竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
目標達成者が集まる部屋に、一番に入った呼人は暇を持て余していた。それはもう、とても暇で、モンスター達と精神世界で訓練を始めるぐらいには暇であった。
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設備の不調ということで開始時間が遅れたものの、一時間ほどで試験が始まった直後。周囲にいた他校の生徒達がこぞって呼人達を、いや、雄英の生徒をめがけて攻撃をしかけてきた。中には、他校どうしで一時的に停戦状態として手を組んでいる者も多い。
仮免試験恒例、『雄英つぶし』だ。
西の士傑と合わせて特に名前の知れ渡っている雄英高校が警戒されるのは当然のことで、更に雄英“だけ”が体育祭という衆人監視の環境下で個性や戦闘スタイルを発揮している。つまり、他所の高校に情報が漏れている状態にある。
そんな、合格枠を確実に潰してくるような相手が手札を開けて戦ってくれるのであれば、真っ先に潰そうとしないわけがない。
それが、雄英つぶし。雄英にとってはいつものことなのだが、A組にはそのことは一切伝えられていなかった。
だって。
―――その程度の障害を乗り越えられないようでは、人々を救うヒーローになんてなれはしないのだから。
そもそもが、少なくともここにいるのは1年生。体育祭で見せた実力なんて、まだ方針もスタイルも洗練どころか開拓すら出来ていないようなもので。それを見て実力がわかっているなどと笑い話も良いところである。
頭部の防具にターゲットを横並べに3つ貼り付けた呼人は、敵の攻撃に対して耳郎が地面を割ったのと同時に両足を変化させて空高く跳び上がった。そして空中で皮膜を広げるとしばし滑空、地上の様子を観察する。
案の定というかなんというか、やはり他校もそれほどの練度は無いようで地面が割られたことにばかり目が行っていて彼らの頭上にいる呼人に気付いていない。
皮膜を消して飛び降りた呼人が両腕のロープで2人を速攻で拘束し、それぞれのターゲットにボールを3つずつ当てるのに一分もいらなかった。
『えー現在どこも膠着……あ一人目通過しました。脱落者2名。あ、状況は私の方から放送することになってるので、えーまあ頑張ってください』
きっちり2人だけ失格させた呼人は、その後もう一度足を変化させると大きくジャンプを繰り返して離脱し、突破者が集められる小屋へと向かった。その後の事は、小屋では映像が受信できないのでわからない。まあつまりずっとぼうっとしてなければならないという状態になるわけだ。
やがて2度目の放送がなり、二人目の達成者は100人以上を脱落させて突破したという情報が伝えられる。2人倒した時点でクリアであるルールにおいて100人以上を倒すということは、それをほぼ同時に達成したということであり、更に少なくとも100個のボールを一度に扱ったということも示す。
存外面白そうな相手もいるものだと考えていると、その達成したという人物が待機所へとやってきた。
「おっ、はやいっすね! 確か雄英の人っすよね!」
「そっちこそ。同時に100人とは恐れ入る」
「自分熱い戦い大好きなんす! だから先輩方の戦い見てると俺もやるぞー! って頑張ったっす!」
騒がしい大柄な男ではあるが、それらを特に不快に感じない呼人にとってはちょうど良い話し相手だ。少なくとも相手も、表面上はフレンドリーというか暑苦しくコミュニケーションを取ろうとしているので話すのが嫌いというわけではないのだろう。試験が終わるまでの暇つぶしが出来ると内心喜ぶ呼人であった。
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その頃、戦場はまた大きく様相を変えていた。傑物学園高校の真堂が地面を大きく割ったことで集まっていたA組も離散したが、それは同時に共同戦線を張っていた他校もバラバラに散り、より乱戦模様へと近づく。戦況は混迷を極めていた。
が。外からそれを眺める相澤の視線には何の色もない。至って平静な、あるいは授業を受けている彼らを見ているかのような目線。少なくとも、“心配している”目ではなかった。
「どう動いているのか見えないのはもどかしいな」
「真堂が割ったからもともと見づらいのが全く見えなくなったよな。え、てかあんなこと言って心配してんの?」
「後々振り返らせる為だ。この試験じゃあ後から映像記録ももらえない」
試験内容の秘匿だかなんだか知らないが、非合理的だと相澤はこぼす。こういう、知らない相手との戦闘だからこそ見えてくるものというのはたくさんある。むしろ、普段学校でやっている手の内を互いに知っている演習というのはヒーローになってみればありえない状況なのだ。ヒーローが相対するのは、大抵が手の内がはっきりしていないか、はっきりしていてもせいぜい個性と前科がわかっているぐらいのヴィラン。この、初対面の相手と戦うという環境は実戦演習として正に最適である。
「……今年のA組というクラスを見ていてわかったことがある」
先程から事あるごとに話しかけてきていたMs.ジョークに、相澤は今度は自分から話し始める。
「連中は気付いてないだろうが、A組には3人の存在が大きな影響を与えている」
どいつもクラスの中心にいるわけでもまとめているわけでもない。うち2人に至っては仲は最悪。クラスで何か揉めていたら半分以上はそいつらだ。
「だが、2人の熱は自然とクラスに伝播していく。何の因果か大事の渦中には必ずどちらか、あるいは両方が関わっている」
そして、そこにもう1人が術を与える。
「もう1人は事件を起こすわけでもないし基本的に優等生。クラスの端っこにいるタイプだ。ただ、努力を病的なまでに重ねる。そして他のやつにもそれを自然に求める。必然、2人の熱に煽られた生徒に進む道をそいつが示し、熱を絶やさせない」
俺はな、ジョーク。心配してるんじゃない。このステージでの奴らの成長に期待しているんだ。
「ベタぼれかよー!」
「……ふん。なんとでも言え」
惚れていると言えば、惚れているのかも知れない。A組の成長は、例年の生徒と比較しても遥かに速い。この、本来なら2年生次に取得を目指し、それでも脱落者が出ることのある仮免試験で脱落者0のまま善戦し、生徒によっては周囲を気にかける余裕すらある。
そんな彼らに、期待するなと言う方が無理なのだ。
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「百竜、いなくなってるかと思ったらいつの間に」
「耳郎が地面割った時に突破した」
「第一突破者ってことか」
「まあ、俺は個性の全部なんて見せた覚えはないしな」
雄英勢は、最後の11人の枠に9人が滑り込み全員が勝ち抜き戦を突破した。最後に残ったのはクラスメイトのために奔走していた飯田やそれをカバーするために残っていた尾白、障子などだったが、最終盤に全員が集結して突破することが出来た。
流石に夜嵐イサナとの会話の内容もつきてぼうっとしていた呼人が戻ってきた尾白とそんな話をしていると、再度放送が入る。
『えー突破した皆さん、これを御覧ください』
そう放送が入ると同時に、今まで消えていたモニターに映像が入る。そして直後、待機所の外から聞こえた爆音とともに映像内の試験場で大規模な爆発が発生する。複数箇所で発生したそれによってビルや倒れ、地面は砕け。街並みを想定していたであろう会場は見るかげもない。
『皆さんには、この被災現場のバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます。ここでは仮免許を取得した者として、適切な救助活動が行えるかどうか。それを見させて頂きます』
画面を見ているうちに、映像内に複数な人影が現れて被災現場となった試験会場を歩いていき、瓦礫の間など明らかに危険な場所へと入り込んでいく。受験者は一様に驚いているが、彼らは要救助者のプロ。すなわち、こういった試験、あるいはヒーロー事務所での演習において要救助者役を演じることを生業としている者達であり、その意味では被災現場を歩いていても自分たちの身の安全はある程度は確保している。
『現在、被災者に扮した『HUC』がエリア全域にスタンバイしています。みなさんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます。尚試験は、この救助演習での活動をポイント制で採点し、演習終了後に集計して合格者を決めます。10分後に始まりますので今の内にトイレなどに行っておくように―――』
放送が終わると同時に、ガヤガヤと周囲が騒がしくなる。そんな中、一部の雄英生徒は早くも方針を話し始めていた。
「俺は要救助者を運ぶよ。障子は探知出来るだろ?」
「……そうだな。俺と耳郎、八百万、後は百竜が探せる」
「俺と障子のコンビなら同時に複数人でも運べるぞ? 俺がでかい状態になって障子が一緒に乗って支える感じで」
「……状況次第で考えたほうが良い」
「お茶子瓦礫撤去出来るよね?」
「うん! うちこういうのめっちゃ得意! 耳郎ちゃんが探してくれたらうちが助けるよ!」
「私はその場で足りないことに対応しますわ」
そして、サイレンと事件の概要の放送とともに救助演習が始まる。
救助活動なんて、やることは限られている。いる人間を助けて、治療するか治療できる場所まで連れて行く。それだけだ。それぞれにどの順番で対処するかとか、何を気をつけないといけないかなんて考えなくてはいけないこともあるが、基本相手が『死ぬか死なないか』を基準に考えれば良い。呼人はそう考えていた。
だから、相手が泣いている人間だろうが傷を確認した後容赦なく抱き上げて仲間のところへ運び、後方、あるいは別の学校の生徒が作った発着場へと運ばせる。今相手が泣いているかとか、怯えているかとか、そういうのは優先事項ではない。目の前の瓦礫の下に埋まっているであろう人間を何人回収できるか。
「そこの長い黒髪のあんた! 10時の瓦礫の下1メートルに1人入ってる! そっちのあんた、その岩の裏側に1人いる! それ崩すなよ!」
雄英のところから飛び出して、更に広範囲、あるいは手が及んでいないところまで尾白や障子ら救助要員を運んでは放り出してくる。一体どうやって入り込んだのかと聞きたくなるような場所までHUCの人間が入り込んでいる現状では、一番必要になるのはどこに要救助者がいるかという情報であり、そしてそれを与えられる人間というのは事の他少ない。翻って、傷病者を運んだり救助するのなんて、場所にもよるが誰にでも出来る。様々なことが出来る呼人や八百万は、足りないものを埋めていくのが正解なのだ。
そして、再び破壊音が響き渡る。
『ヴィランが出現! 追撃を開始しています。現場のヒーロー候補生はヴィランの制圧と救助を並行して行ってください』
それを聞いた直後、呼人は周囲を見渡して手空きの人間がいないことを確認すると、先程尾白、障子らを放り出したあたりに戻る。途中で直近の救助者に向かってない切島、上鳴を見つけたのでそれにも声をかけた。
「切島上鳴乗れ!」
「乗れって、どうすんの!?」
「お前ら救助じゃ実力発揮できないんだろう! とっととヴィラン制圧してこい!」
呼人が端的に説明すると、2人は顔を見合わせて頷く。自分たちの個性が救助においては大して、というかほとんど役立たないのはわかっていたのだ。上鳴においては、場合によってはAEDになることも出来るがその出力の練習はまだしていない。いきなり人間にぶちかまして試す事も出来ないので当然の判断だ。
「速え! ってちょ落ちる!」
「捕まってろ。ナイフでも爪でも突き立てて良いぞ」
「んじゃ遠慮なく!」
捕縛布はまだ扱いきれないので装備していないものの、イレイザーヘッドにならってナイフを装備している上鳴が背中の突起に引っ掛ける形で体を支える。流石に突き立てるのは躊躇われたからだ。
「障子、そっちは」
「まだ数名残っている。尾白の手も残しておきたい」
「わかった」
当初の目的であった尾白と障子のいる場所にはまだ要救助者が残っており、更に他校の生徒を含めても手が足りていない。そこから引き抜いていくことは出来ないので、更に切島をその場に降ろして上鳴を載せたままヴィランの出現した地点に向かう。
「逆だったな」
「え、何が?」
「状況的にヴィランを足止めできるやつがいる。後轟とあの士傑の奴に巻き込まれて大丈夫なやつ。そう考えると、お前じゃなくて切島だった」
「待って俺あそこに置いてかれるの!?」
「取り敢えずあの喧嘩してるバカどもの尻拭いしてこい!」
行って来い! と急ブレーキをかけて背中から上鳴を放り出す。ひょわー! なんて情けない声をあげていたが、ちゃんと受け身を取って着地していたので心配は無いだろう。更に見事なことに、空中にいる間にギャングオルカの周辺に向かって複数のターゲットを設置していた。そして着地と同時に放電。複数のターゲットの間を駆け巡った電撃が、ヴィラン役を引き受けたギャングオルカに直撃し、更にその周囲に電気の檻を形成する。
呼人が見ていれば見事と感心していただろう。残念ながら既に背を向けていたが。
そして電撃で足を止めたギャングオルカの体を、轟が放った炎を巻き上げた夜嵐の風が包み込む。戦場で半目していた2人だが、互いに危機的状況に陥ってようやく協力することが出来た。
一方ヴィランの現場から離れた呼人は、最後に残っているであろう障子らの所に向かった。
そしてそこで最後の3人とそれを支える障子、尾白を背中に載せて救護所へと走る。背中に固定することさえできれば、完全にモンスターになった呼人はトラックのように荷物を運ぶことが出来る。今回はそれが人間になっただけの話だ。
そして、その3人が救助されると同時に試験終了のアナウンス。仮免試験が終了した。
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『―――ということで取り敢えず合格点の方がこちらです。五十音順になってるのでそのつもりで見てください。今の説明を踏まえた上でどうぞ』
全員がコスチュームから制服に着替えて再度一番最初の説明を受けた場所に戻ってきた後、目良から採点方式の細かい説明がされた。そして合格者の好評が行われる。
呼人も無事合格していた。正直出来ることは取り敢えず全部やったつもりなので、あれで落ちていればどうしようもないし感慨はそれほど無い。
クラスでは、残念ながら轟、爆豪の名前が無い。実力者である2人だが、この救助演習に関しては減点基準を満たしてしまい合格点に達しなかったのだ。轟の方は、呼人も見た夜嵐との揉め事で大減点をくらっていそうだからわかるとして、爆豪の方はどうしたのだろうか、と少し思ったが、上鳴と切島が爆豪にかける『暴言駄目よ』という言葉で大体のことはわかった。大方、要救助者相手に『てめーで助かれや!』などと無茶を言ったのだろう。まあ呼人も自分で歩ける負傷者には『自分で歩け』と言いかけて他校の生徒に引き継がれた事があったので人の事はあまり言えないのだが。
『えー全員確認していただけましたかね。続いてプリントを各人にお配りします。採点内容が記載されているのでしっかり確認しておいてください』
「百竜くん」
「はい」
ヒーロー公安委員会の人間が配って回っている中で、呼人の名前も呼ばれてそれを受け取る。さらりと確認すると、点数は96点。減点された内容は、泣いている要救助者に対して励ます声掛けが出来ていなかったことと、説明をする前に他の者を移動させていたこと、そして要救助者を不安にさせたこと。状況の判断が不的確という減点はなかったので、恐らくはちゃんと自分以外にも分かる状況にしておかないといけないということなのだろう。実際には、尾白や障子のように一言でわかってくれる相手だけではないのだ。
「百竜どうだった?」
「まあぼちぼちだ。そっちは?」
「俺は79点。全体的に何すれば良いかおろおろしてたときが多かったからみたいだ」
「……尾白は救助においては索敵の指示が無いと下手に動けない。その間に、他の学校の生徒との意思疎通を図ったりしなければならなかったということだろう」
「うん、そんな感じみたい。百竜のも見せてよ」
互いに採点用紙を見せあっている障子と尾白に求められて、呼人もプリントを見せる。
「うわっ、これむしろ何で減点されたの……」
「む……ぼちぼちではないぞこれは」
周りの声を聞く限り90点台というのは非常に稀のようだ。それもそのはずで、この減点基準には行動の直前の躊躇いや足が止まっていることなども含まれている。終始必要なことを考え続けて走り続けた呼人は、少なくともそれには当てはまらなかったのだ。そのため減点が相当に少ないのである。
「百竜、自分の判断は正確なのに周りに伝わってない感じだね」
「あんま伝える気も無かったからな。お前らなら何も言わなくても勝手にやってくれるだろうし、他の学校のやつもそれぐらい出来ると思ってた」
だから、『そこに要救助者がいる』という短い指示しかしなかったわけで。そこからの救助は各自でやってくれという意思の現れだった。ただそれがいくらか適当さを感じさせるものであったこと、特に要救助者と接する場面においては、要救助者を運ぶのではなくヒーローを連れてその場を離れたりと不安にさせるような行動があった。
やがて全員にプリントが配られ、説明が終わる。合格したものだけではなく、不合格であった轟、爆豪らにも配られていたのは、今後のためだろうか。
『合格した皆さんは、仮免許要項に従って緊急時に限ってヒーローと同等の権限を行使することが許可されます。つまり、ヴィランの制圧、事件事故現場における救助活動など、ヒーローの指示無しで自己の判断で個性を使用して動けるようになるということです』
―――しかしそれは同時に、皆さんの行動に大きな社会的責任が生じるということでもあります。
元来、個性出現以降の超常社会においては『個性の自由な使用を禁ずる』という形で個性が社会に大きな影響を与えないようにと社会を作ってきた。その中で、それでも有用な個性の使用を許可されたヒーローには、当然ながらその使用とその影響に対して大きな責任が課せられる。
旧時代で言えば、火薬や麻酔薬、その他医療用の薬など、その危険性が認識されながらも有用性を求められて資格制かつ申請制など制限された状況においてのみ使用されてきたものとなんら変わらない。現代でも使用されている麻酔なんかも、使い方を間違えれば依存性のある薬物となるのだ。
『皆さんもご存知の通り、オールマイトという
呼人は以前までは軽視していたが、オールマイトという抑止力は巨大なものである。それこそ、犯罪を犯せば必ず捕まる、とわかっていて犯罪をポコポコ犯すようなヴィランはいない。もちろんオールマイト以外のヒーローもヴィランを捕らえてはいたが、彼はその圧倒的な実力とスマイル、そしてカリスマ性で世界中のヴィラン予備軍達に伝えていたのだ。
『たとえどこで犯罪を起こそうと、私は行くよヴィランの諸君』、と。
そう伝える力が他のどんなヒーローよりも圧倒的に強かったのがオールマイトという、文字通り存在そのものが“平和を生み出す”存在だったのだ。
『今回みなさんが取得したのはあくまで“仮の”ヒーロー活動認可資格免許。まだ半人前程度に考え、各々の学舎でさらなる精進に励んでください。そして、えー不合格となった方々』
目良の言葉に、不機嫌そうに表情を歪めていた爆豪や、他校で不合格となった生徒たちが顔を上げる。
『今回は点数は足りませんでしたが、君たちにもチャンスはまだ残っています。3ヶ月の特別講習を受講した後、個別テストで結果を出していただければ君たちにも仮免許は発行されます』
『今私がお伝えした“こらからの脅威”に対応するためには、より“質の高い”ヒーローがほしいのは当然ですが、そうしたヒーローが“なるべく多く”ほしいのも事実です。一次試験は『落とすための試験』でしたが、そこで残った100名はなるべく実力のあるヒーローまで育てていきたい。そういうわけで救助演習では途中で失格とせず最後まで全員を見ていました。事実、不合格となった者達は見込みがないわけではなく、むしろ今回減点された点を修正すれば合格者以上の実力者足り得る者ばかりです。学業との並行で忙しくなるとは思いますし、無理にとはいいません。次回の試験は来年の4月、後半年と少しでもう一度機会があるわけですし―――』
「やります!! お願いします!」
目良の説明を遮って叫んだのは夜嵐だ。それに触発されたように頷く他の不合格者に、目良は表情筋を一切動かさないながらも満足する。向上心のない者は、今後のより苛烈を極めていくヒーローという世界では生き抜いていけないのだ。
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全てが終わり、バスに戻っている最中。談笑するクラスメイトから離れて呼人は相澤のところへと行った。
「相澤先生、試験前の件は」
「プロで対処した。その件については他言無用だ。それと、何度も言うが個性の無断使用は認められていない。たとえお前がそれを証拠として言い出しても信用させることは困難だ。外に全く見えない形である以上お前が言い張れば罰されることもない。だが学校に戻ったら補習を3時間受けてもらう」
「了解です」
全くもって堪えた様子がない呼人に、相澤は小さくため息をはく。法というのは、たしかに行動に対して後から制裁を貸すものではあるのだが、その本質は制裁を事前に示すことで法に反する行動を抑制するところにある。だから、その制裁を意に介さない人物がいる時点でその効力は失われてしまう。法の遵守と自分の重視する行動を天秤にかけたとき、たやすく傾いてしまうというのは呼人の悪癖とも言えるものであった。
当該ヴィランは、相澤を始めとする各校のプロヒーローによって捕らえられたが、その事実は動揺をもたらすだけとして受験者たちには一切伝えられていない。ただ、再度、ヒーロー科の学生が狙われたということで士傑、そしてその他の高校でも雄英ほど金があるわけではないが寮制への移行などが議論されることとなる。
結局シンプルな形になりました。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
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欲しい
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勝手にニヤつくからいらない
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あまり興味がない