竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第39話 期末試験・2

「む……ここは工事現場か?」

「パワーローダーの独壇場じゃねえかこのフィールド」

「ここ1月の訓練が水の泡だね」

 

 バスに揺られて10数分で到着した試験会場に3人は頭を抱える。まだ街や森のようなフィールドであれば掘り返された後も足場を使って動きまわれるのでそれを期待していたのだが、たどりついたフィールドは完全に平坦な、掘り返されてしまうとどうしようもないフィールドであった。

 

「くけけ……それじゃあ試験内容説明するぞ」

「まず試験時間は30分。そしてその間に君たちには2つの目的の達成を目指してもらう。その目的とは、『俺達のどちらかにこのハンドカフスをかける』ことと『誰か1人がこのステージから脱出する』というものだ」

「先生、戦わずして逃げることも許されるということですか!」

 

 飯田の質問に、説明していたブラドキングは頷く。

 

「そうだ。何しろ相手は我々教師2名。こういうのは何だが、君たちにとっては格上のプロヒーローだ。そして今回我々は、ヒーローとしてではなく、君たちヒーローが相手をする『ヴィラン』として振る舞う。後はわかるな?」

「なるほど。故に拘束をするか撤退をするかはヒーローの判断に委ねると」

「ただし」

 

 そう言ってブラドキングとパワーローダーは、腕輪のようなものを取り出す。

 

「逃げていいとあっては、君たちも当然逃げる事を狙うだろう。そこで我々はこれを装着する。体重の3分の1の重さのおもりだ。これを装着することで我々の動きは大きく制限される」

「くけけ……それじゃあ、早くスタート地点に移動しろ。開始の合図は放送で行う」

 

 そこで教師2人の説明は終わり、3人はスタート地点に移動する。他のペアであればおもりをつける理由や、逃走と戦闘の2択についてしっかり説明される。だがこの3人に対しては、そこを自分で考えるところからが試験であった。特に飯田に対して。そして飯田はそれをしっかりと理解していた。

 

「どうするべきだと思う?」

「速攻逃げの一手。当然向こうもそう思ってるだろうから、ブラドキングにカフスかけるふりしつつ逃げるのを狙った方が良い」

「メインはどっちなんだ? それに、フェイントは本気で狙わないとフェイントだとばれるよ」

「俺も脱出を押したいが、このメンバーで直線が一番早いのは俺だ。そして先生方もそれは気付いているはず。とすると、2人のどちらかに上から突破してもらうことになる」

「俺達のどっちも、飛べないけどね」

「それもそうだが―――」

 

『全員位置についたみたいだね。それじゃあ今から、期末テスト実戦演習を始めるよ! レディィィ―――ゴー!!』

 

 作戦が決まり切る前に試験が始まってしまった。この、作戦を練りきれていない状態をあえて作るために試験会場に到着してから説明を行ったのだ。

 臨機応変に、そして現状把握は迅速に。また戦闘中にもコミュニケーションは怠らずに。

 単なる戦闘能力だけでなく、そうしたヒーローとしての活動に必要となる全ての要素を試し、課題を発見し、また本人たちにも気づかせるための試験である。生徒のほとんどはこの期末試験を突破しなければならないゴールだと捉えているが、ここはあくまで通過点に過ぎないのだ。果たしてそれに何人の生徒が気付いてくれるか。それもまた、生徒の成長に期待したいところなのだ。

 

「百竜、大きくなって俺と飯田を乗せてくれ!」

「なるほど! そのままステージの出口に向かって駆け足程度で進んでくれ!」

「あいよ」

 

 2人の指示を聞いた呼人は、すぐさま成体のオドガロンに変身しかがむ。その背中に2人は飛び乗り、以前も乗ったことのある尾白が飯田を手助けして体を固定させる。

 

 そして2人を乗せた呼人がステージの出口を目指して移動する中、3人は簡単な方針を打ち合わせた。

 

「パワーローダー先生が来たら俺達はすぐに離脱するから、百竜君は足止めを頼む!」

『了解した。パワーローダーがそっちに行った時には笛を鳴らすから気をつけてくれ』

「百竜、下手に戦うよりお前1人でゴールを目指したほうが足止めになるよ!」

『わかっている』

「尾白君、俺達の方針は状況を見て判断する! 声を聞いておいてくれ!」

「わかった!」

 

 それからわずか5分もたたない後に、呼人は足元がいきなり不安定になり沈み込んだのを感じた。

 

『来た!』

「乗ってくれ尾白くん!」

「ああ!」

 

 体育祭時の経験を活かし、人を乗せて走る事を想定していた飯田の背中に尾白が飛び乗り、尻尾を飯田にからめて固定する。そしてそのまま呼人から飛び降りると、ステージの脱出口から斜め方向に向かって走り始めた。ゴールに直線的に向かうと、恐らくそちらからやってきたパワーローダーの掘った跡にはまる可能性があると考えての判断だ。それは尾白には説明されていないが、飯田に指示を委ねると明言した尾白は黙って従う。

 

 一方の呼人は、オドガロンを埋めてしまうには浅い穴から飛び出してパワーローダーの攻撃を警戒するようにランダムに跳び回る。

 

(やはり地中は空中以上に鬼門だな。全く打てる手がない……)

 

 よく空中を自由に動ける者と地上しか動けない者が戦った場合には空中の者が有利だと言うが、その条件で言うならば地中を自由に動けるものの方が更に有利だ。空中にいるものは、対戦相手からしても常に視界に収めることが出来る。対して地中にいるものの位置を正確に察知する方法は無いと言っても過言ではない。地中への適正が無いものにとっては。

 

(匂いもだめ……掘ったところが盛り上がりながら動いてるから場所はわかるが、そのうち罠を仕掛けてくる可能性があるな)

 

 曖昧な索敵手段には頼れない為に、足場をいちいち目で確認しながら跳び回る先を調整する。と、適度に散らばしてはいるが、数箇所明らかにパワーローダーが掘るのを避けている場所が目についた。足場として確保できているならありがたいが、ブラドキングが来ていない以上明らかにトラップだろう。

 

(着地した途端に掘る……いや、このサイズをはめる穴を一瞬で掘るのは無理だろう。とすると、踏んだら落ちる……けどこの地面の硬さで作るなら、人間の体重に耐えられない穴は耐久度的に持たない可能性が高い。多分、人間の体重で勢いをつけなければ着地できるはずだ……)

 

 だが、パワーローダーの戦法を見ているということはすなわち常に後手に回っているということである。そしてこの戦い方相手だと、とにかく時間が経つほどに分が悪い。

 

 だからこそ落とし穴の包囲網から飛び出してゴールを目指そうとした所で、呼人はパワーローダーが動いている跡がないことに気づく。

 

(あっちに向かったか? いや、ありえない……けど悩んでる時間は無駄だ。なら少しでもあいつらと反対方向に―――)

 

 半獣形態、最も戦闘能力が高い形態に変身すると、残る少ない足場である場所を思い切り蹴って宙を跳ぶ。案の定と言うべきか、着地地点がぼこりと盛り上がった。やはりパワーローダーは狙っていたのだ。それも呼人が離れて行った2人と距離を取るために反対側に跳ぶと言うことまで読み切って。

 

(と思うよな普通!)

 

 だが、読まれていることは呼人も読めていた。当然ながら足元を捉えられないとなれば、罠をめぐらして自分からはまりに来るように掘るだろう。だから呼人は空中で体を変化させ、黒い皮膜を大きく広げた。

 そして進行方向を変化させ、それより更に先の場所へと着地する。

 

「けけ、やられたな。ブラドキングの方には行かせてくれんらしい」

『条件達成一組目は轟・八百万チームだよ! 全員頑張りな!』

「イレイザーをやったか、けけけ」

 

 着地した呼人がほとんど地面が崩れていないエリアを走り抜ける中、地中から顔を出してその背中を見つめたパワーローダーは、自分も再び地中に潜ってその後を追いかけた。

 

 

******

 

 

「尾白君、後ろだ!」

「うっ!」

 

 飯田の声に反応した尾白が地を這うようにしゃがみ込むと、その背中のすぐ上をブラドキングの腕から放たれた血が飛び抜けていった。

 

「らちが明かないなこれは……!」

 

 尾白への攻撃に集中しているブラドキングに奇襲をしかけた飯田だが、フィールドの都合上その姿は完全にブラドキングに捉えられていて蹴りをなんなくガードされてしまう。

 

「パワーローダー先生の掘った跡が厄介だな」

「最悪あっちに引きつけられても足止め出来るようにしてるんだろうね」

『条件達成一組目は轟・八百万チームだよ! 全員頑張りな!』

 

 2人が一時ブラドキングから距離を取った所で、一組目がクリアしたという放送が流れる。それをブラドキングは追撃してこない。機動力においては流石に飯田が勝っており、下手に足止め地帯から距離を取ってしまうと強引に抜けられる可能性が高いのだ。

 

「……尾白君、君、俺の足に捕まる事は出来るか?」

「蹴り飛ばすつもりじゃないだろうね」

「そのつもりだ。君が上手く俺の足から跳び出してくれれば、落とし穴を突破できる。後は俺が先生に手錠をかけるか君が早いかの競争だ」

「……乗った。タイミングを指示してくれたらいつでも跳び乗るよ」

「よし。では先行して先生に飛びかかるふりをしてくれ」

「了解リーダー」

 

 リーダーなどとおこがましい、と嘯く飯田だが、その表情は真剣なものだ。そして尾白が先行して接近しブラドキングが構えをとった瞬間、飯田はエンジンをフル稼働させて尾白の真後ろについた。

 

「今だ!」

 

 飯田の言葉に尾白が大きく跳び下がり、その尻尾を飯田の足に絡める。それを確認した飯田が、尻尾でぶら下がった尾白をまるで投石機のように投げ飛ばした。投げられる側の尾白も遠心力を十分に活かす動きをとって射出される。

 この動きは、この一ヶ月運動場γで呼人と障子とひたすら建物やパイプを登り続けて新しく身に着けた動きだ。

 

「行かせるか!」

「先生の相手は―――!」

 

 咄嗟に手を伸ばして血を射出しようとしたブラドキングだが、その腕めがけて飯田がハンドカフスを投擲し咄嗟にそれを避けてしまう。実際はハンドカフスは手に持って使わなければかかるようなものではないのだが、咄嗟の判断で回避を選んでしまったのだ。

 

 そのまま尻尾を使って体を守って着地した尾白は、ゴールに向かって走り始める。

 

「やられたな」

「ふっ――!」

 

 話しかけるブラドキングに答えず蹴りを放った飯田は、ブラドキングが跳び下がった隙にハンドカフスを拾い直すと再び相対する。

 

「まだ試験は、終わっていないはずです。手合わせ願います!」

「……良い根性だ!」

 

 

『2組目の条件達成は飯田、尾白、百竜トリオ!』

 

 結局、尾白がゴールラインを突破し、呼人はゴール間近で落とし穴を跳び回ってはパワーローダーに攻撃をしかけ、そして飯田はブラドキングに拘束された状態で試験を突破した。

 

 

******

 

 

「くけけ、全員怪我らしい怪我はねえな」

「だが一応リカバリーガールの所へ連れて行くぞ。全員バスに乗ってくれ」

 

 行きもバスで移動した通り、帰りもバスで移動することになった。試験会場の都合上全員汗まみれの砂まみれではあるが、今汚れてしまうのは仕方ないということで全員深くシートに座り込んだ。特に飯田と尾白は疲労が深い様子だ。一方呼人は、汗こそかいているものの基礎体力が段違いなので特に疲労を外に見せる様子はない。

 

「おつかれ」

「ああ、2人ともお疲れ様だ。本当に助かった」

「こっちのセリフだ。結局1人じゃあ突破しきれなかったからな」

「いやそれにしても、パワーローダー先生が来なかったことで本当に助かったよ。もし来ていたら俺達も足場を失っているところだった」

 

 互いに互いのおかげで突破できたと思っているだけに、こうして謙遜しあってしまう。が、それを良しとしない呼人が待ったをかけた。

 

「よし、じゃあそれぞれのしたこととその結果について反省会をするぞ。本当は映像があると見ながら反省しやすいんだけどな」

「けど戦ったばかりの今の感覚も大事だろ?」

「まあ、そうだな」

「よし、そういうことなら軽くまとめながら反省会をしようじゃないか! 百竜君!」

「はいよ」

 

 再び呼人の本からページを1枚破き、そこにまとめて反省会を始める。

 

 呼人の方は、とにかく捕まらないようにして少しでも前に進む意思を見せておけばパワーローダーが放置できないという、呼人にとっては有利な状況下での戦闘、というよりは鬼ごっこであった。現に呼人の側からはほとんど攻撃を加えていない。それは取りも直さず、尾白と飯田の側で突破してくれなければ試験に合格できていなかった事を意味する。

 

 ただ、フィールド的にブラドキングよりもパワーローダーの方が遥かに強敵であり、それを抑え込むという意味では、それぐらい突破してくれないと困るという2人への信頼もあった。

 

「なるほど、パワーローダー先生の仕掛けたトラップを空中で方向転換して回避したのか」

「パワーローダーはだいたいずっと地中にいたからな。当然あっちからもこっちのことが見えてないわけだし、先読みで狙ってくるとは思ってたんだ」

「でも結局は読み勝ったってことだろ? それは十分凄いよ」

「まあ、多分パワーローダー先生も加減はしてくれてたんだろうけどな。じゃなかったら、多分連鎖崩壊するように掘られて詰んでたと思う」

 

 呼人の言葉に、2人がどういうことだと首を傾げる。それに呼人は、自分の知っている知識を交えて説明する。

 

「地中に穴を掘った場合、まず地上からわからないことって結構多いんだ。例えばモグラなんてあちこちの地中を潜りまわってるけど、その跡が見えることはほとんどない。でも今回は地表にも地下を通った跡が見えるぐらいの位置を掘ってたんだ。もし本気で潰しに来るなら、地下を完全に穴だらけにして、一気に崩して地面を大崩壊させてたと思う。そうすれば確実に巻き込めるしな」

「……確かに、なりふり構わずに先生たちがやってくるならそうなるのか」

「ただ今回はあくまで試験だから、問題点を自分たちで発見させたり成長させたりって考えてくれたところが大きいんだと思う。そっちはどうだったんだ?」

「ん、そうだな。こっちは―――」

 

 と今度は、飯田が自分たちの側で起きたことを説明する。ゴールまでそれなりの距離がある地点でブラドキングと戦闘になり、戦闘できるエリア以外が落とし穴だらけで突破しようとしてもブラドキングの血に追いつかれる可能性が高かったこと。そして最後は、飯田が尾白をぶん投げてそのエリアを突破したこと。

 

「まじ?」

「うん」

 

 飯田の説明を聞いた呼人は、ニヤリと笑いながらも思わず口を抑える。それは思いつかなかった。確かに飯田の足の振りは早いために、そこに跳び乗って蹴り飛ばしてもらうというのは考えてみたが飯田のバランスが取れるとは思えなかった。それを、尾白の尻尾という柔軟かつ長い部位を利用して投石機の如く投げられたというのは、面白い。絵面は少し、別の意味で面白いが。

 

「それは思いつかんかったな。ブラドキング驚いてた?」

「いや、すぐに反応されてたな。やはり先生方は凄い」

「俺は着地の方が必死だったよ。移動訓練での落下練習を思い出して必死で尻尾に丸まって転がったよ」

「ご愁傷さまだ」

 

 その後、このペアの問題点はやはり足場の悪い場所ということだろうか、いや、あえて3人にすることでリーダーシップを飯田に発揮させようとしたんじゃないか、むしろ連携力? などと言い合っている内に、全試験会場から同じ距離の位置に設置された救護所兼放送室に到着する。

 

 怪我といっても、ブラドキングの打撃を数発尾白と飯田が受けたのと、飯田が拘束された時に肩を少し痛めたこと、尾白が着地の時に打撲を数カ所作ったぐらいで、後から到着してきた緑谷と爆豪ほど派手な傷は負っていない。オールマイトと対決した2人の傷は、それはそれは派手なものだったのだ。

 

 そして3人がパワーローダーに連れられて校舎につく頃には、全員の試験が終了した。突破できた組がいくつかと突破できなかった組がいくつか。上鳴が突破できなかったという話を聞いた時に思わず缶ジュースを握りつぶした呼人の表情は暗く笑っていたと、尾白は後に語った。




21人での期末試験どうしようかと思いましたがこんな形で。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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  • あまり興味がない
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