竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第53話 必殺技とは

「昨日も言ったが直近の目標は“仮免”の取得だ」

「はい!」

「ヒーロー免許は人命に直接関わる重大な資格だ。たとえ仮免であろうとな。当然取得の為の試験は厳しく、仮免ですら合格率は5割を切っている」

「まじか……」

 

 ボソリと誰かがもらした所で、相澤は教室の外に手招きをする。

 

「そこで君らには一人2つ以上」

 

 ―――必殺技を、作ってもらう!!

 

『学校ぽくてヒーローっぽいの来たぁ!!』

 

 相澤の言葉に合わせるように、ミッドナイト、セメントス、エクトプラズムの3人の教師が教室に入ってくる。

 

「必殺トハスナワチ必勝ノ型デアル!」

「徹底的に染み付かせた技・型は他の追随を許さない。戦闘は、どれだけ自分の得意なことを押し付けるか、だよ」

「技はヒーローの象徴! 必殺技がないヒーローなんて一般的に見ても少ないよ!」

「詳しいことは体育館γで説明する。コスチュームに着替えて集合だ」

 

 

******

 

 

 体育館γ。通称TDL。セメントス考案の、生徒一人ひとりに合わせて地形や物を生成できる施設である。セメントスの個性によって操作できるようになっている。

 

「ヒーローは、ヴィラン、事故、天災……あらゆるトラブルから人々を救うのが仕事だ。資格試験では当然その適正が審査される」

 

 必要とされるのはただの強さだけではなく。

 

 情報力、判断力、機動力に戦闘力、更に直接は現れないが、コミュニケーション能力に人気につながる魅力。そして仲間のヒーローや人々をまとめる統率力。それらが、毎年試験では違った形で試験され、その形を予想するのは困難であるため地力を高めることが求められる。

 

 だが、強さが重要ではないというわけでは断じて無い。

 

「その中でも、これからのヒーローにとって戦闘力というのは特に重視されるものになるよ。自分の得意を押し付けられる技の有無は、合否に大きく影響する」

「状況や相手に左右されること無く安定した行動ができれば、それは高い戦闘力を持っていることの裏付けになるよね」

「必殺技ハ何モ攻撃ダケデハナイ。例エバ飯田クンノ“レシプロバースト”。超速移動ソノモノガ脅威デアル為、攻撃スル如何ニ関ワラズ必殺技デアルト言エル」

「なるほど……! 攻撃に活用するか移動に活用するかは関係ない、ということか!」

「『これをやれば有利になる』っていうのを作っておこうってことか」

 

 自分のそれを必殺技と言われて感動する飯田を見て砂藤が呟くと、ミッドナイトがそれを肯定する。

 

「そ! 先日活躍したシンリンカムイの『ウルシ鎖牢』なんかが模範的な必殺技ね。わかりやすいしあれをしたら勝ちだってわかるわ」

「合宿での『“個性”伸ばし』は、この必殺技に向けてのプロセスだった。これから後期始業までの10日あまりで、『個性伸ばし』と『必殺技開発』を合わせた圧縮訓練を行う

 

 本来であれば『個性伸ばし→必殺技開発』であったところを、時間が無くなったので同時並行で行うということだ。当然ハードワークになる。

 

「それと。個性の伸びや開発する技の性質に合わせてコスチュームを改良することも並行して考えるように。サポートアイテムの開発も視野に入れておけ」

 

 

 ―――プルスウルトラの精神だ。乗り越えてこい。

 

 必殺技開発と、個性を伸ばすための訓練が始まる。ちなみに正直呼人は必殺技という概念がわかっていないので、そこから学ばなければいけなかった。

 

 

******

 

 

 皆が必殺技の開発に励む中、呼人はそれを眺めながらぼうっと考えていた。

 

(尾白ほんと立ち回り上手くなったな。怪我させないで仕留めるのは絶対無理だ。上鳴はもうサポートアイテムは一式完成してるみたいだし……障子は複腕で更に複製量を増やして戦闘か。慣れてるなら死角なんて無いもんな)

 

 そんなことを考えていると、頭をこづかれる。すっとそれを躱して、呼人は叩いてきた相手を振り返った。

 

「何ヲボウットシテイル?」

「必殺技っていう概念がよくわからなくてどうしたものかと」

「何ガワカラナイカ話シテミロ」

「俺の中では、全ての行動を組み合わせて相手を仕留めるつもりで動いているので、必殺技とは考え方が間逆なんですよ。相手、状況に合わせて止めを刺す技がただの陽動にもなるし、その逆もある、っていうつもりで鍛えてきたので。だからどういうのを必殺技として扱うのかと見てました」

「ナルホド。全テノ行動ヲ必殺レベルマデ高メルノツモリデ動イテイルト」

「あ、そんな感じです。モンスターの力も当然のものを利用して戦っているつもりなので」

 

 モンスター達の行動もそうだが、それはあくまで彼らの生態を利用しての戦い方であり、人間が殴る蹴ると攻撃をするのと何ら変わらず、彼らとイメージを交わしている呼人にとっては必殺技でもなんでもない、ただの行動なのだ。確かに一部の強力なモンスター達には、そういうのが相応しいのではないかと言うような攻撃もある。ただそれは、もう相手を制圧するとかそういうのではなくて、街を消し飛ばすとかそういうレベルの話になる。とてもではないが使えるものではない。

 

「必殺技ハ、戦闘力ヲ強化スル面モアルガ、象徴スルトイウ面モアル。例エバオールマイトハ、ソノ強力ナパンチヲ必殺技トシテ名前ヲツケテイル。他ニモ、百竜クンガ職場体験ヲシタミルコハ、踵落トシナド一部ノ蹴リ技ヲ必殺技トシテ名前ヲツケテイル。特殊ナ個性ノ扱イダケデナク、攻撃ノ型ナドモ必殺技ト呼ベル。君ノ場合ハ、変身スル事自体ガ必殺技ト呼ベルナ」

「なるほど……」

「個性伸バシデ行オウトシテイタ新シイ使イ方モ、習熟スレバ十分必殺技トナリウルダロウ」

 

 例えば、手首から先をオドガロンの口に変化させて噛みつかせ、『アームファング』などと言った必殺技として扱う事もできるのだ。何もド派手な、一撃で仕留めるものだけが必殺技ではない。得意とする行動に名前をつけるのもまた必殺技である。

 

 エクトプラズムの説明に呼人が考え込んでいると、セメントスの作った岩山の上の方で大きな爆発音がし、叫び声が聞こえる。

 

「百竜! てめえ暇なら相手しろや!」

「あいよ! すいません、行ってきます」

「ム、シカシ分身ヲ使エバ良イダロウ」

「体育祭のときにあいつの全力を受けきったので、多分それを破る方法を考えたいんだと思います。俺は変身する事自体が必殺技なので」

「……マタ後デ話ソウ」

「わかりました」

 

 エクトプラズムに断って呼人は爆豪の待つ岩山の上へと跳び上がる。エクトプラズムの分身は、数自体は出せるもののそれぞれの強さは、本人の力量を抜きにすれば人間の範疇を出ず爆豪の爆破であれば十分に仕留めきれる。それよりも最大火力である『榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)』を受けきった呼人と戦った方が見えてくる物もあるだろう。

 

 エクトプラズムも、爆破された分身に変わって見張り用に新しい分身を送ってくる。

 

「怪我させるから端から化けもんになっとけや」

「俺ならいくら怪我させてくれても構わんぞ。人間に戻れば怪我はなくなるからな」

「端から遠慮するつもりはねえわ」

 

 鼻を鳴らしながら言う爆豪に、殺すつもりかよと呼人はぼやく。獣化系の個性でも中には怪我がそのまま肉体に反映されるものもいるのだ。

 

 だが爆豪はそれ以上何も言わず、いきなり腕を後ろに向けて爆破で加速すると、呼人に向かって飛びかかってくる。応えるように呼人も空中に向かって飛び出した。そして爆豪の高さまで跳び上がると空中で迎撃する。

 蹴ろうと大きく振り上げた足は、爆豪が空中でもう一度爆破を行って方向転換したところで躱された。

 

 このあたりが、呼人が爆豪を強いと言う所以である。天性のセンスか思考で組み立てたものか知らないが、呼人が戦闘中に考えていることと同じようなことをやってくる。尾白とはまた違うタイプでやっかいだ。

 

 そして、斜め上からの爆発。その爆風に耐えきるために、呼人は足を振り上げて爆豪に両足を向ける。以前体育祭での戦闘終盤でもやったことだが、爆発をなるべく狭い面積、あるいは尖った面で受け、絶対に胴体などの平らな面では受けない。平らな面で受けても一撃でやられはしないが、体勢は確実に崩れるし動きも数瞬とはいえ止まる。体育祭の時には爆煙の中にのまれることで爆豪からの追撃は回避されていたのだが、今はそんなことは無いだろう。

 

 更に、呼人が着地する前にもう一度爆風が放たれる。が、今度は爆煙の中に目測を誤ったようで、若干呼人の体より上に放たれてくる。それを受け始めた直後に呼人は体勢を整え、その爆風で地面に押し付けられる形で着地する。

 

 そして爆風の中から飛び出して爆豪に殴りかかった。

 

「くそ耐久が!」

「離れたところからぶっ放して俺がやれるかよ!」

 

 もちろん数発連続で胴にもらったり、数十発もらったりすれば話は別だが。だが1,2発、ぶっ放された程度で仕留められるほどやわではない。

 

 それは爆豪も承知の上なのか、数度の爆発の後呼人の顔に向かって手を伸ばしてきた。左手の派手な爆発の影から右手が伸びてきたが、呼人はそれにも反応して手を弾こうとする。

 

 そこで爆豪はニヤリと笑った。呼人が気づき、防ごうとするところまで読んでいたのかその防ごうと伸ばした腕を掴み取る。掴まれたと認識した瞬間、一歩横へと踏み込んだ呼人は掴まれた腕を更に上から掴み直し、思い切り引ききって投げ飛ばす。

 

 結果。呼人の腕はゼロ距離の爆発によって焼け、爆豪は空中に放り出された後爆風で勢いを殺して下に着地する。

 

 その後、爆豪は何を思ったか少しの間飛び上がってこなかった。

 

 一方騒がしいのは、いつのまにか始まったクラストップレベルのやり合いに目を奪われていたクラスメイト達だ。

 

「爆豪荒れてんな相変わらず」

「あれを耐えれるようになりてえぜ!」

 

 いつもどおり爆破マシマシの爆豪に瀬呂や切島が戦々恐々とする一方で、放課後訓練組は冷静にその動きを分析する。

 

「……真っ向から殴り合うか」

「やっぱり強いな百竜。耐久力だけじゃないよあれは」

 

 そして他のクラスメイトも、負けないと意気を高めるものばかりだ。

 

「おー爆豪と百竜激しすぎ! 私も負けないし!」

「芦戸さん、自分のペースを守らないといけませんわ」

「わかってるよヤオモモー! やる気の問題!」

 

 なかなか戻ってこない爆豪にどこか痛めたかと呼人が見ていると、やがて険しい顔つきで戻ってくる。

 

「……てめえ、1回的になりやがれ」

「戦闘じゃなくて、か?」

「……くそが黙って的になっとけっつんだよ!」

 

 不機嫌そうにキレているが、いつものような凶悪な目つきではなく少し目を逸し気味なのは、流石に申し訳ない依頼だと思っているからだろう。

 

「いくらでも。言った通り、この状態で怪我した所で人間の体には反映されないからな」

 

 その後、平らな部分の中心付近に突っ立った呼人に向かって爆豪が数発の爆発を放つ。流石に飛ばされそうになるので呼人は体勢を低くして耐えようとするが、爆豪はそれが気に入らないようだ。

 

「避けんなてめえ!」

「その威力をまともにくらってると飛ばされる」

「あ゛!? てめえ効いとったんか!」

「そりゃ物理的には飛ばされるわ。体にダメージがあんのと飛ばされるのは話が違うだろ」

 

 例えば金属板などが、爆風で飛ばされても表面があぶられるだけで折れ曲がったり割れたりしないのと同じで。むしろその軽さがダメージを軽減してすらいることもある。

 

「……もういい大体わかった。セメントス!」

 

 不機嫌そうな爆豪がセメントスに向かって叫び、岩山から飛び降りていく。何かヒントを見つけたらしいが、はぶられた呼人は放置である。お役御免と言ったところか。

 

 呼人としては、爆破を使うならば直付けで爆破したほうが良いのではないかと思う。爆発が起きる地点が接触していたほうが良いとも言える。離れたところからの爆風だと拡散するし、備える余裕が出てくる。そもそもモンスター達の中でも爆発を操る者達は、爆発そのものではなく爆発性の物質を相手に叩きつけてゼロ距離の爆発を発生させる方が多い。

 その点爆豪の爆発地点は、必ず彼の手元となる。であれば、呼人のように頑丈な相手であればただぶっ放すだけでなく何らかの手段を取らなければいけない。

 

「手ハ空イタカ?」

「エクトプラズム」

 

 そして、置いていかれた呼人のところにも、エクトプラズムの分身がやってくる。

 

「必殺技ハヒーローノ象徴トモナル。気ニ入ラナクトモ、既存ノ行動ニ名ヲ付ケルダケデモシテ後ハ個性ヲ伸バスコトニ専念シヨウ」

 

 相澤や他の教師とも相談した結果、そもそも変身系の個性を持つヒーローには『変身すること』そのものを必殺技とみなす者もいるということで、それを必殺技として扱えば良いのではないかという話が出た。

 

「なるほど。じゃあ例えばこの状態をビースト、でその一段階上のこれをハイビースト、完全に変身する状態をフルビーストとか名付ければ良い感じですか?」

「モウ少シ名前ハ捻ッタ方ガ良イト思ウガソノ通リダ。後ハ、入試デ見セテイタ様ナ特殊ナ変身ニモ名前ヲ付ケルト良イ」

「入試……?」

「爪ヲ刃ノヨウニ発達サセテイタダロウ」

「ああ、これのことか」

 

 右手を変身させた呼人は、その爪を変化させて爪の形状から完全に刃と言える形状に変化させる。これも、技と言えば技だ。そういう意味で言えば、呼人の個性の使い方は様々な必殺技となりうる。

 

「じゃあ新しい個性の使い方で、一箇所に鱗を重ねて防御力をあげようと考えているんですけどそれも必殺技として扱っていいという事ですか?」

「何モ、君ノ言ッテイル通リ全テノ行動ヲ高メルノデアレバ全テニ名前ヲ付ケル必要ハ無イ。特ニ一部ノ、頻繁ニ使ウモノニダケ名ヲ付ケテオケバ良イ」

「なるほど」

 

 必殺技は性能もそうだが、その見た目も重要となる。“象徴”の文字の通り、あのヒーローならばこの必殺技、という図式を成り立たせるからだ。そういう意味では、あまり目立たない鱗を重ねて防御力を高めるような方法よりも、コスチュームを着た人間の状態から一気に変身する方を必殺技として扱ったほうが良い。

 

 ひとまず必殺技の目処も立ったということで、呼人は腕をオドガロンの頭に変化させる。半月ほどの訓練もあって、変化させた瞬間に原寸大ではなく4分の1ほどの大きさまで縮めることが出来ている。それでもまだ少し大きすぎるのであるが、そこは要練習で調整が必要だ。

 

「器用ナ使イ方ヲスル」

「相澤先生が発想をくれたので。もともとこういう発想は全然無かったんですよ」

 

 多様性もそうだが、していることがばれないというのは良い。例えば変身してしまえば簡単にばれるが、普段は体の前面にある器官を背中に生成して敵に気づかれないうちに攻めるということも出来る。まだ全然身についていないので『使う』という意識が先行してしまうが、もっと、それこそ今までやってきた『変化』と同じように使えるようになれば、自然に戦闘にも組み込んでいけるはずだ。

 

「ソウ言エバ」

「何か?」

「翼モ扱エルトラシイガ、飛バナイノカ?」

「空は誰も届かない領域なので。戦闘演習とかでは飛ぶつもりは無いです。救助演習もイメージトレーニングで十分なので」

「周リカラスレバ、貴重ナ経験ニナルト思ウガナ」

「まあ、まだ変身しなくても追い込まれない程度なので。飛ぶ必要性に駆られれば使うかもしれないです」

 

 もうすでに、雄英の教師には呼人の使える力の事は知れている。そして、なるべくなら出し切りたくはないという呼人の意思も。そのため、呼人も状況次第という答えを返していた。

 

「B組ニハ空ヲ移動出来ル生徒ガ複数イル。手合ワセスルノガ待チ遠シイカ」

「取り敢えず対空、対高速移動も兼ねてロープを使った戦闘も鍛えてます」

 

 コスチュームの両手には、以前は無かった先端に小さな金属の器具がついたロープが手首から肘にかけて巻きつけられている。戦闘の際には拳や蹴りに加えてロープで拘束する事も出来るし、先端を軽く解いて持って投げれば、ロープを腕から外しておかなくても自然と飛び出していくような構造になっている。まだ連続で扱える領域には達していないし最近は個性の扱いの方に注力しているが、それなりに練習もしている。参考にしたのはやはり、期末試験などではっきりと見ることの出来た相澤の戦い方だ。

 

「……頑ナダナ」

「出来る事は増やしたいので」

「本筋ハ見失ワナイヨウニナ」

 

 本筋と言えば。彼らの領域に達したい。あるいは、人間の形を取ったモンスター達に負けたくない。だが、まだ戦闘に長けたモンスターたちには一対一では勝てないし、もともと草食性だったモンスタ―達も人間の形を取れるようになってから鍛えたようでいい勝負をさせられている。恐らく呼人に才と言えるものはあまり無いのだろう。それを、ひたすら訓練と試行回数で補っているだけなのだ。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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