竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
「おい。後で表出ろ。テメーの個性の話だ」
仮免試験直後の夜。珍しく自室から出て、というかクラスメイトに引きずり出されてお疲れ様会に参加していた呼人の耳にそんな言葉が響く。人より鋭い聴覚が拾ったその声は、緑谷の隣に立つ爆豪から発せられたものだった。
呼人はさり気なく席を立ち、爆豪の後を追う。揉め事なんて割り込むものではないと思うしよほど拗れ過ぎない限りは勝手にやれば良いとは思っているが、それでもやり過ぎることだけは釘を指しておく必要がある。
「やりすぎるなよ」
自室に戻ろうとするその後を追って声をかけた呼人に、振り返らずに爆豪は答える。
「……わかっとるわ一々口出すなクソが」
「ならいい」
「止めんのかてめえは」
「どうせいつか爆発するなら適当な所で爆発させとけば良い。退学にならん程度にな」
それ以上答えることなく爆豪は部屋へと戻っていく。大方、夜のうちにまた彼は何か変わっているのだろう。
誰よりも強さに執着しているように見えて、彼は常に何かしら悩みを抱えているというのにクラスで気付いているのはおそらく呼人ぐらいだ。あの爆ギレ具合になれているからこその、その中に潜むものに気づくことが出来た。積極的に手を差し伸べたりなんてしないし、あのタイプにはそれは逆効果なのはわかっている。本人が吐き出したい形で吐き出させるのが一番良いのだ。大方話は緑谷とオールマイトから同じ気配を感じることに関わっているのだろう。
翌朝。朝のランニングから戻った呼人が見たのは互いに傷だらけの緑谷と爆豪。ちらりと視線を向けた呼人に爆豪が
「やり過ぎてはねえ」
と言ったのが妙に印象的だった。
それだけ傷をこさえていれば、呼人の常識ならともかく一般の常識に照らし合わせればやりすぎなのではないかと。そこまで考えて『お前が言ったように』と言っているのであれば大したものである。
******
「前も思ったが、なんで式なんてものが存在するんだ?」
「なんでって……意思統一をするためとか?」
「前みたいに前で話すだけならプリントでも配ってくれれば目を通すのに。調べてみるか」
退屈な式にぼやく呼人を尾白がなだめる。どうせ精神世界で殴り合いでもしているので問題は無いのだが、不思議なのだ。聞けば、どこの学校でもやることだという。それもまた人間であるが故のことなのだろうと、呼人は自分を納得させた。
ついでに後方で切島達と騒いでいるB組の一部の生徒から鋭い目が向けられた気がするが、何を言ってくるわけでも無さそうなので無視をする。逆に隣を素通りしようとする心操には手を振ってやると、心底嫌そうな表情をされた。
つつがなく、というか話をほとんど右から左に流して始業式が終わり、後期始めのホームルームが始まる。
「―――今日は座学だけだが、明日からはより一層厳しい訓練を行っていく。各自準備を怠らないように」
「先生、1つ良いかしら」
「なんだ」
相澤の話が途切れたところで蛙吹が挙手する。
「さっき始業式で校長先生のおっしゃっていた“ヒーローインターン”ってどんなものなのかしら」
「それについてはまた後日やるつもりだったが……概要だけ先に説明しておこう。一言で言えば『郊外でのヒーロー活動』。以前行った職場体験とは違って本格的にヒーローとしての活動を体験する活動だ」
「はあー、そんな制度が……あれ?」
そこで何を思ったか麗日が勢いよく挙手しながら立ち上がる。
「先生! じゃあ体育祭で頑張って職場体験のスカウトもらったのは意味なかったんですか!?」
「インターンは体育祭で得た指名をコネクションとして使うんだ。簡単な話、職場体験ではお客様として受け入れてもらえたがインターンでは戦力として数えられることになる。使えるかどうかわからない相手を受け入れるほどプロヒーローも暇じゃない。だから体育祭で指名をもらえなかったものは、そもそもインターンの受け入れ先が無いんだよ。わかったら座れ」
「ご、ごめんなさい」
麗日を座らせた相澤は、改めて今後の方針を説明する。
「インターンは生徒の任意で行う活動だが、仮免を取得しているおかげで個人の選択でより本格的かつ長期的に活動に参加することが出来る。ただ1年生での仮免取得自体はあまり例がないし、仮免試験でもわかったと思うがお前らには時間の都合上まだ足りないことが多い。本来なら後1年学んだ上で参加する活動だからな。だからこっちとしても慎重になってるのが現状だ」
ヒーローとして活動する以上責任が伴う。仮免試験の突破はその責任を果たす能力があると認められた証ではあるが、それと雄英での評価はまた別の話だ。
「まあ、上級生の体験談なども含めて後日ちゃんとした説明や今後の方針について話す機会を設ける。以上。マイク」
『YEAHHHH! 1限は久々の英語だぜー!』
相澤が話を切り上げると同時にマイクが教室に入ってきて、考えている暇もない。また、慌ただしい日常が始まるのだ。
******
始業式から3日後。謹慎明けの緑谷が復帰してはじめての授業で、インターンに関する説明が改めて行われることになった。
「入ってきてくれ」
相澤の言葉とともに教室の扉が開き、3人の生徒が入ってくる。そのうちの1人に、呼人は見覚えがあった。相手も呼人に気付いたのか明らかに表情が明るくなり目がランランと光っている。
「職場体験とどう違うのか、実際に経験している人間から話してもらう。それぞれ多忙な中都合を合わせてくれている。ちゃんと話を聞いておけよ。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名―――通称、ビッグ3だ」
相澤の説明に、クラスがざわめく。ヒーロー科はそれぞれの訓練などが忙しく、またクラス内での仲が高まりやすいのもあって上級生どころか同学年でもクラスが違うと関係が希薄になることが多い。そんな中において学年が2つも離れている3年生のことを知っているものはいないが、それでも名前が響くぐらいには彼らは有名であった。
「じゃ、手短に自己紹介してくれ。まずは天喰から」
そう相澤が言うと同時、1年生から見て右端に立っている黒髪の男子生徒の視線が鋭くなる。その迫力に皆が気圧される中、ポツリと漏らす。
「……駄目だ、ミリオ、波動さん……じゃがいもだと思っても全然そう見えない。何を話せば良いんだ……もう辛い……帰りたい」
そう言うと後ろを向いてしまう。天喰環。彼は極度の人見知りかつネガティブな人間であった。それにクラスがざわつく中、隣の少女、呼人もよく、というほどではないが知っている少女がフォローする。
「あ、天喰くん私知ってるよそういうのノミの心臓って言うんだよね! 人間なのにノミって不思議!」
そうフォローなのか止めを刺しにいっているのかわからない言葉を天喰に投げかけると、1年生の方を向き直る。
「彼は『天喰環』くん。私は『波動ねじれ』。今日はインターンについて皆に話してほしいって頼まれて話に来ました」
職場体験ではなかなかの不思議ちゃんっぷりを見せつけてくれた波動だが、こういう場では一応ちゃんとできるのだ。
と思いきや。
「ヒャクリューくん後でまた猫ちゃんになってね! また見たいから! 私楽しみにしてたんだよ、知ってた?」
「知りません。お断りします」
場の状況を無視してぶっこんでくるのは変わっていない。
「なんでー!」
「……合理性に欠くな」
まともな説明を始めるはずが呼人に向かって話しかけまくって波動に、相澤はポツリと呟く。自由人が多いとは聞いていたが、なかなかの自由人っぷりにその表情も引きつり気味だ。
「大トリはおれなんだよね! 前途ー!!?」
3人目の通形に至っては1年生の応えを待っているのだが、何を答えれば良いのかわからない彼らからは答えが帰ってこない。
「多難ー! よしツカミは大失敗だ!」
その威厳の欠片もない様子にクラスメイトも怪訝そうな様子だが、呼人は珍しく頬を緩めていた。
通形という男から感じる気配は、なかなか心地よい。あるいは、彼らの足元に及んでいるような。そんな気配。
「まあ何が何やらって話だよね。俺もそう思う。いきなり現れた面識の無い三年生ってわけだしね。にしても、一年から仮免取得、って今年の1年生、良いよね。とても元気がある」
そうだねえ、と楽しそうに言う通形に、はっとした表情のビッグ3の残り2人がはっと顔を上げる。
「君たちまとめて、俺と戦ってみようよ!」
やはりビッグ3などと呼ばれる人間は、どこか頭のネジの指し方を間違えているらしい。
******
まさかの通形の案が相澤にも認められ、全員着替えてTDLを訪れることになった。
「あの、まじでやるんすか」
「マジだよね!」
困惑する1年生を他所に、通形は準備運動をしている。そんな通形に、黒板の代わりに壁に貼っ付いている天喰が声をかける。
「やめておいた方が良いミリオ。話すだけで十分だ。ミリオみたいに全員が上昇志向に満ちてるわけじゃない。立ち直れなくなる子が出るかもしれない」
「私知ってるよ! 昔ヒーロー諦めてから問題起こしちゃった人がいるんだよね! 大変だよ通形そんなことになっちゃったら。ね、ヒャクリューくん!」
自由人に絡まれている呼人は、彼女の伸ばしてくる手を遠ざけながらも答える。
「まあ、大丈夫じゃないですか。ここまで俺相手に折れてないので」
「! 言うよね君! 何君だっけ!」
「ヒャクリューくんって言うんだよ!」
「最後を伸ばさないでください」
「ヒャクリュくん?」
「いえそうではなく」
事も無げに返した呼人にクラスメイトらは驚くが、同時に一部の者達は納得もした。呼人がずっと本気になっていなかったのは、通形の言うような事も懸念してくれていたのではないかと。実際演習においては自分たちの課題を明らかにしてくれるような動きをするし、その後そのことについてしっかり指摘してくれる。個性の強化においても思いつかなかったようなアイデアを与えてくれた。思えば、ずっと身近にそういう相手がいたのだ。
「通形先輩。我々はハンデありとはいえプロとも戦っている」
「それにヴィランとも戦ったことがあります! そんな心配されるほど俺ら弱そうに見えますか?」
「うん、いつかかってきても良いよね。1人ずつじゃなくてもいいよ!」
あくまでお前たちは格下だという態度に、喧嘩っ早い数名は表情を歪ませ、そうでないものもかちんと来ている様子だ。そこまで全て通形の策略であるわけだが、それに気づくものはいない。
緑谷が一番手として前に出ると同時に、他のクラスメイトも動き始める。
「近接隊は一気に囲むぜ! んじゃ先輩、ご指導のほど―――」
―――よろしくおねがいします!
切島が叫んだ直後。一番手の緑谷が動き出す。それを呼人は一番うしろ、少し離れたところで見ていた。
「ヒャクリューくんは行かないの? みんな集まってるのに不思議!」
「いや、俺は1人で戦ったほうがおもしろそうだなと思って。通形先輩強そうですし」
「わかるの? 凄いんだよ! 通形!」
視線の先では、緑谷の攻撃を躱し、更に他のクラスメイトの攻撃も躱した通形が姿を消していた。
(服が落ちた、とすれば透過系、あるいは本体だけ瞬間的に別の場所にワープする類か、別空間に収納される類……)
そして直後、後方から攻撃していた数名がその攻撃にやられて倒れる。
(あの移動速度、ワープ……じゃないな、やっぱりすり抜けてる方の説明がつかない。明らかに姿が残っているし、芦戸の酸なんかは不定形だから形に完全に合わせて体を消すのは不可能だ。となると―――俺と一緒の可能性があるな)
「お前らいい機会だしっかりもんでもらえ。通形ミリオは俺の知っている限り、最もNO.1に近い男だぞ。俺達プロも含めてな」
相澤の言葉が響き終わる頃には、半数近くが無力化されていた。大体のクラスメイトが近接に弱いメンバーだったのでまあわかるが、しばらく呼人と尾白が鍛えていた障子も僅かな抵抗の後に瞬殺されたのは通形の実力の高さ故のことだろう。
「凄いですね通形先輩。透過するだけの個性であそこまで自由に動けるとは。防御だけじゃなくて攻撃、移動にまで上手く転化してる」
ポツリと漏らした呼人の言葉に、近くで戦いを見学していた波動がびっくりした顔を向ける。
「ヒャクリューくん詳しいね! なんで? 不思議! 通形見たことあるの?」
「いえ、見てたら大体わかりました。透過して物体に重なった後、おそらく弾き出されてる。そしてその先をなんらかの方法で誘導している。にしても、随分と怖い、というか命がけというか、危ない使い方しますね。まあ俺も人のこと言えませんけど」
普段の基礎訓練から内蔵を危険に晒し続けている呼人が言えたことではないが、通形の使い方も呼人の推測が当たっていればなかなかにクレイジーだ。
「どうゆうこと?」
「あれ透過してるとき―――」
「百竜、見学してないでお前も行ってきたらどうだ」
波動に呼人が答えようとしたとき、近くで不参加の轟と共に見学していた相澤が呼人に声をかける。
「行ったほうが良いですか」
「体験しておかなくて良いのか? トップに近い男だぞ」
「それじゃあ、まあ」
一通り見たので後は頭の中で戦い方を組み立てて実際に動かしてみて、ということをイメージでしたかったのだが、たしかに呼人の組み立てた最善と通形のやっている最善は違う可能性があるし、踏み込みなどの呼吸とも言えるものは実戦の中でしか見えてこない。
他のクラスメイトが倒された中、呼人は通形の前に歩み出る。
「通形先輩、遅くなりましたがお相手よろしくおねがいします」
「良いよ! それじゃあ行くんだよね!」
ミリオが立っている場所から地面に沈み始めた直後、呼人は小さく飛び退る。通形の拳の射程とそれまで攻撃してきた地点から考えてここに飛び出してくるであろうという場所。直後、地面から飛び出したミリオの体がそのまま呼人の体を縦に通り抜けて頭上に出現する。
「おっ、やるね君! でも甘いんだよね!」
呼人の頭から飛び出して状況を瞬時に察したミリオは片足を大きく振り上げて離脱しようとする。だがその体は彼が思っていたよりも更に上へと運ばれた。呼人が手を変化させて伸ばしてその足と重なる部分を作り続け、より上方へとはじき出したのだ。空中に打ち出されたミリオに向かって呼人は飛び上がり拳を放つが、当然ながらそれは透過される。だが狙っていたのはそれではない。勢いを調整していた呼人は通形とともに落下を始め、更に手を巨大化させて通形の胴体と常に被らせるように勢いよく振る。その移動の速度は相当のもので腕を一回転させる頃には呼人の動きも追いつかなくなり、通形は凄まじい速度で射出されていった。普通ですら高速で弾き出されるが、超高速の物体から弾き出されたのだからその速度は推して知るべし。コンクリートの柱に埋まって消えた通形は再び出現すると、いそいそとズボンを履く。
「君結構やるんだよね! 今のはちょっと肝が冷えたかな!」
「あの見えてない状況からよく反応しましたね。それとも重なってない部分は感覚が戻ってきてるんですか?」
「戻ってきてるんだよね! いきなり振り回されるからどうしたものかと思ったよ! でもよく気付いたよね!」
そこで相澤が声をかけて、呼人と通形の戦闘は終わりとなった。呼人も否やはない。彼の個性は、究極的に言えばほとんど不死身だ。仕留めるとすれば周辺一帯超広範囲を毒ガスで埋めるか、人間の知覚外からの攻撃で不意打ちするか。いずれにしろ、気づかれていれば全て透過し、別の場所に弾き出されることで無効化されてしまう。仕留めるすべがほとんど無い。本当に面白い個性の使い方だ。あれが出来る者はモンスター達の中にもいない。おかげで血気盛んな連中が自分もやりたいとハッスルしはじめていて精神世界が大変である。
うずくまっていたクラスメイトが立ち上がり集まった所でミリオが声をかける。
「とまーこんな感じなんだよね! ちんちん見えないように頑張ったけどごめんね女性陣!」
「わけも分からず全員腹パンされたんですが……」
呼人以外は綺麗に全員腹へのパンチ一発で仕留めていたようで、揃って腹を抑えている。だから鍛えておけと言うのに。少なくとも殴ったら相手の拳が痛いぐらいまで鍛えておけば良いのだ。そんな脳筋なことを呼人が考えていると、通形が話を振ってくる。
「じゃあ百竜くん!」
「はい」
「戦ってみて俺の個性とか戦い方について気付いていたみだいだよね! わかったことを言ってみてもらえるかな!」
他のクラスメイトの、通形の個性をずるだ、強個性だという発言を受けての質問である。
「個性は『透過すること』ですよね。高速でワープしてるように見えたのは、地中に重なって実体化することで弾き出されたから。透過するとわかっていれば狙ってくる実体化する瞬間への対策もできてる。個人的に凄いと思ったのは透過直後の位置の予想でしょうか。みていて目が泳ぐことが全く無かったので、位置を完全に予想しきれているんだろうなと感じました。後地中から弾き出されるのに空気中では弾き出されないのは少し疑問です。物質と重なっているという状況は同じだと思うので差はなんだろうかと」
「うん! じゃあそこまでわかってるなら俺の個性のデメリットも当然わかってるんだよね!」
「透過している間、全ての物質を透過する以上光、後は酸素、それに匂い、音、触覚全て透過してしまうので、多分何も無い真っ暗闇ですよね」
「その通りなんだよね!」
すらすらと答えた呼人にクラスメイトが奇異の目を向けるが、再度通形が話し始めたので視線がそっちに向かう。
「今聞いたのを考えれば分かる通り、俺の個性ってとっても使いにくいんだよね。例えば壁1つ通り抜けるにしても片足だけ実体化させたまま残して体を壁を通り抜けさせた後、最後に残った足を引き抜く。簡単な動きでもいくつか工程がいるんだから戦闘で相手の体を通り抜けるときなんてもっと大変だよね。しかも透過するところによっては息ができなくなったり何も感じなくなったりするわけだしね」
「まじ……急いでるときほどミスりそう……」
「何も感じなくなって動けるもんなのか?」
「当然! 出遅れたよね! ビリッけつまであっという間に落ちたしついでに服も落ちた」
そう言うと通形は自分の額を指差す。正確にはその先にある頭脳を。
「だから、俺は誰よりも早くないといけなかったんだよね! 他の人が見てから考える間に予測して動く! そして時に見せて欺く! とにかく『予測』だけが頼りなんだよね! そしてその予測は経験によって生み出される!」
長くなったけどこれが理由さ! と力強く言う通形の言葉に、皆が引きつけられる。
「インターンにおいて俺達は『歓迎されるお客様』じゃなくて一人のサイドキックなんだよね! プロと同列に扱われるのさ! それは時にとても恐ろしい。ヴィランと一人で対峙するのは当たり前だし時には人の死にも自分の死にも立ち合うこともある! でもそうやって得た全部が、学校じゃあ絶対手に入らない“経験”なんだよね!」
「だからやってみようって話さ! 俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ! ので! 恐くても、恐いからこそやったほうが良いと思うよ1年生!」
―――そこで得た経験こそ、何物にも代え難い宝だからね!
そう言って通形はしめくくる。自然と拍手が沸き起こる。それだけ、彼の発言は力強く、そしてヒーローのものだった。
******
「百竜は通形先輩を知っていたのか? 随分詳しいようだったが」
「大体推測と自分の個性に照らし合わせただけだ。動きを見てたらわかる」
「わからないから困ってるんだよ。ちなみにどういうところから推測したの?」
教室に戻る道中、一人通形に抗して見せたということで呼人はクラスメイトから質問攻めにされていた。
「そう言えばよ、百竜が言ってた『俺相手に折れてないので』ってどういう意味だったんだ?」
切島の質問に、そう言えばそんなことを言っていたとその場にいる全員が注目する。
「自分で言うのもなんだが、俺はみんなよりも強いし、それだけの努力をしている姿を見せている。でも皆は折れなかったし、追いつこうとしている。だから実力差を見せつけられたぐらいで精神的に折れるのはありえないって話だ。そもそもここではオールマイトを見てたわけだしな」
実力的にクラスメイト達が抗しうるとは、正直思っていなかった。個性を使わない呼人でも、まだおそらく制圧出来る。だが少なくとも、危機感や憧れに由来する向上心は十分に持っているのを呼人は知っていた。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
-
欲しい
-
勝手にニヤつくからいらない
-
あまり興味がない