竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
そして時は流れて文化祭前日。練習は文化祭が近づくと共にどんどん激しさを増し、今日も時間ギリギリの午後9時まで練習していた。
「そう、そこで百竜はソデから天井行って、それで青山をロープで持ち上げる!」
当初懸念されていた青山の移動係だが、それほど激しくないのと流石に体育館の梁だけあって相当に頑丈であるため呼人の体重が多少増加しても耐えきれるということもあり、呼人が担当することになった。ただステージ上での青山と連携した演技や青山を放り投げる係に関しては、呼人が個性を使うと肌が変化して目立つ可能性があるということで緑谷が担当することになっている。
「オッケーバッチシ! 移動も出来てたし完璧だぜ!」
「ありがとう」
演出班の面々が力強く親指を立ててくれ、青山も楽しそうにウインクを決めてくれる。練習をした甲斐があったようだ。
「百竜衣装脱ぐんだよね? 脱ぐとき表に見えないように気をつけてね!」
「わかった」
個性を使う都合上、オドガロンの体なのであくまで体表は皮膚なので服を破るような心配はほとんどないのだが、それでも上で目立たないようにするためと服が途中で破れるのを避けるためにダンスから演出に移行するタイミングで上着を脱ぐことになっている。
「オッケー! よしみんな集まってー!」
「掛け声するよ集まれー!」
それぞれの確認まできっちり終わり、葉隠と芦戸の声に誘われるように全員がステージに集まる。そして、芦戸が声をかけようとしたとき。
「モウ9時ダロ!? 時間は守レエ゛エ゛!!」
勢いよく扉を開いてハウンドドッグが飛び込んでくる。
「やべっ!」
「すんませんっしたあっ!」
「みんな急いで帰るよー!」
掛け声は取りやめになりそれぞれ道具を持って寮へと帰還する。入浴や食事を済ませる頃には既に12時が迫っていた。
クラスメイト達が明日について心意気や心構えを話しながら呼人と青山は機材の点検を行っていた。と、ロープがほつれているのを発見する。一部が傷むとそれは全体に伝播する。小さなほつれも侮れない。
「これ……ロープちょっとまずいかもな」
「僕らの絆の証さ!」
「このままだと絆の証引きちぎれるぞ」
「それは駄目だよ!」
1月近く同じ担当となって一緒に練習してきて、青山ともそれなりに仲良くなれた、かというとどうかは微妙だが。どちらも互いに積極的に声をかける人間ではない。そのため会話が特段弾むというわけではないのだが、時々言わなくても互いに息があって次の行動に移っている事を考えると一緒にいることに慣れてきているのは確かだ。
「どうしたの?」
2人が頭を悩ませていると、近くを通りかかった緑谷が声をかけてくる。
「ロープがちょっと傷んでるみたいなんだが流石にこれ使うのはまずいかと思って」
「うーん……」
「ヤオモモに作ってもらったらよくね?」
上鳴がそう提案してくるが、残念ながら早寝な八百万はもう寝てしまっている。
「僕で良かったら明日朝買ってくるよ。朝練に出るし」
「んあ? でもお前担当……」
「百竜君のおかげで僕がエリちゃんの前で踊れるわけだし、お礼だよ」
「まあ、じゃあよろしく頼む」
一応はダンス担当になっている緑谷だが、呼人が体調を崩してしまうことなども考えて青山運搬係の打ち合わせや練習にはきっちり参加していた。おかげで覚えることが増えたが本人はエリちゃんを絶対楽しませてあげたいから、と積極的に参加してくれたのだ。
「けど俺ら明日10時からだぜ? 間に合う時間に開いてる店なんてあるか?」
「雄英の一番近くのホームセンター朝8時くらいからやってるんだよ」
「間に合うのかよ」
「8時について買ったら8時半までには戻ってこれるから……大丈夫だと思う」
緑谷がロープの購入を引き受けてくれることになったので、他の器具の確認を終えて片付けてしまう。その後部屋に撤退しようとしていると、上鳴に腕を引っ張られた。
「んじゃ一足速いけど徹夜組、明日は頑張るぞー!!」
切島が抑えた声で叫び、全員がそれに小さな声で合わせる。文化祭は、明日。練習してきたものをぶつけて。
爆豪の言葉を借りるなら、『音で殺る』。轟竜かな、とか思ったのは秘密である。そういう意味ではないのは呼人にも理解できるのだ。
******
翌朝。早くからクラスメイト全員が起き出し、衣装の確認に着付け、それに最終打ち合わせなどを行っていく。呼人もダンサー用の衣装を身に纏ったのだが。
「緑谷は?」
「彼はまだ戻ってないのさ」
「流石に遅いだろ。まだ時間はあるが上鳴じゃなし」
「今なんかディスられた気がしたぞ!」
「気のせいだ。自分の方に集中しとけ」
演出担当との確認中に轟が漏らした言葉に呼人もうなずく。確かに彼が買いに行ってくれるとは言ったが、それにしても遅い気がする。まだ時間的には間に合うのだが、それでもギリギリになるタイプでも無いだろうに。
と、そこで呼人のスマホに連絡が入る。通話の相手は……モーメント。
「悪い、ちょっと電話だ」
「お。確認は取り敢えず終わったから良いぞ」
「ありがとう」
短く用件を告げて、誰も来ない場所へと移動する。
「なんのつもりだモーメント」
「いやー、文化祭なんて面白いもんがあるっていうからアーニャと一緒に遊びに来たんだがな」
「いや来るなよ。ばれるだろ」
会話の内容が内容だけに、呼人は植木に近づき風で植木を揺らして会話の音を殺す。
「ライブなら暗くなるだろ? それに歌ってる瞬間に一人増えたぐらいじゃ気づかんて。ブラーも連れてきたしな」
「来てたのか」
思わず呼人はそうこぼす。
ブラー。モーメントやリザード同様神王寺が海外から呼び集めた人材。確かに彼女の個性であれば、基本最初から注目されていなければばれない。
ただこの一ヶ月呼人は外に出れていなかったのでわかっていなかったが、来ているとは思わなかった。彼女は元所属していた組織と揉めていると聞いていたのだ。それをこの1月の間に神王寺が赴いて解決してきたのである。
「で、なんだ」
「―――のあたりの森でお前のところの生徒となんかが戦ってるぞ。あれは緑谷だな」
「まじか……」
その報告に呼人は一瞬悩むが、再度モーメントに尋ねる。
「危なそうか?」
「いや、押してる」
「じゃあほっとけ。そんなやわなやつじゃない」
以前の緑谷なら心配もあったろうが今ではクラス有数の実力者であるし、個性もオールマイトと同じ。もっとも扱いきれてはいないのだろうが。それでも、死ぬことはあるまい。それに報告の位置ならすぐに教師がかけつける。
「はいはい。リーダーもライブ踊るんだろ? アーニャが楽しみにしてるからな」
「……楽しんでいけと、言ってやってくれ」
「アイサーリーダー」
通話を切り、呼人はため息を吐く。なんというか、あいつは一々何か揉めているなと。そういう運命にでもあるのだろうかなどと益体もないことを考えてしまう。
「百竜、そろそろ移動するぞ」
「ああ、今行く」
まあ取り敢えずは。文化祭が続行されることを切に願うことにしよう。
******
ちゃんと来た。
皆が今からステージに並ぶかという瞬間に、緑谷はやってきた。本当にギリギリの到着に、皆も言いたいことがあるものの言えず。大急ぎで緑谷を着替えさせてステージに引きずり出す。
と同時にステージの幕が上がる。
「いくぞゴラァァアア!!!」
一発目。開幕に爆豪の両手から爆破の炎が上がる。コンセプトは、常に新しい刺激で殴り続ける事。歌も、ダンスも、演出も。その全てで飽きさせず常に魅了し続ける。
爆破を皮切りに、ギター、キーボード、そしてドラムの演奏が始まり、ダンス隊も動き始める。演出班の出番はまだ後だ。
呼人も、クラスメイト達と共に踊る。ただ動きを再現するのではなく、高ぶる思いをぶつけるように。
そして緑谷と青山の演出。2人が中央に集まって僅かな間踊った後、緑谷が青山を上に向かってぶん投げる。
青山の光は、何もない場所でこそ輝く。
(きれいなもんだな。本当に)
暗い中で輝くそれを見るのは、呼人も初めてだった。
そして青山が着地すると同時に舞台袖にはけ、梁へと上がる。ここからは呼人の番。と言っても全く目立たない黒子だが。
演出班が動き始めると同時に、青山を吊るしたロープを引っ張り上げて彼を振り回す。やるなら派手に、という呼人の主張のもと、轟とクラスメイト達が張り巡らした氷の橋の間を、青山は飛びまわる。呼人が上で激しく動き、彼を振り回しているのだ。振り回してもぶつけない、というのは幾度も練習し、またそれを見せたことで青山も納得してくれた。
更に、麗日が観客たちとハイタッチするとともに無重力状態にして浮かしていく。ふわふわと、浮かび上がった観客達もまた、演出の一助となる。見せるのではない。場の全てを呑み込んでいくのだ。
さあ、見ろ観ろ魅ろ。
美しい音楽は。視界に訴えかける光は。
******
「劇見たかったなあ」
「俺も見てみたかった」
「そっか百竜は劇も見たこと無いんだっけ」
「無い」
「はいはいお二人さん、口よりも手を動かしてくれよ」
舞台の撤去や片付け作業を裏で終えて外に荷物を運び出した時には、既にB組の演劇も終わっていた。ちなみにステージ発表はその2組だけである。
A組は演奏に荷物だけではなく氷なんかも砕いて運ばないと行けなかったのでそれなりに大変な作業になっているが、呼人や尾白、切島など素手でも割れる面々ががっしがっし砕いていったので割りかし短い時間で片付ける事ができた。
「――のはいい。だが電話には出なさい」
「すいません。携帯寮に置いていってしまいました……焦ってて……」
片付けをしている隣では、緑谷が怒られている。オールマイトだけではなく、警備要員のハウンドドッグにも詰め寄られている。
と。呼人は隣で氷を箱に詰めようとしていた上鳴の腕をぐいと引く。
「うぇ!? 何すん―――」
「あ、緑谷飛んできた」
ドテッ、と。それなりに痛そうな音がしてハウンドドッグにふっ飛ばされた緑谷が上鳴がさっきまで立っていた位置に落ちてくる。そっちを注視していた呼人は緑谷の落下点に気づき、上鳴の腕を引いたのだ。
「危なかったな」
「うぇ、おっ、サンキュ?」
「ほら、運ぶぞ」
呼人は、再度巨大な氷の塊に爪を突き立てて持ち上げる。呼人にとっては、下手に砕かれるよりもこっちの方が遥かにやりやすいのだ。
「この次なんだっけ?」
「上鳴ミスコン楽しみにしてただろ」
「あーそっかミスコンだわ。もうさっきので一気に気ぃ抜けてさ」
ミスコン。一番綺麗な女子生徒を決定するイベント、らしい。呼人にはよくわからないのだが、それを正直に言うと上鳴や興奮した峰田に長い動画を見せられた。その中では、確かに美しく着飾った女性たちがそれぞれに自分をアピールしていて、その後その中でも特に美しい女性を決める、ということをしていた、と記憶している。正直割とどうでも良いので思い出そうとしないと思い出せない。
雄英でやるそれは、雄英らしく個性の使用であったり、あるいはサポート科であればサポートアイテムの使用であったりと、まあようするにアピールの方法はなんでもありらしい。
「俺は早く何か食べたい」
「ミスコン興味無いんなら先に屋台とか回っとけば良いんでないの?」
「そんなこと出来るのか?」
瀬呂に言われて驚いた呼人はそっちを向く。むしろそっちが驚きだとは、呼人の名誉のために言えない瀬呂であった。
「そりゃ全員が演奏見に来たりするわけじゃないのよ。俺達が演奏してる間とかも、それぞれの展示とかお化け屋敷とかはやってたと思うぜ?」
「じゃあ俺はそっち行く」
呼人がそう言い出すのは予想できていた瀬呂は良いんじゃね? などと勧めてくれたのだが。
「あー……俺もそうしよっかなあ」
上鳴までもがそう言い出すと少し心配するような表情になった。
「上鳴熱でもあんのか?」
「いやちげーよ! どうせミスコン瀬呂が撮影してきてくれるだろうし、今なんか見る気分になれねえからさあ」
深刻な様子ではないが、何か様子がおかしいのに気付いた瀬呂は、気を回して引き止めるのではなく別の提案をする。こういうときは、下手に心配するのではなく送り出して、さり気なく様子を探ったほうが良いのだ。
「わかったわかった。じゃあ上鳴も百竜と一緒に回って百竜に色々案内したら? 瀬呂君がミスコンは撮っといてやっからさ。映像荒くても文句言うなよ」
「いーの?」
しっしと、あくまで適当に瀬呂は追い出すようにするが、そういうふりをしているだけでいつも女子に関する話には必ず食いつく友人の不調に気を使っているのだ。
「じゃあ頼もうかな。俺も何見るのが良いのか全然わからないし」
「オー! じゃあ俺が案内してやるぜ!」
2人の意向が重なったということもあって、ミスコンを見に行くという大半のクラスメイトからは離脱して、呼人と上鳴は他の展示会場の方へと向かった。
Pixiv fanboxを開設しました。詳しくは活動報告を見てください。
僕は、一生何かを作り続けて生きていきたいと思っています。
また、完璧な何か1つを作りたいのではなく、70点、80点くらいでいいのでとにかくたくさんの物語を作りたいなと思っています。そのために、応援してくださる方には是非応援していただきたいです。
それに一生を費やすつもりです。
https://amanohoshikuzu.fanbox.cc/
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
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欲しい
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勝手にニヤつくからいらない
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あまり興味がない