竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第6話 実戦演習・2

 呼人の二戦目の相手、というが、簡単な話、組の数が奇数であるのでどこかのグループが複数回戦う必要があったのである。見方を変えればどこかで2対3をしておけばよかったので、実際には相澤の意向が多分に反映されたペアづくりであった。

 

「最終試合はヒーローサイドがGチーム、敵が百竜少年だ!!」

 

 再びの呼人。その出番は一番最後に回ってきた。対戦相手は音を操る耳郎響香と、電気を放つ上鳴電気だ。先の轟ほどぶっ飛んだ出力は無いだろうが、攻撃に索敵にと使い勝手が良い個性に違いはない。

 

「……どうする? 音はともかく、上鳴は……」

「電気はあいつの専売特許じゃないさ」

「何っ……!」

 

 事も無げに答えて立ち上がる呼人に、障子は思わず振り返る。

 

「電気も……!?」

 

 一体あいつの個性は何だと。障子を大きな混乱が襲っていた。

 

 

******

 

 

 先程同様に建物に侵入した呼人は、今度はビル内を歩き回ってから核の存在する部屋に入る。

 

 今回持って来たのは……水だ。それを思い切り地面に撒き、一箇所だけ、自分の立つ場所ではなく、部屋の隅の方だけ濡れていない場所を残しておく。そして、他に持ってきた道具で室内と、廊下に細工をする。

 

「さてと。こんなもんでOKか」

 

 今回呼人は、相手の音の索敵や電気を潰すつもりは無かった。勿論そうする事もできる。だが、障子の耳とは違って、彼女らのそれは換えが効かない。であれば、潰すのはある意味彼女らに最も相性の悪い敵が当たるというシチュエーションを示しており、それはいささかやりすぎな気がする。

 

 こんな事を戦闘訓練でも考えている呼人だが、それは仕方ない話でもある。なにせ、呼人の持つ教師の数と経験は現役プロヒーローを持ってしても膨大といえるものですらあるのだ。真面目に戦うというよりは相手の弱点に気づかせるという形を取りでもしなければやっていられない。

 

 やがて耳を済ませていた呼人は、断続的な電気の反応を感じる。電気を潰さないとは言ったが、電気を探知しないとは言っていない。大方、耳郎が音で探知をしている間に暇になった上鳴が手遊びぐらいのつもりで電気を放っているのである。どうせならその辺りに導電性の高い金属でも仕込んでみたかったが、無かったので仕方がない。

 

「んー、こりゃ一番だな」

 

 そう言うと、呼人は立ち位置の頭上にぶら下がっているひものうち1つを引っ張る。すると遠方からガランガランという音とともに、

 

「うおっ!?」

「きゃっ!?」

 

 と悲鳴が聞こえてきた。なにせ上鳴が定期的に電気を流してくれるので、いる場所がわかりやすい。それに合わせて目の前に落ちるようにトラップを作動させただけだ。

 

 

******

 

 

「百竜さんは何を?」

「トラップかしら。変な事をするのね」

「今度は何するつもりだ!?」

 

 モニターで今度はしっかり映ったままのそれぞれのチームを見ながら、互いに意見を言い合っている。

 

「障子ぃ! お前あいつと話してただろ!? 何か言ってなかったか?」

 

 何に焦れたのか、峰田が障子の方へと近づいてきてそう話しかけてくる。

 

「……どうした」

「先にわかって教えたら女子にもてるかもしれないだろ!?」

 

 峰田はどこまでも峰田であった。

 

「……先の試合の反省をしていただけだ」

「最後どうするか話してなかったか?」

 

 近くで話を聞いていた尾白に指摘されて、障子は渋々ながら呼人の言葉をそのまま伝える。

 

「……『電気は上鳴の専売特許じゃない』と言っていた」

「はぁ!? あいつあんなこと出来る上に電気まで使えるのかよ!?」

 

 大きな声で叫んだ峰田に、障子は内心で呼人に『すまん』と謝罪を送っていた。そして、呼人に『お前の会話はどこまで話して良いのかわからない』と言ってやらなければ、と覚悟を固めていた。

 

 峰田の言葉に女子陣も反応しそうになるが、その前に戦闘が動いた。

 

「響香ちゃん達が到着したよ!」

 

 その声に、皆がモニターに注目する。映像内では、室内を後方から唱えたカメラに背を向けて並ぶ耳郎と上鳴と、それに相対する呼人の姿が映っていた。

 

 

******

 

 

「百竜! あのふざけたトラップは何!?」

 

 なにかに気付いた耳郎が上鳴の肩を叩くと同時に、イヤホンを足のスピーカーに指して大音量でその心音を流す。それに呼人は、思わず耳を塞いだ。その間に耳郎は、所定のポイントまで走ると叫ぶ。

 

「今!」

「喰らえ俺の全開!」

 

 そう言って振り上げられた上鳴の両腕は電気を発して激しく輝いていた。慌てた呼人が残ったトラップの紐を引くが、耳郎は引かない。

 

「バケツなんてきかないっつの!」

 

 そう言ってバケツを弾こうと両耳のイヤホンを伸ばした耳郎に、バケツが動くと、()()()()が降り掛かってきた。

 

「え、水? やばっ、上鳴ストップ!」

 

 トラップの与えた結果に頓着せず、呼人は天井部分まで跳び上がって剥き出しの天井にぶら下がる。直後、上鳴の電気が、地面に撒かれた水を通って炸裂した。

 

「ううっ!?」

 

 それで倒れたのは、耳郎ただ1人。

 

「えっ、まじっ!? なんでだよ―――」

 

 自分の攻撃の結果に焦った上鳴が慌ててそちらに駆け寄ろうとすると、その足元に向かって数本の巨大な針が放たれ、上鳴をそれを慌ててよける。複数回に渡って飛ばされた針は、その全てが足元を狙っていた。

 

「あっぶね! 才能マンかよ百―――」

 

 思わず文句を言いながら顔を上げた上鳴は目を疑う。そこに百竜は、いなかった。

 

「はっ? どこ―――」

 

 先程の呼人と轟らの戦闘を見ていた上鳴は慌てて頭上を見上げる。

 

「はずれだ。良く索敵しろ」

 

 その瞬間、近くの柱の影から飛び出した呼人が上鳴の首に確保テープを巻いていた。耳郎は上鳴の放電で気絶したままだ。

 

『ヴィランチーム、WIIIIIIN!!』

 

 授業の最後になってもWINのIの字すら減らない。元気過ぎるぞオールマイト。そう呟いた呼人は、まだきょとんとしている上鳴を促して気絶した耳郎を起こし、クラスメイトの待つモニタールームへと向かった。

 

 

******

 

 

「はい! 今の戦闘、分かる人!!」

 

 オールマイトの質問に、今度もまた八百万は手を上げない。ある程度はわかっているが、自分の気付いていない何かがあると考えてしまったわけだ。代わりに手を上げたのは、切島だった。

 

「はい。百竜が上鳴の電気をわざと撃たせて自爆させた、って感じっすよね」

「うん! 大正解! けど、百竜少年がしかけたのはそれだけじゃないぞ!」

「バケツの落ちてくるトラップ、っすか?」

「それもあるし、他にもあるぞ!」

 

 そう言うオールマイトに、皆考え込む。

 

「それでは切島少年!! 百竜少年が廊下にしかけていたバケツトラップは、何のためだと思う?」

「え、攻撃のため、っすか?」

「ノンノン!」

 

 切島の答えを否定するオールマイトに、今度は戦闘に参加していた耳郎が手を上げた。

 

「うちらにバケツが“落ちてくる”って思わせるため、っしょ?」

 

 耳郎の答えは、最後は呼人に向けての問いかけだった。それに呼人は頷いて答える。

 

「そうだな! 耳郎少女、あのバケツが落ちてくるトラップをどう思った?」

「……ふざけてるのか、って思いました。てか苛つきました」

「うん! 私もそう思った! でも苛ついた瞬間こそ冷静に、だ。百竜少年のトラップは、最後の水の入ったバケツまでが1つのトラップだった! そして上鳴少年!」

「は、はいっす!」

「味方を攻撃しちゃって焦るのはわかるけど落ち着いて! それも敵の思うツボだ!」

「了解です!」

 

 その後、オールマイトが全体を軽く講評して授業が終了となった。

 

 授業が終わった後、皆が思い思いに教室に戻る中、呼人のところに耳郎が近づいてくる。

 

「百竜、あのトラップって全部狙ったやつ?」

「苛ついて視野狭窄になるところまで狙い通りだった。ちなみに部屋に丁寧に水撒いたのも俺だ」

「……完全に“罠”にハマった、ってことね。やられたわ」

「難しいところだけどな。ほんとに馬鹿なヴィランもいるだろうし。けど警戒して損は無いだろ」

「うん、ってかオールマイトと言ってる事一緒じゃん」

「あの人はちゃんと見えてるからな……上鳴!」

 

 その途中で、呼人は前を歩いていた上鳴を呼ぶ。

 

「なんだよ百竜、この策士め!」

 

 そう言いながら完全に嫌がっているという感じではなく、少しふざけた感じの言い様だ。見た目のチャラ男という印象は全く間違えていない。

 

「何で最後上向いた?」

「そりゃあ轟と障子が上からやられたからさ。また上から来るんじゃねえかと思ったんだよ」

「だから俺は下から行った」

「え、まじ? あれ狙って上向かせたの?」

「足元に攻撃が来て、『下向かされてる』って思っただろ?」

 

 呼人の問に、上鳴は完全に驚いた表情で頷く。足元に複数回の攻撃を来てそれを全部見ながら避けて、直後『上から来たらやられる!』と思ったのだ。

 

「思った思った! んで慌てて上向いたら下から来た!」

「そういうことだ。ちなみに、今日俺がやった戦いは個性が無くても出来る戦い方だ。そして、もし俺が敵でこれを使っていたら―――」

 

 そう言って呼人は、腰から特注のナイフを引き抜く。ヒーローの装備にふさわしくないと言われたが、救助の際に服を破いたりするからと作ってもらったのだ。

 

「お前の頭は体とサヨナラしてる。急所を簡単にさらすなよ」

「お、おう。怖ーなお前」

「そう言えば、何でうちらの時は障子達の時のあれ使わなかったの? あれ、あのうるさいやつ」

 

 ナイフを軽く持ちながらぞっとする事を平気で言う呼人に上鳴が若干引く一方で、耳郎は訓練中から感じていた疑問を尋ねる。

 

「今回は奇襲を仕掛けるつもりは無かったからな。まあ撹乱という目的で言えば使っても良かったが、使われたらお前困るだろ」

「そりゃ困るけど?」

「そんな相性最悪の相手との訓練なんかいきなりやっても意味がない。後上鳴」

「おん?」

「お前は手持ち無沙汰だからって電気パリパリ流して遊ぶな。相手によってはばれるぞ」

「げっ、気付いてたの?」

「それを頼りにバケツ落としてたからな―――」

「才能マンやだ……って言いたいけど才能マンか?」

「あとお前核がある場所で電気ぶっ放すか、普通」

 

 そんな反省会を、途中からやってきた障子や葉隠を含めてしながら教室へと戻る呼人であった。

 

 

******

 

 

「すげえな百竜! 轟に勝つなんてよぉ!」

「凄いね! あの氷はどうやって避けたの?」

 

 下校時間となった百竜の周りには、なぜか何人かのクラスメイトが集まっていた。

 

「獣となる力……だが個性把握テストの時の力は見せていない……」

「あの身体能力で暴れたらどっちの試合ももっと楽に勝ってたわね」

「しかし、一体どういう個性なんだ?」

 

 切島、芦戸、常闇、蛙吹、砂藤、障子、耳郎。個性豊かなクラスメイト達が集まってくる。皆雄英高校のヒーロー科に集まってくる以上向上心の高いものばかり。だからこそ、雄英高校の推薦組である轟を倒した呼人の話を聞きたがっていた。一部のものは、呼人があえて個性をほとんど見せなかったにも関わらず、その正体を知りたがっていた。

 

「轟は氷でビルを覆って完全に油断しきってたからな。障子も味方に圧倒されてた」

「あの障子ちゃんと轟ちゃんの後ろで止まってたのは何かの準備?」

「……いや、いつ障子が気づくかな、と」

「……耳を消した代わりに目を出していればすぐに気付けた……不覚」

 

 訓練直後に呼人に説明されたことだが、改めて言われたことで障子がそれを思い出して落ち込む。

 

「気づかれてたらどうしたんだ?」

「普通に正面から捕縛テープ巻く。2人の個性の感じと体の動かし方は個性把握テストで観察してたからな」

「観察、ってずっと見てたのか?」

 

 切島の問には答え、砂藤の問には障子には見せたことのある索敵時の顔つきになる。

 

「わっ、すごいね!」

「うおっ!?」

「すごい顔ね」

「ちょっと怖いよそれ」

 

 ひどい言われようだ。とはいえ、呼人はそう言われるのも普通だと思っていたので特に何も思わない。

 

「複眼とピット器官、微弱な電気を感知する器官、音を感知する耳と舌、それに鼻で観察していた。身のこなしや動いた時の心音、体の温まり方、匂い……感覚は情報だ。慣れれば相手のことが手にとるようにわかる」

「すげえ、そんなことまで考えてんのか」

「みんなからかなり見られている気がしたからな。俺もお返しに、と思っただけだ」

 

 勝手に観察していたことに、呼人は少し申し訳無さそうにする。野生の癖である、や、周りからも見られていたから、などと言い訳は色々とあるが、あまり好ましく無い事をしたのは自分でもわかっている。

 

「ところで百竜ちゃん」

「なに、蛙吹さん」

「梅雨ちゃんと呼んで。結局あなたの個性ってなんなのかしら」

「う、それ気になる?」

「「「気になる」」」

 

 意外に皆食いつきが良い。が、呼人としては積極的に吹聴するつもりはない。理由は単純で、相当に異質であるため全てを説明するといらぬ問題を呼びかねないし、かと言って部分的に説明して騙していると、いつかはばれるときが来てそのときにいらぬ疑いを生むからだ。

 

「まあ、俺の個性は秘密だ。育ててくれた人にあまり喧伝するなと言われてる。訓練で見られる分には仕方ないけどな」

「まじか~~」

「気になる言い方だな」

 

 ついつい思わせぶりになってしまう呼人の言い方に、他の皆より交わした会話が多い障子と耳郎は苦笑いだ。何かしら言いたくないことがある呼人は、ああ言う言い方しかできないのである。

 

「訓練で見せたのは聞けば教えてくれんの?」

「それぐらいなら」

 

 耳郎に呼人が答えた途端、皆こぞってあれは何だ、と尋ねてくる。尋ねてくるのは、轟と障子の耳を塞いだ、あの音の正体。

 

「あれは鱗だ。ほら」

 

 そう言って呼人はまくった腕から複数鱗を発現させ、それを皆に見せる。

 

「触っても良いかしら」

「毒は無い……多分」

「多分って。まあそう言うってことは大丈夫なんでしょ?」

 

 そう言って耳郎が率先して鱗を手に取ると、皆興味深そうにそれを見る。

 

「鱗から音が出るとは奇怪な……」

「中に音が響く構造があって息を吹き込むとそれに反響、共鳴してあんな音が出る。ちなみに特定の周波数の音をぶつけると激しく共鳴して弾け飛ぶ。障子に使ったのはそっちだ」

 

 へーと興味深そうにしている皆がある程度観察した所で、鱗を消す。

 

「獣化して出したものは消して回収しないとエネルギーを回収できないんだ」

 

 おかげで食費がかさんで困る、と苦笑いする呼人に、皆意外と接しやすいやつなんだなと、彼に対する認識を新たにしていた。

 

「おっと、そろそろ相澤先生に呼ばれてるんだ」

「え、先生に?」

「ちょっと行ってくる。多分時間かかる」




感想やコメントなどで『このモンスター出してほしい』などの展開に関わるリクエストを頂いた場合や、『ここモンスターの設定が間違えてる』と言った指摘などに関しては、ネタバレしない範囲での返答にとどめ、特に後者に関してはあえてそうしている場所の可能性もあるので『ありがとうございます!』しか返せないと思います。


小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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