竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
緑谷から異様なエネルギーを感じた翌日の演習は、いつもと様子が違った。
「上鳴君なんか荷物多くない!?」
「おー葉隠! ってやっぱり裸なのね。見てるだけで寒いぞ」
「と思うじゃん!? 違うんだなこれが!」
「え、葉隠それ裸じゃないの」
「違うよ! 実はね、前に百竜君にアイデアもらってずっと作ってたんだ!」
「何を?」
「このスーツ!」
ほらほら触ってみて! と押し付ける葉隠に耳郎と上鳴が手を伸ばすが上鳴の手は尾白に止められる。そう言われて手を伸ばした尾白は、彼が赤面するようなところを触ったと葉隠に主張されてそれが嘘なのか本当なのか悩むという状況に陥ったのだ。
「あれ、ほんとだ。なにこれ、スーツ? 凄いさらさら」
「摩擦ほぼ0の特性スーツ! ちなみに主に私の髪の毛で出来てます!」
「髪の、うぇ!? まじで!?」
「そうです! 私の髪の毛なら透明だからね! でも透明だからエコロケーションの装置とかで作ってもらうの苦労したんだよ!」
以前、まだ入学して間もない頃に葉隠のユニフォームを見て呼人がしたアドバイス。それは、彼女の体毛を使えば少なくとも透明な服が出来るだろうという発想だった。そしてそうすれば、靴や手袋でバレなくてもすむし、逆にそこだけが見えるところだと考えている相手を騙すトラップをはれるとも。
「はー……思いつかなかったな」
「うちも。てか出来るならもっと早くしとけばよかったのに」
「それが個性で髪の毛伸ばせる人の許可取るのが遅れちゃって、時間かかったんだよね。でも冬は嫌だったからその前になんとか作ってもらったんだ」
「百竜もよくそんなの思いついたなあ。いや言われてみればそうなんだけど凄い盲点だったわ」
「でもビッグ3の通形先輩も同じ発想だってさっき緑谷君が言ってたよ。通形先輩のコスチュームは体毛で作ってるから透過しても脱げないんだって」
「あー……なるほど」
体操服をスっぽーんと抜き飛ばしていた通形の事を思い出し、3人が苦笑いをする。確かに、それを考えると葉隠のコスチュームも普通の事だ。
「ところでそっち! 上鳴くんは何持ってるの?」
「あーこれ? これサポートアイテム入ってるんだけど、もう出しておこうかな」
「うちも気になる」
上鳴のサポートアイテム、と言っても以前から使っていたターゲットを打ち出すための装置は既に装備されている。だから一体何を取り出すのかと見ていると、上鳴が取り出したのは大型のスケートボードと適当にまとめられた布の塊のようなもの。
「スケボ?」
「あ、上鳴それもしかして」
「そ。へへへ」
尾白が布の方に反応したのを見た上鳴は、嬉しそうにその布を首の周りに巻く。それを見て耳郎と葉隠も気付いた。
「あー! それ!」
「相澤先生の!」
耳郎と葉隠の声に、他のクラスメイトもどうしたどうしたと集まってくる。
「うお! 上鳴それ! まじか!」
「まあ、相澤先生の……」
「うーなんで上鳴! ずるい!」
クラスメイト達が興奮しているが、上鳴はちょっと困った様子を見せる。
「つってもまだ全然形だけでまともに使えないんだけどさ。でも演習でも練習したいから持ってきたんだよ」
「えーじゃああのピッてやって捕まえるのは出来るの?」
「あれは一応。でも相手が動いてると外すかな」
上鳴が電縛布に関する受け答えをしていると、轟も興味を持って近づいてくる。
「上鳴、それ……色違いか?」
「素材が違うの! ただなんとなく色変えてるわけじゃないの。ってか轟のコスチューム改めて見るといかついなほんとに」
「ああ。今日は戦闘訓練だからフル装備だ」
轟も以前呼人との模擬戦で見せた新コスチュームをフル装備。更に尾白も尻尾や腕に保護用のスーツを巻いていたり、障子が腰の後ろに警棒やロープなど色々な道具を取り付けてきている。いずれも戦闘の幅を広げたり強化するためのものだ。
だが、その中でやはり一番目を引くのが上鳴のスケートボードだろう。
「で! 上鳴そのスケボは何!」
「これもサポートアイテム。俺がバッテリー代わりになれるからバッテリー積まなくていいのよ。でその分強力なモーターを複数つめたから結構なスピードが出るぜ」
「でも今日の演習じゃ平地なんてそんな無いでしょ」
「そこはもちろん練習してきたから! 段差ぐらいならぴょんぴょん超えてくぜ。それに戦闘用の装置も積んでんのよ」
戦闘用の装置は上鳴がどうしても組み込みたいと考えていた装置で、それを組み込んだせいでスケートボードの重量が2割増しになったというゲテモノである。ただもともと安定感が足りていなかったのでデッドウェイトになっていないのが幸いとも言うべきか。
他にも、興味なさげに話に入ってこない爆豪の両腕のタンクの形状が変化していたり、他の大きな変化がないメンバーも防寒用になっていたりと様々なコスチュームの変化が行われている。
「あー百竜くんやっと来た! ってコスチューム変わってないね面白くない」
遅れてやってきた百竜に葉隠が話しかけるが、その姿が轟との模擬戦でお目見えしたコスチュームからまったく変わっていないことで落胆する。コスチュームに面白いも何も無いだろうと思っても言わないのが呼人の優しさだ。それに意外と皆面白がっているようなので自分が少数派だというのは理解していた。
「だからそんなコスチューム変える意味が無いんだってば。葉隠はちゃんと用意している? ロープは?」
「バッチシ! ていうかそれ秘密にしてたのに!」
「え、ロープってなに?」
2人の会話に思わずそう尋ねた尾白の両腕が、体にピタリと縛り付けられる。
「え、これ葉隠さん?」
「そうだよ! 布が作れるならロープをも作れるからね! ちなみに中に鋼線入ってるから頑丈性もばっちりだよ」
「まだロープで殴る練習は出来てないけどな」
「まあね!」
ロープで殴る練習とは、透明故にばれないがそもそも出来ることが少ない葉隠に対して、呼人がロープを鞭のように使えばいいのではないかとアドバイスして考案された戦法だ。だが、そもそも見えないロープの扱いということで、葉隠も何かを縛るところから苦慮しており、まだそこまで練習が出来ていなかった。だがそれでも、素手以外の戦い方が出来ると本人は満足げである。
「お前もやっと尻尾のガードつけてきたのか」
「まあね。百竜にやられたときは痛かったから」
「許せ」
「怒ってないよ。それに対刃物だったら当然のことだから」
これまで素手での武術によって戦ってきた尾白が手足に軽いプロテクターやグローブ、それに尻尾にカバーをつけてきたのは、呼人との戦闘訓練のときの経験に由来する。その時の呼人はもう尾白相手には個性を使うと言ってビーストを使っていたため、攻撃をガードした尾白の腕や尻尾が爪によって引き裂かれたのだ。強靭な尻尾とはいえ刃物には負ける。その硬さをカバーするために密着したスーツをつけているのである。
また、これまでは尻尾の可動域を狭めたくないからと装備していなかった尻尾のスーツだが、呼人や八百万の発想を受けて特殊な構造をしており、稼働するための関節になる素材とガードするための強靭な素材という2パターンにわけて精密に作られており、よく見ればその細かな模様を見ることが出来る。おかげで十分に動くと尾白も満足し、ようやくつけてきたのだ。更に感覚が鈍ることに関しては尻尾の先端だけ露出しており、外の様子を触れて触るには十分である。
そんな話をしていると、B組の物間がやってきて何やら喧嘩を売ってくるが興味の無い呼人は聞き流して嗅いだことのある匂いが近づいてくる方に目を向けていた。そちらには相澤とブラドキング、そしてその他の教師達。その後ろにわずかに見える足が、その匂いの元だろう。
ようやく、同じ舞台に上がってきた。
「今日はゲストがいるんだからあんまりしょうもない姿を見せないでくれ」
相澤がいつまでも騒いでいる物間の首に布を巻き付けて黙らせる。皆はその所業に怯えていたが、近くにいた上鳴が『速っ、てか強っ!』と言っていたのを呼人は見逃さない。やはり参考にしたいものというのは、いつ見てもその動きに惚れ惚れしてしまうのだ。
「ヒーロー科編入を希望しているC組の心操人使君だ」
ブラドキングの後ろに隠れていた心操が顔を出すと、皆が思わずと言ったように彼の姿に叫び声を上げる。冷静なのは知っていた呼人と上鳴ぐらいなもので、その実力を知っているはずの尾白も驚愕の声を。そして緑谷は喜びの混じった声をあげていた。
「なんでお前が驚いているんだ? 食らってただろ」
「いやそうだけどそりゃいきなり来たら驚くよ!」
むしろなんでお前そんな平静なの!? と呼人の方が怒られてしまった。なんとも理不尽な話である。
「いつか来るのはわかってただろ」
「いやそれはわかってたけど……」
冷たい呼人の返事に尾白は、『え、俺が悪いの?』と言いたげな様子で涙目になっている。
「にしてもあのマスク……あいつも考えてるなあ」
「何か知ってるのか?」
「いや推測程度。まあ見ればわかるだろ」
心操の首元に巻いている捕縛布の下に隠れているごついマスクの正体を、呼人はものの数瞬で看破した。彼の個性を持っているのが自分ならそういうのを使うからだ。もっともそれをバラすつもりは無いが。そんな話をしているうちに、相澤に促された心操が一言述べる。
「何人かは体育祭でも関わりましたけど……。昨日の敵は今日の友とか。俺はそんなスポーツマンシップ掲げられるような人間じゃないです。もう皆さんから何十歩も出遅れてる。悪いけど必死です」
静かな心操の語り口に、皆が引き寄せられる。この心地の良いプレッシャー。緑谷のようにきらびやかな憧れでも、爆豪のように荒々しいそれでもない。ただ冷静な、冷たい。けれど刺すような闘志。そういうのも呼人は大好きだった。
「俺にとってはこの場の皆が超えるべき壁です。ここの全員を超えて、俺が最高のヒーローになる。そのつもりでいます」
静かな決意表明に、彼の本気を疑うものはいない。
「心操、本気だね」
「俺はあの時から気付いてたぞ」
「知ってるよ」
だが鬼気迫り具合では呼人も負けてはいない。少なくとも、クラスで一番総合的な身体能力に秀でた尾白が一日で悲鳴を上げるようなメニューを呼人は毎日のようにこなしてきてる。ただただ強さへ挑戦するために。
「それでは早速始めるぞ。今日は戦闘訓練だ!」
「今回はA組とB組の対抗戦だ。舞台はここ運動場γ。双方4人組を作って一チームずつ戦ってもらう。A組は一人余るからそこは5人組だ。それと、心操はそれぞれのクラスで一度ずつ、計2回参加してもらう。つまりB組は心操含めた21人で4人組4つに5人組1つ。A組は4人組3つに5人組2つだ」
「先生! それでは人数差が不利になるのではないでしょうか!」
「今回の状況設定は『敵グループを包囲し確保に動くヒーロー』だ。お互いがお互いを敵と認識し、先に4人捕まえた方の勝ちとする」
「つまり5人いても捕まえる人数は変わらないってことね」
初めてとなる4人以上でのチーム戦。3人チームでの戦闘訓練ですらこれまでほとんどしていないのだ。連携が重要となるのか、あるいは強力な個が突出するのか。
「双方の陣営には、『激かわプリズン』が設置されている。そこに相手を投獄した時点で捕まえた判定、逆に言えばそれまでは何度でも抵抗が出来る」
「どう思う?」
「全員殴り倒して一回一回放り込みに行く」
「それはパワフルだね」
「冗談だ」
「笑えないから困るんだよ」
尾白と呼人の掛け合いが聞こえていたB組の数名が気にさわったと言いたげな視線を向けてくるので、2人でペコリと頭を下げる。もっともそれすらが煽っているように見えてしまうのだが。
「それじゃあクジだ」
順番にクジを引いていき、チームが決まる。呼人の出番は一番最後の5試合目。チームメイトは緑谷、麗日、芦戸、峰田。普段一緒に訓練しているメンバーがいないがそれはまだいい。
(もうひとりくらい索敵要員が欲しいところだけどな。けどまあ相手も多くて同数。取蔭がいるとめんどくさいな)
結果対戦相手には取蔭はおらず。物間、小大、庄田、柳の4人+B組での出番が5番になった心操の5人となった。心操と物間以外の個性がわからない。
「百竜君、心操君と仲良いの?」
「いや、体育祭の騎馬とその前に一回だけ話したくらいだな」
「そっか。どっちにしろ、頑張ろうね」
「ああ。まあ、あいつのやり方は俺が逆手を取るさ」
「どういうこと?」
「まあ一試合目が始まったら教える。わざわざB組に聞こえる状態で言う必要はないだろ」
そ、そっか、とノートを取り出していた緑谷が引き下がる。そうしているうちに打ち合わせが終わってそれぞれの1組目が移動を始めた。
「もう良いよね?」
「早いな。まあ良いけど。じゃあそうだな、こういうのは知ってるか?」
緑谷に再度詰め寄られた呼人は、喉の形を変形させると麗日の声を模倣して話しかける。
「『デク君は久しぶりの再戦やね』」
「え?」
「ちょっ、え、今うちなんも言ってないよ!?」
近くで話を聞いていた麗日が耳を疑った様子で近づいてくる。
「[うん、麗日さんは何も言ってないよ。だって今のは僕の声だから]」
「デク君! 腹話術?」
「え、僕そんなことやってないよ!」
騒ぎ出す2人を落ち着かせて、そろそろ試合の始まりそうなモニターを確認して呼人は説明をする。
「声帯模写だ。音をよせて話し方を真似すれば大抵は気づかない。で、心操のごついマスク十中八九それをする機械が入ってる。あれで敵に味方の声と誤認させて引っ掛けるつもりだろうな」
「うわ……心操君よりもそれをあっさり当てる百竜君の方がやばいで」
「想像しろ。自分があの個性持ってたらどうするかって。後は俺なら戦闘中に後ろとかから『下だ!』って言って『え?』とか返事させるのを狙うかな。まあそれでかかるかは知らないが」
個性がわかれば、後は自分の中で幾通りもの戦い方を考えるものだ。少なくともそれが呼人のやり方で、その中に敵がやってくれる方法があれば儲けものなのである。
「ほら、試合が始まるぞ」
今後ストックが無くなった後は、投稿が著しく遅くなると思います。純粋に書く時間が無いので。ご了承ください。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
-
欲しい
-
勝手にニヤつくからいらない
-
あまり興味がない