竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第37話 期末試験直前

 時は流れて6月の最終週。期末テストが残り1週間まで迫っていた。

 

「勉強全くしてなーい!」

「俺もやべーわそろそろ」

 

 午前最後の授業で期末テストが迫っている事を相澤に告げられ、昼休みに入った途端に叫んだのは芦戸である。それに同意したのが瀬呂だ。上鳴と並んでクラスの2大バカに名を連ねる彼女は、このテスト一週間前まで楽しい楽しい学生生活を謳歌していた。つまり、全く勉強していない。そして瀬呂もその2人には及ばないまでも成績下位者であり、これまた勉強をほとんどしてないのである。

 

「演習試験もあるんだぜ? タイヘンだなー」

「なんで峰田が頭良いの! 絶対おかしいよ!」

 

 棒読みで言うのは峰田である。普段から変態的な発言ばかりで完全にあほなキャラが定着している彼だが、存外勉強的な頭は悪くないのだ。彼にとっては演習だけが心配事項で、勉強の方は大した心配事ではないのだ。

 

「ふ、2人とも、頑張ろうよ! みんなで林間合宿行こう!」

「授業普通に受けてりゃ赤点は無いだろ」

「轟言い方!」

 

 轟の至極当然と言いたげな発言にダメージを受けた2人は頭を抱える。轟のたちが悪いのは、これを嫌味でもなんでも無く素で言っているところである。そこに、緑谷、轟と一緒にいた飯田が助け舟を出す。

 

「ふむ、しかし学力的に不安ならばどうにかしないといけないな。しかし俺は人に教えられるほど出来るわけではない」

 

 どうしたものか、と頭を悩ませる飯田に芦戸が、助けてください飯田様~、とすがりついているとそこに救世主がやってきた。

 

「あの、座学なら力をお貸し出来るかもしれません。演習の方は全然駄目ですけど……」

 

 何やら最後に余計な自虐をしては1人で凹んでいる八百万だ。彼女はクラスでもトップの頭脳を持ち、個性に活用するための知識だけでなく高校の勉強に関しても秀でている。中間テストでも飯田や呼人を抑えてクラストップの成績を獲得していた。そんな彼女が力を貸してくれるとなれば、これほど心強いことはない。

 飯田もそう判断したようで、彼女に確認を取る。

 

「む、八百万くん、それはありがたいな。お願いできるか?」

「はい、大丈夫ですわ。人にお教えするのは自分の勉強にもなると言いますし」

「ヤオモモありがとー!」

「ありがとな。ヤオモモ。俺古文が結構やばくて」

 

 2人の感謝の言葉にお任せくださいと答える八百万に、話を聞いていた他の者も近寄ってくる。

 

「ヤオモモ、2人じゃないけどうちも教えてもらっていい? 2次関数ちょっとわかんないとこがあって……」

「まあ耳郎さん。はい、大丈夫ですよ! 他にも困ってる方がいれば……」

 

 上鳴が手を合わせ、尾白が手を挙げる。

 

「ヤオモモ俺もお願い!」

「俺もよろしくお願いします」

「っ! お任せください! 力になって見せますわ!」

 

 プリプリと頬を上気させて意気込む八百万に、彼女に教えてもらう全員がバンザーイと喜ぶ。

 

 上鳴と尾白はこれまで呼人や障子に勉強を見てもらっていたのだが、とある事情で一週間前になったので八百万に教えてもらうことにしたのだ。その事情は、芦戸が悲鳴を上げている時に尾白が呼人に尋ねたことにあった。

 

「百竜、テスト前一週間になったけど訓練は続けるのか?」

「続けるつもりだけど、何かあるのか?」

 

 そう答えると、尾白は少し気まずげな表情をする。

 

「いや、俺ももうちょい勉強したいから、訓練には参加出来ないからね。それを言っておこうと思って」

「む、そうか。それなら上鳴も……」

「呼んだー?」

 

 自分の名前を聞いてやってきた上鳴に、尾白が事情を説明する。

 

「えー百竜まだ訓練するの!? 俺今週は結構教えてもらえるかなって思ってたのに……」

「体を動かすのはなるべく欠かしたくないからな。今まで通りに訓練の後になら教えられるけど」

「うー、まだぜんぜん大丈夫な気がしないんだけど……! どうすんの尾白!」

 

 お前もこっち側だろー! と詰め寄る上鳴に、尾白は若干引きながらも笑って答える。

 

「自分で頑張るしか無いね」

「うおー!」

「なら2人も、あっちに参加させてもらったらどうだ?」

 

 そう言って障子が指す先では、正に八百万が、困っている人がいるなら全員教えることが出来ると宣言していた。

 

 

******

 

 

 そして放課後。運動場に向かう前に2人は相澤のところへと来ていた。以前上鳴が参加していなかった際に彼の名を訓練の参加者の欄に書いた際には、『用事などで来れないものを念の為に加えておくのは問題無い』と言われていたが、その際は3人いる前提、つまり誰かが怪我をしても救助と報告に分かれることが出来る状況だったので教師無しでの訓練を許可されていた。だが2人外れるとなると危機管理の仕方が変わる可能性があるのだ。

 

 だが、その報告を聞いた相澤は特に問題ないと頷く。

 

「そのまま実施して良いんですか?」

「お前らなら無理に危ないことはしないだろ。訓練の内容も立体的な移動の練習だけ。レースなどをするなら話は別だがな」

 

 その相澤の問いかけに呼人達は首を振る。使用内容として提出したのには立体的移動の練習とだけ書いているため、レースをするとなると正式にはまた別の書類を出さなければならない。勝手にやってもばれないのだが、それを忠告する相澤の言葉だ。

 

「レースをする予定は無いです」

「なら問題ない。それに、お前らがそのまま訓練をしようとしているなら俺から止めようかと思っていた。お前らはともかく上鳴は学力が心配だ」

「なるほど。了解です」

 

 相澤に礼を言って職員室を出ると、ちょうど上鳴が向こうから歩いてきた。

 

「ん、あれ、百竜と障子も呼び出し?」

「いや、運動場の使用人員が減るから報告しに来ていた」

「あーそういうことね。悪いな抜けて」

 

 いや問題ない、学習も大事だと障子が答えている一方で、呼人は上鳴が数枚の用紙を持っているのに気付いた。

 

「上鳴は何の用事だ?」

「あ、俺はこれ。サポートアイテム完成したんだけどさ、相澤先生にちゃんと報告しろって注意されたんだよ」

「む、ついに完成したのか」

 

 上鳴の話の内容に障子も少し目を輝かせる。上鳴がサポートアイテムをサポート科に開発してもらっているという話は3人も聞いており、訓練の片手間ではあるがその性能の実験に手を貸していたのだ。

 そして4人で意見を出し合い、数回の改良を加えてようやく完成させたのである。もともと上鳴の要望は最初の段階で叶えられていたのだが、他の全く違うスタイル、考え方を持つ3人が意見を出したために完成が遅くなった面もあるが、その分様々な局面で使えるものになったので上鳴も満足している。その分使いこなすのが困難になって後で相澤に色々と注意されることになるのだが、上鳴はまだそれを知らない。

 

「おう。そしたら相澤先生も話聞いてたみたいで、性能をまとめて提出しろってさ」

「なるほど。結局先生には筒抜けだったんだな」

「……良く見ている人だ」

「だよな。じゃあ俺は先生のとこ行ってくるわ」

 

 職員室前で上鳴と別れた2人は、運動場へと移動していつもどおりの訓練をこなした。最近はただ屋根やパイプの上を移動する練習だけでなく、特定の場所までの移動方法を考えたり、一方をある場所からある場所まで運ぶなどといった訓練内容を取り入れている。

 

 それらが終わって着替えている所で、障子が話を切り出した。この2人だと互いに話を切り出すタイプではないため、訓練の内容の話ばかりで雑談はほとんど無かった。普段なら上鳴が何かしら言い出して尾白がそれに答え、他の2人も混ざったりするのだ。

 

「……レースも、そのうちしてみたいものだ」

 

 障子の言葉に、呼人は相澤が言っていたことを思い出す。そうなのだ、レースで課題を見つけたために今はこうして移動の練習をしているが、習熟してきたらもう一度レースをして実力を確かめるのもありだ。

 

「そだな。みんながもっと走れるようになったら、だけどな。とりあえず障子にはもっと思い切り良く行けるようになってもらわないと」

「……善処する」

「ここの施設ならお前の体重でもそうは折れんよ。街中の雨樋とかはたまに折れやすいから注意が必要だけど」

 

 1つずつ確実に移動する術は少しずつ身に付けている障子だが、呼人のように連続で走って跳び回るという段階には至っていない。自分の体が大きく重たいのを知っているために、足場の耐久性を心配したりして慎重になっているのである。

 

「期末演習で使うかも知れないだろ」

「む……確か一学期にしたことの総合的内容、だったか?」

「ああ。基本戦闘訓練と救助訓練だが、あのレースもやったことに入るだろ」

「……そう言われると、腰がひけている場合ではないのはわかるのだがな」

 

 反省点を言い合いながら、2人は教室へと戻る。これからは学習の時間。勉強もしなければならないのだ。

 

「というか思うんだけど」

「ん、なんだ?」

「そろそろ教師との手合わせをするんじゃないのか?」

「演習か?」

「いや期末で。実力見るには適度に力を抑えて戦える生身の人間が一番いいだろ。教師を倒すのか、教師から逃げるのか、攻撃をしのぎながら救助をするのかはわからないけど」

 

 呼人の予想を聞いた障子は無表情のまま唸る。その予想が正しければ、期末の演習は大変なものになる。

 

「それは、難易度が高いな」

「あくまで可能性だけどな。心構えはしとくべきだ」

「うむ……とりあえずまずは、勉強に集中する」

「そうだな」

 

 呼人のなんとなくの予想が的中し、クラスメイトが悲鳴を上げる中障子が彼の勘の鋭さを恐ろしく思うまで、後―――一週間。

 

 

******

 

 

「上鳴、勉強はどうだ?」

「んお、百竜。勉強、まじで調子良い。ヤオモモすげーわかりやすい」

 

 組手の授業中、話しかけた呼人に上鳴はそう少し感動気味に答えた。途中で放り出す形になったことを一応気にしていた呼人は、上鳴の答えに少し安心する。

 

「やっぱりな」

「やっぱりって、百竜わかってたの?」

「いや、俺の教え方はあんまり上手くないと思ってた。ゴリ押しでとりあえずこれとこれはこういうことだからとにかく覚えろとしか言えないからな。それに比べて八百万はそういうのも得意そうだと思ってた」

「あー……」

 

 教えてもらっていただけに素直に頷けず微妙な表情をする上鳴だが、呼人が気にしてないのを見て苦笑する。

 

「でも百竜の教え方は百竜の教え方でなんか良かったぜ? 自分でやらねえと駄目なんだってわかるっつうか」

「まあ基本は『説明したから後は自分で頑張れ』だったからな。自分でやらんと容赦しないぞっていう」

「ヤオモモはなんか、大事な部分を覚えるまで一緒にやってくれたりとか、凄い丁寧な感じ。お前はなんかオラオラな感じだな」

「その表現はどうなんだよ」

 

 オラオラというわけのわからない感じだと言われてつい笑ってしまう。だが、なんとなく言いたいこともわかってしまうので擬音とは不思議なものだ。

 

「けどよ、しばらくお前らと放課後訓練してたからやらないとなんか違和感あんだよな。その分疲れてないから家に帰ってからもしばらく保つようになったけど」

「訓練が習慣化されてるってことだな」

 

 上鳴はこの一ヶ月ちょい、毎日絶対というわけではないが、かなりの頻度で呼人達の放課後訓練に参加していた。それ以外の日は演習で疲れすぎてダウンしているか、サポート科の開発室に行くか、耳郎だったり切島だったり仲良い奴と飯に行くか遊びに行く日ぐらいで、週の半分以上は参加するように心がけていたのだ。

 

「習慣化? まあ確かに、放課後の習慣みたいなものではあるよな」

「次からは、わざわざ訓練をやめなくてもいいぐらいに普段から勉強しておこうな」

「うぇ、ウェーイ……」

 

 やぶ蛇をつついたと顔をしかめる上鳴から組手をしているペアへと視線を戻す。

 

 クラス内の実力としては、短い間だが一緒に鍛えている尾白や障子はかなり秀でていて、最近一緒に放課後訓練で組手をした上鳴も少しだが上達が見える。他にはもともと鍛えている緑谷や砂藤、天性のセンスを持つ爆豪、それに職場体験で武闘系ヒーローの事務所に行った麗日がそれなりに出来る。

 

 個性を使った戦闘訓練とは違うためか、普段の戦闘演習で優れてる者も手こずっていたりと様々だ。どうも街中でのヒーローの戦闘を見て思うのだが、個性という強さがあるためにそれ以外の、誰でも出来る肉体的な強さは軽視されがちである気がする。勿論雄英の教師のような優れたヒーローになれば体の使い方も鍛えているのが当然なのだが、個性の使い方とともに肉体も鍛え抜くという考えがそれほど普及している様子はない。

 このあたりにも、呼人は疑問を感じていた。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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