竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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第8話 学級委員長

「でかいっすねあの人。すごいガタイしてる」

 

 『オールマイトの授業はどうか』というマスコミの呼びかけに、呼人はそれだけ答えて校内に入る。実際感想がそれぐらいしか思いつかない。凄い人だとは聞いたが、まだその力を見たわけではないのだ。

 

 校門を抜けて歩いているとすぐに、教師とすれ違う。

 

(そう言えば神王寺がマスコミってめんどくさいとか言ってたな)

 

 マスコミへの印象がその程度の呼人であった。

 

 

******

 

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

「「「学校っぽいの来た―!!」」」

 

 いくつかのお小言の後に、相澤が言い出した言葉。何やらまた至急のことだと不穏な事を言いだしたのだが、その一言で皆の不安は払底された。

 

 まさに学校ぽいそれ。

 しかし普通の学校と違って、ここでは皆が自己推薦していた。

 ヒーロー、特に上を目指す者にとってはリーダーシップというのは、集団を導く力、トップヒーローに必要な力として皆が望む役割なのだ。

 

 そんな中呼人の頭の中には、今朝方の神王寺の言葉が響いていた。

 

(『学級委員長とか隊長とか、そう言うのは絶対やらないほうが良いぞ。なんでって……めんどくさくね?』)

 

 神王寺の、渾身のありがたいお言葉であるが、それではこの状況の説明がつかない。

 

『――――――』

『まあ、あいつは人に合わせるとか足並み揃えるとか苦手そうだもんな』

 

 正に呼人と龍達に言われているとおりで、神王寺は基本的に人に合わせるということが致命的に苦手な人間なのだ。というよりは、自分本位を抑えられないというべきか。

 集団で戦闘をしていても、途中で面白そうな相手がいるとそっちにふらふらっといなくなったり、流石に救助の最中にいなくなることはないが、指示を無視して自分が助けたいところに行ったりと、とことん自分の考え優先なのである。

 

 そのためか、あるいはそれもまた自分がしたいなにかだったのか、神宮寺は雄英高校を卒業した直後、プロヒーローになって数年のうちに日本を出て、世界中を巡っては現地の住民を手助けしたり個性に関する研究をしたり世界中の自然を巡ったりしていた。

 

 そんな神王寺がリーダーの役割に良い思いをしているわけがないし、そんなノウハウもまったくないのだ。曲がりなりにも呼人を育てた分、子育てのノウハウの方がまだあると言えた。

 

「静粛にしたまえ!」

 

 そんな中、飯田と言う、いわゆるクソ真面目(悪い意味ではない)な少年が声を張る。

 

「多を牽引する責任重大な役割だぞ……! やりたい者がやるのではなく、皆に『この人ならば』と、認められ、選ばれた人間がやるべき仕事だ! そのためにも、皆で投票を行うべきだ!」

 

 男飯田、ここ一番で決めた。最も公平である手続き多数決を提案した

 が。

 そんな彼の手もまた、綺麗にそびえ立っていた。

 

「お前もそびえ立ってんじゃ―ねか!」

「日が浅いのに信頼も何も無いわ飯田ちゃん」

 

「だが……だからこそ、この中で2票でも3票でも獲得した者が、相応しいと思わないか!」

 

 その飯田の言葉に、皆考える。確かに、ここで複数の票を獲得できた人間は本物だ。

 

(リーダーシップなんちゃあ、今持ってるものじゃなくて身につけてくものだろうに)

 

 そう呆れた様子で考えている呼人。すでに斜め前とかから目線を感じるが、ガン無視で下を向いている。ついでに、耳の良い斜め前の少女が聞き取ってくれるように『やりたくないやりたくないやりたくないやりたくない―――』と言い始める辺り、結構めんどくさそうなことは嫌いである。

 

 その後八百万が用紙を作成して配り、即興の投票が開始される。ばんばん隣とか後ろとかから視線が刺さるが、全部無視。ついでに自分の紙に『飯田』と書いてこれみよがしに机の端に置く。これは自分以外の名前であれば何でも良かったのだが、その中でも場が見えていた飯田に伸びしろを感じたためである。

 

 そして、結果発表。

 

 大半のものが自分に投票する中、名前が無いものが数名、そして、3票を獲得したものが1名と2票を獲得したものが1名。

 緑谷と、八百万だ。

 

「え!? 僕に3票!?」

「あと1票でしたのに……」

 結果が決まる中、場は一時騒然としたもののなんだかんだ落ち着き、緑谷が委員長、八百万が副委員長になった。

 そんな中、自分に()()()()()()()一人である飯田は、何故か自分に入れられた1票を呆然とした顔で見つめていた。

 

「誰が……一体……」

 

 先程はああもぶち上げた飯田だが、自分が到底その本物足り得るとは思っていなかった。だが、誰かが認めてくれた。それが嬉しくもあり不思議でもあり、その誰かが一体誰なのかと。飯田は気になっていた。

 

 ちなみに百竜に視線をガン無視された障子と耳郎、葉隠は、耳郎が2人に示し合わせて百竜に入れてやろうとしたものの、障子が首を横に振ったため耳郎のみの1票で終わる。その結果に、百竜が耳郎の方を見ると少しばかり不機嫌な、有り体に言えばふてくされた彼女がいた。

 

 

******

 

 

「百竜、食堂に――と、弁当があるのだな」

「うわっ、何が入ってんのその弁当」

「わ、大きいお弁当だ」

 

 昼休みになって百竜が卓上に取り出したのは、巨大な弁当箱。しかも2段重ね。呼人の席の近くにやってきていた障子、耳郎、葉隠の3人は、それを見て思い思いの声を上げる。

 

「米と肉と野菜。食堂行くなら席取っといてくれないか?」

「え、それ以上食べるの?」

「太るよ?」

「個性の関係上大食いなんだ。これでも足りないが、流石に持ってくるのが面倒だからな」

 

 そのサイズで、と明らかに自分の3食と張り合いそうな弁当を2つ重ねている呼人の言葉に耳郎が少し引いた直後、サイレンが鳴り響く。

 

『緊急警報発令。緊急警報発令。セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へと避難してください――――』

 

 緊急警報。その言葉の意味を理解したクラスメイトの顔色が変わる。

 

「セキュリティ3、とはなんだ……?」

「ちょっ、そんなこと言ってる場合じゃないって。早く避難しないと!」

「でももうすごいパニックだよ!?」

 

 葉隠の言う通り、廊下はすでに走り出した人間でいっぱいである。緊急警報だけでこうもなるものなのか。ヒーローはこういうのを助ける仕事なのだが、その大変さがよくわかる。

 

『――――――』

「3は“侵入者”が校内に“入った”事を示すはずだ。ここのセキュリティを抜けるか……」

「侵入者なら早く逃げないと!」

「って、ちょっと、何障子も百竜も落ち着いてんの!」

「むっ、しかしパニックに飲まれては意味が無い……」

「そもそもこの廊下のはっつめ具合でどう逃げるんだ。相手がヴィランなら数集まってる方が危険だろ。俺達は単独で狙われても他の科の人間よりは逃げ切れるしな」

 

 だから落ち着けと。わたわたと慌てる葉隠と、少し焦った様子の耳郎を障子と2人がかりでなだめていると、別の放送が入った。

 

『やあ皆さん! 避難しなくて大丈夫! 侵入者は礼儀のなってないマスコミです。後は先生たちが対処するので、皆さんはクラスに戻って連絡を待っていてください。おっと、校長の根津でした。言い忘れるところだったね。それでは』

 

 少しばかりユーモラスに、あえて落ち着きを取り戻させるような校長の放送を聞いて、何より先生方、すなわちプロヒーローが出ると聞いて、廊下の喧騒も次第に落ち着いていく。

 

「マスコミかあ。びっくりした……」

 

 そう安心する葉隠と耳郎に呼人がなんとも言えない表情をしていると、障子が触腕から口と耳を伸ばして他に聞こえないように話しかけてきた。

 

「何かあるのか?」

「たかがマスコミがここのセキュリティを抜く実力も度胸もあるとは思えないな」

「……そういうことか」

 

 呼人の言葉に納得した障子が、触腕を戻す。

 

「何、2人で何のひそひそ話?」

「え、ひそひそ話してたの? だめなんだよ仲間はずれ」

 

 女子2人のその言葉に、呼人が障子の方を見ると、首を横に振っていた。言わない方が良いという意味なのか、バレた以上言えという意味なのか。

 

『――――――』

「いや、慌ててる2人なんか可愛いなと思って」

「は?」

「え?」

 

『おいゲリョス。大ハズレじゃねえか』

『――――――』

 

 しょぼいナンパ師みたいな人格のゲリョスのアドバイスを聞いたらこれだ。そもそも呼人はまだ感覚的には人間の美醜がわかっていない。なにせこれまでの女性に関わることと言えば、“炎王龍”が鬼嫁の美しさを語ってきたり、“火竜”が一回り小柄な妻の可愛さを語ってきたり、“角竜”が気が立ってる時期の奥さんなんか良いとか伝えてきたりと、モンスターの惚気話ばかりだ。

 

「すまん、冗談だ」

 

 呼人がそう言うと、2人が安堵したような、何故かがっくりとしたような反応をする。

 

「……それは無いぞ、百竜」

「お前が俺に任せたんだろが。首振られるだけじゃどうすりゃ良いかわからねえよ」

「普段からお前に聞いたことを勝手に話していいか悩んでいる俺の気持ちを知ってほしくてな」

「そういうのははっきり言え」

 

 障子と言い合いをした呼人は、女子2人の方を見て説明する。

 

「不安にさせるかも知れないけど、マスコミがここのセキュリティを抜いて侵入する実力も度胸もあると思えなくてな。その事を少し話してただけだ」

 

 呼人がそう言うと、何故か葉隠が呼人の目の前まで近づいてくる。

 

「百竜くん」

「ひゃい」

 

 そして、口もとを掴んで左右に引っ張られた。

 

「そういうのは軽々しく言っちゃいけないんだよ」

「ふぁい、こふぇんなふぁい」

 

 後でゲリョスはスキュラに締めてもらう。ついでにスキュアにも締めてもらう。

 

『――――――!』

 

 抗議は受け付けない。

 

「はあ、あんた隠すのとか明らかに下手なんだから、隠してもわかるんだよ」

「まじで?」

「まじで」

 

 解放された頬をさすっていた呼人に、耳郎が言う。つまり言った瞬間にはバレていた。

 

「……もっとポーカーフェイス練習する」

「そういうことじゃない」

 

 2人に小言をもらった呼人は、クラスメイトが教室に集まってくる中昼食を食べそこねる訳にはいかないと、3人が話している前であっという間に弁当を平らげる。

 

「そうじきみたい……」

 

 失礼な。ちゃんと味は味わっている。じゃないとジョーに怒られる。その後待機は、安全が放送されるまで続いた。

 

 

******

 

 

「百竜君! 少し話を聞かせてもらってもいいだろうか」

「ん、ここじゃまずい話か?」

「できれば2人がありがたい」

 

 食事を終えた後、いつものように本を取り出して読んでいた呼人に飯田が声をかけてきた。先程の4人で食堂で食べそこねた愚痴を兼ねて話し合っているところに来たので、皆の前では駄目なのかと尋ねると、彼は2人が良いと伝えてきた。

 

 そして場所を変えるために、2人は廊下に出る。教室と違ってその場に留まる人間がいないので、話を聞かれても断片的にしかなりえない。

 周りの人気が切れた所で、早速とばかりに飯田が尋ねてくる。

 

「さっきの投票、僕に投票してくれたのは、君か?」

「……どうした急に。それを聞かないための無記名投票だろ?」

 

 呼人がそう答えると、飯田は苦渋の表情で少し黙った後、答える。

 

「そうだが……気になっていたんだ。それに少し嬉しかった。僕は自分でも、自分が学級委員長に相応しいとは思っていなかった。だが、誰かが投票してくれた……! だから、僕に投票してくれた人に聞きたかったんだ」

 

 そうしてクラスのみんなに聞いていると、呼人が『飯田』と書いた紙を持っていたという情報を聞いた。

 

「君が、僕に投票してくれたのか!」

「……そうだよ。俺はお前に投票した」

「……教えてくれないか? 何故俺を選んでくれたのかを」

 

 飯田の言葉に、呼人は小さくため息をつく。それに飯田がショックを受けた表情を見せるが、呼人が構わずに続けた。

 

「少し長くなるぞ」

「! ああ、構わない!」

 

「まずは……そうだな。俺は、お前の『今他の者に選ばれるものがいれば、それは本物だ』って論理は、間違えてると思ってる」

 

 飯田が何か言い返してくるかと黙ってみるが、呼人の言葉の続きを待っていた。

 

「こう言うのはあれかもしれないが、リーダーの実力なんてのはこれから『鍛えて』いくものであってすでに身についているものではないし、今少し素質がある程度で『相応しい』なんていうものじゃない」

「……確かに……! 僕はリーダーに拘りすぎるあまり、視野狭窄に陥っていたということか……!」

「そんな中お前は、他の連中には悪いが、お前だけが『まとめる意思』を見せた。リーダーには色々ある。穏やかに皆の意見をまとめる者、恐怖と力で支配する者、カリスマで引っ張る者。だがそのどれも、リーダーになるならまとめる『意思』が必要になる。そういう意味では、お前の伸びしろが一番あるように感じた」

 

 それだけだよ、と呼人は飯田に言う。話の途中から飯田は下を向いて何やら深く考え込んでいる様子だったが、やがて顔を上げて、思いつめた表情で口を開く。

 

「……僕は、なれるのだろうか……! オールマイトや兄さんのような、皆を引っ張っていけるリーダーに!」

「さっきも言ったが、それはお前がこれから何を身につけるかだ。だが、自分が目指すリーダーの形は考えておいた方が良い」

「リーダーの……形?」

「そうだ。オールマイトは、カリスマで引っ張る典型だと思う。彼自身に皆を引っ張るつもりがなく、またそのための方策を張っていなくても、彼が言えば、皆がその背中を見る。皆がその背中に従う。そういうタイプのリーダーだ」

 

 ある種の化け物だな、と呼人は呟く。こんな事を呟くと怒られるかも知れないが、そう言わずにはいられない。

 

「しかし、僕に彼のようなカリスマは……」

「何もカリスマだけがリーダーになる手段じゃない。言っただろ。いろんなタイプのリーダーがいると。例えば、全体に適切なタイミングで適切な方針を示し、個人個人の性格を適切に把握した上で役割を振る。あるいは、背中を後押しする。リーダー、導く者とは言うが、別の見方で言えば、個人個人が自分の事を見る中でただ一人集団の行く末のために行動するのがリーダーだとも言える」

「背中を……後押しする、か。僕に出来るだろうか……」

「さあな。だがそっちは、先天的なカリスマとは違う、技術として身につけられるものだ。個性が出現する以前の、リーダーシップや経営に関する書籍をいくつも読んで分析してみると良い。それも、リーダーの仕事だ」

「……何か、君からヒントをくれないだろうか。具体例でもなんでも良い」

 

 食い下がる飯田に、呼人は少しばかり彼への目を改める。あんな真面目な感じを出しているが、彼もまた貪欲に目指す者なのだ。

 

「……爆豪は、あんな性格だ」

「ああ」

「オールマイトや他のプロヒーローなら、アイツを抑え込もうとするだろう」

「それは、そうだ。彼は周りが見えていない」

「だが、あいつの強さには光るものがある。なら下手に抑え込まずに、あいつに割合自由にやらせて、それを他のみんなでサポートする、という手もある」

「……! それは!」

「あくまで一例だ。だが、そういう風に、集団にとって、そしてそこに所属する個人にとって何が最適か、というのを様々な情報から判断し、そのために行動するのもまたリーダーだ。今ので言えば、爆豪に最低限のルールを徹底させたりとか、爆豪をメインに回すことに不満の声を上げる他のメンバーに丁寧に説明したりとかな」

「……」

「俺で良ければ、家にいくつか本がある。それを貸すよ」

「本当か!」

 

 呼人の言葉に、飯田が顔を跳ね上げる。そこに彼は鬼気迫るものを感じた。

 

「言っておくが、リーダーは誰をとっても同じやり方の者はいない。皆それぞれ違いはある。だから、それを全部真似るんじゃなくて参考にして考えるんだ。何が、自分が目指すべき、あるいは目指したいリーダーなのか、ってな」

「ああ! 本を貸してくれ! 僕は―――!」

「わかった、わかったから離れてくれ。暑苦しい」

 

 その後、興奮した飯田をなだめるのに少し時間がかかったが、無事落ち着いた。

 更に驚くべきことに、飯田の行動に感銘を受けた緑谷が彼に委員長を譲るという一幕があった。

 その後、呼人から本を借りては読んでいる飯田が、呼人に話しかける機会が増えたのは言うまでもない。




もう30話ぐらい(ストーリー的には職場体験初日)まで書き上がってるのですが、続きを書いているうちに言い回しを書き直したくなったり描写がおかしいことに気付いたりするので投稿を少し躊躇っています。まあゆっくり出していくのでお待ちください。

丁寧な個性とかモンスターの描写は心がけていますが、考えれば考えるほどヒロアカもモンハンもそもそも少しばかりガバガバな感じがして丁寧な描写が難しいところが多いです。(例えば、上鳴の個性なんて人間くらったら即死ですし、雄英の訓練も負傷ならともかく即死しそうなものが多くて本当に大丈夫なのかと思ったり。モンハンはそもそもゲームに合わせるために人間(ハンター)の耐久性とか地形の耐久性が尋常じゃなくなっているのでそのあたりも難しい)なのでそこらへんはゆるく見てくれるとありがたいです。

また文章量に関しては、ちょっとした場面の会話を入れると冗長に感じることもあるけどそれを省くと本当に要点だけのあらすじみたいになってしまうので、どうするか悩み中。ただ展開だけじゃなくてそれこそ単話の二次創作であるようなキャラクター同士の交流も書いてみたいかななんて思ってるので、少し長くなると思いますがお付き合いお願いします。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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