竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

26 / 82
第26話 職場体験・0

 2日間の休みが明けて登校日。

 

 この2日間の休暇は基本的にいつもと変わらず訓練やパソコンの使い方に習熟して作業を始めたりと忙しく過ごしていたのだが、初めて神王寺が食事に連れて行ってくれた。どうやら本人は用事で見ていなかったが、呼人が優勝していたことを知っていたために、これまで連れて行っていなかったこともあって、ということであった。

 

 いつもどおりの速度で、学校に向かって自転車を飛ばす。人通りの多い通りでは無茶をすることはないが、雄英の直近には民家は無い。そのため、家からある程度離れたところからとばし放題になるのだ。

 ちなみに呼人が人間状態で本気で漕いでも壊れないように自転車はそれなりにちゃんとしたのをネットの情報から調べて買っていた。ついでに言うと神王寺は口コミよりも役に立たなかった。

 

「あ、ねえあの人って……」

「え? 雄英高校の人?」

「うん、あの人、あの一番の人に似てた気がする」

「一番って?」

「見てないの? あのね―――」

 

 そんな会話が信号を待っている呼人の後ろではされていたのだが、信号が変わった直後に呼人が離れていくので子どもたちは声をかけることが出来なかった。

 

 例年、雄英体育祭が全国的に見ても一大イベントということもあってこの時期は雄英生、特にトーナメントに残った雄英生は一般人の注目を多分に集める。そのため特に電車通学など公共交通機関を利用している生徒は大変な目にあうのだが、自転車で通学している呼人はその大変な目に合わずにすんでいた。

 

 だが他のクラスメイトは違う。教室に入ると、すでに登校してきている者達が集まって話していた。

 

「来る途中めっちゃ声かけられた!」

「私も! みんな見てるからなんか恥ずかしかった!」

「俺なんて小学生にドンマイドンマイ言われたぜ」

「ドンマイ」

「梅雨ちゃん言わないで!」

 

 やはり、特に葉隠や芦戸のように見た目から目立つ者や、瀬呂のように、様々な意味でだが、強烈な印象を残した者は一般人から色々と声をかけられている。

 

「あー、百竜おはよー! 百竜も声かけられた?」

「おはよう。自転車とばしてたから声かけようとしてた人はいたみたいだけど全部スルーしてた」

「鬼だ! せっかく人気になったのに!」

「そうなのか?」

 

 芦戸や葉隠が言ってくれるが、呼人にはあまりよくわからない。ヒーローとは人々に応援されてなんぼというところもあり、またそれが力になるものでもあるので人に応援されて喜ぶのが普通なのだが、英雄(ヒーロー)がそうあるべきものなのかと考えている呼人には少し理解し難い考え方でもあった。

 

 その後、詳しくないという呼人に葉隠や後から来た尾白がヒーローと人気の話をしてくれ、ビルボードチャートという順位のようなものもあると教えてくれた。そしてその上位にいることはヒーローの誇りであり、またヒーローの人気の証でもあると。

 ちなみにオールマイトは長年1位を保持し続けており、それもまた彼が伝説たるゆえんだとも教えてもらった。

 

 

******

 

 

「今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ」

 

 3日ぶりに見ると無事包帯が取れていた相澤が、教室に入って早々に告げる。入学してからの期間で色々な目に合わされてきたために、クラスメイト達、特に『抜き打ち小テスト』をくらうと補習確実な芦戸、切島、上鳴らの顔は既に軽く強張っている。

 とくにヒーロー情報学は他の一般課目と比べてもその内容が『ヒーロー、及びその活動に関する法律など』とかなり重く、苦手な者が多かった。だが。

 

「ヒーロ名、『コードネーム』の考案だ」

『胸がふくらむのきたあああ!!!』

 

 ガッツポーズをして思わず立ち上がる生徒ばかりの中、相澤は注意する事無く続ける。彼のやり方が分かっているクラスメイト達は、一瞬で静かになった。

 

「でも、何でこのタイミングなんですか?」 

「体育祭の日に話した『プロからのドラフト指名』で必要になる」

 

 耳郎の質問に答え、相澤は先日そういうものがあると言っていたプロからのドラフト指名について説明する。

 

「指名が本格化するのは2,3年からだ。その時期になれば経験も積んでいるし即戦力として見れるからな。だから今回の“指名”はあくまで将来性への“興味”という色合いが強い。卒業する段階でその興味が削がれていた場合には声がかからなくなるというのはよくある話だ」

「勝手過ぎる……!」

 

「つまり、頂いた指名が現在の自分の指標、乗り越えるべきハードルとなっていく、ということですわね」

 

 八百万の言葉に相澤は頷く。

 

「そうだ。そしてその集計結果がこれだ」

 

 相澤が示す先には、それぞれの生徒に来た指名の数がグラフ上にして示されていた。

 

 一番数が多いのが轟の3782件。続いて爆豪の1984件。呼人は3番目に多い934件であった。

 

「例年ならもっと散らばるんだが今年は3人に偏った」

 

「あ゛ー差がひどい!」

「無かったな緑谷! やっぱ怖かったんだ」

 

 思い思いの感想を上げる中で、隣席の瀬呂が何かに気づき呼人に話しかけてくる。

 

「あれ百竜、お前少なくね?」

「んーそうか? 体育祭で一番印象に残ってるのってなんだ?」

「何って……なんだろうな一番って言われてもわからねえけど、やっぱ俺は凍らされたのかな」

 

 轟に瞬殺された瀬呂が答えると、それが何か関係あるの? と瀬呂の1つ前の耳郎も尋ねてくる。

 

「いや、目立つし轟とか、後は爆豪の個性は強力だから将来性が凄いってことだろ。逆に俺のは身体能力が少し高くなれば出来ることだし」

「……はんっ」

 

 くだらねえ、と言いたげに爆豪が苛立った声を上げるが、呼人の推測はおおよそあっている。つまり、見ていて明らかにやばいのが轟や爆豪であり、呼人のは頑張っている、言ってみれば戦い方を工夫してその程度か、と思われるようなものだったのだ。そのためこの指名数の差となった。

 

「轟と爆豪の差も結構あるな」

「暴言と面だろ」

「プロがビビってんじゃねーぞ!」

 

 ちなみに爆豪と轟の差においてはそのイメージが大きな影響を与えていた。

 

「……指名の有無関係なく、みんなには職場体験に行ってもらう。プロの活動を体験して現実に触れ、今後の訓練をより実りあるものにしようってことだ。お前らは先に接してしまったがな。そのためのヒーロー名。一応仮のものにはなるがあまり適当にすると――」

「後で恥ずかしいことになっちゃうよ!」

 

 相澤の言葉を引き継ぐようにミッドナイトが教室に入ってくる。

 

「この時決めた名前がそのままプロ名になってる人も結構いるからね!」

「……そういうことだ。俺はその辺のセンスが無いからミッドナイトさんに来てもらった」

 

 相澤はミッドナイトに場所を譲ると、教室の端で寝袋に潜り込む。それで良いのか高校教師。

 

 生徒からそんな突っ込みをもらいながらも相澤は最後の説明をする。

 

「名前をつけることで、将来の自分のビジョンを明確にする。そしてそれに向けて努力を重ねる。それが『名は体を表す』ってことだ」

 

 ―――“オールマイト”とかな。

 

(ヒーロー名、一応考えておいたけど……実際どんなもんなんだろうか)

 

 神王寺から『ジ・アドベンチャー』という彼のヒーロー名や、他のヒーローも本名以外に活動するための別名を持っていると聞いていたため、呼人も一応考えていた。というか、ヒーローを志す生徒にとっては、自分のヒーロー名を考えるというのは、誰もがニヤつきながら通る道である。

 

「それじゃあそろそろ、出来た人から発表していこうか!」

 

 やがてそれぞれがそれぞれに考えた15分間の後に、ミッドナイトがなんと発表形式でそれぞれ紹介するように指示を出す。

 

(発表すんの!?)

(恥ずかしいから誰とも話してないってのに……)

(おしっ、度胸決めろ俺!)

 

 それぞれが発表するという少し気恥ずかしいことに尻込みしていると、クラス内でも轟とためをはって全く別の方向に何を考えているのかがわからない男、青山が率先して立ち上がる。

 

「輝きヒーロー“I cannot stop twinkling”!」

『短文じゃねえか!』

 

 初っ端から大喜利のような青山のヒーロー名にクラスメイトの声が揃う。だが、本人は至って真面目だ。

 

 改めて言おう。至って真剣である。

 

「少し長すぎるからIを無くしてcannotをcan'tに省略した方が呼びやすいわね」

 

 ミッドナイトもそれに突っ込むこと無く真面目にアドバイスをするものだから、教室内には更に変な空気が漂う。

 

(あれは流石に例外、か? ジ・アドベンチャーにオールマイト、イレイザーヘッド、プレゼント・マイク、ミッドナイト、13号……冠詞がのってるのも神王寺だけだし。というか英語と仏語混ぜるなよ……)

 

 否定語なんてものがついてるようなヒーロー名は、現役ヒーローに対する知識が少ない呼人は聞いたことが無かった。というか、一般的に短文をヒーロー名にするヒーローは存在しない。

 

 大喜利の青山に続いて芦戸がエイリアン・クイーンという、有名らしい映画のエイリアンキャラクターの名前を自分のヒーロー名にしたが、あまりにもヒーローらしくない、というか元ネタが怖すぎると却下される。

 

 だが続いて蛙吹が可愛らしいヒーロー名を紹介したことで場の空気が変わる。

 

「私、小学生の頃から決めてたのよ」

 

 そう言って彼女が出したボードには、『梅雨入りヒーロー“フロッピー”』という、可愛らしい名前が書かれていた。

 

「カワイイ!! とても親しみやすいわ!!」

 

 ミッドナイトの講評に、蛙吹はケロケロッと少し恥ずかしげにしながらも笑う。

 そして空気が変わったことで尻込みしていた他のクラスメイトも続々と発表を始めた。

 

「じゃあ次俺! “烈度頼雄斗”!」

「うちは“イヤホン=ジャック”」

「……触手ヒーロー“テンタコル”」

 

 そんな中、呼人も自分の考えていたヒーロー名を発表する。

 

「“ノーマン”」

「どういう意味で決めたのかしら」

「いや、なんか響きがかっこいいかなって。最初はコールマンって思ってたけどまんま過ぎますし」

 

 神王寺は呼人を良くコールマンと呼ぶが、『呼ぶ人』で『コール(呼ぶ)マン(人、男)』というのはあまりにまんま過ぎる気がした。そんな中で“ノーマン”という言葉の響きの良さに気づき、それをヒーロー名と決める。その名の意味も、自分にぴったりだった。

 

 ノーマン。No man。i am NOt a huMAN。『人(man)にあらざる(No)者』。だからそれを、自分の名前にしようと。

 

 席に戻った呼人に、斜め前の耳郎が話しかけてくる。

 

「(ねえ、ホントはどういう意味なの?)」

「(ほんとって?)」

「(あんたのことだからなんか考えてるんでしょ)」

「(……まあ、一応あるけどな。秘密だ)」

 

 流石に自分の口からは言いにくい、と。そう答えると、耳郎は少し考えこむようにしていた。

 

 その後も順調に発表が進み、最後に残ったのは緑谷、飯田、爆豪。爆豪に関してはしっかり決めて発表したのだが、『爆殺王』とあまりにもヒーローっぽくなかったのでミッドナイトから却下された。

 

 緑谷は普段爆豪からおそらくは揶揄混じりで呼ばれているであろう“デク”という呼び名を発表する。彼の性格と普段の行動から考えると、それは爆豪へのあてつけというよりは、爆豪の言葉すら糧にして、むしろそう呼ばれる自分の不甲斐なさを自分に戒めるというような意味合いがあるように思えた。彼の説明によると、誰かの言葉でその呼び名への見方が変わる出来事があったらしい。

 

 飯田はかなり悩んでいたが、まだ決めきれないと自分の名前、『天哉』で行くと発表。轟も名前をそのまま使っていたが、彼の方は『ショート』と一応ヒーロー名らしくカタカナにしているのに対して飯田は完全に自分の名前である。

 

「正直……まだ自分がどういうヒーローになるべきか決めかねています。だからまだ、この名前を」

 

 兄の、一時は活動継続不可能とすら思えた怪我と復活。恐れを抱いたというよりは、それだけのことを我が身に受けてもなおヒーローでありたいと願う兄の姿に、自分はどうあるべきなのかと、飯田は悩んでいた。

 

 ちなみに最後まで残ったのは爆豪であり、ろくな名前にはならなかった。

 

 それぞれのヒーロー名が決まった後には相澤から指名一覧をまとめた用紙が指名のあったメンバーに配られ、指名が無かった生徒には受け入れ先として学校が交渉した全国の事務所が職場体験先として選択可能だと指示された。

 

 ヒーロー名決めが終わった後も時間は残っていたので、残り時間は職場体験先を考えることとなった。

 

 のだが。

 

「1ミリもわからん……」

 

 指名があった者がそれぞれに指名してくれた事務所の一覧に目を通し、指名の無かったものが相澤の示した40箇所の受け入れ先から選ぶ中、呼人は誰が誰だかわからないその一覧を投げ出し、スマホでそれぞれの事務所について検索していた。

 

「……何をやってるんだ?」

「なんか百竜、力つきてない?」

「なんかいつもより元気ない!」

 

 早々と決めてしまい手の空いた障子と耳郎、葉隠が呼人の机へと集まってくる。前の席の爆豪もそのあまりの指名の多さに目を通すのに苦しんではいるようなのだが、呼人の方からはそれとはまた違う無気力感が漂っていた。

 

「ヒーロー詳しく無さすぎて誰が誰なんだか全くと言っていいほどわからん」

「え?」

「百竜くん、どんなところから来てるのか見せてもらっても良い?」

 

 誰が誰なんだ、とうめく呼人を見かねたか純粋な興味か、後ろの席の緑谷も席を立って近づいてきた。それに小さく頷いた呼人は、その指名一覧の書かれた用紙を渡す。障子達も興味があったか、緑谷の持つ用紙を覗き込みに行っていた。

 

「凄い! ベストジーニストにクラスト……」

「他にも有名なヒーローがいっぱいだあ!」

 

 有名なトップヒーローばかりの名前に、それを見た緑谷が顔を輝かせ、他の者も感心した目を向ける。そこにやってきた上鳴も呼人の体験先が気になるようで、それを尋ねてくる。

 

「それで、百竜は結局どこ行くの?」

「……悩む以前にそもそもヒーローのこと全く知らないから誰がどんな事してるか全くわからないんだ」

 

 そう正直に告白する呼人に、みんながまじかこいつという目を向ける。

 

「……ベストジーニストはNo.4のはずだが……」

「知ってるのは俺の師匠ぐらいだから、ほんとに誰が誰やら……」

 

 調べてもスキャンダルとかそんな話ばっかりでどう調べたら良いかわからんよお、といつになく情けない様子の呼人にほほえみを漏らしながら耳郎が提案する。

 

「じゃあウチらで百竜にヒーローの説明する?」

「それ良いね!」

「緑谷くんは駄目だよ! 絶対話長いもん!」

「ええ~」

 

 情けない緑谷の声に皆笑い声を上げるが、その提案自体は良いものだった。

 

「どうなさったのですか?」

 

 そこに、自分も多くの指名に目を通した八百万がやってくる。彼女もかなりの数の指名をもらってはいたが、呼人ほど多くはなくまたヒーローに対する知識や自分のヒーロー活動の方向性もある程度考えていたため、かなり早い段階で決まっていた。

 

「あーそれがさ……」

 

 と耳郎が呼人の事情を伝える。

 

「まあ、それは……大変ですわね」

「大変なんだよ。帰ったらしっかり調べてみようとも思ってるんだけど」

「特に有名な所だけ、百竜の指名の中から紹介すれば良いのではないか? 全てを説明するほどの時間は無いだろう」

「それが良いと思う! じゃあ緑谷くん、説明するヒーロー選んで!」

「あ、うん、わかった!」

 

 ぐたっとしている呼人を放って話がどんどん進んでいく。結局、緑谷が有名所のヒーローをピックアップし、皆がそれを説明してくれることになった。

 

 後からやってきた尾白が呼人の肩を、ドンマイと言いたげに叩いていたが、呼人は頷くことしか出来ないのであった。

 

 

******

 

 

 その放課後。流石に今日は訓練をしている場合ではないと教室に残り、協力してくれるみんなと一緒に職場体験先を決めようとしていた呼人は相澤に職員室まで呼び出されていた。

 

「少し遅れたがお前にもう一箇所指名が来てる」

 

 連れられるままに職員室へと行くと、相澤はパソコンから一枚の用紙を出力して手渡してくる。

 

「ありがとうございます」

 

 ただ用紙を渡すだけ。それだけならばわざわざ職員室まで呼ぶ必要は無いはずで、合理的な相澤が職員室まで呼んだ以上はそれ以上の話があるに違いなかった。

 

「お前、そのヒーローは知っているか?」

 

 手渡された用紙に目を通すと、何故か他の指名が『〇〇事務所』という名義で送ってきているのに対して、その用紙に書かれている指名先はただ『ミルコ』と、恐らくヒーロー名だけが書かれていた。

 

「いえ、知らないです」

 

 そう正直に答えると、相澤は軽くため息をついてから呼人を睨む。

 

「お前、訓練するのは良いがヒーロー目指すなら今どういうヒーローがどういう場面で活動してるかぐらい調べておけ。参考にする必要も出てくるだろうしいざヒーローになったら独りでやっていくわけにはいかないんだ。情報収集もヒーローの仕事だ」

「はい。痛感しました」

 

 他の生徒に集われて教えられていた呼人の姿は相澤も見ていたので、実際にわからないことの不都合に気付いてはいるのだろうと相澤は考えていた。そのため、それ以上注意することはしない。

 

「……やっておけ。そしてそのヒーローは、正に『一人で活動するすべを心得ている』ヒーローだ」

 

 言葉足らずな説明に、呼人が眉をひそめると、相澤は改めて詳しい説明をする。

 

「ヒーローは基本的に事務所を構えたり相棒を持って活動する。だが中には、そのヒーロー『ミルコ』のように事務所も無く相棒も持たないヒーローもいる。彼女はその中でもトップクラスの成績を残している」

「だから俺の参考になる、ということですか?」

「……決めるのはお前だが、お前のひたすらに強さを求めるスタイルを考えればそうだ」

 

 これ以上は教えないから後は自分で考えろ。そう言いたげな相澤に礼を言って呼人は職員室を出る。

 

 教室に戻ると、障子に緑谷、葉隠、尾白ら、放課後にまで手伝ってくれているクラスメイトが待ってくれていた。流石に情報学の時間ほどの人数はいない、というか、説明するのにはそれほど人数が必要ないことがわかったので、相談してこのメンバーが残ってくれたのだ。

 

「あ、百竜くん!」

「おかえり百竜くん! なんで呼ばれてたの? 怒られた?」

 

 直球で尋ねてくる葉隠に呼人は首を振り、席についてから答える。

 

「ちゃんと自分でも情報収集はしておけって怒られた。後、あと一箇所指名が遅れてきたから見ておけって」

「指名? どこから来たの?」

 

 興味津々な様子の緑谷と葉隠が見えるように、机の上に用紙を置く。

 

「ミルコって、あのミルコ!?」

「私も知ってる! 凄い人でしょ!」

「……凄いな」

「彼女なら俺も師事したいよ」

 

 それぞれに驚きの声を上げる3人から、代わる代わるミルコのことについて教えられる。彼女(ミルコとは女性のヒーローらしい)はヒーローに珍しく事務所やサイドキックを一切持たずずっと1人で活動しているヒーローであり、それでもトップヒーローに名前を連ねる武闘派ということであった。

 

「相澤先生が、この人からは俺が学ぶべきことが多いって言ってた。1人でヒーローをやってるからだと言ってたが……」

 

 どういう意味だろうか、と首を傾げる呼人だが、それに関しては他の4人も首を傾げる。ミルコはたしかにトップヒーローだが、他のヒーローの活動方法と比べると異例と言ってもいいほどのものであり、学ぶにしては少し特殊過ぎるように感じる。

 

「ただ活動を見るためだけじゃない……ということは何か別の意味で学べるものがある。彼女独自のものと言えばまずは強さ。そして1人で活動しているということ。彼女のスタイルはヴィランの制圧が主だけどでも―――」

「緑谷落ち着け」

 

 いつものようにブツブツと思考を回し始めていた緑谷を障子は諌める。

 

「じゃあ百竜くん、ミルコの所に行くの?」

「そうだな。一応他のヒーローも調べるけど、先生の言ってることは気になるしミルコのところに行ってみたいと思ってる」

「彼女も格闘戦が得意だから、百竜の動きを見て指名したのかもしれないな」

 

 なんにせよ、ミルコの事も調べないと行けないな、と、やることの多さに辟易する呼人であった。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

  • 欲しい
  • 勝手にニヤつくからいらない
  • あまり興味がない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。