竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~  モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア   作:アママサ二次創作

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オリジナル個性持ち複数出ます。


第79話

「言っておくが、うちは慈善団体をやってるわけじゃない」

「わかってる。その上での依頼だ」

 

 冬休み終了直前。呼人は仲間の元を離れ、最後にとある場所を訪れていた。現在はその拠点を関西に移した地下組織、死穢八斎會の拠点だ。以前は表にはっきりと見える拠点を構えていた八斎會だが、勢力を失い、またやり方を変えた現在となっては路地の奥、小さな一部屋から地下へと続く道を治崎が創造し、そこに居を構えている。

 

 現在は、他組織との折衝で組長が出張っているということで治崎が訪問した呼人の応対に当たっていた。治崎の方は呼人に全く良い顔をしておらず、不機嫌そうに眉に皺を寄せている。

 

「うちのメリットは」

「まず持って、一斉蜂起というのは明らかに稼ぎが悪い。それはわかるか?」

「当然だ」

「なら話は簡単だろう。そっちの下にいる組織の計画に時間差をつけるように指示すれば稼ぎも上がる」

「一斉蜂起の方が成功率も上がるだろう。順序よく蜂起して一つ一つ潰されたらどうする」

 

 今現在話しているのは、4ヶ月後の春。超常解放戦線が蜂起した際に、あるいはヒーローがそれを防いだ際に発生する大騒動の渦中において、八斎會とその支配下にあるヴィラン達がどう動くか、というものだ。

 

 八斎會は、表の人間から暴利を貪る事業のほとんどから手を引き、現在は裏でヴィラン集団や個人を支配しては場所を自由に使わせるかわりに適度な上納金を収めさせるなど、ヴィランを相手としたヤクザ業にシフトしている。このあたりのバランス感覚は組長が優れていて、支配下のヴィランから不満が出ない程度に金を収めさせ、また計画においてはいわゆるコンサルタントのような事をして犯罪の成功率を高めている。また以前組長がとことん嫌っていたという個性関連の薬物にも参入し、危険、強力過ぎるものを売っている業者を潰す代わりに、自分たちのところで性能の低い薬で独占しようと色々動いているらしい。

 

 またその中でも、ただ暴れたい人間は適当に暴れてヒーローに捕まるように仕向け、繰り返し盗みを働く人間には足がつかない程度に盗ませている。

 

 そして、4ヶ月後、超常解放戦線とヒーローの大戦争。そのとき数から考えて日本中のヒーローがほとんど集まることになり、他の都市からはヒーローの姿が消える。呼人がそれを直接リークすることはないが、それを聞いている治崎は既にそれぐらいのことに気付いているだろうし、いずれそのときになればわかる。

 

 だからそのときに、社会を崩壊させない程度の蜂起にさせるように抑えるように治崎に頼んでいるのだ。

 

「その状況で最大効率で稼げる人選を考えれば良い。社会制度が崩壊して寄生する先がなくなれば困るのはお前たちだろう。違うか?」

 

 呼人の問いかけに、治崎は不機嫌そうに眉をしかめる。呼人の言っていることはもっともなことで。少なくとも、今の八斎會にとっては社会制度というのはなくては困るものだ。寄生対象を滅ぼす寄生虫は、いるにはいるが少数派である。

 

 特に今の八斎會にとっては、下部のヴィランが支配対象であると同時に寄生先に近い。いっきに暴れられて共倒れになるのも消えられるのも都合が悪かった。

 

 好き勝手に発揮される暴力ではなく、統制され、意思を持った暴力。それが、彼らの目指す所。

 

「……お前らがうちに提供できるメリットは」

「海外進出においてはこっちのツテを貸す。それと戦力の要請に関しては柔軟に考える」

「……わかった。絶対に忘れるなよ」

「どっちにしろこっちも戦力は外に欲しいんだ。それとは別に何か手が必要になった時にも優先的にそっちに依頼する。報酬付きでな」

 

 海外進出、と呼人は言った。日本は旧時代から言われていることだが治安がかなりいい方の国にあたり、外国では日本よりも遥かに裏組織などがはびこっている国や地域も多い。むしろ日本が平和すぎるのだ。それはつまり言ってみれば、稼ぎにおいては日本よりも海外の方がやりやすい事を示している。そこに進出する際につてがあるというのは大きい。

 

 今回の件は、あくまで八斎會の事業に口出しをしているだけで仕事の依頼ではない。だからこそ、金以外の形で報酬を払う必要がある。

 

 とにかく、後顧の憂いは多少は断てた。といっても八斎會の勢力も小さなものでむしろその勢力下に無い場所の方が多いが、これを機にその手を伸ばしていくのだろう。そのために時期と多少の情報を漏洩した。どちらにしろ八斎會のメンバーには、呼人本人からの脅しが効いている。グレーゾーンに両足を突っ込むことはあってもまっこうから逆らうことはないのだ。

 

 

******

 

 

 冬休みも終わり。始業の日が訪れる。冬季は全員がインターンに出ており、クラスメイトとの再会はそれぞれ久々となるものばかりだった。

 

「今日の授業は実践報告会をすることになっている。冬休みの間に得た成果、課題などを共有しよう。場所はグラウンドα。スーツを着用して集合してくれ」

 

 入学後からどんどん柔軟さを取り入れ、もはや空回りすることもほとんどなくなった飯田の指示を受けてクラスメイトがそれぞれに移動を始める。遅れてやってきた相澤もその様子を見て教室に入ること無く出ていった。

 

「百竜改めてあけましておめでとう」

「あけましておめでとう」

「あけましておめでとう百竜」

 

 つい昨日までインターンで出ており今朝も時間の無かった百竜が、クラスメイトと挨拶を交わすのはこれが初めてだった。『あけましておめでとう』とは新年を祝う言葉であり、英語などでは『Happy New Year』などという事を知ったのはつい先日のことだ。人は新しい時期の訪れすらも祝わずにはいられないらしい。

 

「百竜は、インターンどんな感じだった?」

「特に可もなく不可も無く、だな。特段激しい事をしたわけでもないし。正月でちょっと羽目を外してる相手を捕まえたが個性の使用も派手なものじゃなかったからお咎め無しだったし」

「やはり、お前こそ有力な事務所に行くべきだと、思うのだがな。ミルコからは声はかかっていないのか?」

「あの人は一応断りの連絡入れたけど、ずっと1人で危ない所探ってるらしくてどっちにしろ無理だったぞ」

 

 クラスメイトのほぼ全員から言われたのは、やはり呼人が例え育ての親で旧知の仲とは言えヒーローランキングの圏外にギリギリ引っかかっているような相手のところにインターンに行っているのはもったいないということだった。

 ただ呼人からすれば経験自体はモンスター達とのイメージトレーニングで相当に積んでおり、救助なども彼らの強力を得て一通り会得しているので、そう言った経験はもはやあまり意味があるものではないのだ。それは、『例え今もヒーローを目指していても』変わらない。

 

「それに割とゆっくりしてたから個性の方は磨けたしな」

「へえ……見てみたいな。でもあれだろ? オドガロンとトビカガチしか使わないんでしょやっぱり」

「俺は、全部使ったほうが良いと思うのだがな」

「まあ……それを使うのはもっと後だな。今はこれだけでできることなんてたくさんあるし」

 

 久しぶりのクラスメイトとそんな話をしながら外に出ると、オールマイトだけが待っていた。

 

「あれ、相澤先生は?」

「彼はつい今さっき、呼び出しを受けて出ていったよ。急用が出来たそうだ」

 

 雑談をしていると、オールマイトがパンパンと手を叩いて雑談をしている場を収める。

 

「さて、今日何するかは相澤先生から話は?」

「冬季インターンの成果の共有をするようにと伺っています」

「うん、良いね。じゃあ順番にしてくれ」

 

 オールマイトはそれ以上は自分は関わらない、という様子で生徒達を眺めている。すべてを自分たち教師がまとめる段階ではない。ここからは、生徒たちが主体的に動く時間でもある、と。今年の1年生には、厳しい課題が課されている。それを達成するためには、些細なところから躍進が必要なのだ。

 

 飯田が先頭に立って音頭を取り、一箇所ずつ成果を発表していく。インターン先は基本的には実績の高い、つまりはランキング上位のヒーローだと決まっており、そのため受け入れ先が被っているところも多い。

 

 一組目に報告をした青山、芦戸、葉隠の三人は具足ヒーローヨロイムシャの元でインターンをしており、その成果を3人で報告していた。

 

 続けて他の生徒もインターンの成果を報告していく。新しい技を開発してきた者達や、新しい判断、思考の手順を習得してきたものなど様々だが、それぞれがそれぞれに成長を果たしてきたようだ。

 

 そして呼人の番が回ってくる。呼人は特にインターンで何かを学んできたわけではないが、個性を磨いてようやく完成した少しばかりネタにも取れる新技を披露した。

 

 両脇から背中にかけて2対の腕が生えると同時に、首の後から斜めに2つの頭部が発生する。

 

「おおー! ってあれ頭も3つ有るくね?」

「なんだっけ、ああういうのいるよね」

「おそらく阿修羅、ですわね。三面六臂の鬼神と言われていますが仏法では守護神に当たると思います」

 

 八百万が解説した通り、呼人がしたそれのモチーフは阿修羅である。首から斜めに更に2つの頭部が生え、それを更に、モンスターの形をしたものから人間のものに変化させる。

 

 以前目指していたのはモンスターの腕を出して操ること。だが、モンスター達が精神世界で人間の姿を持っていることに改めて疑問を感じた呼人は、それを実験し、モンスターの状態だけでなくその人間の姿まで外に出すことに成功したのだ。つまりそれは、完全に別人になりかわれる事を意味する。

 

 2つの頭には今はモンスター達が入っているわけではないので目をつむって項垂れているが、モンスター達が入れば動き始める。ただし、完全に内部まで人間のものにした場合、呼人はそれらを操作する事はできない。線引きは、完全に人間であるパーツは人間1体分までしか操作できない、と今の所考えているが、他に何か条件があるかどうかは定かではない。

 

「百竜君! もしかしてだけど、その使い方すごく潜入向けなんじゃないかな!?」

「俺もそう思ってる。顔を変え放題だからばれることもないしな」

「でもいきなり別人になられるとビビるよな。演習とかだと意味ないけどさ。寮の中とか歩いてると間違って先生に言っちゃいそうだわ俺」

 

 上鳴あたりには散々な言われようをしているが、使い道としては結構有効である。そしてこれが出来たゆえにとある疑念が湧いてしまったことが、呼人の学生生活の終わりをはっきりと告げていた。

 

 

******

 

 

 その晩。インターン反省会、兼あけましておめでとう会。取り敢えず名目はどうでも良いのでみんなでパーティーをやりたいという多数の要望に応えて鍋パーティーが開催されることとなった。対抗模擬戦以降B組とも演習や自主練などで交流は深まっているので最初は一緒にしようかなどの話は出ていたのだが、残念ながら40人で机を囲むのは大変だということでそれぞれパーティーを終えた後にB組がこちらに合流してくるという話になっていた。

 

「おーい鍋持ってきてー!」

「百竜ニラ切り終わった?」

「終わった。後は?」

「誰か白菜切れる人おる?」

「俺やるわ。白菜頂戴」

 

 ザワザワと騒がしく皆で鍋の用意をしていく。20人分の鍋ともなれば具材の量も鍋の数も多く、用意もそれだけ大事になる。普段はバラバラになっているテーブルを繋げ合わせて大きな机代わりにし、それを囲うようにソファーを並べていく。

 

「ここ座っていいか?」

「お。ああ、大丈夫だ」

 

 呼人が座ったのは轟と口田の間。大きめのソファーに轟、峰田、口田の3人でかけており轟と甲田の間が空いていたので呼人はそこに座らせてもらうことにした。

 

「お疲れ口田」

「お、お疲れ様。結、百竜君来たよ」

 

 結とは、口田が自室で飼っている兎の名前である。皆に可愛がられているのだが、当の結は何故か呼人の事を意外にも好いていた。呼人は当初、モンスター達を宿している自分は勘の鋭い動物にとっては絶対的な脅威であり、カナダでよく見た大型の熊や鹿ならまだしも小さな兎には逃げられるのではないか、などと考えていたのだが、そういうことも無く普通に接することが出来ていた。

 

「撫でる?」

「じゃあお言葉に甘えて」

 

 口田から結を受け取って膝の上に載せ、その頭をそっと撫でる。動物の扱いに関して詳しくはないのだが、取り敢えず頭を優しく撫でて嫌う動物はあまりいないそうだ。

 

「では、インターン意見交換会兼今年も頑張っていきましょう会を始めよー!」

「イェーイ!」

「ウェーイ!」

 

 飯田が音頭を取って会が始まる。事前に軽く腹を満たしておいた呼人は焦って食べることもないので、しばらくのんびりと結の頭をなでていた。そうしているうちに、それが心地よかったのか結もぐっすりと眠ってしまう。

 

「寝たね」

「寝たな」

 

 両側で見ていた口田と轟がそう声をかけてくる。

 

「轟は、どうだったんだインターン。親父さんのところに行ったんだろ?」

「ああ。やっぱりヒーローとしてのあいつは……凄かった」

 

 ぼうっと自分の左手を見つめながら轟は答える。インターンでの父親の姿と。家族と向き合おうとする父親の姿。

 

 まだ、父親を許す事はできていない。だが、父が家族を傷つけ、そして今となっては変わって家族と向き合おうとしているように。自分もまた、周囲が見えていなかった頃にはクラスメイトや試験で出会った人間を傷つけ、そして今は良好な関係を築くことが出来ている。

 

 だからいずれは、父となんのわだかまりもなく話せる日が来るのかも知れない、と。そうほのかな希望を抱いていた。

 

「それは重畳」

「お前が考えてくれた炎を圧縮する技。俺はまだコスチュームに頼るし溜めるのにも時間がかかるけどあいつは一瞬でそれをやって移動に使ってた」

「さすがはNo.1ってところだな。自分の個性でできることを突き詰めてる」

「ああ……お前の、あの手や頭が生えるやつ。あれは自分で操作できるのか?」

 

 話を変えるように轟が切り出す。昼間に呼人が披露した阿修羅スタイルの事を言っているのだろう。

 

「中身まで全部人間に変えると操作出来ないけど、一定以上モンスターの部分が残っていると操作できるって感じだな」

「なんか……違いがあるのか?」

「外見上は人間そのものにできるけど、耳郎だと音で違和感に気づきそうだし他にも宍戸とか五感が鋭かったり動物系の人は気配の差で気づくと思う」

「なるほど……そういうのもあるのか」

 

 互いに学んできたことやこれからの課題を話したりしながら鍋をつつく。途中で席の移動が起こり、片付けが終わった頃にはB組の面々が小大の個性でソファー持参で寮を訪問してきた。

 

 八百万が人数分の紅茶を入れてくれ、それをみんなで美味しくいただきながらA組とB組の交流会が行われる。模擬戦まではほとんど交流は無かったのだが、それ以降は少しずつ交流をしていたので特にぎこちない空気が漂うこともなく、話は進んでいた。

 

 隅の方に座ってぼうっと考え事をしていた呼人のところに、取蔭が1人で歩いてきて隣に座っても良いかと尋ねてくる。

 

「百竜隣空いてる?」

「空いてるぞ」

「じゃ、お邪魔しまーす」

 

 そう言って隣に座った取蔭は、しばらく呼人と同じようにワイワイ騒ぐクラスメイト達に視線を向けていた。あまり呼人のように静かにしているようには見えない取蔭の珍しい様子に、呼人は何かあったかと声をかけた。

 

「騒いでこないのか?」

「え? ああ、もうさっきうちで騒いだからさ。ちょっと疲れたって感じ」

「なるほど。ならゆっくりしたいか」

「そそ」

 

 かくいう呼人も、特段食事の際に騒いだわけではないのだが一緒に騒ぐよりも騒いでいるのを見るほうが好きだったので端の方でのんびりとしている。

 しばらくそうやって座っていると、取蔭が呼人に話しかけてきた。

 

「ありがとね、百竜」

「ん?」

「この前、アドバイスくれたでしょ? 私の個性の使い方」

 

 彼女が言っているのは、対抗戦の後に自分の個性について皆に説明した呼人が、彼女には司銀龍ハルドメルグの人格と引き合わせ、自由に分離するものを飛翔させるという彼女の個性と似通った性質を持つハルドのアドバイスを伝えた時の事だ。彼女はそのアドバイスを受けてから更に発想を変え、色々なアイデアを生み出してはサポート科と一緒に実現したりしていた。

 

「あれは……俺じゃなくてハルドのものが多いだろ」

「それもそうだけどさ。でも義手でたくさん手作れないのかとか、教えてくれたのめっちゃ参考になったよ」

「そうか」

「もともと私さ、索敵とか撹乱はできるけど、自分で完結する能力が全然無かったの。見てたらわかるっしょ?」

 

 取蔭の言っていることに、呼人は以前の彼女のやっていた事を思い出す。確かに彼女の個性は自分がやられづらくまた嫌がらせのような事をするのにおいては優秀だったが、一方で1人で相手を止める、捕獲するというのにおいてはけして優れているとは言えなかった。模擬戦のときにも、爆豪に自分のパーツを体当りさせて足止めをしていたが、足止め以上の事は個人では出来ない。

 もちろんヒーローは1人で戦うものではないし、出来ないことを仲間のより戦える者に頼る事もできる。そういうヒーローは普通にいる。だが彼女にとっては、それが悔しくて仕方が無かった。

 

「けど、あんたがああ言ってくれたおかげで面白いこと思いついたんだよね。ちょうど同じインターン先に八百万もいたしさ」

「何をしたんだ?」

「パーツとパーツの間にロープ張ってヴィランを捕獲したりとか、網を張って民間人を救助したりとか。後手にスタンガン持たせて近寄らせたりとかも。まだパーツで声を聞き分けるのは難しいけど、あちこちに盗聴器は仕込めるしさ」

 

 取蔭が思いついたというアイデアに、呼人は思わず笑ってしまう。なんとも、良い意味でいやらしい戦い方を身に着けているようだと。

 

「ちょっとなんで笑ってんの」

「いや、いやらしい戦い方を身に着けてると思ってな。そうか、八百万がいればその場その場で発想を形にしてくれるもんな」

「いやらしいってそれ私にとっては褒め言葉ね。でもそ。1人で行くなら荷物運ばないといけなくなるけどそれでもできることがめっちゃ増えたし、自分でも1人で戦えるんだと思って」

「やっぱり1人で戦えないってのは嫌だったか?」

 

 呼人が尋ねると、取蔭は苦笑いしながら答える。

 

「そりゃあ、ね。みんなも使い勝手の良い強い個性だって言ってくれるけどさ。でも宍戸とか拳藤と戦っても絶対に倒せなかったから。普通にヒーロー目指す分には良いけど、周りがこんなに頑張ってると自分だけ置いてかれてる気がするんだよね」

 

 それは嫌だった、と取蔭は語る。個性が、戦闘や索敵、救護など向き不向きがあるのは確かだ。例えば戦闘に秀でた轟や爆豪、緑谷の個性だが、一方で索敵能力はただの人間程度でしかない。逆に索敵に秀でた耳郎、障子、取蔭などの個性は戦闘における貢献度はあまり高くない。

 

 だが、そうも言っていられないのがヒーローというものでもある。いざヴィラン出現ともなれば、例え戦闘に不向きなヒーローでも市民の盾にならなければいけない。だから、できることが多くて困ることはないのだ。

 

「思いついたのはお前だろ」

「でもやっぱ発想をもらったのはあんただったから。一応お礼言っておこうと思って。ありがとね」

 

 そう言うと取蔭は、呼人の返事を待つこと無く夜になっても元気なクラスメイトの方へと去っていく。置いていかれた呼人の方も特に気にせず、再びボーッとした視線をクラスメイト達の方に向けながら考え事にふけっていった。

小説内で登場したモンスターの形態変化とか生態について細かい説明が欲しいですか

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