竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第68話 文化祭・2

「百竜屋台に行きたいんだよな?」

「何か食べれれば何でも。確かメイドカフェってのもあったみたいだけど、メイドって人に仕えて世話する仕事する女性のことだよな? そのカフェって何だ?」

「女子がね、メイドさんの格好して給仕してくれるの。メイド服って可愛いんだぜ? まーでも、なんか好き勝手に食べたいなら屋台かな。メイドカフェは食べるのよりもメイドを楽しむって感じだから」

「じゃあ屋台で」

「オッケー!」

 

 こっちこっち、と先に行く上鳴に案内されて呼人も歩いていく。普段の明るい上鳴と全く変わらない。変わらないというのに、何故かいつもは興味を示す女子に全くと言っていいほど興味を示さない。それに時折ぼおっとなにか遠いところを見つめている様子になっている。上の空というやつだ。

 

 これは何かあるなと、呼人も瀬呂が上鳴を自分と一緒に来させるように誘導した理由がわかった。

 

「ほら、これが屋台。つって夏休みの祭りで行ったよな」

「そうだな」

 

 クラスメイトと一緒に縁日、というのを訪れた時には夜でその中に明るい屋台があるというのは何かお腹よりも気分が満たされる感じがしたが、今はとにかく食欲をそそられる。

 

「あっちがポテトと唐揚げで、こっちがクレープ。でこっちがホットドッグ……結構色々あるのな」

「サポート科なんか自由なものを作ってるんだろうな。見ろあの竈。ピザ焼いてるぞ」

「うわ、まじじゃん! 買いに行こうぜ!」

 

 それぞれのクラスが長い期間をかけて、そして本気で準備したのと、とくにサポート科などものづくりが出来る人がいるために設備などもかなりガチである。普段からサポートアイテムとかを作ってるサポート科の人間からすれば、調理器具や保温器具なんてお茶の子さいさいなのだ。

 

 早速駆け出していく上鳴の後を追って、呼人もピザ屋台へと行く。まだミスコンに行っている人が多いのか、長時間並ばなければ行けないほどの人はいない。

 

「なー百竜どれにする? ってかお前なら一枚食べるか」

「そうだな。お前が半分にするなら、2枚買って俺が一枚半食べようか?」

「じゃあそうしようぜ。何が良い? 俺シーフード」

「……マルゲリータで」

「すいません! シーフードとマルゲリータ一枚ずつお願いしまーす!」

 

 屋台はなかなかに本格的なようで、目の前でササッと具材を並べてピザを焼く前の段階から作っていってくれる。上鳴と屋台の上級生の話を聞いていたところによると、人が増えてくるまえにストックは作って寝かせているが、少ないうちはこうやって目の前で作って焼いてくれるそうだ。更に具材を選んで焼いてもらうことも可能だと教えてくれた。

 

 ただ上鳴の腹は呼人と違って、最近食事量が増えたとはいえ標準仕様にできているのでこれ以上ピザを頼むと大変なことになる。

 竈の高い火力で短時間で焼き上げてもらったピザを、それぞれ紙皿に受け取って屋台の無い隅によってそれを食べる。

 

「んまー! やっぱピザはシーフードだな!」

「こっちもうまいぞ」

「マルゲリータもうまいよな!」

「食うか?」

「ん、じゃあ頂きます! 俺がそれぞれ4分の1ずつで後百竜な!」

 

 支払いの時に互いに自分が払うと譲らなかったので、食べる分量に合わせて割り勘で払った。

 

「この量でこの値段って凄いな。縁日だともっと色々高かった気がする」

「まああっちは雰囲気代みたいなのもあるからなあ。こういうときの方が意外とやすかったりするぞ」

「へえ。それは面白いな」

 

 ピザの味の話からいつのまにか屋台の闇の話へと話題はシフトし、気がつけばピザを食べ終えていた。紙皿を近くのゴミ袋に捨てて、再び屋台巡りに繰り出す。

 

「後何かこれ食べたいとかあんの?」

「全部。縁日の時もそんな食えなかったし」

「全部かよ……」

 

 腹の容量が桁違いな呼人である。目の前にあるものを全部食べたいと願うのは当然の話しだろう。美味しいもの大好きであるし。

 

 その後、取り敢えず唐揚げとポテトをセットで買って食べながら歩いていると、ミスコンが終わったのかミスコンに行かずに屋台や展示巡りに来ているのか、クラスの女子数名がクレープの屋台に来ているのを見つけた。

 

「俺達も次はクレープにするか」

「え? なんで?」

「いやなんとなく。ほら―――」

 

 クラスの女子もいるし、と。呼人がそっちを示すと上鳴がピシリと固まる。これもまた新しい反応だ。

 

(耳郎か八百万か葉隠……もめたわけじゃないだと思うんだけどな)

 

 取り敢えず上鳴が生きたく無さそうな感じがしたので、呼人は提案を変えた。

 

「でも人が増える前に展示とか回っとくか」

「……うん」

 

 何か、おかしな悩みごとでもありそうだ。

 

 

******

 

 

 うろうろと色々な展示を見て回った。何かを模した模型だったり、あるいは経営科であれば企業の業績や発展に関する研究発表だったり、他科の人間でわかるものがどれだけいるんだと言いたくなるような展示もあったが、呼人はそれなりに楽しむことが出来た。

 

「あ、心操久しぶり!」

 

 一年C組はお化け屋敷をやっており、特に呼人は驚かされることもなく、隣の上鳴の甲高い悲鳴を聞きながら通り抜けた。絵面的に、そして精神的に驚かせるもの、というのは理解できるのだが、例えば音もなく天井に張り付いてヌローンと垂れ下がって丸呑みにしてくるやつとか、屍肉を全身に纏ってるやつとかがモンスターの中にはいるのでグロテスクなものや突発的な驚かしには強いのだ。

 

「上鳴……と百竜」

「忘れられたんのかと思ったぞ。にしても……」

「何?」

 

 ジロジロと、というほどではないがサラリと自分を観察した呼人に、C組の外でお化け屋敷を突破した人に挨拶をしていた心操は怪訝そうな表情を見せる。

 

「肉ついたな」

「まあ……」

 

 旧知の仲のように話しかける呼人と違って、心操の方はそれほど心穏やかではいられない。自分と、ヒーロー科の間にある差。それも縮まらず、広がり続ける一方のそれ。そして何より。ヒーローらしくない個性だと鬱屈していた自分を、煽った相手。ただ凄いと思うだけではいられない。

 

「じゃ、じゃあまた今度な心操! 明日は俺も相澤先生のとこ行くから!」

「うん。俺も……じゃあね」

 

 呼人と心操の間が何かおかしいことに気付いた上鳴は、慌てて呼人の背中を押してその場を後にする。

 

「なんであんな険悪な感じになってんの!?」

「別に険悪な感じじゃなかっただろ。互いに何話したら良いかわからないってだけで」

「ほんとかよ!? 今にも殴り合いが始まるかと……」

「俺を何だと思ってるんだ」

 

 すぐに荒れ始めるのは爆豪の専売特許である。だが、上鳴の発言で心操がどうやってヒーローを目指しているのかということがわかった。

 

「そうか、あいつも相澤先生に習ってるのか。強くなるな」

「え゛!? なんで知ってんの!?」

「え? いやさっきお前が相澤先生のところにって」

「あ゛ー!! 間違えた! 忘れて百竜!」

「別に誰かに言うつもりは無いけど……。それにあいつが何らかの形でヒーローを目指しているのは知ってたしな」

 

 それが相澤先生のところだったってだけだろ、と。軽く言う呼人に上鳴は目を見開く。

 

「なんで知ってたの!?」

「いや……体育祭のときあいつと話したし、ヒーローになりたいっていう渇望が凄い強かったからな。何らかの形で目指すんだろうなってのはそのときに普通に思った」

「まじか……!」

 

 ああいう、何かになりたいという強い思いは人間特有のもので、だからこそ呼人はそれを敏感に感じ取っていた。

 

「じゃあまあ百竜になら言っていいよな」

「言って良いのか」

 

 知ってたとしても秘密にしとけと言われたんだろうと。呼人が突っ込むが上鳴は止まらない。

 

「だって誰に言ったら良いかわからなくて困ってたんだぞ俺!」

「そういう事なら」

 

 相澤に捕縛布の扱いについて一緒に教えてもらう関係で心操とそれなりに話したことのある上鳴だが、その事を他のクラスメイトに話すことも出来ずずっとモヤモヤしていたのだ。

 

「あいつほんと強いんだぜ。俺捕縛布使った戦いじゃあ勝てねえもん。相澤先生にもたまに善戦してるし」

「組手は? 素手の格闘戦ならお前も出来るようになってきただろ?」

「心操2年からの編入狙ってるらしくてさー。それまでに使えるようにする相澤先生もガチで教えてんの。だからもう素手じゃあ捕縛布でぼっこぼこにされてさ」

「ああ、なるほど。だからお前は3年間かけて自分のやり方を完成させろって言われたんだな」

「そうゆうこと。でも今年中には完成させる!」

 

 当初は相澤の捕縛布の扱いをそのまま教えてもらっていた上鳴だが、基本的な動き、例えば布を投げて巻きつけたり、それを使って木にぶら下がったりする練習を教えられた後は、自分の個性を使った動きを考えるようにと、相澤が面倒を見る回数を減らされていた。

 

 上鳴の個性であれば一番最初に考えたときのように捕縛布を使って個性を通すことも可能であり、何もすべて相澤に準拠して自分の個性を殺すことはないのだ。

 

「まあ、頑張れ」

「百竜も相手になってくれよな」

 

 以前B組の何名かと模擬戦をした時の上鳴の言葉。それは、自分の戦法の開発を手伝って欲しいというものだった。ロープの扱いを訓練している呼人なら、相手をしたときに何か発想があるのではないかと考えたからだ。

 

「たまにな。ずっと俺とやっても駄目だぞ」

「でもお前色んなパターン出来るじゃん」

「まあそうなんだが……」

 

 色んなパターンと言っても、モンスター達がやるそれぞれ色んな戦い方を分けて再現しているだけだ。モンスター達も人間の形での戦う方法を練習しているのだが、その中でも例えばラーはゴリゴリ力押しで殴ってきたり、ガルルガは早い動きとどの距離からでも有効打になる攻撃で隙を見せてくれなかったりと、戦い方にはそれぞれ差があるのだ。それを学んでいるので、やろうと思えばパターンをわけて再現できるのである。

 

「でも、そろそろ演習でも試してみてえなって思って。相澤先生にもオーケーもらったぜ」

「ターゲットとの連携は出来るようになったのか?」

「ちょっとだけ。付けたら付けたで重量変わったからまた感覚掴み直さないといけなくてさ。電縛布の開発は結構前にしてもらってたんだけどそれが全然。でも移動用には使えるし、トラップにも出来るから」

「なるほど。ちょっと使いやすいロープぐらいの感覚か」

「そそ」

 

 電縛布とは、相澤の武器である捕縛布を参考に上鳴の個性に合わせて再開発したサポートアイテムだ。相澤のとは異なる素材が使用されていて、通電性が高く、また上鳴が以前使用していたType-Bのターゲットと同じマイクロチップを組み込んでおり、それに向かって放電を誘導することが可能になっている。もともとType-Bは使い捨てかつ飛ばす事を考えて、適度にまっすぐ飛ぶ重さにするために余計なおもりが加えられており、飛ばすことを布の扱いで制御できるのでそうしたデッドウェイトをすべて排除することに成功したのだ。

 

 ただし本当に基礎的な性能しか無いので、一度電縛布に通電した上でターゲットをゴーグルで認識し、そこに向かって放電するという二重の手順を踏む必要がある。また重量自体も相澤のものと比べると重くなっており、扱いに差が出ていた。

 

「あとスケボーも出来たって発目から連絡あったから、それ使ったら走り回りながら電縛布でトラップ仕掛けられるじゃん? それが結構有効かなって思って」

「お前サポートアイテム持ちすぎじゃないか?」

「そか? でもさ、やっぱ電気ってただのエネルギーじゃん。それ出せるんだったら道具使って別の力に変換したほうが良いよなって。パワーローダー先生も面白いって言ってくれたし」

 

 放電は、それそのものが強い。そう上鳴も、高校に入学するまでは考えていた。実際、対人においては強い。なにせ触れれば勝ちだ。

 

 だがそれしか出来ない。電気とは、シンプルな1つのエネルギーであり、人間はそれを活用する術を長い時間をかけて模索してきたのだ。それを活用しなくて何が個性をいかしたことになるのか。呼人に言われて電気の歴史について勉強した上鳴は、そんな考えに目覚めていた。

 

「まあ、絵面としてはかっこよくて良いかもな。回りのヒーローがダッシュしてる中で1人だけ颯爽とスケボ」

「だろ!!」

「でも荒れ地の走破性とかはどうなってるんだ? あれ平なところじゃないとキツいだろ」

「取り敢えず車輪でかくした! んで発電機能を俺が持ってるから小型で馬力のあるモーターにしてもらって上り坂でも結構な速度が出るらしい。後は俺の靴改造して固定出来るようにして、後は通電で右足は通電用で左足は電磁石で固定用って感じにしてる」

 

 上鳴の説明通りの性能を想像して出た感想は唯一つ。

 

「なんか扱いめっちゃ難しくないか? スケボ自体は乗れるんだな?」

「それは結構得意よ! だから使ってみようって思ったわけだし」

「ローラーの付いた靴みたいなのあると思うけどあれじゃ駄目なのか?」

「スケボの方がかっこいいだろ」

「まあそりゃあ」

 

 絵面的には、という話だが。やはりヒーローとしてそれは馬鹿にできないことなのだ。

 

 そんな話をしながら歩いていると、サポート科のエリアに近づいてくる。

 

「そう言えば今サポート科は展示会やってるんだったな」

「そだな。見てこうぜ」

 

 自分のサポートアイテムの開発を依頼するようになって、上鳴は他の人のサポートアイテムについても興味を持ち始めていた。発想というのはなにもないところから生まれない。逆に何かがあれば必ず生まれる。だからその発想のために、使えるもののために様々なものを見ているのだ。

 

 サポート科の展示会はそれなりに盛況、というか主にサポート科や経営科の面子が実用性や売り込みについて相談しているという、ある種違った空気の漂う場となっていた。

 

「ほえー……やっぱ全員がガチで作ったもん展示してると壮観だな」

「まあ……俺は来たこと無いからわからないけどな」

「え? 百竜サポート科のとこ来たこと無いの?」

「どんなサポートアイテム作ってもらっても個性使ったら邪魔になるんだよ。コスチュームもロープも全部俺が提供した素材で作ってるしな」

「そう言えば消毒液とかいっつもポーチに入れてるけどいあれは?」

「あれは完全に変身したときとかもポーチだけはそのままにして腰に貼っ付いてる感じにしてる」

 

 どんなものを作ってもらおうと、個性を使ってしまえばそもそも装備していられない。それに、自分の提供したもので作ってもらうのはシンプルな何の機構も持たないものだけにしようと決めていた。

 

「そっかー。でもあの毛てか羽毛とかさ、あったら便利そうなもの作れそうなんだけどな」

「カナダにいたときそれで揉めたことがあってな。それから極力俺の個性を他の人が利用できる方法は見せないようにしてる」

「揉めたって何があったの?」

「あっちのヴィランがどっかで俺の事を聞きつけたらしくて狙ってきてな。壊滅させたけどそれなりにデカかったから大変だった」

 

 知られた理由は本当に取るに足りない。神王寺があっちで懇意にしていた企業の役員がヴィラン組織と繋がっていて、神王寺が呼人の服などを特注で依頼した時にこっそり呼人について調査、その利用価値とまだ子供である事をリークしたのだ。

 

 結果、狙われた。力の加減がまだ上手く出来ていなかった頃ということもあり、怪我だけで済ますことは困難だった。まだ戦い慣れない呼人の代わりにとモンスター達が前に出てくれたが、当然彼らも呼人の体では満足に戦えずモンスターに変身して戦ったのだ。

 

「壊滅て……まじか百竜お前」

「まあ向こうはこっちほど厳しくなくて……加減しなくても許されたからな」

「いやそっちじゃなくて……大変だなほんとに、個性のせいで」

 

 両親も失ってその上狙われて、と上鳴が気にするのは、呼人が傷つけたことではなく狙われたことである。

 

「だからそれ以来あんまり外に出さないようにしてるんだ」

「はー……」

「展示見てくんだろ」

「そだな! 今大丈夫ならよし!」

 

 ヴィランに狙われたのは後にも先にもそれっきりだ。裏を探った神王寺が情報漏洩の源を辿って物理的に断ったのと、コネを回して裏の大物たちに伝えてくれたのだ。『手を出せば滅びるぞ』と。その頃の呼人はまだ人間社会にほとんど接しておらず、手を出していれば本当に街ぐらいなら滅んでいただろう。なにせ……見える全ては路傍の石だ。

 

 

******

 

 

 サポート科のプレゼンを見に来ている人の間を縫って一通り展示を見終わったところで、2人は出口へと向かう。

 と、入り口から走り込んできた一人の生徒と上鳴が衝突した。

 

「おっ! 大丈夫ですか! あ、えーと電気の人ですね!」

「上鳴! もう俺何個か作ってもらってるはずなんだけど!? なんで名前覚えてないの!?」

「これは失礼しました! では私はプレゼンがあるので!」

 

 上鳴を押し倒した形になった女子生徒、発目だが、照れるどころか一切気にする様子を見せずにすっと立ち上がる。ぎりぎりまでサポートアイテムを作っていた彼女は、今になってようやくシャワーを浴びて制服に着替えて戻ってきたのだ。

 

 と、唖然とする2人の方を一瞬だけ振り向いて声をかける。

 

「そうです上鳴さん。あなたに試してもらいたいサポートアイテムがいくつかあるのでまた後で来てください。では」

「え? いや俺頼んでな……」

 

 今度こそ返事を待たずに発目は行ってしまった。あとに残されたのは、呆然とした男子生徒2名のみ。

 

「……まだ何か頼んでたのかサポートアイテム」

「いや俺頼んでないからね!? てかそんなポンポン思いつかないから! 使うのも大変だし!」

 

 起き上がりながら言う上鳴も動揺しているところを見ると、本当に彼も心当たりが無いのだろう。まあなんとくなであればわかる。

 

「どうせお前が動くバッテリーになるから良さそうなもの片っ端から作ってるんじゃないか? パワードスーツみたいなのとか色々」

「扱い酷くね俺泣くぞ!?」

「でもお前もそういう扱いしてるんだろ?」

「そうだけど!」

 

 そうじゃなくて! そう騒いで回りから睨まれて凹む上鳴は、先程までのおかしな様子は少しも無かった。

 

 

******

 

 

 サポート科のところを出た後、再びウロウロしながら買い食いを主に呼人がしながら2人で他の展示も巡っていく。きりの良いところで呼人は先程の上鳴の様子がおかしかったことについて切り出してみた。

 

「上鳴、お前」

「んお、何?」

「何かあったのか? ミスコンも行かないって言うしさっきも女子見たら固まってたし」

 

 呼人が問いかけると、上鳴は苦笑いをしながらバレてた? と返してくる。

 

「まあおかしいのには気付いたよ。普通に飯食ってる限りはなんとも無いみたいだったからなんも言わなかったけど」

「あー、まあなんかあったつーか自分でもわからないっつーか」

 

 うーん、と頭を悩ませてそれ以上言い出す様子が無いので、呼人もあえて追求しない。困っていたら助ける、というほど愁傷な性格はしていない。

 

「訓練には引きずらんようにな」

「……うん。それは気をつける。……そのさー、じ……」

「なんだ?」

「――っ! やっぱなんでもね!」

「なにかあるのはわかったから自分で悩みたいならそれでいいぞ」

「……うん。わり、なんか百竜には相談しづれーや」

「なんだそりゃ」

 

 人によって相談のしやすさもあるのかと思ったが、確かに仲の良い相手や、張り合いたい相手、あるいはさらけ出したい相手などいるのだろう。そして呼人は少なくとも、ほとんどのクラスメイトにとってさらけ出すタイプの相手ではないのだ。

 

「俺もう一回屋台のところに戻るけど、上鳴どうする? お、耳郎達だ」

 

 呼人が耳郎の名前を出した瞬間、上鳴の肩がビクリと跳ね上がる。ああ、耳郎となにかあったんだなと、呼人も理解できた。

 

「……わり、俺ちょっと行くとこあるから」

「ん、そうか。じゃあここで」

「じゃな、百竜! また寮で!」

「おう」

 

 外に向かう呼人とは違って上鳴は女子陣の方へと歩いていく。

 

 上鳴はまた、小さな一歩を踏み出そうとしていた。




読んだら気づくかもしれませんがこれ書いているときピクシブでヒロアカのカップリング小説読みまくってたのでもろに影響されてます。ちなみにこの後またそういう要素が消えます。影響されすぎですね。ごめんなさい。

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割と真面目に自分の二次創作が続くかどうかの危機なので支援ではなくフォローだけでもしていただけると嬉しいです。

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