ようこそ「エリート」、実力至上主義の教室へ   作:兵庫人

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特殊ルール

 驚愕。

 

 竜治を見る学校の生徒達の感情はその二文字につきた。

 

 学校の生徒達は皆、信じられないという表情で竜治を見ており、それに対して彼は何とか表向きは平静を保っていたが、頬には冷や汗が一筋流れている。

 

 戦争の代名詞であるオブジェクトのエリートはどの国でも注目を集めており、竜治も今まで何度も外国のニュースの取材を受けたことがあるが、身近にいる大勢の人間に注目されるのは少し勝手が違っていたのだった。

 

 竜治が何とか内心の動揺を表に出さないように努力していると、真嶋は次に坂柳を生徒達に紹介する。

 

「次に一年Aクラスの坂柳有栖君。彼女はオブジェクトの戦術オペレーターを務めている」

 

「……」

 

 真嶋に紹介された坂柳は静かに頭を下げる。こちらは竜治と違って、同じ学校の生徒達の注目を集めても全く動揺していないのが見ただけで分かる。

 

(……きっとアリスのハートはオブジェクトの『オニオンそうこう』より頑丈にちがいない)

 

「……」

 

 竜治が坂柳を横目で見ながらそう考えていると、彼女が微笑みを返してきた。どうやら坂柳の視線や悪意を感じ取る感覚は、オブジェクトの対空レーダー並みらしい。

 

「さて、それで最後に。今年の特別試験には二名のオブジェクトに深く関わっている生徒がいることから、本来のルールとは別の新しいルールを設けた。このルールは雨田君と坂柳君の二人にのみ適用される『特殊ルール』だ。……二人共、後これを読んでおくように」

 

 そこまで言うと真嶋は竜治と坂柳にそれぞれファイルを一冊ずつ手渡すと、拡声器を使って生徒達に話しかける。

 

「それでは試験開始!」

 

(はぁ……。なんだかいきづらいな……)

 

 特別試験が始まって生徒達が行動を開始したのを見て、竜治も自分のクラスに向かうのだが、何故だか気が重くその足取りは重かった。

 

 

 

「雨田! お前、オブジェクトのエリートってマジかよ!? 何で言わなかったんだよ!」

 

 竜治がDクラスの元へ向かうと、案の定クラスメイトに取り囲まれて、池が皆の意見を代表するように大声を出した。

 

「いや、きかれなかったし……。それに、あの時エリートだといってもウソだといわれるだろ?」

 

「えっ? な、何でそこで俺を見るんだよ!?」

 

 そこで竜治は入学式の自己紹介の時にオブジェクトのエリートだと嘘を言った山内を見るが、当の本人はその時のことをすっかりと忘れているようだった。

 

「なぁ? お前、いつからオブジェクトに乗っていたんだ? てか、エリートなんてどうやったらなれんだ?」

 

 普段はあまりクラスの会話に参加しない須藤も、オブジェクトには興味があるのか竜治に質問をして、他の生徒も興味を持って竜治を見る。

 

「オレは12のときからオブジェクトに乗っていたよ。それでエリートは、基本的にオブジェクトをつくる企業にスカウトされて、そこから長期間くんれんしないとなれないな。オレは6さいのときから6年間くんれんをしてきた」

 

「訓練? やっぱり特別な筋トレとかか?」

 

「きんりょくトレーニングもするけど、オブジェクトの高速戦闘にたえるための肉体改造がメインだね。オブジェクトは高速戦闘をしたらすさまじい(重力)がかかるから、普通のひとだったら最悪それだけで死んでしまうからね」

 

「お、おおう……。そ、そうか。やっぱりスゲェんだな、エリートって……」

 

「そんなことよりも」

 

 須藤が竜治の言葉にやや引き気味に言うと、突然何故か若干苛立った様子の堀北が割り込んできた。

 

「雨田君。貴方、さっき真嶋先生からファイルをもらったわね? それって真嶋先生が言っていた貴方と坂柳さんだけの『特殊ルール』についてでしょ? それを先に教えてくれない?」

 

「え? ああ、わかったよ」

 

 どこか不機嫌そうな堀北の態度に、竜治は内心で首を傾げながらも真嶋から手渡されたファイルに目を通し、最初にあった文章を見て思わず声を出した。

 

「……このしまにある、オブジェクトのベースゾーンの限定的使用許可?」

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