竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第47話 黒く蝕み地を染めん

 夕方までずっと鍛錬していていくつか判明したことがある。

 

 まず、モンスターの部位を、同じものを複数生成しようとすると何か引っかかる感覚がした上に、エネルギーをごっそり持っていかれる感覚がした。恐らく、これは無い部位を『再生』させたような減少になっているのだろう。つまり、切断された尻尾をいきなり生やしたようなものだ。そして、それを消した後でも虚脱感は抜けなかった。

 

 また、腕を4本生やす、なんてことも出来た。ただし、人間の体も含めてかぶらせようとすると前述のエネルギーの引っかかる感覚がしたので、例えば人間の腕の肩からトビカガチの腕を生やすような事しか出来ない。形状変化で人間のそれの形にすることはできそうだったが、まだ慣れていないためかずっと集中していても相当に時間がかかり、またどこか思うような形にならない。これは要訓練と言ったところか。しかも生えてきた直後はトビカガチの前足まんまの大きさをしているので、重さがとてつもない。

 

 それと、本来の四肢に加えて尻尾、そして翼、以外の部位を変化ではなく生やして使おうとしたときには、余計にそちらに集中する、というか使ったこと無い部位を動かそうとするのだから当然頭がこんがらがった。

 例えば尻尾を腕を変化させて発現させたなら、それは腕として普通に、そして無意識でも扱えたのだが、肘のあたりから尻尾を生やした時には、それは完全に未知の部位として感覚にも違和感が残ったし、操作にもぎこちなさが残った。これは、恐らくモンスター達の感覚も含めて完全に初めてのものや特に希少なものは呼人も感覚として理解できていないためだと思われる。あるいは、実地で動かす感覚を養うよりもイメージトレーニングの方が重要かもしれないと色々試すことに決めた。

 

 またこれも厄介な話だが、感覚は当然ある。例えば、手をオドガロンの頭に変化させたとき。そこから伝わる嗅覚や聴覚、味覚と自分本来のそれで強い違和感を感じた。ただ、これに関してはそれなら感覚器官を再現しなければ良いとわかっているので対策は恐らく出来る。またモンスターの中には人間とは違って例えば嗅覚器官を複数持っていたりするようなものもいる上に呼人はそれに適応出来ているので、そのままにしても恐らくそのうち慣れることが出来るはずだ。

 

 そしてまた、こうして余分に複製した体、例えば3本目の腕や、2本目の尻尾、あるいは2つ目の頭などは、モンスター達が入って操作することも可能だとわかった。それらは、俺の体の制御圏に外からくっつけたもののような扱いになっているらしい。つまり、3本目の腕はラージャン、4本目の腕はガルルガに任せて共闘なんてことも―――

 

(まあ十中八九俺が痛い目見るだろうけどな)

 

 ただ、そういう事も可能ではある。なんなら、まだ試してはいないが神話のケルベロスのように頭が3つ、とか、あるいは阿修羅のように三面六臂、なんて事も、まあ特に後者は難易度が凄まじく高そうだが出来ないことはないだろうと思っている。

 

 ただ今日はまだ上手く制御が効いていないので、体内器官や細かいところは試せていないものも多い。それらはまた、習熟出来てからということになるのだろう。そして、到底学校や家の近くでは試せないものもある。それらは、また山奥か海の上か、どこか人が全く来ないところに行かないといけない。

 

 

 とはいえ、高校に入ってから一番呼人にとっては収穫の大きな日であった。やはり、外からアイデアを取り入れるというのは大切なのだ。

 

 そして、昼食を取っていないこともあって変に早い時間帯に夕食を作ることになったわけだが。

 

「さあ、昨日言った通り『世話焼くのは昨日だけ』!」

「自分たちの飯くらい自分たちで作れ! ってことで今日はカレーだよ!」

 

「い、イエッサー……」

「アハハハ全員へとへとだね! だからって雑な料理は作っちゃ駄目ね!」

 

 夕食は自分たちで作らないと行けないらしい。体力的な疲労はそれほどない呼人にとってはむしろ単調な料理は楽だったが、全身ヘトヘトのクラスメイトはそうでも無いらしい。

 

 しかし、料理の重要性を『災害救助の現場や避難先での炊き出しを行う可能性もある』と説いた飯田に従って、全員が料理をするために動き始めた。呼人は野菜を切る担当になり、野菜を適当な大きさにどんどん切っていく。ちなみにカレーは量を作るのが楽なので呼人もよく作る。土日に入る前は一気に大量に作って冷蔵庫に入れておくとかもする。呼人の食事量だとそれをしてもすぐに無くなってしまうのだが。

 

「わっ、百竜くん切るの早いね!」

「まあ……自分が大量に消費するから大量に作るのは結構慣れてるんだ」

 

 それでもこの人数の、更に大量に食べるだろう人の分を考えた量というのは高校に入ってからは作ったことがない、というか普通のマンションでは作れないが。ただカナダにいたころは、カレーではないもののシチューやスープなどはそんな作り方をしていた。

 

「俺も負けてらんねえぜ!」

「切島ちゃん、そんな急いでると包丁がかけるわ。自分のペースでいいのよ」

 

 一緒に切る担当になっていた切島が自分も急ごうとした結果、硬化した手に当ててしまうと包丁が欠けると蛙吹に注意されていた。手を切るじゃなく包丁がかけると言われるあたりが切島らしいが、それでも個性を使うのが間に合わなければ指を切ってしまう。気をつけたほうが良いことには違いない。

 

 やがて具材を切り終わったので調理が始まる。火付けやごはん炊きをしてくれているチームも無事進んでおり、一時間も立つ頃にはあたりには美味しそうなカレーのにおいが漂っていた。

 

「良い匂い!」

「腹減ったね」

「カレーは嗅覚に訴えてくるから腹が余計減る。てか俺が全力で食える量あるかな……」

「どれだけ食べるつもりだ」

「たくさん」

 

 バカな会話を繰り広げている間にカレーが出来上がり、全員でテーブルを囲む。夏場なのでまだ薄暗い程度だが、『こういう雰囲気なんか良い!』とはしゃぐクラスメイトを見て、これほど大人数でこんなことをしたことの無かった呼人も笑う。確かに、こういうのは何か楽しくていい。

 

「うめえ!」

「店とかで出たらあれだけど、こういう状況だとうまいな!」

「言うな言うな」

 

「ちゃんと美味しく出来たね!」

「葉隠さん口元ついてるよ」

「え!? 尾白くん取って!」

「じ、自分で拭きなよ!?」

 

 尾白と葉隠が騒ぐ隣では、障子と呼人がもくもくとカレーを口に運んでいる。

 

「百竜、吸い込むように食べるな」

「量食うからあんまり噛むっていう概念がな。胃袋は頑丈だ」

 

 カレーは飲み物とはよく言ったもので。確かに他の料理、揚げ物なんかと比べて、ご飯と合わせた時の飲み込みやすさはピカイチである。

 

「……そう言えば今日は百竜の姿が見えないと思ったが……何をしていたんだ?」

「岩山の裏辺りにいたぞ。周りを巻き込まないようにって人のいないところに行ってたんだ。俺がしてたのは、個性の新しい可能性の探求、ってところだな」

「ほう?」

「俺の個性の扱い方って、『体の一部を変化させて対応する部分を呼び出す』ってイメージでやってたんだよな。だから例えば手の先からモンスターの頭を生やすとかいうことはしたことが無くて、それが出来るのか、出来るとしてちゃんと変身するときみたいに制御できるのかってのを試してた」

「なるほど……それは可能性としては、良いのか?」

 

 あまり状況が想像出来ずに尋ねる障子に、呼人はカレーを運ぶ手を止めないながらも思ったメリットを応える。

 

「まあそうだな。握力よりも多分オドガロンの頭の噛む力の方が強いし、後は尻尾を手から生やして使える点とかでも、応用はかなりきくな。後は視界を手足の先から確保できるわけだからお前と似た扱いが出来る。後はあれだ、その応用で、なんも無いところからも生やせるのもわかった」

「というと?」

「四肢に加えて五本目を生やしたり出来るみたい。ただそっちはさっきのにまして制御出来る感じがないんだよな。生やせるけど使うの難しいし、そもそもまだどっちも元の大きさでしか使えない」

「……俺の個性みたいだな」

「まあ、たしかに似てるかも。ちなみにその複腕を使う感覚ってなんか特別なこと考えてたりするのか? それとも感覚でなんとなく?」

「俺はなんとなくだな。というより生まれつきこうだから本能的に操れる。元の大きさ、というのは以前見せてくれた大きさか?」

「そんな感じ。だからこう、肘から先が俺の体よりでかくなる」

 

 その絵面を想像した障子は、少しした後おかしそうに目を細めた。

 

「それは……大変だな」

「ん。ほんと。しばらく訓練しないと使いこなす以前に使える大きさにすら出来ない感じだ」

「まだ俺は安泰だな」

「年季が違いすぎるだろ。俺のは後付けだしな」

 

 自分の個性と似たようなことが出来るとは、と驚きながらも冗談を言う障子に、呼人は笑いながら答える。鍛錬はするが、人間大、あるいは人間の形状に寄せることが出来るにしても、流石に本能に根付いている障子ほど自由に扱えるようになるにはどれほどかかるか。今のように扱えるまででさえ10年以上かかっている。全く新しい道を極めるのだ。

 

「まあ、しばらく頑張る」

「……俺も、頑張らなければ」

 

 他の騒がしいクラスメイトと違って2人の会話は静かだったが、近くからの叫び声なんかも聞こえて居心地の良い沈黙と言ったところか。

 

 結局呼人は、カレーを10杯食べた所で無くなってしまったので少しばかり物足りなさを感じながらも諦めた。最後に残った分まで食べたのが足りなかったのだ。他にも大食いが数名いたので仕方ないことであった。

 

 

******

 

 

 その晩。風呂も終わり、トレーニングを終えて布団に潜り込んだ呼人は、しばらくしてパチリと目を覚ます。そして起き上がると、足を忍ばせながら廊下に出て空いている窓の近くまで行った。そして目を閉じると、その頭、髪の中に埋もれていた2本の触覚が立ち上がる。紫に輝くそれで改めて感知を行うと、呼人はそのまま廊下を歩いていった。向かう先は、相澤とブラドキングの寝室のつもりだったのだが2人はおらず。相澤は、補習組の5人に補習を行っているところだった。深夜0時までトレーニングをしている呼人も呼人だが、朝早いのにこんな時間まで補習を受けている5人も相当な重労働であろう。

 

 だが、呼人はそれを気にしている暇は無かった。

 

 扉を開けると、全員の視線がそちらを向く。

 

「相澤先生、ちょっと至急の用事があるので来てもらえませんか?」

「……わかった。お前ら、ここまでの確認しとけ」

 

 もう消灯時間は過ぎているはずだ、と言おうかと思った相澤だが、いずれにしろ呼人の話を聞かなければならないのでそれは合理的ではない。何より、呼人が個性を使用している事も用事が真面目な内容なのだと悟らせるに十分だった。

 

 廊下に出た相澤は、呼人を連れて少し部屋の入口から離れる。

 

「なんだ」

「森に、人間の反応を確認しました。一瞬索敵の縁に触れたぐらいですけど、多分2人」

 

 その報告を聞いて、相澤の目の色が変わる。

 

「距離、方角、索敵方法は」

「距離はおおよそ5キロ。遠くて正確な事は不明ですけど、俺の索敵の最大ラインが5キロぐらいで今はおそらくその外にいると思うので。方角は北。索敵方法はこの鱗粉です」

 

 そう言って呼人が腕を変化させ軽く逆の手で叩くと、そこから濃紫の粉が舞い上がる。

 

「視界を持たないためこれを操ってその位置情報などから周囲の状況を探るモンスターがいます。夕食あたりから嫌な空気がする気がして索敵をしてました」

「その触覚は?」

「基本的に鱗粉はまきっぱなしですが、これを使えば遠距離でも細かい操作が可能になります。後は感知能力の増大のためです」

 

 呼人の報告を受けた相澤は、少し考えた後口を開く。

 

「ここで待っていろ。今のをブラドキングとプッシーキャッツにも説明出来るな?」

 

 暗にしていいか、というより、秘密にしているだろうがしろ、と言ってくる相澤に呼人は頷く。もともと、絶対的に隠す事は目的ではない。まあ、このモンスターもその基礎生態は危なすぎるものではあるのだが、呼人が使う限りはすぐに消せるので安全だ。

 

 その後、部屋に戻った相澤は生徒達に急用が出来たので補習は中断、部屋に帰って寝るように伝えてから呼人のところへと戻る。突然のことに5人は戸惑っていたが、それよりも眠さが勝ったか大人しくそれぞれの寝室へと引き上げていった。

 

 そして、相澤はその足で別室で補習をしていたブラドキングのところへ行くと緊急事態だから会議室に集まるようにと伝え、唯一B組で補習対象だった物間を部屋に帰させる。

 

「緊急事態とは? それに百竜が関係しているのか?」

「プッシーキャッツも含めて話す」

 

 端的にそう返した相澤は、そのままの足で既に就寝しているプッシーキャッツの面々の部屋を尋ね、それぞれに緊急事態だと言って起こしていく。相澤が冗談を言う性格ではないとわかっているので、プッシーキャッツの面々も何も言わずに起きてきた。

 

 その間先にブラドキングと一緒に話し合いをする部屋に移動していた呼人は、ブラドキングに説明を求められていた。

 

「何があったんだ? それにその角は……」

「森の中に人間の反応を感知しました。遭難者なのか遊びに来た子供なのか……どっちにしろ問題ですしひょっとするとの可能性もあるので相澤先生に報告に来ました」

「むぅ……個性の無断使用に関しては、まあこの合宿であるし場所も個性を使っていいと言っていたから何も言わんが……しかしお前の個性はそんなのだったか?」

「俺の個性届けに詳細不明と書いてあったと思うんですが、これがその不明の一部です」

 

 などと話していると、すぐに相澤がプッシーキャッツの4人を連れてやってきたので、呼人は改めて説明を行った。今使っているモンスターの力も含めて、である。

 

「……イレイザーが言うのであれば冗談のたぐいでは無いんだろうけど……正直伝えられてる個性に書いてなかったから疑ってる」

 

 最初に口を開いたのはマンダレイである。この合宿の場所や情報が漏れているとは考えづらい。だからこその、疑い。呼人の人格を疑っているわけではないが、今以上の警戒をするのであれば確証がいる。

 

 すると、呼人の顔が変化し始めた。髪を覆うように濃紫、というよりは既に闇色とも言うべき甲殻が出現し、頭部、そして見えている部分の全てを覆う。

 

 その姿にすわヴィランかとプロヒーローたちは身構えたが、イレイザーが黙っているのを見て静観することを選んだ。

 

「このモンスターは、見ての通り目がありません。そこで感知方法として、この鱗粉をまいて、それに接した生物を探知する方法を持ってるんです」

 

 これもまた個性の、そして生態の一部だと呼人は説明する。

 

「それ、その人間達は今はどうなっているかわかる?」

「いえ。多分ですが、さっきも言った通り索敵圏外にいます。角を出していれば操れると言っても、大まかにどっちの方向に動くか、ぐらいですし、そもそも遠すぎてギリギリのところを一瞬かすっただけなので」

 

 レーダーの縁に一瞬写った機影を見た感じです、と感覚を説明する呼人に、プッシーキャッツ、そしてブラドキングが黙り込む。

 そこで相澤が口を開いた。

 

「その人間が何を目的としているか、という詮索も必要ですが、その前にこれからどうすべきかも考える必要があります」

「……そのとおりだな。あるいはヴィランであると考えられるなら、より一層警戒態勢を立てるか、合宿そのものを中止する必要がある」

「そのとおりだが……どうしたものか。まだヴィランであるか迷い込んだ民間人であるかもわかってはいない。そのあたりはわからないんだな?」

「人間の反応ということぐらいしか。ただ鹿とか熊じゃないことは確実です。絶対に人間です」

 

 うむむ、と全員が考え込んだ所で相澤は呼人を呼ぶ。

 

「百竜、お前は部屋に戻れ」

「わかりました」

「それとしっかり寝ておけ。気を張りすぎるな。お前は学生だ」

「了解です」

 

 相澤の指示に軽く頷いて呼人は部屋を出る。とはいえ、変化して眠っておけば疲労はそちらの体が請負う。そこで何かあったら起こしてもらうことにして、体の操作をマガラに任せて眠ることにした。以前ミルコとアイリが寝た時のように起きている事も出来たが、それでも精神への疲労はたまるので、今回は体を酷使していたつけもあって眠ることにした。




僕が初めてモンハンをまともに最後までプレイしたのが4だったので、こいつには特別な思い入れがあります。特にゲーム時間が親に制限されてたのでその時間内にこいつを狩りきれずに何回も挑戦したりとか。懐かしいですね。世界中を旅するというストーリーもめちゃくちゃ好きでした。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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