竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第74話 竜の息吹く世界

 物間の治療に付き添っていた呼人が許可を得て戻ると、ちょうど模擬戦の続き、が行われていた。それぞれのチームから物間、呼人を抜いて。数の上では平等だが、呼人が到着した途端に決着がついたのでほとんど見ることが出来なかったが、取り敢えず緑谷の暴走は収まっていたようである。

 

 戻ってきた呼人が若干警戒の目というか、得体の知れない物を見る目で見られてしまうのは、仕方が無いことなのだろう。それは呼人もわかっていたので、心操の評価を教師陣が話し合ったりしている間も端で1人で立っていた。

 

 すべての講評が終わった後、着替えに戻り始めた所でようやく声をかけられた。

 

「百竜、その、さっきの……」

「ん、ああ。夜に全員にまとめて説明するよ。B組の人にも。他のみんなにもそう言っておいてくれるか」

「そっか。とにかくお疲れ様」

「……見事に、止めてみせたものだな」

 

 尾白が気を使う様子でいるのに対して、モンスター達のイラストをずっと眺めていた障子はそれよりは幾分ナチュラルと言うか、落ち着いた様子を見せている。まあ、あれを見ていれば、まだ砕竜でましだったのかもしれない、とも思えるのだろう。それでも、呼人が止めなければ運動場γぐらいは更地になっていてもおかしくはなかったのだが。

 

「止めるなら状態異常、ってな。相澤先生には先に言っておいたから、時間を稼げば勝ちだと思ってた」

「……物間が暴走するところまで呼んでいたのか」

「読むも何も俺が子供の頃に暴走したのはあれになってだからな。それに……モンスターになったときってやっぱり思考の感じが違うんだよ。人間とは脳みそが違うからな。俺は感覚で出来てるけど。もともと理性のないモンスターにいきなりなれば飲み込まれるのも当然だ」

「そうか……伝えるというのは、口頭で説明するのか?」

「いや、もっと良い方法があるんだ。まあそれも夜に、な」

 

 

******

 

 

 そして夜。夕食を食べ終えた後もクラスメイトたちは全員共有スペースに残っていた。いつもなら談笑する時間であり、今日は対抗模擬戦があったこともあってB組の人間も数名訪れていていつもより騒がしい、はずなのだが、今日は少し静かな、緊張した様子が感じられる。

 

 そこで呼人は、口を開いた。

 

「ちょっと聞いてくれ」

 

 全員が話をやめて呼人の方を見るのに合わせて説明を行う。

 

「俺の個性についてちゃんと説明したい。だから興味がある人は俺の言うとおりにしてほしい。それと時間が多分1時間はかかる」

「俺達も居てもいいかな?」

 

 B組の骨抜が手を上げて言うのに呼人はうなずく。

 

「ああ。それと他のB組の人も興味があるなら。来たい人が来次第始めたいと思う」

 

 それを聞いた骨抜と他のB組の生徒が一旦A組の寮から出ていく。呼人はその足を、他の女子と談笑していた八百万の方に向けた。

 

「八百万」

「なんでしょう百竜さん」

「こういう……手と手を握ったときに外れないように止めるバンドみたいなの作れないか? みんなで手を繋いで円を作ってもらう必要があるんだが、力を抜いても離れないようにしたい」

「まあ、そういうことでしたらこういうのはどうでしょうか。百竜さんとどなたか……」

「ん」

 

 耳郎が隣の芦戸の手を取り、それを机越しに八百万の前に差し出す。それを八百万が手から作ったバンドで縛った。

 

「こんな感じでどうでしょうか」

「良い。ありがとう。悪いんだが、それを全員が輪になれるぐらいお願いできるか?」

「お安いご用ですわ」

「助かる」

 

 以前アーニャに使ったときとは違って、今回は呼人も中に入る必要があるし何よりわっかにならなければ全員を一度に誘えない。だからその間手が離れないようにする必要があるのだ。

 

 やがてB組のメンバーも来て、呼人の指示のままに手をつないで輪を作っていく。共有スペースは非常に広く、40人が手を繋いでも問題なく接続することが出来た。

 

「じゃあ、全員手に集中してくれ。他の事を考えないように」

 

 全員のエネルギーを、外部から触れれる状態に、手を介した接触で呼人の中に招き入れる。そうして、全員が呼人の中へと入り込んだ。

 

 

******

 

 

「爆豪、おい爆豪起きろって!」

 

 クラスメイトの誰かが爆豪を起こそうとしている。他にも数名、ようやく起きたばかりのクラスメイトがいるようだ。

 

 今八百万らがいるのは、おそらく森の中の開けたスペース。ただ、ここまで巨大な森なんて聞いたことがない。

 

「ねえヤオモモ、これなんだと思う?」

「おそらく……百竜さんの個性、でしょうか。ですが……」

「うん、こんな個性じゃないよねあれ。それにうちら、なんかコスチュームだし」

 

 八百万らが戸惑っている間に全員が目をさます。と、耳郎の鋭い聴覚が、上から近づいてくる何かを捉えた。見上げるとそこはただ木が覆っているだけに見えるが、その向こうに何かが見える。

 

「全員上警戒!」

 

 直後。木の枝をおるバキバキという音が大きくなると同時に、天井となっていた枝葉を突き破って巨大なモンスターが出現した。

 

「これ百竜の!」

 

 赤い甲殻と2枚の巨大な翼、それに長い尻尾を持つ空の王者。リオレウスである。

 

 リオレウスが空中で一吠えすると、そのうるささに数名が思わず耳を塞ぐ。

 

「避けて!」

「避けろ!」

「ぼうっとすんな!」

 

 それを見ていた耳郎は思わず叫んだ。上空から先程のモンスターが勢いよく降下し、クラスメイトの集団の中心めがけて飛び降りてくる。クラスメイトが回避し、あるいは慌てて隣ど呆然としていた仲間を引きずってその狙う先から避難させたので、モンスターは一旦攻撃を透かして上方に再び跳び上がる。

 

 と。そこに横から飛びかかる影があった。そのまま皆からは見えない位置にもつれるように落ちる。

 

「みんなこっち! 一旦逃げるよ!」

「俺が殿を務める! 早く!」

 

 拳藤が率先して指示を出し、後方の、道らしきものが続いている場所を指し示す。拳藤がそっちに率先して走り、飯田が最高峰に残って逃げようとしていない爆豪らを引きずって逃がす。

 

 しばらく森の中の道らしきところを走った先で、ようやく再び開けた場所に到着した。

 

「全員いるな!?」

「飯田、点呼しとこう」

「ああ、そうだ―――む?」

 

 逃げ遅れがいないかと確認しようとした矢先。足元がわずかに揺れ始める。微弱な、地震で言えば震度4は無いような些細な振動。

 

「地震?」

「くそ、まじで何が起きてんだよ……」

 

 その中で、パワーローダーと対戦した経験を持つ尾白、飯田がはっと表情を固める。

 

「「逃げろ!!」」

 

 え、とクラスメイトらが2人の方を向いた瞬間。先頭にいた拳藤、小森らの足元を突き上げるように巨大な何かが地中から飛び出してくる。それに弾き飛ばされた2人を見て、瀬呂と緑谷が動いた。それぞれテープと黒い鞭を動かし、2人の体を引き寄せる。

 

 一方地面を突き破って飛び出してきた何かは、土煙の中からゆっくりと姿を表した。

 

 巨大な一対のねじれた双角。口元はさながら悪魔のような歪さで。体表を覆うのは土気色の甲殻。尻尾の先端は巨大なハンマーのようになっており、地面にそれを叩きつけている。

 

 双角猛る砂漠の暴君。名を、ディアブロスという破壊者である。

 

 そして2度ほど地面を足で引っ掻いた後、その角を前面に突き出す。

 

「やべえ来るぞ!」

「轟氷!」

 

 言われなくても! 、と轟が氷をはろうとした直後、後方から巻き起こった風が生徒達に吹き付ける。追ってきた先程の赤い竜が、双角を持ったモンスターと正対していた。

 

 互いに大声で咆哮を上げる二匹に皆が何が起こるのかを察した瞬間。

 

「電気……?」

 

 ポツリと漏らした上鳴の声が異様に響いた。その手元には一匹の青く光る虫。同じものがあたりの空中を漂っている。

 

 ズシン、ズシン、と。大きなものが歩くかすかな音が聞こえてきたのはそのときだった。音の方に目を向ければ、先程逃げてきた道を一体のモンスターが歩いていくる。

 

 そのモンスターはちらりと生徒らの方に目線を向けると、すぐに残る2体の方を向き直る。

 

 青と緑の入り混じった甲殻に、狼をより陸戦よりにした体躯。背中には白い毛が生えており、そのあたりが僅かに帯電している。

 

 名をジンオウガという無双の狩人である。

 

『ア゛オ゛ーン!!』

 

 という咆哮とともに、その周辺に小規模な落雷が発生する。そのうちの1つを

 上鳴は自分が引きつけてクラスメイトに落ちないようにした。

 

「まじかこの電力……!」

「上鳴!」

「だいじょーぶ!」

 

 そして2体と1体が相対する。3体がそれぞれに、咆哮を上げた。

 

 

******

 

 

 気がつけば、いつの間にか目の前から3体のモンスターはいなくなっていて。立っているのは、甲板、らしきどこか?

 

「なん、だったんださっきの……」

「上鳴、大丈夫?」

 

 クラスメイト達が声をかけてくれるが、上鳴は先程の感覚を思い起こしていた。たった1つの放電が、まるで落雷に匹敵するかのような規模。とても自分では追いつかないような出力だ。

 

「みんないるか! 点呼取ろう!」

「落ち着いて! 一旦全員いるか確認! ここは船の上だから!」

 

 あたりを見渡せば、さっきいた森とは全く違う海の上にいて。その先には海原と島が見える。

 

「百竜がいねえぞ!」

「うむ……そういうことか」

 

 何かわかったという様子の障子に、周りのクラスメイトが詰め寄る。

 

「何が『そういうこと』だよ障子! なんで命狙われてんのにそんな落ち着いてんだよ!」

「……これを俺達に見せているのは百竜だろう」

「根拠は!? 何をもってそう言えるんだよ!」

「落ち着いて峰田ちゃん。障子ちゃん、私も聞きたいわ」

 

 全員が注目する中、障子は話し始める。

 

「百竜の部屋で、あいつの書いた絵をよく見せてもらっていた。あいつが変身できるモンスターだと言っていた。その中に、さっきのモンスター達も含まれていた。それとおそらく……」

「「「おそらく?」」」

「この船は……」

 

 障子がそう言った瞬間、船が大きく揺れた。連続的に発生する振動。誰でもわかる。障子が言えなかったその先。どうせ

 

 『沈む』

 

 なのだろう、と。

 

 

「全員近くのものに捕まって!」

「うちが浮かすよ困ってる人!」

「麗日俺が固定するぜ!」

 

 傾いていく船の中で、海に落ちないようにと全員が体勢を整える中。船の下側になりつつある側から1体のモンスターが顔を出す。

 

 トカゲのような蛇のような、そのどちらとも違う巨大な体躯。体表を美しい蒼色の甲殻が多い、背中には赤い突起が生えている。

 

 大海の王者とも呼ばれる海竜、ラギアクルスだ。

 

 巨大な船であったがラギアクルスが乗り上げたことで一気に沈んでいく。

 

「麗日! 俺を浮かせてくれ! 空中に足場を作る!」

 

 円場のお願いに、麗日は即座に反応してそっちに飛びつき、彼を浮かせた。そして円場が空中に足場を作っていき、それに引き上げる事の出来る瀬呂と緑谷がまず跳び乗る。そして次々とクラスメイト達を引き上げた。

 

 船が沈没するまでそれなりの時間があったので、なんとか全員の避難を終えることが出来た。その後上から下を見下ろすと、未だに水面ではラギアクルスが、船に体当たりをして破壊している光景が目に入る。

 

 そして再び、全員の視界が反転した。

 

 

******

 

 

 再び目を開けるとそこは灼熱の太陽照りつける砂漠の一角の岩場のような場所で。3度目ともなればなんとなく驚きも薄くなる。

 

「先程障子さんがおっしゃっていた通りかも知れませんわね」

「だね。さっきのもそうだし、危ないように見えるけどこっちに直接危害を加えてこないようになってる」

「でもさっきすげえ危なかったぞ! 安全とは言えないんじゃねえのか!」

「それはそうだけど、なんでこんなことになってるのかって話」

 

 拳藤の説明に、生徒の大半は首を傾げることしか出来ない。そう言われればそうかもしれない、程度の。根拠も無い推測でしかない。誰でもわかる。あんあ質量に体当たりでもされればひとたまりもないことぐらい。だから、身の安全は自分たちで守らないといけないのだ。

 

 と。議論が白熱しそうになったところで足元を再び僅かな振動が襲う。

 

 そちらを見下ろすと見えるのは、地面に起こる土煙と、その側に立つ人影。

 

「ッ! おームグッ!?」

「敵か味方かもわかってないんだぞ!」

 

 その人影に声をかけようとした切島の口を瀬呂が慌ててテープで塞ぐ。そうこうしているうちに人影は彼らの立っている岩の下まで近づいてくる。よく見ると他にも何人かいるようで、何か大きな樽のような物を何箇所かしかけていた。

 

「あっち、見て!」

 

 耳郎が指差す先には、自分たちと同じぐらいの高さの高台に一人の人間が立って弓を構えている。

 と、また別の場所で破壊音。

 

「あいつさっきの!」

 

 先程地面を突き破って現れた双角を持つモンスターである。サボテンを静かに食むそれを見守っていると、弓を構えた人間が巨大な弓からこれまた矢とは思いたくないような太い棒を放つ。

 

 飛翔したそれはモンスターの側に置いてあった樽にあたり、大爆発を引き起こした。

 

「なんでわざわざ攻撃するんだよ!」

「おいあんた危ねえぞ!」

「待って誰か追われてる!」

 

 切島の声に、弓を持った人間は反応しない。ただ、次の樽に狙いを定めて放ち、別の人間を追っていたモンスターの頭部付近で爆発を起こす。その大きな角が、爆発によってへし折れた。

 

「「おおっ!」」

 

 その光景に生徒達が驚きの声を上げる中、事態は加速する。

 

 更に突進しようとしていた双角のモンスターの横っ面にまた別のモンスターが砂漠から飛び出して体当たりを仕掛けたのだ。そしてそれにそらされた突進が、切島達の隣、弓を放った人間が立っていた足場を崩す。

 

「危ない!」

 

 咄嗟に飛び出した緑谷がその人間を空中でキャッチし、そのまま一緒に地面を転がる。思っていた以上の弓や装備の重さに、バランスが崩れていた。

 

 その間に2人を狙う後から現れたモンスターに対して巨大な盾だけを背負った一人が何かを投げつけると、モンスターが地中から苦しそうに飛び出し、それを巨大な盾とランスを持った人間が盾で弾き飛ばす。。

 

 そして2本の剣を持った人間が、双角の一本を折られたモンスターに果敢に飛びかかっていった。




ここの描写はもっと気合入れようかとも思ったんですがあまりだらだらするのも……ということで。もしもっとこんな描写読みたければ言ってください。

ちなみに参考にした場面はありますが……まあ気づけるかな、ということで。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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