竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第33話 職場体験・6

「ミルコ! メッセージの座標に向かってください! 恐らくヒーロー殺しが!」

「おう! 行くぜ、ついてこいノーマン!」

 

 叫ぶままに跳び上がるミルコを、個性を発動した呼人も地上をかけながらおいかける。地を蹴り、壁を蹴り、その速度は先程までのそれとは比べ物にならず、上を行くミルコの速度になんとかくらいついていた。

 

(速いなほんとに! 兎ってあんなか!?)

 

 凄まじい速度で跳躍を繰り返していたミルコは現着した勢いのまま、空中に放り出された緑色のスーツを纏った少年をキャッチ、いな、かっさらって着地する。

 

 同時、剥き出しの脳みそを穿たれた脳無もどきが地面へと堕ち、その隣に一人の男が着地する。全体的に赤い服装にごついブーツ、剥き出しの腕とそこに巻かれた包帯。

 

「ヒーロー殺し……!」

 

 思わず呟いた呼人の声が聞こえたわけではないだろうが、脳無もどきの頭からナイフを引き抜いた男はその体勢のまま呟く。声を張ったわけでも、誰に話しかけたわけでもない。ただ、ポツリともらした、あるいは妄執としか思えないような言葉。

 

 それはその音以上にその場に響き、そこにいた全ての人間の心胆を寒からしめていた。

 

「偽物の蔓延る世界も……いたずらに“力”を振るう愚か者も……粛清されなければならん。全ては―――正しき世界の為に」

 

 その言葉の間にミルコはキャッチした少年、緑谷を他のヒーローのところに運ぼうとしていたが、その足すらが、男の、ヒーロー殺しの言葉によって止まっていた。

 

 直後呼人やミルコとは反対側の路地から跳び出してきた男、エンデヴァーを見て、ヒーロー殺しが前傾していた体を起こし、ゆらりと振り返る。その動きはとても力など感じられない今にも倒れそうなもので。けれどその動きに、有力なプロヒーローたちを含めた全員が呑まれていた。

 

「お前は……偽物だ……!」

 

 踏み出した男の足に、ヒーロー達が一歩後ずさる。好戦的なミルコですら、耳を力なく倒して緑谷を抱えたまま後ずさっていた。

 

「正さねば……血を流し、“英雄”を取り戻さねば……! かかってこい、紛い物ども……」

 

 ―――俺を殺せるのは、本物の英雄だけだ!!

 

 男の放つ気迫、あるいは圧のような何かに押されるように、轟や飯田、その場にいたプロヒーローの数名が後ろへと倒れ込む。まるで男の言葉に、物理的な圧力があったかのように。

 

 直後、近くの家屋を突き破ってまた別の脳無もどきが飛び出してきたが、ヒーロー殺しの気迫に押されたヒーロー達は反応できない。そのまま近くにいたミルコと緑谷に飛びかからんとする脳無もどきを、その後ろから飛び出した別のヒーローが地面へと叩きつけた。

 

 足のエンジンを吹かし、既に傷ついていた脳無もどきを戦闘不能にする。やがてその脳無もどきを追っていた2人のヒーローも追いついてくる。

 

「むー! インゲニウム速すぎ!」

「ヴィランは……止まったようですね」

 

 波動を利用して建物の上を飛んできたねじれと、路地で個性を使うと被害を拡大させてしまうために彼女に運んでもらったリューキュウが上空から降下してくる。

 2人とインゲニウムは、エンデヴァーが戦っていた場所やミルコが戦っていた場所とはまた別の場所で脳無もどきと戦っていたのだ。

 

「お前、インゲニウムか?」

 

 そうして脳無もどきを警察が来るまでの仮ではあるが拘束するインゲニウムに、ミルコが思わずといったように尋ねる。

 

「い、インゲニウム!? でも、ヒーロー殺しに、え!?」

 

 そして茫然自失から復帰した緑谷も、有名なヒーローの1人であり友人の兄であり、そしてヒーロー殺しの被害にあったと聞いていた彼の元気な姿に信じられないと目を見開く。

 

「久しぶりだなミルコ。そっちは……ヒーロー殺し!」

 

 ミルコの言葉に途中まで答えようとしたインゲニウムは、その向こうに立っている男の姿を捉えて少年を抱えるミルコの前に飛び出す。かつての恐怖に冷や汗が背を伝うが、インゲニウムが逃げることはない。

 しかし、インゲニウムの予想と違って男が攻撃をしかけてくることは無く、どころか顔を向けることすらない。

 

「何故動かない……? リューキュウ、少年の保護を頼む」

「わかりました。ミルコこっちに。ねじれ、インゲニウムの援護をお願い」

「う、うん!」

 

 後から来てヒーロー殺しの状態がわかっていないヒーロー達が身構える中、最初から見ていたヒーローの1人、グラントリノが思わずと言ったように呟く。

 

「気絶しとる、のか……?」

 

 グラントリノの言葉に、止まっていたヒーロー達の時が動き出す。ヒーロー殺しはそのとき、たしかに重すぎる負傷によって気絶していた。

 

 にも関わらず、直前の脳無もどきの襲撃に唯一人反応したのが彼で。彼の持つ異常とも言える執念を、その場にいたヒーロー達は体感していた。

 

 

******

 

 

「また随分とやられたな」

 

 警察が到着するまで仮拘束した2体の脳無もどきとヒーロー殺しを見張ることになったため、呼人はミルコに許可を取ってその場にいた職場体験性である轟、緑谷、飯田と合流して話していた。それぞれの受け入れ先のヒーローもこの場に残っているため、3人は後詰めのヒーローか警察が来るまで病院に行くことが出来ないのだ。

 

「百竜くん!」

「百竜君も保須に来ていたのか」

「ミルコに連れられてな。3人とも消毒するから傷を見せてくれ」

 

 2人の質問に答えながら、呼人は腰のアイテムポーチから消毒液とガーゼを取り出す。

 

「そんなの持ち歩いてるのか」

「怪我は応急処置が大事だからな。あんまでかすぎる傷は処置できないが……」

 

 そう答えてから3人にそれぞれ怪我した部分を聞き、消毒液とガーゼで最低限の処置をしていく。本当は傷を縫うための針と糸もポーチには入っていたりするのだが、人を治療するための免許は持っていないため緊急の場合か自分のときにしか使わないことにしていた。

 

「随分手慣れてんな」

「昔から生傷が耐えなかったからな。治療が大事だってのは身に沁みてる」

 

 授業でも応急処置の知識などを扱ったとはいえ、まだ実践するような機会もそういう演習も行っていない。その中での呼人の手際の良さはなかなかのものだった。傷を処置せず放置していた呼人が人間の脆さをモンスターや神王寺から教えられ、1つずつ処置する事を覚えて一つ一つ丁寧に処置した結果の技術である。

 

「緑谷、靴……いや、脱がなくていい。上から消毒液ぶっかけとく」

「え、でも」

「脱がした衝撃で傷が広がる可能性がある。一応落ち着いてるみたいだし病院行くまでそのままにしとこう」

「う、うん」

 

 応急処置に集中している呼人は当然無口なのだが、3人も殆ど話さない。話したいことはあるのだが、さらされた殺気が、そしてヒーロー殺しの執念が3人の心に重くのしかかっていた。特に飯田は、別の事情もあってほとんど話さない。

 

「よし。とりあえず消毒と応急処置は終わりだ」

「ありがとう百竜君」

「君には世話になるな」

「……ありがとう」

「自前でも出来るぐらいの道具は持ち歩いておけよ」

 

 治療を終えた後3人と話していた所で警察や搬送用の車が到着し、3人を含めた大きな怪我をしたヒーローとヴィランが搬送されていった。

 

「あいつらがヒーロー殺しを、か」

 

 3人がいる間は話を聞くのに集中していたが、いざ3人が去ると話の内容に驚きが深まる。が、今は考えるのはとっておくことにする。全く負傷していない呼人や軽度の負傷のミルコはまだしなければならないことがある。

 

「ノーマン行くぞ」

「了解です」

 

 呼人を呼ぶミルコの声にも、いつもの威勢の良さがない。動物の感性も併せ持つ彼女は、普通の人間以上にヒーロー殺しの狂気の影響を大きく受けていた。

 

「顔色あんま良くないですよ」

「ビビるのは帰ってからだ。今夜は夜通しパトロールするぞ」

「アイサー」

 

 だがメンタルに大きな影響を受けた程度で活動を停止出来る仕事ではないのがヒーローの辛いところだ。

 

 リューキュウ事務所は夜になるのに合わせて事務所のある街へと撤退していき、他に保須市に来ていた有力なヒーローであるエンデヴァーも職場体験生である轟の負傷の関係もあってか保須市から撤退していった。

 

 結果現在保須市で活動可能なヒーローの数は昼間のそれよりは遥かに少なくなっている。保須市に拠点を置くヒーローの多くが脳無もどきとの戦闘において大きな負傷を負ってしまい、活動の継続が困難になってしまったのだ。

 インゲニウムの電撃復帰によってインゲニウム事務所は戦力を取り戻したものの、それで他の事務所の分まで補えるほど保須市は狭くはない。

 

 結果、足りない穴を埋めるためにミルコと呼人は翌日の明け方までパトロールを行うことを余儀なくされた。そして運が悪いことに、ヒーローの頭数が減り復興が完全には終わってない街の状況を好機と見てか、小物ばかりだが複数のヴィランが事件を起こしたためにその逮捕、引き渡しなどの手続きに時間がかかってしまい、結局リューキュウ事務所に帰り着いたのは翌日の昼過ぎになってからだった。

 

 

******

 

 

「ミルコさんいい加減離してください」

「ミルコさんは可愛いのも結構好きなんだぜ~」

 

 呼人の文句も暖簾に腕押し。小さな姿に変身した自分を抱きしめて二度寝を敢行しようとするミルコの顔に、呼人は猫パンチを加えていた。

 ありきたりではあるが言わせてもらいたい。

 

「どうしてこうなった」

 

 

 

 ――――時間は9時間ほど前に遡る。長時間のパトロールを行っていたミルコと呼人は、翌日の昼過ぎになってようやく仮拠点であるリューキュウ事務所に戻ってくることが出来た。そこでいつもどおりのランニング、は日が高く街中であるので諦めてトレーニングだけして眠ろうとしていた呼人が、いつもより少しばかり元気のないミルコを見たことに起因する。

 

 プロヒーローでありたくさんのヴィランを見てきた彼女は、当然凶悪なヴィランと対峙したことが何度もある。だが今日のヴィラン、ヒーロー殺しは、そうしたヴィランたちとも違う、彼女の初めて見るタイプの敵だった。

 

 “思想犯の目は静かに燃えるもの”とは平和の象徴たるオールマイトの言葉だが、ヒーロー殺しの目の炎は、ちらりと見ただけではわからないほど静かなものでも、一度触れれば全てを焼き尽くすまで止まらない、そんな類の何かで。今どき個性を持て余して好き勝手に暴れたがるヴィランや自分の利益の為に個性を悪用するヴィランはたくさんいれど、そういう類のヴィランは稀なのだ。

 

「ミルコさん、なんか元気ないですね」

「あ? 私はいつでも元気だぜ」

 

 間髪入れずに呼人の質問に答えるミルコは、たしかに報告書作成も手際よく終わらせているし体調も悪く無さそうだが、モンスター達の勘で精神的に疲弊しているのがわかっていた。

 

『――――――』

『可愛いもん見たら元気になる? そういうもんか?』

『――――――』

『――――――』

『わかったわかった。やってみる』

 

 

 モンスターたちの中でも特に幼い人格を持つ3体から勧められるままに、呼人はミルコに元気になってもらおうと頑張ってみることに決める。

 

「ミルコさん、可愛いの好きですか?」

「あん? そりゃ好きだぜ」

 

 前提の確認をした呼人は、3人に勧められるままに彼らの世界のとある生物に変化する。

 

 この生物は不思議なことに人格を持って呼人の中にいる他のモンスター達とは違って何故か生きていた当時の姿をしており、また個体も複数いるのだが、もともと人間と共生していた種であるためかモンスター達や呼人との意思疎通も少しばかり勝手が違うものの問題なく行えている。

 その明るい声や暖かなイメージなどから皆に愛されているのだが、何より愛らしいのはその見た目であり、特に女性の人格を持つモンスター達や幼い人格を持つ子達によく構われて困っているのを呼人も何度も目にしていた。

 

 その生物、名を“アイルー”という、二足歩行の可愛らしい見た目をした猫である。ちなみに成体の大きさはちょっとビビるぐらいには大きいので、あえて成長過程の姿に変身した。

 

「お……?」

 

 突然猫に変身した呼人にミルコはきょとんと目を見開く。そして呼人が、アイルー達の行動を真似して軽く鳴いてみた直後、彼はミルコに抱えられていた。

 

「おー、猫じゃねえか! お前ヒャクリューか?」

 

 コクリと頷く呼人の頭をわしゃわしゃと撫でた後、PCを閉じたミルコはそのまま寝袋の上に飛び込む。ちなみにこの段階で嫌な気配がした呼人は逃げ出そうとしたのだが、呼人の行動に気付いた他の、大人の女性の人格を持つモンスター達総出で体をアイルーに明け渡すように怒られ、アイルーのうち一匹に体の主導権を明け渡してしまったのだ。

 

 本来呼人の体は呼人のものであり、呼人が許可しない限り呼人の中に住むモンスター達が表に出てくることはない。わけではない。

 実は、モンスター達も自由に表に出てくることが出来る。ただ、主導権争いをしたときに呼人の方が表に出る力が強いのだ。そしてなるべくモンスター達が勝手に飛び出さないように、特に協力的なモンスター達が外に出ようとするモンスター達に自分たちの外に出ようとする力をぶつけて相殺してくれているのである。これによって封印されている状態にあるモンスターもおり、実は呼人自体はかなり不安定な状態にあるのだ。そして特にこれは、10人以上に同時に負荷をかけられると突破されてしまうぐらいのでものでしかなく、この時も圧をかけられたので突破される前に大人しく明け渡したのだ。

 

『なんでアイリに任せるんだよ。別に俺でもいいだろ』

『――――――』

『――――――』

『――――――』

 

 アイリとは呼人の中にいるアイルーの中でも特に可愛らしい、ちょっと照れ屋な雌の個体である。

 

 モンスター達が口々に言うところによると、どうやら呼人がラッキースケベとやらを起こす可能性があったために無理やり雌であるアイリと交代させたらしい。

 つまり、ミルコに抱きかかえられるのが呼人であってはまずいということだ。そんな事を言われても今もなお呼人の感覚は体とつながっている為に柔らかいなにかの感覚なんかは普通に伝わっているのだが、それは不可抗力だそうだ。それ以上そのことについて言及すると、『じゃあ体の感覚がわからなくなるように私達と戦う?』なんて言われそうだったので遠慮した。こういうときの女性の人格を持つモンスター達は容赦がないのはよく知っている。

 

『――――――』

『まあ寝るのをアイリが立て替えてくれるならそれはそれで良いけど。じゃあ俺はその間組手でもしてくる』

 

 体が起きている間でなければ、モンスター達の住んでいる空間でも呼人が個性を使ってその使い方の訓練を行うことは出来ない。体が目覚めて瞑想しているときなどは出来るにも関わらず、である。その事を以前神王寺に相談した所、『モンスター達の心は呼人の心に住んでいて、体は肉体に宿っているんじゃないか』と言われた。詳しいことはわからないので呼人もそう思うことにしているが、つまり現在の呼人はこの空間においてもただの人間としての自分の能力しか出すことが出来ないのだ。

 

 そうして呼人は、勝手に体に戻らない事の監視として最初に呼人をそそのかした3体と一等怖い鬼嫁さんに見張られながら、眠りについている間中モンスター達とトレーニングをすることになった。いつもの力が発揮できないということでハンター達と同じ条件で戦うことになった呼人にテンションを上げたモンスター達に何度か殺されたのはご愛嬌と言ったところか。人型であればモンスターの状態であれ、彼らが容赦ないのはいつものことだ。

 

 

 

 そして、今の状態に至る。流石に解放してもらいたく、強気に行動できないアイリではミルコの拘束から抜け出せないので呼人が入れ替わったのだが、ミルコはアイルーが話していることなんてお構いなしにとっつかまえたままであり、その状態でもう30分近くが経過している。

 

「俺も一応男なんですけど。胸が当たってます」

「猫は雄でも可愛いんだぞ~」

「離さないと人間に戻りますよ」

「んー、許さん!」

 

 普通であれば人間に戻って拘束を解くところなのだが、昨日のミルコの状態に覚えがあるために呼人も強気に出ることが出来ない。ステインのように思想犯というわけではないが、彼も狂気とも言えるほどの感情にさらされ精神を大きく疲弊させたことがあるのだ。相手はモンスターのうちの一体だったが。そのときは半年ほど本体である呼人が表に出ることが出来ず、モンスターの中でも温厚な者達が表に出て神王寺にモンスター達の世界のことについて教えたりしていたのをあとから聞いた。

 

 そのときの自分ほどミルコの心が弱かったとは思っていないが、その状態を知るだけに呼人は精神を参らせている相手には強く出づらいのだ。以前体育祭の後の対戦相手のケアに気をかけたのも、これが理由である。

 

 そうこうしているうちに、2人がまだ部屋にいる様子だとサイドキックの1人から聞いたリューキュウとねじれが仮眠室に入ってきた。リューキュウの方は今日の勤務は終わりだが、ねじれはこれから夜のパトロールに出なければならない。その前に少し顔を出した、というところなのだが。

 

「ミルコ、あなた……百竜君はいないのね」

「あれれ? 呼人君はどこに行ったの? 外には出てない、って言ってたよ? あっ!」

 

 室内を見渡したねじれが、ミルコが抱えている毛の生えた物体に気付いて駆け寄る。

 

「なんで猫が事務所にいるの? 拾ってきたの? 不思議! でも可愛いね!」

「おう! 良いだろ!」

 

 ねじれとミルコの言葉に、リューキュウも近づいてきて上体を起こしたミルコが脇を持って持ち上げた猫っぽい何かを見る。

 

「ミルコ、言われなくても普通猫なんて持ち込まないでよ。それに、何? その……なんかおかしくない?」

「そうか?」

「足の形が―――」

 

 ねじれとリューキュウの方へ向けていたアイルーの体を自分の方に向けようとミルコが持ち替えようとした瞬間、その猫っぽい生物はミルコの拘束から逃れて距離を取った。

 そして、その姿を人間のものへと変える。

 

「助かった……」

 

 モンスターの姿になっているとき、どこまで変化させるかにもよるが、基本的に身体構造やその耐久性はそのモンスターのものとなる。つまりアイルーになっている間はその耐久力はアイルーのものであって、ミルコに抱きしめられると結構きつい。

 

 もう人間に戻ったために痛みがあるわけではないのだが癖とまだ残る感覚に首筋を擦る呼人に、リューキュウとねじれが目をまんまるにする。

 

「え、えー!? 呼人君猫にもなれたの!? あの気持ち悪いのじゃないの!? 不思議!! ねえなんでなんで!?」

「百竜君、あなた……」

「ミルコが精神的に参っていたようなので、もふもふしてたら元気になるかなと思って変身してました。俺の個性は『モンスターになる』っていうものなので、なれるのが一種類じゃないんです」

 

 そう簡単に説明すると、ねじれが目を輝かせながら近寄ってくる。

 

「ねえねえ! 私もさっきの猫ちゃんみたいの! だめ?」

「ミルコは精神的に参ってる感じだったので気になっただけですよ」

「なんで? なんでミルコはよくて私は駄目なの? 私ももふもふしたい!」

 

 断っても凹むでもなく、ただただ目を輝かせて迫ってくるねじれに折れた呼人は、『5分までですよ』と言いおいてアイリを呼び出し、アイルーに変身する。

 

 直後にねじれに頭を撫でられて抱えあげられるアイリ。彼女は恥ずかしさなどは無いものの人に体中を触られるのはあまり好きではない呼人とは違ってそういう風に扱われるのになれているため、彼女なりに可愛がられている。

 

 アイルーとは、猫のような見た目をしていながら、ただ人に面倒を見られる猫とは違い、人と共に生き、時に助け助けられる仲間ではあるが、同時にその可愛らしい見た目から、やはりマスコット的な扱いをよく受ける存在なのであった。

 

 この後、なんとリューキュウからも頭を撫でられた呼人が、事務所にいる間は定期的にアイリに入れ替わることを要求されたのは言うまでもない。モンスター達の言う通り、女性は可愛いものが好きなのだと納得した呼人であった。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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