竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア 作:アママサ二次創作
「今回は呼人も来るんだ」
「まあな。大体一時間も外で見張ってるのは相当暇なんだよ」
今回は尾白達と一緒に呼人も精神世界に入っている。
「なあ百竜、さっき見せられたときにも思ったんだけど、これって全部その別の世界のことなのか?」
「そうだな。例えば……ここはあまり良くないな。ちょっと場所を変えるか」
呼人がそう言った直後。森の中に立っていた4人は、背丈の低い雑草が生え、わずかに水が流れる場所に転移する。そして遠方には、巨大な樹木がそびえ立っていた。
「例えばあっちに見える木。全長数百メートル、そしてあちこちにモンスターや人間が乗っても全く問題ないぐらいの規模だ」
「おお……」
「すげえ……」
「なんか、大自然って感じだ」
3人がそれぞれにあたりを見回している中で、呼人はモンスター達を呼び寄せる。
「尾白は取り敢えずオドガとラーとガルルガ、あとはケチャとワチャと……」
「ラーって、さっきの人?」
尾白がびっくりした表情で尋ねてくるので呼人はそれにうなずく。
「そうだ。つってもさっきは本気を見せつけろって指示してたからな。加減は出来る。……多分」
「今とっても不審な言葉が聞こえたんだけど!?」
「気にするな、ちょっと痛いだけだ」
ちょっと痛いだけ。つまり死ぬぐらい痛くても死にはしない。呼人の痛覚への耐性はこのあたりに由来する。それはもう数え切れないぐらい叩き潰され、焼かれ、氷漬けにされ。ありとあらゆる死に方を経験してきたのだ。
「上鳴は電気系統だよな?」
「おう!」
「じゃあジンオウガとラギアと……ゼクスと、レビディと……ヒメとディオにも来てもらうか」
「待ってそんなにいんの?」
「そりゃあ、世界1つ分のモンスターが勢揃いだからな。数も多くなる」
「まじかよ……」
電気を操るモンスターの数は多いが、それぞれに扱い方は異なる。それもまた、参考になるかもしれない。もっとも、破壊力が高すぎて使えないものの方が多いのかもしれないが。
「まあ頑張れ。で、障子は……」
「俺はどちらかと言うと見たい」
「だよな」
と言っている間に、最初に呼人が呼んだ尾白の相手をしてくれるメンバーが集まってくる。
「また殴り合いの相手か!?」
「んでお前はそんな盛っとんだクソゴリラ! 次は俺の番だろうが!」
特に揉めているのはさっきもいたラー、金獅子ラージャンの人格と、ガルルガ、黒狼鳥イャンガルルガの人格である。ちなみにこのガルルガの口調が爆豪に酷似しているのだ。そのため呼人は彼の荒い口調にも何も感じなかったのである。
「やかましいわ! 早いもんがちだろうが!」
「んだとこら!」
「ねえ待ってなんかあの人爆豪みたいなんだけど」
「初めて爆豪見た時はやたらと口調が似てたから懐かしく感じたぞ俺は」
二匹が元気よく揉めている一方で、オドガ、それにケチャとワチャが尾白のところへやってくる。
「尾白、だな」
「えと?」
「オドガだ。オドガロン、と言ったほうがわかりやしぃか」
「ああ、普段呼人が変身してる」
「そうだ。いっぺん俺がお前とやってみたかった。よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
ペコリと尾白が頭を下げたところで、柔らかいものがその頭を撫でる。頭を上げた尾白は、それを見て思わず目を見開いた。残りの2人の人間から生えた尻尾が、尾白の頭をなでているのだ。
「わっ、尻尾がある!」
「ははっ、オイラ達も尻尾があるんだぜ!」
「尻尾の使い方に関しちゃ一日の長がある!」
「「俺達に任せとけ!」」
ケチャワチャとケチャワチャ亜種の人格であるケチャとワチャのコンビは、モンスター達の中でも軽いお調子ものである。お調子者と言うかもうまるっきりピエロというか。そんな2人だが、尻尾の扱いに関しては確かに一日の長があり、呼人が尾白と一緒に訓練をするときには呼人に尻尾を使った戦いについて叩き込んだのだ。
「そいじゃあ呼人行ってくるぞ!」
「わかった。帰りたいと言ったら連れてこい」
「イエッサー!」
3人に連れられて尾白が離れた場所にある森の方へと移動する。ここは心象世界だけに、モンスター達の記憶にある場所ならどんな場所でも再現することが出来る。その中で再現した森の1つだ。
「私を呼んだのは……この少年か。あの時は済まなかったな、少年」
「あ、えと?」
「私の放電を受け止めただろう? 上鳴君、確か帯電、放電する個性か」
「あ、そうっす。てことはあの時の……」
「名をジンオウガという。よろしく頼むよ」
一方上鳴の方にも、呼人の呼んだモンスター達が集まっていた。
「障子はこっちに一緒にいるか? こいつらは電気を使うなら変身することもあるだろうし」
「……そうだな。正直誰から見れば良いか……少し昂ぶっている」
「喜んでもらえて何よりだ」
2人が見ている前で、上鳴がモンスター達にそれぞれ自己紹介されて目を白黒させている。
「あそこの紳士的なのがジンオウガ。その隣の海賊っぽいのがラギアクルス、後ろの和装の女性がナルハタタヒメで、隣の金色と鋼色の光ってるのがレビディオラ、でその後ろの青い鎧みたいなのがディオレックスだ。ああ、ライゼクスも来たな」
最後に空から飛んで一人の男が降りてくる。雷竜ライゼクス。電の反逆者とも呼ばれる反骨精神たくましい男だが、意外と人間になった時の気性は穏やかである。というより彼の気性の荒さは生まれてすぐに放り出されて一人で生きていく中で発生したものであり、縄張りが自由な呼人の中にいるときは比較的穏やかなのだ。あくまでも比較的、だが。火竜種など同じ空を戦場とする相手に関してはその限りではない。
「呼人、変身して見せても良いのだろう?」
「任せる」
ジンオウガに尋ねられて呼人がそう返すと、彼は即座にその場で巨大な体に成長する。そしてイメージでの対話の応用を使って、頭の中に直接話しかけた。
『先程、少年が持っていた虫だ』
「あ、こいつが……」
上鳴の目の前、そして一緒に説明を受けている障子や尾白の目の前にも光る虫が数匹ずつ飛んでくる。
「やっぱり、こいつ帯電してるっすよね」
紳士然とした話し方のジンオウガに、上鳴も下手な敬語が飛び出している。
『それは雷光虫という。蛍という虫が光るように、発電を行う虫だ。そして私はそれを背中に千匹以上は飼っている』
「千匹!?」
『その電力を受け取って背中の甲殻、そうだな、ラギア、見せてやってくれるか』
「おうともさ」
人の状態のまま待っていたラギアが変身し、その頭を地面に下げる。
『乗んな。持ち上げてやんぜ』
顔を輝かせた障子が確認してくるので呼人はうなずく。もともと見せた以上特に隠し立てするつもりはない。
ラギアの頭の上に上鳴と呼人、障子がよじ登ると、ラギアは首を持ち上げてその頭をジンオウガの背中よりも高い位置まで持っていく。
「すげ、背中に帯電してる」
『その甲殻で帯電している。そして帯電量が一定を超えると……』
ジンオウガがそう言うと、いきなり雷光虫達がざわめき、鳴き声のような物をあげ始める。ギチギチ、という小さな音は集まって大きな音となる。
そして、ジンオウガが天高く咆哮を上げた。
周囲に落雷が発生すると同時にジンオウガの全身の毛が逆立ち、背中の甲殻がバカリと開く。その体を青い雷光が覆い、もはや生物とは思えないほど神秘的だ。
「やべえ……! てかかっこよくね!?」
「ああ。楽しい」
それを見た上鳴と障子は大興奮だ。確かに、モンスター達がパワーアップする時の動きの中ではかなりかっこいい部類に入る。後はディノやガズラもかっこいい類に入るだろう。
『私はこの蓄電能力と、そして雷光虫を電気を操る道具にすることで自由に動かしている。例えばこういった具合だ』
そう言ってジンオウガは電撃弾を飛ばす。
「なるほど……! 電気を虫に集めて飛ばしてんのね」
『そうだ。それに対して……ラギア』
『じゃあ次は俺の説明な』
そう言ってラギアは、帯電状態の解けたジンオウガの背中に呼人達3人を放る。
『俺はジンオウガと違って自分で発電出来る。筋肉の振動で発電するんだ。んでそれを背中に溜める。まあここは一緒だわな。ただ俺はジンオウガと違って雷光虫は持ってねえんで―――』
そういったラギアは、口から遠くにめがけて帯電したなにかの塊を吐き出した。それは地面に落ちた後飛散し、周囲に電撃を拡散させている。
『帯電性の粘液を使ってる。これを玉にして帯電させて吐き出す』
「やっぱ電気をそのまま使うのはあんまりねえんだな」
『その点なら後の3人の方がもっと面白いぜ。なあ?』
そう言ってラギアが後ろを振り返ると、3人のうち一人、ヒメの体が光り始める。そしてそれに合わせて、周囲の地面から飛び出した岩が宙に浮き始めた。
『―――――』
『ヒメ、やはり古龍の想念は上手く通じん。俺が通訳する』
古龍の特殊な意思伝達手段が伝わらないため、ディオが代わりに説明を行うことになる。先程ゾラが話していたが、あれはかなり頑張って練習しているのだ。
『ヒメや俺は、電力で磁場を発生させて磁力の反発などで岩を浮かせて足場にする。他にはゼクスであれば磁場で周囲のものを吸い寄せるような攻撃もする。レビディは逆に磁力を操って、そこから得られる誘導電流を利用する』
「電気で、磁力を……そっかそんなこともできんのか」
『人の体で容易いことではないだろうが、お前の操る布のような物を利用すれば出来ないことはないだろう』
「なるほど……」
『―――――――』
『―――――――』
そこで再度ヒメとレビディが何かを言い、それをディオが通訳する。
『ただし、巨大な磁場はおそらく機械を狂わせる。使い所には注意しろ、とのお二人の言葉だ』
はー、と上鳴はほうけている様子だ。そこで、遠慮していた障子が手を挙げる。
「1つ良いだろうか」
『なんだ?』
「他の4人も、モンスターになった姿を見せてくれないだろうか」
『――――――』
『……良いだろう、と言っている。では、少し離れていろ』
障子の頼みを聞いたモンスター達が、それぞれ本来の姿へと変身する。金色に輝く体表を持ったナルハタタヒメは周囲の磁場に影響を与えて宙を飛び、ライゼクスは羽ばたいて対空している。他の2体も同様に変身していた。
だが、直後に離れた場所でジンオウガの背中に乗っていた上鳴の体から放電が始まる。それに慌てた上鳴は止めようとするが、出来ない様子だ。
「え? あれ、なんで、とまんねえ!」
「おーいヒメとレビディは一旦人型に戻って」
『やはりか。ヒメ、レビディ、駄目のようだ』
それを見ていたディオが2人に伝えると、その2人だけ変身を解除した。同時に、上鳴の体から発生していた電気が止まる。
怖がる上鳴に、呼人は事情を説明する。
「モンスター達にも2種類いる。古龍、古の龍とそれ以外。で、この古龍が操るエネルギーは、個性を発生させてるエネルギーと同じなんだ」
「個性を発生させてるエネルギー、ってどゆこと?」
「個性因子のことか?」
「まあとにかく個性に近いエネルギーなんだ。そして古龍はその場にいるだけでそのエネルギーを周囲に放出し続けてる。さっきもヒメとレビディが変身したときに周囲に岩が浮いていたが、あれは2人が意図したものじゃなくて自然に発生したものなんだ」
「それが、なんか今のと関係あんの?」
「つまり、同じ種類、電気に干渉するタイプのエネルギーを受けた上鳴の個性が、強制的に活性化されて制御不能になった、ということだ」
呼人の説明に上鳴と障子は驚く。個性を強制的に引き出すという個性すら存在は非常に珍しく。それこそ個性を消す相澤の個性と同じぐらい希少なものなのだが。
そうではなく、個性に力づくで干渉して制御不能にしてしまう、と呼人は言っているのだ。
「やべえな……」
「ああやばい。そもそもさっきも見せられたと思うが、古龍というのは存在そのものが災害なんだ。寒冷化、砂漠化、嵐、地震、その他色々。だからその力は俺も制御は出来るが使わないようにしてる」
まあ、俺の精神世界の中ならいくらでも荒らしていいから、見たかったら言ってくれ、とこともなげに言う呼人に、障子達は先程とは別の意味で息を飲んだ。
随分遠いところをみすえていると思っていた。だが呼人には、一番身近だったのだ。身近に、自分の中にそんな強力な存在がいて。だから、あそこまで強さに執着出来たのである。それを、ようやく実感として理解した。
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しばらく上鳴と電気を利用するモンスター達がその利用法について話したり実践したりしていて。そろそろ寝るべき時間が近づいたので呼人はモンスター達に軽く声をかけた後現実に戻り、先に手を離す。
それによって接続が解除され、上鳴、障子、尾白らも現実の世界に戻ってきた。
「あ……そうか、もうおしまいか」
「お疲れ尾白。そっちはどうだったのよ」
「うーん」
そう言った尾白は照れくさそうに頭をかく。
「ボコボコにされた、かな」
「尾白が手も足も出ない、か」
「すげえな百竜の中のモンスター達って」
モンスター達に確認すれば、ラーやガルルガが組手でもんだ後、尻尾を使った機動力を活用して森の中を走り回りながらケチャとワチャ、それにオドガが遊んだようだ。
「体術じゃあ俺も勝てないからな。そんなもんだ」
「うん、でもいい経験になったよ。それに体も怪我しないですむから無茶が出来るしね。またお願いしても良い?」
「良いぞ」
モンスター達も、外の人間と関われるのであれば嫌だとは言わない。言っても彼らは暇なのだ。
一方の上鳴も、完全に新しい事を開発したわけではないが発想は浮かんだようだ。
「上鳴の方は?」
「凄かった。めっちゃかっこよかった」
ただその感想が一番に来てしまうのはやはり上鳴なのだなと言った感じだ。
「俺も見てみたかったよ。こっちはモンスター達は皆変身してくれなかったから」
「なあ、百竜! やっぱり全員見せて欲しんだけど! あんなかっこいいのが他にもいるんだろ!」
「まあいるが……時間はかかるからな。訓練がおろそかにならないようにしろよ」
「それはもちろん!」
ともあれ、取り敢えず呼人の中のモンスター達について受け入れてくれる相手もいる。それが呼人には嬉しかった。たとえあと少ししか共に入れない仲間だとしても。
Pixiv fanboxをしています。
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月200円から応援できるので、是非お願いします。応援は生活費に返させていただきます。頑張って書きます。
小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか
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欲しい
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勝手にニヤつくからいらない
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あまり興味がない