竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第3話 体力テスト1

 入学試験から数日後。呼人が日課のモンスター達とのトレーニングしていると、一通の封筒がポストに落とされる音が響いた。

 

 確認すると、雄英高校からの封筒だった。

 

「届いたか……」

 

 中に入っていたのは、用紙が2枚と、何かの機械。それを机の上に置いて上面のボタンを押すと映像が投影され、日本の世俗に疎い呼人でも見たことだけはあるオールマイトと呼ばれるヒーローの姿が映し出された。

 

『私が伝えに来た!』

 

 そう騒がしく言うのは、彼の有名な言葉、『私が来た!』をもじったものだろう。

 そう言い切ったオールマイトは、直後に改めて頭を下げる。

 

『と言っても、君は私の事を知らないだろうから自己紹介をしておこう。私はオールマイト。ナンバー1ヒーローと言われている者だ。君のことはジ・アドベンチャーから聞いている』

 

 そう言われて、アドベンチャーが以前、自分のことを雄英高校の人に教えていいかと尋ねてきた事があるが、それが彼のことだったのだとここで気づいた。

 

(有名なヒーローでも職員になるんだな。後進の育成が大変なのか?)

 

 そう考える呼人をおいて、オールマイトの話は進む。

 

『さて、なぜ私がこうしてメッセージを入れているかだが、それは私が来年から雄英の教師として務めるからだ。それじゃあ、ここからはまきで君の成績について説明しよう!』

 

 そうオールマイトが言って体を傾けると、後方にホワイトボードが見え、そこにいくつかのことが書かれていた。

 

『君の敵Pは76で、これだけでも十分合格ラインだが、私達はそれに加えて“救助活動”についても見ていた。ヒーローとして、どんなときでも人を助けるというのは大切なことだ。そのポイント、君は70ポイントで1位だ。合計146ポイント。どうどうの入試1位だ。文句なしの合格さ』

 

 その言葉を聞いて呼人は小さくガッツポーズをするが、オールマイトの言葉には続きがあった。

 

『さて、教師として、先達としてこんな事を言うのは恥ずかしいが、君には他の生徒を引っ張るだけの実力がある。勿論、まだまだ足りないこともあるだろう。だが、君のその力で、皆を引っ張ってくれると嬉しい』

 

 笑顔から真剣な顔になったオールマイトのその言葉に、呼人はつい頷いていた。

 

『では、雄英で待っているぞ! 君と話せるのも楽しみにしている!』

 

 その言葉を最後に、映像が消える。その投影機を、呼人は丁寧に机の中にしまった。もう一度見れるのかはわからないが。

 

 オールマイトにはああ言われたが、呼人がヒーローを目指しているのは、その方が個性を持っての生活で都合が良いだろうことと、社会的地位を築くことで障害を防ぐこと、また力の制御の訓練に当てられる時間を増やすなど、ヒーローとしての活動への意気込みよりは、実益面が大きい。神王寺、ヒーロー名《ジ・アドベンチャー》に望まれてもいる。後は個人的に、ヒーローという存在に興味があるというのもある。

 

 そのためそれほどの意気込みは無かったのだが、オールマイトに頼まれたことで、少しばかりしっかり見極めて取り組もうという気が起きていた。

 

 そのまま神王寺に合格した事を連絡するが、電話ではなく簡単なメールで済ます。彼も呼人の合格は確信していたし、どうせそのうち帰ってくるのだ。

 

『――――――』

「わかってるって、ちょっと待てよ」

 

 途中で訓練をストップされたラージャンが焦れて早くしろとせっつき始めた。あまり焦らすとまた怒って、というよりすねて大変なことになる。考えるのはもう少し後になりそうであった。

 

「今日は唐揚げ2000円分ご褒美に食べるか」 

 

 

******

 

 

 雄英高校入学式初日。呼人は初めて着る学生服というものに身を包む。

 

「ん、学ランよりは動きやすそうだけど動きにくいな。なんでこんなもの着るんだ?」

「お前みたいにいっつもスポーツウェアでいる人間の方が珍しいからな。ここはアフリカの僻地じゃなくて日本だぞ。所属を示したりある程度まとめるためには制服ってのは結構有効なんだよ」

「……あー、たしかに」

 

 そう言えばハンターたちにも、同じような一式をまとった人たちがいたな、と。アレも仲間意識と言われれば仲間意識である。

 

「うん、似合ってるじゃねえか」

「どうも」

 

 呼人の身長は165センチ。そうとうに鍛え込んではいるが、筋骨隆々というよりは細く引き締まったような体つきになっているので肥大した感じは感じられない。身長はこれからに期待といったところか。

 

「行ってくる」

「行ってらっしゃい」

 

 これからジ・アドベンチャーである神王寺は、しばらくこの辺りでヒーロー活動を行うらしい。拠点を構えているわけではないので扱いとして出向になるらしいが、もともと拠点を構えずに海外をうろうろしていたためいつものことであると言えた。

 ちなみに研究の方は一段落しており、正直そのへんの個性研究しているより呼人の個性の研究した方がわからないとはいえ楽しくはあるので、学校側と連携して呼人の様子を観察することになっている。呼人も神王寺ならばと納得していた。

 

 歩いて、電車に乗って学校までは20分ほど。

 

 教室の扉が異様に大きいが、呼人は気にせずに手をかける。個性の中には、呼人のように完全な人間形態を取るのが困難な“異形系”と言われる、通常の人間とは違う体躯を生むものがある。それらを持つ者にも配慮した、一種のバリアフリーの産物である。

 

 室内から話し声は聞こえないが、人間の鼻の内側で機能部分だけ変化させている呼人の鼻は、すでに10人以上の生徒が来ている事を示していた。

 

 扉を開けた呼人へと皆の視線が集まる。話し声が聞こえなかったのは、皆にらみ合い、もとい探り合いをしていたからだ。初対面の相手ばかりの中でいきなり仲良くなれる人間は少ない。

 それは呼人にも言えることで、視線を集めながらも呼人は一切気にせず、自分の席につくと本を開いた。

 

(食料が少ない時期の寒冷地みたいだ) 

 

 来ていないのはあと8人ほど。まだ時間まで40分ほどあり、真面目だなという印象を呼人は受ける。神王寺から聞いた話によると、学校というのはもっとフランクな、言ってみれば良い意味で緩い場所だと聞いていたのだ。

 実際は今日が初日であるというだけであるが。

 

『――――――』

『お前らが泳げるような規模かな。結構広いみたいだけど、流砂は少ないみたいだぞ』

『――――――』

 

 アフリカの自然の中の、サハラ砂漠という砂漠の写真を見ると、一緒に読んでいたジエンとダレン、ジアが少しばかり嬉しそうに泳げるなら泳いでみたいと伝えてきた。彼らは超巨大な体躯を持ち、巨大な砂漠の流砂の中を泳ぐようにして生活する龍であった。だが、この世界でそんなことが出来る場所はない。

 ちなみに以前能力の確認のために訪れたオーストラリアの砂漠では、3頭の姿になって思う存分転がったりしてみたが、泳ぐことは出来なかった。後で『謎の地震?』みたいなニュースが流れていて、神王寺と2人で肝を冷やしたのは秘密である。

 

 そんな事をしていると2つの匂いが近づいてくるのを感じ、続けて右肩を突かれながら声をかけられる。

 

「ねね、耳の無くなる人だよね」

 

 そちらを振り返ると、気配と匂いはそこにいるのに、何故か服だけが存在し人間の姿が無い。

 

「……試験の時の透明人間さん?」

「そうそう! 試験の時たすけてくれたよね」

「あー……そんなこともあったな」

 

 正直忘れていた。そんな呼人を気にせず透明人間は続ける。

 

「あのときはありがとう! 私ずっとお礼言いたくて」

「どういたしまして」

 

「あのとき敵の残ってるところに放り出してくれたっしょ? あれ助かった」

 

 そんな答えをしてると、もう一人の少女が話しかけてきた。

 

「ああ、もう一人の。流石に好き勝手連れ回して勝手なところに放り出すのは悪いと思ったからな」

 

 2人を救出しながらも意識は巨大な仮想敵に向かっていたので、どんな人を助けたかは覚えていなかった。ただ放り出す場所は選んだのは覚えている。

 

「あんた偉いね。私は耳郎響香。よろしく」

 

 そう言って差し出される手を呼人は一瞬何事かと見るが、モンスター達に『握手だ』『握手しろ』と急かされて、慌ててその手をとる。

 

「百竜呼人だ。よろしく」

「私は葉隠透だよ! よろしく!」

 

 そう言われて呼人が手を差し出すと、今度は向こうから手を取ってくれた。流石に見えない手と握手するのは困難なので、向こうからしてもらえて助かった。

 

 そのとき紫の団子頭をした少年から凄まじい敵意を向けられたが、理由がわからなかったために呼人は身構えながらも無視した。

 

「それ、何読んでんの?」

「ん、これ? アフリカの自然の写真とか説明とか書いてる本」

「アフリカ? 海外旅行するの?」

 

 個性というものが現れてからこちら、海外旅行といったものはかつてよりもその人気を落とした。それは単純な話で、海外なんかよりも個性の方がよっぽど刺激的で、ヒーローの活躍を見たりしていたほうが目新しいものが見れるからだ。後はヒーローという職業が人気になったことで、海外への憧れというのが弱まったのも理由に上げられる。

 

「なんか大自然って良いよな、って思って」

 

 呼人が知っているのは、モンスター達に教えられた、この世界のそれよりも遥かに雄大でエネルギーに満ちた大自然だが、とはいえこの世界で体感出来るのはこの世界の大自然だけだ。今でも時々楽しむのが主な理由でモンスター達から彼らの記憶に眠る大自然を見せてもらったりしているものの、自分の目で見てみたいという思いもある。

 

「ふーん、アフリカってどんなのがあったっけ」

「そうだな……」

 

 耳郎と葉隠は、その後も呼人にいろいろな話を振ってきたので、呼人も少しずつだが話すのに慣れて答えていった。

 

 そうこうしているとやがて教室の入口が騒がしくなり、生徒ではない見た目の男が教室に入ってくる。けして悪い意味ではない。

 

「静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君らは合理性にかくね」

 

(気配が薄いな。ナルガみたいなタイプか?)

 

 その男からは僅かな匂いはするが少しばかりモンスターに寄せているはずの呼人でも気配に気づくことが出来なかった。そのことから、《闇夜の狩人》と呼ばれた、奇襲を得意としたモンスターを思い浮かべる。

 

 男は自分が担任であり、相澤消太という名前であることを名乗った後、布袋のような塊からジャージらしきものを取り出した。

 

「早速だがこれ来てグラウンドに出ろ」

 

 

******

 

 

(自前のより伸びねえな。これ破れねえか?)

 

 周りが唖然としている間に着替えてグラウンドに出た呼人だが、懸念事項はジャージの性能である。呼人が普段使っているものは、見た目はただのジャージだが神王寺の研究のためという建前で耐久性、伸縮性ともに相当高いものを用意してもらっている。それと比べて学校指定のジャージの耐久力が物足りなく感じるのだ。

 

 一番に外に出てきたとあってグラウンドは教師の男しかいない。

 少しすると皆外に出てきた。

 

「個性の把握テストをやる」

 

「個性の把握テスト!?」

「入学式とかガイダンスは?」

 

 教師の言葉に皆が驚きの声を上げる中、教師は特に笑うでも真剣になるでもなく軽く言い切る。

 

「雄英は自由が校風。それは“こっち”も然り。ヒーローになるならそんな非合理的な行事やってる時間はないよ」

 

(あ、入学式ってやっぱり非合理的だったんだ)

 

 周りが唖然とする中で呼人の感想はこれだった。正直制服の理屈は理解は出来たのだが入学式という行事の理屈が理解できなかったのだ。

 

「中学の頃からやってるだろ? ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、握力、持久走、反復横跳び、長座体前屈、上体起こし」

 

 それに皆が疑問の表情を浮かべると、教師の男は呼人を呼んだ。

 

「とりあえず見せたほうが早い。入試一位は……百竜、前に出てこい」

「はい」

 

 とりあえず呼ばれた呼人は前へと出るが、入試一位と聞いた瞬間、周囲から敵意にも似た視線が向けられる。呼人からすればそよ風のようなものであるが。

 前に出た呼人の手に、相澤から少し機械の匂いのするボールが投げ渡される。

 

「ボール?」

「ソフトボール投げだ。今からやるのは体力テスト。ただし、個性の使用は自由だ」

 

 ―――個性の使用は自由。

 

 相澤の言葉に、他の生徒がざわめき始める。

 

 現在は、街中での個性の無断使用は禁止されていた。中学時代のテストも、『差を産まないため』などといった理由で個性の使用は当然禁止。

 

 全くもって非合理的だ。

 

「中学の体力テストは個性使用“禁止”。全くもって非合理的だ。ヒーロー目指すなら個性は使いこなしてなんぼ。……百竜、やってみろ。ちなみに、中学時代の記録は?」

 

 本当に非合理的なことが嫌いらしく、端的に必要なことだけを説明すると呼人の方へと目を向ける。

 ここで変な事を言うほど呼人も空気が読めないわけではないのだが、ここは空気を読まなざるをえない。

 

「……外国にいたので記録はとってません」

「……そうか。まあ中学男子で高ければ60~70ぐらいはいく。それを踏まえて……百竜、個性を使って投げてみろ。全……はよ」

 

 それに相澤は微妙そうな表情をするが、すぐに続けて指示を出す。『全力で』とは相澤は言わなかった。言いかけてやめたのかもしれないが、それなら呼人も適度に投げることが出来る。

 

 指示を受けた呼人は円の中に入ると、両手両足、そして力を受け取る各部の関節や内部を変化させ始める。

 

(人の形からはみ出さないように細かく……)

 

その手と、僅かに覗く足の変化に他の生徒も気づき始めた。形はほとんど変わっていないものの、明らかに色味が人の肌ではない。

 

「手足が、変化しているのか……!」

「なんだあの個性!?」

 

 チャラ男と鳥頭―――常闇と上鳴がその変化する四肢に思わず声を上げ、それを皮切りに他のメンバーもそこを見始める。その変化は口にまで及んでいるのだが、呼人が顔を下げているのでそこに気づくことの出来るものはいなかった。

 

 もとあった肌を包むように、あるいは順々に置き換わるように変化していく四肢。やがて変化の終わった呼人は、力を思い切りためてボールを放った。

 

『―――――――』

『―――――――』

『喧嘩するなお前ら』

 

 放たれたボールは、到底人間の手から放たれたとは思えない勢いで風を切り、見えなくなる。その行く先を目視で捕らえていたのは、目を変化させた呼人だけだった。

 

(ラージャンの力じゃあ飛びすぎるし風を使うのは目立つ。オドガロンの筋肉はやはり丁度良いな)

 

 一分もしない後に相澤が持っていた機械が飛距離を知らせる。

 

「998.3mだ。―――というわけで、まずは自分の最大限を知れ」

 

 そう言った相澤は生徒の一人に計測器を渡すと、少し離れたところまで呼人を引きずっていく。

 

 と。離れていく2人の後ろで、他の生徒のはしゃぐ声が響いた。

 

「個性使っていいって、すげえおもしれえな!」

「ほぼ1キロ……個性を使ってもそんなに飛ぶかどうか」

「個性使用自由って良いね! さすがヒーロー科だよ!」

 

 相澤が離れたことで縛りが外れたかのようにはしゃぐクラスメイト。それに相澤の足が止まった。

 

(あ、この人苛ついてるよこれ。合理的でもイラつきはするんだな)

 

 これまで経験してこなかった個性の『自由使用』に浮かれるのはわかる。だが、この教師の前では、何より個性を『武器』として活動するヒーロー科では、まずい。

 

「面白い、か。ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのか?―――――なら、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」

 

 沈黙。直後に爆発。相澤の言葉に叫ぶもの、唖然とするもの。ただ誰ひとりとしてそれを納得していないのが見て取れた。

 なにせ、雄英高校はヒーロー科を持つ高校の中でも最難関と言われる。

 その圧倒的倍率を勝ち抜き、入学初日に除籍処分。

 驚愕しなければ嘘というものだ。中には、自分は除籍にはならないと冷静なものもいるが。

 

「生徒の進退は教師の自由。それが雄英高校ヒーロー科だ。わかったら早くやれ」

 

 そう言いはなった相澤は、改めて呼人を連れて少し離れたところへとやってきた。

 

 




モンハンのモンスターですが、亜種や特殊個体、二つ名などの、原種との別人格化に関しては完全に私の裁量とさせていただきます。理由は、モンハンの原種以外のモンスターは、発生理由がそれぞれ完全に異なるからです。
種によっては原種とは別の環境に適応するために進化した。種によっては、突然変異で一代限りで出現した。種によっては、極限定的な一時期の形態を亜種として分類した、など、正直区別が出来ません。なので、そのあたりは明示せず、私が勝手にやらせていただきます。

また、モンスターの能力を使う場面や登場させる場面、モンスターを擬人化した人格についてリクエストなどある方は、活動報告(リクエスト用のものを用意します)のコメントか個人メールでお願いします。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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