竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第21話 雄英体育祭・6 百竜VS芦戸

 レクリエーションが全て終わり、最終種目が幕を開ける。

 

『頼れるのは己だけ!! 持ってるもん全部で駆け上がれ!! ガチンコ対決の始まりだ!!』

 

 次に試合に出る選手以外は好きな場所で待機していて良い決まりになっているため、呼人は障子や尾白、耳郎、葉隠、八百万と集団になって座っていた。

 

「一回戦は緑谷さんですね。対戦相手は、百竜さんと尾白さんと組んでいた……」

「普通科の心操ってやつだ」

 

 呼人が答えた直後、放送でも同じ名前が告げられた。

 

「百竜と尾白から見てどっちが勝ちそうなの?」

「緑谷には悪いけど、俺は心操が勝つと思う。強さとかそういう次元の話じゃないからな」

「けど心操の個性にも相性はある。実際俺は自力で抜け出したぞ」

「は? そんな方法があったのか?」

 

 先程は伝えなかった呼人の告白に、尾白が驚きの目を向ける。心操の個性は受けてしまえば終わりだと思っていたからだ。

 

「特殊な体質だがな。それさえ突破できれば―――」

「ちょっと待って、なんの話してるの? 心操って人の個性の話?」

「見てればわかるし、わからないなら秘密だ。八百万はまだ試合が残ってるしな」

 

 そんな事を話していると、試合が始まった。

 

 最初は心操の方から緑谷へと話しかける。

 

 そして直後、緑谷の動きが止まった。

 

『おっと緑谷が動かねえ!! なんて個性だ心操人使!! 実力差なんて関係ねえ!!』

 

 そして心操が近づいて何事か告げると、そのまま緑谷が背を向けて歩き始めた。その後ろを少し離れて、心操もついていく。

 

「案の定ぶっ刺さったな」

「あの個性は、二度とくらいたくないよ」

 

 すでにそれを経験している2人が静かに話している中、緑谷の奇行を見た他のクラスメイトは落ち着いてはいられない。

 

「緑谷さんはどうしたんですの!?」

「まっすぐ場外に向かってるよ!」

「何あれ、ちょっと百竜! あんたなんか知ってるでしょ!?」

 

 耳郎に首元を掴まれてがっくんがっくん揺さぶられている呼人は、『や~め~ろ~』と間延びした悲鳴を上げていた。

 

 だが、直後状況は変わる。後少しで場外という位置にいた緑谷が、突然巨大な衝撃波を放ったのだ。それを受けて、距離を詰めていた心操は大きく吹き飛ばされる。

 

 

 

(くっそ、イレギュラーが重なるもんだ……!)

 

 これまで一度として突破されたことのない個性だが、今日はすでに百竜に突破されている。そのため、その焦りはあまり無い。

 だが、いざという時のために距離を開けないようにしていたにも関わらず衝撃波で引き剥がされてしまった。

 

「指動かすだけでそんな威力出せるお前が羨ましいよ!」

 

 だが、警戒して緑谷は動かない。原理はわからないが、心操と話すことで自分の体が勝手に動く状態に陥ると気付いていた。

 

「俺はこんな“個性”だから、お前らみたいな恵まれた人間と違ってまともにスタートも切れてねえ。でもな……!」

 

「負けるつもりはねえ!」

 

 そう叫んで、心操は自分から走り出す。警戒された以上、ただ話しかけているだけでは答えてくれるか怪しい。だが、動揺してくれれば気を抜くかも知れない。慣れない拳で思い切り殴りかかりながら、心操は話し続ける。

 

「お前、ヒーローになれるだろ!? そんな個性持ってんだから! だけど俺には、これしかねえ!」

「ああああああ!」

 

 思い切りぶつかって外へと押し出そうとする心操の腕を、緑谷が掴んで外へと投げ出した。投げ出された心操は、場外の地面に背中を強かに打ち付ける。

 

(くっそ、やっぱ届かねえか……)

 

 負けるつもりはないと言ったが、結局届かなかった。百竜に言われて体を鍛えてきたが、たった2週間じゃ焼け石に水。結局個性すらまともに使い切れなかった。

 

 自分の負けが宣言されたあと、中央で緑谷が話しかけてくる。

 

「心操くんは、何でヒーローに……?」

「……憧れたんだ。目指すしか無いだろ」

 

 とはいえ、負けは負け。もともと自分の個性はヴィラン向けの個性。それに実力でも、個性をまともに使ってない相手にあっさり負けた。

 

 だが、見ていた者たちの感想は違った。

 

「かっこよかったぞ心操!」

「おつかれ心操! 障害物競走1位の奴といい勝負したじゃねえか!!」

 

 それは、想像もしなかった言葉。自分は、誰になんと言われようと、なりふりかまわずヒーローを目指す。それが、認められるとは思っていなかった。

 

 クラスメイトからの歓声だけではなく、プロヒーローたちが自分を認める声も聞こえてくる。

 

 

 そしてそこに、別のクラスから百竜もやってきた。

 

「どうだ心操。なれるだろ? お前も。―――ヒーローに」

 

 

 ああ。なれるとも。なってみせるとも。人を笑顔に出来るような、最高のヒーローに。

 

 そして心操は、後ろに立っている緑谷を振り返る。

 

「――結果次第で、ヒーロー科への編入も検討してもらえる。今回は負けたが俺は諦めない。ヒーロー科に行って資格とって、絶対にお前らを超えるヒーローになってやる」

 

 そして、上から満足そうに見下ろしている百竜の方を見上げる。

 

「お前もだ百竜。俺は絶対お前を超える」

「上がってこいよ。はやくしないと先に行くぞ」

 

 

 楽しげに笑う百竜から顔をそむけ、今度こそ心操は会場から退場した。

 

 ―――心操人使、一回戦敗退。

 

 だがこの体育祭は、彼の未来に大きな影響を与えた。

 

 

******

 

 

 続く轟と瀬呂の試合は、轟が巨大な氷で瀬呂を氷漬けにしたため一瞬で終わった。轟を場外に押し出そうと頑張ったものの圧倒された瀬呂には、観客席から大きなドンマイコールが送られていた。

 

 第3試合は上鳴VS尾白。この試合は凄まじい消耗戦となったが、結局尾白が勝利した。

 試合の流れとしては非常に単純で、上鳴が個性の放電をぶっ放してはそれに尾白が耐える、という展開だ。尾白にもばっちり放電は聞いて体は痺れていたのだが、尻尾の耐久性は本体のそれを大きく越えており、最後まで尻尾が元気を失わないまま上鳴がキャパオーバーのウェーイ状態になったため尾白の勝ちとなった。

 

 そして第4試合は、試合とは言いながらも飯田をうまく使った発目の開発物の展示ショーとなり、最終的に発目が降参してショーはお開きとなる。あれは断じて試合などではない。

 

「さて行きますか」

「百竜、芦戸に怪我させたら許さないからね」

「わかってますよ、っと」

 

 芦戸との試合に当たってモンスター達の中でも女性の人格をもった奴らが呼人に言ってきたのは、『女の子には怪我させないで勝ちなさい』という、なんというか、俺の扱い酷くないだろうかというものだった。まあ相手が芦戸とは言え、服の部分には触れるのだから――と思っていたが、胸や尻を触るのは絶対に駄目らしい。それは以前から言われていたので覚えていたのだが、戦う際にも駄目だそうだ。

 

「あいつ、今敬語使わなかった?」

「使ったね」

「……耳郎の迫力が凄かったのではないか?」

「は!?」

 

 モンスター達に念入りに注意されて話していたために、咄嗟に敬語が耳郎相手にも飛び出してしまったのだ。

 

 そして呼人は、プレゼント・マイクの放送とともに入場する。

 

『続いての選手はこいつらだ! 可愛い花には棘がある、ならぬ酸がある!! ヒーロー科A組!! 芦戸三奈!!』

 

『そして個性無しでここまで突破!! 入試1位の実力は如何に!! 同じくA組!! 百竜呼人!!』

『おい……』

 

 個性なし、と、彼の個性を知らない人間からすれば知り得ない情報をあっさりとばらしたプレゼント・マイクに相澤が制止をかけるが、すでに遅く場内は騒然とする。

 

「百竜くん個性使ってなかったの!?」

 

 対面した芦戸も、驚愕した様子でそう尋ねてきた。

 

「ここまでは適度に勝てばよかったからな。けどここからは、全部勝つ必要がある」

 

『それでは!! ―――試合、スタァァァァァァトォ!!!』

 

 そしてプレゼント・マイクの合図で、百竜は芦戸に向かって飛び出した。

 

 人間の足で、全力疾走。そして途中でオドガロンの力を混ぜ、速度を変える。加速した呼人に、芦戸は慌てて酸を放ってきた。だが、彼女の放つ酸にはそれほどの速度はない。

 

 酸を難なく回避して懐まで入り込んだ呼人に、芦戸は酸を放出した腕で殴りかかる。その腕の先、袖と、芦戸の胸元の服を掴むと、足払いをかけて一気に投げ飛ばす。

 そして背中から地面に落ちた芦戸の眼前に、オドガロンをまとわせて爪を発達させた手を突きつける。

 

「まいったか?」

「――ま、だ! 負けてない!」

 

『芦戸が百竜の剥き出しの腕を掴んだ!! 酸まみれの腕で掴まれるなんてゾッとするぜ!!』

 

 呼人の降伏勧告にそう叫び返した芦戸は、両手で呼人の手の露出している部分を掴んでいた。

 

「手には触りたくないんでしょ!」

 

 そして、強力な酸を分泌。その酸に、呼人の腕の、オドガロンの鱗と皮膚が溶け始める。

 

 だが、呼人は芦戸の袖を掴んでいる腕を離さず、顔に突きつけている腕も引っ込めない。どころか、突きつけている腕をさらに変化させ、完全に人間のそれを逸脱した、オドガロンの前足と同じ形状にして、再び芦戸の眼前へとそれを突きつけた。

 

「まいったか?」

「な、何で!? 酸は!?」

「―――まいったか?」

 

 呼人の問いかけに、芦戸は苦悶の表情を浮かべるが、答えない。目の前に突きつけられている呼人の腕。その爪が少し触れるだけで、自分の顔を切り裂かれる。酸も、何故か効いていない。

 でも、諦めたくない。

 

 芦戸がそんな考えから動けずにいると、有利であるはずの呼人が手を離して大きく跳び下がった。慌てて起き上がってそちらを見ると、呼人の赤黒い腕が大きくただれているのが見える。

 酸は効いていないわけじゃなかった。ただ、呼人がその強靭な腕で激痛に堪えていただけ。

 

『百竜の腕が溶けたぁ!! やっぱり酸がやべえ!!』

 

 プレゼント・マイクはそんな事を言うが、芦戸は百竜の方がやばいと思う。肉を溶かされる痛さは、想像を絶する。それに百竜は少しの間とは言え堪えたのだ。そしてそれだけの時間があれば、自分を倒すことも出来ていた。

 

 でも、そう、百竜は、自分を倒すことが出来ていたにも関わらず倒そうとしなかった。

 

「百竜、本気でかかってきなよ!」

 

 芦戸がそう叫ぶと、百竜はかすかに笑う。

 

「なら、本気を出させてみろ」

 

 そして、突進。今度は最初からオドガロンの力を使ったダッシュ。一瞬で芦戸の眼前に出現する。しかし、今度は芦戸は手を出さず酸を撒きながら下がることに徹する。

 狙うのは呼人ではなく、その足元。弱い酸を足元にまくと、滑ってまともに走れなくなる。

 

 だが呼人は、それを四足歩行に移行することで突破した。

 コンクリートの地面に爪を突き立てて地面を捉えると、先程まで以上の速度で回り込む。芦戸も慌ててそれを追うが、足を止めたために自分の足元に足止め用の酸が到達してしまった。

 

 そして、先に足を滑らせたのは、芦戸だった。

 

「わっ!?」

 

 自分の酸でわずかに体勢を崩した芦戸に呼人は飛びかかると、すぐさま人間に戻ってその頭を掴み軽く揺さぶる。

 その一撃で意識を刈り取られた芦戸の体が、酸の上へと倒れ込みそうになるが、それを呼人は優しく腕で受け止めた。正面から受け止めたことで柔らかい膨らみに触れることになってしまったが、不可抗力だ。頭の中で怒る瞬間を今か今かと待ち構えている彼女らには、それで納得してもらうしか無い。

 

「芦戸さん戦闘不能!! よって勝者は百竜くん!!」

 

 その言葉に、歓声が巻き起こる。

 

「先生、担架を。一応気絶してるだけですけど」

「そのまま担いで行きなさい。勝者の役目よ」

 

 いや一応気絶してるんですけど……という呼人の声は無視された。ミッドナイトには、呼人の攻撃が全く害の無いものだと見抜かれていた。

 そしてそのまま、芦戸を背負って退場する。少女の人格を持つキリンとキリアがお姫様抱っこなるものを提案してきたが、嫌な気配がしたので却下した。名前からしてアウトであろう。

 

『勝者百竜!! 芦戸を背負って退場!! 意外と紳士じゃねえかこの野郎!!』

 

 マイクのふざけた放送に、会場に笑いが響き渡る。

 

 

 その頃客席では、何故か不機嫌になった耳郎と葉隠に障子が首を捻っていたという。




前にも書いてるかもしれませんが。
おおよそ一年の1月を迎えるあたりからの話はif分岐ありということで色んなパターンを書こうかなと思っています。というか正直どれが一番面白いか個人的にも決めかねてるので。

また日常の小話とか寮での話とかイベントとか、そういうのは番外編として書いていこうかと思ってますが、絶対に本編と矛盾点が出ます。

 例)
 林間合宿で初めてクラスメイトが呼人の裸を見る(夏にはプールの授業がある(はず)にも関わらず)

 これは本編の描写だけで完結した上でちょっとした話を入れたりする上での矛盾なので、許していただけるとありがたいです。指摘いただけて修正がききそうであれば修正しますが。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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  • あまり興味がない
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