竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第64話 文化祭へ

 数日後。10月に入った所で、相澤からあることがクラスに向かって告げられた。そのあること、とは。

 

「一ヶ月後に文化祭があります」

『久々に学校っぽい!!』

「何するかみんなで決めよー!」

 

 文化祭。出し物や展示など、学生が主体となってやるお祭り騒ぎ。非常に学校っぽいものである。それにクラスメイトの興奮も高まるが、懸念の声も上がる。

 

「でも先生いいんすかこのご時世!? また体育祭みたいにセキュリティーを示すっつっても状況が違うでしょう!?」

「何だよ切島良いじゃん!」

「でもよ!」

 

 切島の声に上鳴らお祭り騒ぎ大好き組が不満の声を漏らすが、切島の懸念も当然であり、それに委員長である飯田も賛同の声を示す。

 

「確かに……先生、何か開催を決めた理由があるなら説明いただけるとありがたいです」

 

 ただし飯田においては、学校がやると決めた以上そのあたりを考えているのは当然であり、むしろその理由を聞きたいという質問だ。

 

「もっともな話だ。ただ雄英は、お前らヒーロー科だけじゃない。体育祭がヒーロー科の活躍する舞台だとすれば、文化祭の主役は基本的に他科。注目度は比にならんが彼らにとっては楽しみなイベントであるし、何より経営化、サポート科においてはヒーロー科が体育祭でスカウトされるのと同様に文化祭での学科プレゼン次第では企業や事務所なんかから声がかかることもある。加えて、現状ヒーロー科を主体として様々な改革や制限が行われていることにストレスを感じているものもいる」

「そう、か……そう考えると、申し訳なくて何も言えないっすね……」

「そういうことだ。だから簡単に自粛というわけにもいかない。だから今年はごく一部の関係者を除いて学内だけという形での文化祭になる。主役じゃないとは言ったが、決まりとしてクラスで1つ出し物をする必要がある。今日はそれを決めてくれ。委員長」

「はい!」

 

 意気揚々と飯田が前に出て、司会を始める。リーダーとしての風格と落ち着きを獲得してきた飯田だが、こういう場面になると張り切ってしまうのはもはや性分とも言えるものだろう。

 

「まずは候補を上げてほしいと思う! アイデアのあるものは挙手を! 一人一つとは言わないが、あまり増えると大変だから自分の中でも絞ってくれ!」

 

 飯田がそう言うと同時、勢いよくクラスメイト達が手を突き上げる。皆文化祭となればやってみたいことは当然存在する。そんなクラスメイト達を、呼人は楽しげに眺めていた。正直、文化祭がどんなものか想像がつかない。小説などで読んだものでは、演劇をしたり、後は音楽を演奏したり。他にも何か食べ物を提供するというアイデアもあったように思う。

 

 ただ、呼人自身には何がどう楽しいものなのかあまりわかっていない。だからクラスメイトの意見を見ているのだ。

 

「メイド喫茶が良い!」

「腕相撲大会!」

「クレープ屋なんてどうだ?」

「触れ合い動物園……」

 

 見ている間にも、着々と意見は出ていく。一部意味不明なものを言っているものもいるが、呼人を除く全員がアイデアを発表した。

 

「百竜君は良いのか?」

 

 飯田にそう訪ねられて、呼人は首を振る。

 

「あまり思いつかない。どれも楽しそうだし、みんなの意見から決めてくれ」

「わかった。ではこの中から決めたいと思うが―――」

「まずは不適切なものを消させてもらいました」

「はなから聞くなや!」

 

 結局、議論と言う名の各々が勝手に意見を言い合う会は無駄に白熱し、飯田が途中で近くの人と冷静に話し合った上で意見を発表して欲しいなどと場を収めようとしていたもののうまくまとまることはなかった。

 

 

******

 

 

 翌日。放課後予習を切り上げた呼人は、一緒に補習を受けていた4人と一緒に寮へと帰還する。訓練に行こうかと思っていたが、事前に尾白達に『文化祭までは』と言われていたのだ。楽しいとは半ば不合理的なものなのだなと、呼人は少し不思議な気分がしたが、そういうことであればと納得した。

 

「百竜君も今日で補習終わり?」

 

 補習は、インターンに行っていた分だけ特別でしてもらっているのだが、死穢八斎會と戦った4人よりも一人九州にインターンで行っていた常闇は短く、そしてより長期間学校を開けていた呼人はもっと長くなる予定だった。が。

 

「今日で終わりにしてもらった。もともと自主的な補習だしな。みんなと同じタイミングってことで」

「あれ? じゃあなんで今日まで来てたん? 百竜くん勉強できるんやし、途中でやめるなら来んでも大丈夫やったんやない?」

「ちょっと別件で怒られて補習入れられてたからちょうど良いってことで」

「百竜も補習食らうことあるのかよ! ってか何やったんだ?」

「それは守秘義務があることだから言えないな」

 

 全員首を傾げているが、呼人はそれ以上は説明しない。

 

 その件とは、仮免試験の時に呼人が無断で個性を使用したことである。結局あの時のヴィランは、逃げようとしたものの教師でもある腕利きのヒーロー達が集まっていたことと事前に警戒態勢を張っていたことから無事に捕まえることが出来たらしい。そこからヴィラン連合への捜査の手も伸びているはずだが、それは呼人の預かり知らぬ話だ。

 

「そういや百竜、いっつも補習の後いなくなるけどよ、どこ行ってるんだ?」

「演習場借りたりして自主練だな。個性の使い方を練習してる」

「まだ毎日続けてんのか。俺も負けてらんねえぜ!」

「しばらく文化祭があるから出来ないけどな」

「それは仕方ねえ! 筋トレなんかは夜にだって出来るしよ!」

「そうだな」

「百竜くんが普段してるトレーニング僕も興味あるんだけど、何したらそんな筋肉がつけられるのかな」

「ひたすら負荷かけてるだけだけどな。見るなら今夜部屋に来るか?」

「行きます!」

「俺も行くぜ!」

「なんか、熱いっていうか暑苦しいね!」

「ケロケロ。みんなちゃんと鍛えてるのね」

 

 寮につくまで、そんな何気ない、けれどヒーロー科らしい会話が続いた。

 

 寮につくと、早速と言うべきか話し合いが進んでいた。昨日のうちに伝えられたことだが、文化祭での出し物はバンドとダンスに決まったらしく、今日はおそらくそのメンバー決めをしているようだ。そう言えばと、呼人は音楽関連で動画を調べている時にそういうのを見た記憶があるのを思い出す。どちらかと言えば音楽の中身にばかり興味があった呼人はあまり見ていなかったのだが。

 

「あ、じゃあまだいくつか決まってないんやね! うたは耳郎ちゃんとして―――」

「待ってまだそれも決まってないから」

「あれ、そうなん?」

 

 戻った時には、いくつかの楽器が決まっただけでまだ話し合い中であった。

 

「お疲れ百竜」

「まああんま疲れてないけどな」

 

 荷物を降ろした呼人は、尾白や障子にどういう話し合いになったのか説明を受ける。爆豪が言ったことには当然そのとおりだと思ったが、やはり人というのは不幸をどこかに押し付けたがるのだなと、柱の必要性を再認識させられた。

 

「そういえば、百竜の部屋には楽器があったが、演奏は出来るのか?」

「演奏はしたことないな。あれは音作ってパソコンで記録して曲を作るためのものだから。タイミングとか音を入力しておけば勝手に組み合わせて演奏してくれるんだ」

「なるほど……」

「そう言えば百竜カラオケに来れなかったよね。用事が出来たとかで」

 

 それは夏休みの話だ。夏休みの林間合宿以前、クラスメイトとカラオケなど遊びに行こうと誘われていたのだが、神王寺に用事と声をかけられて行けなくなってしまったのだ。結局用事は午前中ですんだのだが、そこから参加することは思いつかず行くことが出来なかった。

 

「そうだな。また機会があったら行ってみたい」

「歌はどんな感じなの?」

「正直……歌ったことがない。まあ元の曲を聞かせてもらえればコピーはできると思うが」

 

 音楽はもっぱら、聴くか作るか専門であった。特にモンスター達の世界の音楽には歌詞が無いか、こちらのどんな言語にも当てはまらないものが多かったため、まともに歌詞がある曲というのは歌詞のない曲と比べて触れる機会が少なかった。

 

「コピー、って? 真似するってこと?」

「ああ。元の曲があれば真似できる」

「真似って一応みんなするようなことだと思うけど、どんな感じで真似するの?」

「その音の高さとかを記憶して再現するだけだ」

「再現とは……音の高さや質も同じということか? 例えば女性の歌い手ならどうするんだ?」

 

 障子が不思議そうに、と言っても呼人が言っていることだから疑うのではなく、どういう意味で言っているのかと尋ねる。

 

「真似すればいいだろ。言っとくけどあれだぞ。似せるとかじゃなくて文字通りコピーだからな」

「コピーって、全く同じってこと? そんなことできるもんなの?」

 

 尾白の質問に、呼人は頷いて答える。

 

「俺なら出来る」

 

 障子の声、話し方で。

 

「え? 今の、障子?」

「俺の声、か」

「そうそう、普段から聞いてれば真似できるからね」

 

 今度は尾白の声だ。聞いていた尾白たちは、響いた耳郎のきれいな声そっちのけで呼人に詰め寄る。

 

「それも個性でやってるのか?」

「まあ使ってるな。喉の構造上どうしても出せない声とか似せれない声ってのはあるんだが、それを喉の形状を変形させて変えれるようにしてるんだ。昔、モンスターの鳴き声を素で真似したくて練習した。まあ結局個性使わないと無理なのが多かったんだが」

「もう、何が出来ても驚かないな」

「女子の声は?」

 

 そう尋ねられて、今度は麗日の声を真似して答える。人選はなんとなくだ。

 

「いやーこれでも結構練習したんよ。ほら、昔からうちずっと鍛えとるし、その一環やね!」

 

 今度こそ、障子と尾白は明らかに引いた表情をした。

 

「正直、気持ち悪いと言うか……」

「目の前で見ると、奇妙に感じるな」

「お前らが言ったんだろうが」

 

 話し合いそっちのけでその事を話していると、ギターを演奏することに決まった上鳴が声をかけてくる。

 

「なーに話してんの! 役割決めに参加しろよな」

「あ、上鳴」

 

 そっちを振り返った尾白は、悪戯げな笑みをこぼす。

 

「ちょうど良いや、ちょっとこっち来て」

「なんだよ」

「ちょっと待っててよ」

 

 そう言った後、呼人と障子の耳元で自分の考えているアイデアを説明してくる。呼人の特技とも呼べる声帯模写を使った悪戯に、2人も賛成して早速上鳴をはめることにした。

 

「ちょっと上鳴、障子が目を塞ぐから声聞いてて」

「え、おう、何すんの?」

 

 戸惑いながらも、上鳴は言われるままに障子の前に立って目を塞がれる。そして尾白が出題する。

 

「今から一言ずつ話すから、どれが誰の声か当ててほしいんだ」

「別に良いけど、それぐらい俺だってわかるぜ?」

 

 上鳴の言葉を聞いた尾白が呼人に頷きかけると、呼人は静かに尾白の隣まで言って声を発する。

 

「『じゃあ一回目、これは誰の声』?」

「尾白だよな」

 

 その後呼人は少し離れて、自分の声で話す。

 

「んじゃあこれは?」

「百竜」

 

 そして最期に、障子の隣まで行くと背伸びして障子の声で話す。

 

「[ではこれは誰だかわかるか?]」

「障子だろ? なあそろそろ何やってんのか教えてくれよ」

 

 そう言われた呼人は、上鳴の前に立つと、3人分の声を交互に入り混ぜて話す。

 

「『じゃあ』、[これは]誰の声?」

「え? 3人? か?」

 

 戸惑う上鳴に、種明かしとばかりに障子が目元から手を外す。そして呼人が再度。

 

「残念『だけど』[全て俺]でした」

 

 そう、3人の声を混ぜて言った。声だけではない。3人それぞれの話し方の差異や音の上がり下がりを的確に捉えた声に、上鳴は目を疑う。

 

「え、まじ? 今のも全部百竜?」

 

 コクリと頷く呼人に、尾白は満足げにドヤ顔で頷いている。

 

「ちょ、ちょちょ、待って、まじで声真似? 録音とかじゃなくて? 似すぎててこえーんだけど」

「百竜君尾白君障子君! 君たちはまだ役割が決まってないだろう!」

 

 上鳴が困惑気味に呼人に問いかけるが、3人は呼ばれるままに飯田の方へと言ってしまう。後には、ただただ困惑した上鳴だけが残された。

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