわけじゃない。離せよ」

「ならなんでそんな言い方をする」

「それは事実だろ。ヴィラン向けだってのは」

「それは嫌ってる言い方だろうが。てめえがてめえを好きにならねえでどうする。お前はその個性でヒーローになるんだろうが」

 

 声を抑えた呼人の叫び。その言葉に、心操は目をまたたかせた。

 

「……ああ。俺はこの個性でヒーローになる。だから離せ」

「……よし」

 

 心操が言ったことを理解はした様子を示したので、呼人は手を話す。これ以上の問答は時間が足りないし、納得するのは心操自身のするべきことだ。

 

 心操は、呼人の言葉をすぐには認められなかった。自分の個性はこれまでずっと、周りからそう言われてきた。だから自分は、なりふり構わずにヒーローを目指すのだと。だが、その個性を否定しないやつが現れた。

 

「……それでどうするんだ」

「俺はお前と組む。尾白は?」

 

 少しの沈黙の後、心操が口を開く。それに間髪入れずに呼人は答えた。一方尾白は苦笑いをしている。

 

「話聞いてる間にみんなチーム決まっちゃったからね。俺も組むよ」

「なるほど」

「半分ぐらい百竜のせいだからな」

 

 そう茶化すように言った後、尾白は真剣な顔で心操の方を見る。手を組むことは決めたが、まだ許したわけではない、と。

 

「でも、これだけは言っておきたい。同じチームとして活動するなら、利用するんじゃなくて信頼してくれ。そうすれば俺達も心操の信頼に答える」

 

 騙すのは、卑怯な手にかけるのは敵だけ。味方とは信頼しあい、互いの事を知り、力を合わせる。それがチームのあるべき姿だ。

 

「……考えたことも無かったな」

 

 心操にとって、味方とは利用するものであって信頼するものではなかった。

 

「じゃあ今から考えてくれ」

「……わかった」

「使うと言っても、洗脳して無理やりやらせるだけが使うじゃないからな。味方をうまく乗らせてやる気にさせた方が遥かに効率が良い。そういうもんだ。だから結局、信頼して信頼させるのが一番効率が良いんだよ」

「……あんたは、俺よりもたちが悪いな」

 

 せっかくの尾白の良い話の後にろくでもない事を言う呼人に、心操も少し引いている様子だ。

 

「うるさい。それよりとっとと作戦会議だ。どうせお前が騎手だろ? 一番貧弱だし」

「あんたに言われてから鍛えた。けど、流石にあんたらよりは弱いから上に乗せてくれ」

「百竜言い方」

 

 尾白に咎められるが、呼人は少し心操を見直していた。あのときああは言ったが、それをすぐに実行してくるとは思っていなかったのだ。よく見てみると、心操の貧弱だった腕には少しだがトレーニングの跡が見えた。

 

「……すごいなお前」

「あんたらと違って個性使った訓練は出来ないからな。出来る事をやっただけだ。それより作戦だが、一応考えてる。というより状況見て動かすから聞いて動いてくれ。もともと洗脳した相手は動きがしょぼくなるから、それに合わせるように考えてる」

「具体的には?」

 

 信頼する、の言葉通り、心操は自分の個性の一端を明らかにした。だから、尾白と呼人も真剣にそれに答えることにする。

 

「後半だ。前半は適当に流して、後半、特に最後に他チームの騎手を洗脳してうまいことハチマキをもらう」

 

 このルールでは最終局面にどれだけハチマキを持っているかが重要になり、途中で大量に所持している事は意味をなさない。それを理解しての作戦。心操は、頭の回転においては相当のものがあった。

 

「わかった。なら俺が後ろだね。後ろからくる攻撃を尻尾で弾ける」

「作戦は理解した、が、どうだろうな。俺はA組じゃあ少し目立ってる。順位も4位になってるし、狙われるんじゃないか?」

 

 そう呼人が懸念を口にすると、心操がその目を正面から見返す。微塵も笑っていない、そして卑屈さなどかけらもない、ただ何が有効かを考える、策士の目。

 

「それぐらいいなしてくれるんだろ。信頼してるぞ」

 

 信頼しろって言っただろ? と、そう心操は言う。それはもはや信頼ではなく脅しだ。『俺はお前がやれると思ってる。だからやれよ』と。強力な信頼は、時として一番大きな重圧となりうる。

 

 だが、それに呼人はニヤリと笑って答えた。

 

「当たり前だろうが。俺と尾白が思い通りに動けるならしのいで見せる」

「だから目立つなよ。あんた目立ちたがりだから心配だ」

「確かに……」

「おい尾白納得してんな」

 

 作戦は決まった。

 即席だが、悪いチームではない。仲が良いというわけではないが、確かな協力関係が構築されていた。




呼人がモンスター達に起こしてもらうのは、NARUTOのキラービーが八尾に幻術から覚ましてもらうのをイメージしましたが、ちゃんと理論は別に考えてます。



ようやくね、今書いている部分で主人公がメインストーリーを大きくハズレて動き始めたので記念として、というかテンションが上ったので連日投稿です。現在61話まで書き溜め中。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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