ようこそ「エリート」、実力至上主義の教室へ   作:兵庫人

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久しぶりの登校

 竜治がオセアニア軍事国のオブジェクトを破壊した後は怒涛の展開だった。

 

 オブジェクトに乗っていたオセアニア軍事国の独裁者が死んで戦いが終結すると、坂柳は戦いの後始末を他の資本企業の部隊に任せ、「フライドの野郎は絶対ブン殴る」と息巻くクウェンサーとヘイヴィアが所属する第三十七機動整備大隊と共に、フライド評議員から賠償金を請求するために竜治達を正統王国の本国へ送り込んだ。

 

 するとフライドは観念するどころか、自身が建造したオブジェクト「イグザクトジャベリン」を持ち出して抵抗をしたのだった。

 

 そしてイグザクトジャベリンの操縦士が十二歳の女の子でフライドに無理矢理従わされていると知ったクウェンサーとヘイヴィアは、何とか操縦士の女の子を無傷で助けだそうと言い出し、坂柳までも「操縦士を無傷で助けるなら、オブジェクトも出来るだけ無傷で捕らえる必要がありますね。そうしたらオブジェクトのデータはこちらのものです」とまさかの賛成。結果、竜治は正統王国のヒーロー二人の無茶振りに振り回されたのだ。

 

 何とかクウェンサーとヘイヴィアの二人と協力した竜治がイグザクトジャベリンを無力化すると、坂柳はオセアニア軍事国で宣言した通りフライドの財産と、彼が部下に命じて開発させたオブジェクトとエリートに関する技術と特許の権利を賠償金として貰い受けた。すると前から予定していたのか、彼女は続いて「フライド評議員を多国籍軍の司令官に任命した」という理由で正統王国にも賠償金を請求したのである。

 

 フライドが多国籍軍に反逆行為をしたのは事実であり、その点を突いて交渉を有利に進め、正統王国の役人達が顔を青くしていくのを愉悦に満ちた笑みで眺める坂柳を見て、竜治と綾小路は絶対に彼女を敵に回さないと固く心に誓った。

 

 そんなオブジェクト同士の戦闘やら後始末をしているうちに竜治達は六月のほとんどを休むことになり、学校に帰ったのは六月の最終日となった。

 

 

 

「なんか……プライベートポイントが五十万程増えているけど?」

 

 オセアニア軍事国から学校に帰ってきた次の日。七月一日に学校に向かう途中で綾小路が携帯端末の画面を見ながら言うと、竜治も自分の携帯端末を確認する。

 

「オレは150万くらいふえているな。多分だけどこれって、オセアニアに出張した出張手当てじゃないのか? それをかいしゃがプライベートポイントにして送ってくれたんだろうな」

 

「マジか……。特待生って、そんな事までしてもらえるのか?」

 

 綾小路がもう一度携帯端末の画面を見ながら言うと、竜治は携帯端末をポケットの中にしまってから答える。

 

「ほかの特待生はしらないけど、ほんらいの給料にしたらもっともらえるはずだから、これくらいのプライベートポイントはまだ安いとかいしゃも思っているはずだよ」

 

「そうか。特待生って凄いんだな」

 

 竜治の言葉を聞いて綾小路は感心したように呟いた。

 

「それに、アリスのおかげで『せいとうおうこく』で『おたから』が手にはいったからね。それのボーナスもふくまれていると思うよ」

 

 竜治が言う「お宝」とは正統王国で戦ったオブジェクト「イグザクトジャベリン」のことである。

 

 イグザクトジャベリンは、主砲であるレーザービーム砲の照準行動と予備動作を隠蔽した上に、偏光ワイヤーを使って光を歪める事で相手に攻撃を一切関知させないという機能を持っていた。それをほとんど無傷で無力化させたことと坂柳の交渉によって、雨田電機はイグザクトジャベリンのテクノロジーを手に入れたのだった。

 

 イグザクトジャベリンのテクノロジーは竜治が乗る「かみなりぐも」の強化にも使われる予定であり、資本企業の他の会社からも高額で買い取りたいという話がきていた。そしてその話は綾小路も聞いていた。

 

「あのオブジェクトのデータか。一体どこの会社が買ってくれたんだ」

 

「『クライアントセキュリティしゃ』ってかいしゃ。そこでけんぞうされるオブジェクトに利用されるみたいだ。たしか……コードネームは『シャーベティ』だったかな?」

 

「何だか女の人みたいなコードネームだな?」

 

 竜治の話を聞いて綾小路が首を傾げると、それに竜治が頷く。

 

「みたいな、じゃなくて、にほん以外の『しほんきぎょう』のオブジェクトのコードネームはすべて女性のなまえだよ。

 それで『せいとうおうこく』はそのオブジェクトのとくちょうを表すコードネーム。

『じょうほうどうめい』は、ぶそうなどの単語とばんごうの組み合わせ。

『しんじんそしき』は、しんわに登場するかみさまや精霊とかのなまえ」

 

「そうなのか……」

 

「あっ。雨田君、綾小路君。久しぶり」

 

 オブジェクトに関する雑学を披露する竜治に、整備士見習いの綾小路が頷いていると、二人のところに櫛田がやって来た。

 

「クシダさん。ひさしぶり」

 

「久しぶりだな」

 

「ねぇ、二人共? 二人はプライベートポイント振りこまれている?」

 

『『なに?』』

 

 櫛田の言葉に竜治と綾小路は訳が分からず同時く呟いた。

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