竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
『早速上位4チームを見ていくぜ!!』
時間切れで皆が動きを止める中、プレゼント・マイクの放送が響く。
『1位は1000万をゲットした轟チーム! 2位爆豪チーム! 3位鉄てじゃねえ、3位心操チームゥ!!? ずっと最下位付近にいたんじゃねえのか!? そんで4位、緑谷チーム!! 1000万は奪われたが見事4位! 以上4組が最終種目に進出だああ!』
そのアナウンスに、尾白と呼人は拳を打ち合わせる。そして2人が心操の前に拳を出すと、嫌そうな顔をしながらもそれに自分の拳を打ち付けてくれた。
「結局、どういう作戦だったんだ?」
「……決勝は例年1対1のトーナメントだ。だからトーナメントの人数、8じゃ少ないから16人が本選を突破できる。後はそれに合わせて、ポイントを稼いでる騎馬を確認してた。轟と緑谷ってところの騎馬がポイント持ち逃げして引きこもってくれたから数えやすくなった」
「数えるって、それぞれの奪い合いを全部見てたのか!?」
「おおよそだ。どうせ裏返されてるハチマキの数字なんか見えねえが、枚数とポイントならなんとなくは把握できる。まあ、もっとポイントが散らばってたら、もっと早めに動いてたけどな」
つまり、序盤にハチマキを失ったのも、最後まで動き出さなかったのも、全ては戦況を判断してのこと。それだけ心操は、戦場を見ていた。戦場が、見えていた。
「あんたらも、使いやすかったぜ」
呼人の言葉の意趣返しのように言う心操に、呼人は思い切り笑ってみせる。
「だろ。人を使うなんて別に悪いことじゃねえよ。ただ雑に使ったら反感買うだけだ。最大限にうまく使えば良い」
「俺は、あんまりその言い方は好きじゃない。でも確かに、司令塔にとっては、部下は駒なんだな」
「……普段は、あんたらみたいな使いやすい味方なんていない。決勝で当たらないように祈ってる」
そう言うと心操は、背を向けて2人から離れていく。個性がバレている相手と今やっても、通用しない。それは心操自身が一番、わかっていた。
(百竜呼人。俺は―――個性だけじゃなく、俺の全てでヒーローになる。俺の個性を初めて破ったあんたに教えられたのは癪だがな)
「何か、凄いやつだったな」
「お前最初は、あいつの個性をずるいって思っただろ?」
去っていく背中を見送りながらの直球な呼人の問いに、尾白は苦笑いを見せる。
「最初は。でもよく考えたら、百竜や轟もよっぽどずるだ」
「まあ、そういうことだ。あいつは多分、強くなる」
目がギラついていた。そして呼人が、はっきりと道を示して見せた。後は、そこを突き進むばかり。
「やられたな。最後に狙っていたのか?」
2人が退場口へと歩いていると、後から追いかけてきた障子と蛙吹が合流する。
「一応俺は、選手宣誓とか障害物競走とかでそれなりに目立ってたからな。あと悪いな。結局俺らだけ組んで」
「……尾白もお前とは戦いたがっていた。何か理由があるんだろ?」
「まあ、話してるうちに騎馬組む相手がいなくなってた、ってだけだけどな」
「どうせ百竜がなにかしたんだろう?」
「それは待てどういう意味だ」
いつもの、周りは見えているくせに割とよく周囲を巻き込んだり思いつきを実行したりする呼人を知っている障子は、どうせ尾白よりも原因はお前だろうと当たりをつけていた。あながち間違いでもないし尾白が周りを巻き込む人間ではないので消去法でそうなるのはわかるのだが、だからといって釈然としない。
「百竜ちゃん尾白ちゃんちょっと良いかしら」
「何、蛙吹さん」
以前蛙吹からクラスの皆に『梅雨ちゃんと呼んで』と言われたことがあるが、尾白はぶれない。というより、女子の名前をちゃんづけで呼びきれない。
「騎馬戦の作戦は2人が考えたのかしら」
その2人が聞かれたくないところをついた問いに、尾白と呼人は顔を見合わせる。それが心操の成果である以上、彼に無断で彼の実力を教えてしまうのは気がひけた。とはいえ、嘘をつくわけにもいかない。
「上に乗ってた普通科の人に考えてもらった。頭が俺達より良かったからな」
「そう。最後あんな綺麗に取ったのは、あの人の個性かしら」
「……それは答えられない。俺達だけの戦果じゃないんだ」
「……そうね。不躾だったわ」
尾白は答えはしなかったものの、蛙吹にとってはそれで十分答えである。何より、2人の個性にそんな力は無かった。
******
結局、騎馬戦後の注目は全て激戦を繰り広げた緑谷、轟、爆豪の騎馬に集まっていた。心操、尾白、百竜の騎馬の動きを追っていたものはおらず、後から見返そうにも生放送もそこを撮っていなかったため、実質見返したのは、相澤やオールマイト、プレゼント・マイクなど少数の教師陣だけであった。
特に相澤とマイクは、百竜の不可解な活躍が気になったため、昼食そっちのけで映像を見に来ていた。
「おいおいこいつは―――」
「……データを送ってもらった。やはり合理的じゃねえなあの試験は」
だが、2人の注目は百竜からすでに別の生徒へと変わっていた。
相澤が隣で驚愕の表情を見せるマイクに見せたのは、一枚の用紙。
心操人使のデータだ。
ヒーロー科入試と普通科入試を両方受験。ヒーロー科は不合格となり普通科に通っているが、その個性は特異。個性だけで言えば、確実にヒーロー科にいるべき人材である。
「お前、放送でこの個性のことはっきりとは言うなよ」
「OH、確かに知られた時点でアウトな個性だな。口が滑らねえように気をつけるぜ」
気をつけるが言わないとは言っていない。もしそっちの方が盛り上がると判断したら、それを選びかねないのがプレゼント・マイクというヒーローだ。
当のプレゼント・マイクは、心操の映像から目を外して、今度は百竜を改めて見始める。
「しかし、百竜は何でいまだに個性を使わねえんだ?」
「……使ったら服が破けるだろ」
「いやあいつなら破けない程度に抑えて変化させられるだろうが。お前何か知ってんのか?」
「……さあな」
こうなった相澤は、てこでも口を開かない。それを知っているマイクは、深々とため息をついた。
「実況しづれえ奴が多いな今回は」
プレゼント・マイク。彼はノリよく話すことが多いため、うまく隠しながら話すというのが少々苦手であった。
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昼食休憩を挟んでの午後の部。
午後の部はまずレクリエーションから始まるのだが、その前に本戦の種目発表が待っている。
峰田と上鳴に騙された八百万が女子全員をチアリーダーの格好に着替えさせてきたり、それで男子の一部が色んな意味で盛り上がったりと一悶着はあったが、ミッドナイトの説明が始まった。
「それじゃあ、組み合わせのくじ引きをするわよ。けど、その前に。上位4チームからの本戦進出者は全部で15名。1チーム3人で進出してるからね。けどこれじゃあトーナメントが組みづらいので、5位の拳藤チームから一人だけ、本戦への進出を認めます」
その説明に、予想していたものは頷き、予想していなかったものは驚きの声を上げる。もともと、どれだけのチームが進出となるかは最初は決まっていなかった。ただ人数を鑑みてそれが決められただけであり、例えば2人のチームばかりであれば、進出するチーム数は変わっていたのだ。
当の5位、拳藤チームだが、その説明を聞いてなんとも男前な事を言った。
「そう言う事なら……まともに動けなかった私らより、な?」
チームメイトに問いかける拳藤に、彼女のチームメイト全員が頷く。彼女らは確かにポイント的に5位ではあるが、途中で轟に足元を凍らせられた1チームであり、試合の後半をほとんど動けないまま過ごしていた。それで活躍したと、彼女たちは考えていなかった。
「最後の方まで上位キープしてた、鉄哲チームの方が良いんじゃね? めっちゃ頑張ってたし。馴れ合いとかじゃなくて、フツーにさ」
「お、お前らぁぁ!」
その言葉に、鉄哲チームリーダー鉄哲が雄叫びとともに泣き崩れた。彼もまた、情に熱いタイプの人間だった。
結果、鉄哲チーム内の相談で鉄哲の繰り上がりが決定。ミッドナイトもこれを認め、16名の決勝進出者が出揃った。そして進出者によるくじ引きにより、組み合わせが決まった。
第1試合 緑谷VS心操
第2試合 轟VS瀬呂
第3試合 上鳴VS尾白
第4試合 飯田VS発目
第5試合 芦戸VS百竜
第6試合 八百万VS常闇
第7試合 鉄哲VS切島
第8試合 麗日VS爆豪
「芦戸か。嫌だな強酸」
対戦相手を確認して一番、呼人はそう呟いた。芦戸の個性相手だと、特に腕に触るのが難しくなる。救いといえば、芦戸が体操服を壊さないように全身からの放出を出来ないであろうことと、オドガロンの皮膚は人間のそれと比べれば酸に強いということぐらいであろうか。
もともと酸の海がある場所で生活していたオドガロンは、少しではあるがそれに耐性があった。
「よろしくね百竜!」
そう声をかけられてモニターから視線を外すと、隣に対戦相手の芦戸が来ていた。見ると、進出者の一部は対戦相手と話したりしている。対戦相手とはいえ敵ではない。互いに力を尽くし合うライバルなのだ。
その差し出された手を、呼人もまた掴む。
「よろしく、芦戸。本番じゃあ手は触れないけどな」
「ぶーぶー、触ってくれてもいいのに」
いや強酸は痛そうだからいやだ、と呼人は返しながら、芦戸の戦い方を思い出す。彼女はただ溶解性の粘液を放出するだけではなく、その粘度や溶解度も自由に変更し、地面を滑るのに利用していたりもした。単純なように見えてその使いみちは高い。
「それ良い格好だな」
「峰田たちに騙されただけだからね!? というかそれ言うとモモちゃんがショック受けるから!」
峰田と同じクラスにいることで、段々と人間の女子の可愛いが理解でき始めている呼人であった。
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レクリーエーションがあると言えど呼人達進出者は不参加の自由があり、呼人含めてかなりの人数がレクリエーションには参加していない。呼人自身は普通に他のクラスメイトと一緒に観戦をしていたが、参加していない選手の大部分はそれぞれにそれぞれのやり方で時を過ごしていた。
不参加を選んだものの、大玉転がしや借り物競走など、自分の知らなかった競技がそれなりに面白そうだったので、来年はレクリエーションにも参加しようと呼人は心に決めた。
そんな呼人の前に、轟がやってくる。
「百竜。ここまで手を抜いてるのか知らねえが、そのままなら俺が優勝もらうぞ」
「……他の連中は警戒しないのか?」
「……俺は負けねえ」
まるで、対戦相手のほとんどは眼中に無いとばかりの轟の言葉。それが呼人には少し腹立たしかったが、それをわざわざ言うほど馬鹿ではない。
「あっそ。随分と遠い遠い何かを見つめてんだな」
ただ、皮肉を言わないほど賢くはなかった。
「……! お前に何がわかる」
「知るかよ。お前も俺の過去なんて対して知らねえだろ」
「……ちゃんとした親がいるお前に、俺の気持ちはわからねえよ。俺は、優勝する。優勝して、あの糞野郎を見返す……!」
そう宣言すると、轟は会場から出ていった。その様子を見ていた耳郎と葉隠が、チアガールの格好のまま呼人のところへとやってくる。
「百竜、大丈夫?」
「ん、ああ、何が?」
そう答えると、見えない手におでこの辺りを触られた。葉隠だ。
「ここ、凄いしわになってるよ」
「ああ、まあちょっと腹が立ったぐらいだから大丈夫だ」
「そっか。けど、あんま無理しないでよ? あんたただでさえ良くわからないんだから」
「無理はしない。ありがとな」
そう言って笑う呼人に、2人もほっと安堵の息を吐く。呼人とは仲が良くなった2人だが、それでも何でも出来る呼人とはどこか遠さを感じていた。そんな呼人だからこそ、自分たちの知らないうちに無茶をしてしまうかもしれない。友達として心配だったが、自分で『無理はしない』と言ってくれた。
そんな2人を目の前に、呼人は戦う意志を新たにしていた。
応援してくれる仲間がいる。個性の全てを解放しない、人間の可能性を示す、というのは呼人が自身に課したこだわりであり、枷でもある。それを完全に外す気はない。外すことは出来ない。だが、学校に伝えているところまでは出しても良いかも知れない。残念ながら、体操服が破れるのでその全力もまた出せはしないのだが。
だが、そのために、これまでモンスター達の力を制御する練習をしてきた。例え服という枷があっても、やりようはある。
「強くなりたい、じゃなくて、勝ちたい、ってのは、初めてかも知れないな」
いやー、今書いてるのA組B組対抗戦ぐらいなんですけど、ね。呼人に触発されたクラスメイトの魔改造がやばいです。まあ数名程度ですが。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
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欲しい
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勝手にニヤつくからいらない
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あまり興味がない