坂柳達と協力関係を得た竜治達は、一先ずベースゾーンの建物に荷物を置くと、島の森を探索することにした。その理由はスポットの位置の確認と、食糧の調達のためだった。
ベースゾーンの施設は確かに豪華だったし、電気も水道も完備してある。しかし肝心の食糧が全てのクラスに平等に配給されている物、資本企業軍のレーションしかなかったのである。
だからまずはスポットと一緒に何か食べられるものがないのか、全員で探しに来たのだった。
「おっ。よく見たら食べられる木の実とかいっぱいあるじゃん。これなら何とかなるんじゃね?」
森に入ってすぐに池が、周囲の木に実っている実から食べられる種類をいくつも見つける。それを聞いた竜治が感心したように彼に話しかける。
「へぇ……。よくわかったね。イケくんはキャンプの経験があるの?」
「あー……。まぁ、キャンプっていうか昔、『資本企業』と『正統王国』が共同でやった民間人でも参加できる軍のサバイバル体験学習ってヤツに冗談で応募したら当選して、三日くらいやったことがあるんだよ……」
竜治の質問に池が苦い顔となって答えると、それを聞いた竜治が眉をひそめる。
「正統王国軍とのサバイバル……。ねぇ、イケくん? それってもしかして、さいていでも食用油と金属製のマグカップをいつも持っていろって、いわれなかった?」
「……!? も、もしかして雨田もあれに?」
池がはっとした表情となって竜治を見ると、今度は竜治が苦い顔となって頷く。
「うん……。エリートになるくんれんの時に、オレも3日だけ……」
「あー、そっかー。お前もかー」
竜治の言葉に池は同類を見つけたような嬉しそうな顔をすると何度も深く頷き、楽しそうに話しかけてきた。
「あれは本当にキツかったよなー。散々炎天下で動き回されて腹が限界まで減った時にさ、正統王国の軍人のお姉さんが『食事の極意は塩と油で揚げこそが至高。その手本を見せてやろう』って言ってきたんだよ。普通そんなことを言われたら、サバイバル中っていっても少しは期待しちゃうだろ? でもその後一体何が出てきたと思う?」
「コオロギ」
池に聞かれて竜治が即答すると、彼はもう一度深く頷く。
「やっぱり雨田の時もそれか。軍人のお姉さんは虫は生態系の最下層にある重要なタンパク源だとか、食べられないところはないから食べ残しを敵に発見されずにすむとか言っていたけど、知らねぇよ! いくらなんでも虫はねぇだろ、虫は!?」
当時の事を思い出し、思わずその時感じた不満を爆発させる池に竜治は同意するように頷く。
「ほかにも、蜂やサソリはあげれば毒がなくなって食べれるけど、カマキリは寄生虫がいるからオススメしないって、いわれたよね」
「言われた! 言われたけどさ! そもそも虫を食いたくないんだって!」
「……でも、けっきょく食べさせられたんだよね、虫……」
「…………………………ああ」
竜治の言葉に更にヒートアップしていた池だったが、遠い目となった竜治が言うと、一気にテンションをお通夜並みに低くして小さく呟く。
「……食べてみたら旨かったよ? 揚げた海老みたいな感じでさ。でも見た目が最悪だった。俺、潰したコオロギを団子にして揚げたのを食わされたんだぜ? 正直泣きそうだった。でも旨かったのが悔しかった」
「オレは、10ぴき近いコオロギがかたまって、かき揚げみたいになったのをくわされたな……。きもちわるかったけど美味しかったな……」
『『……………!?』』
竜治と池。虫を食べた武勇伝を語り合う猛者二人を、Dクラスの生徒達はドン引きした顔で遠巻きに見ていた。
その後。Dクラスの生徒達は、それはそれは真剣に食糧を探したのだった。
誰だって虫を食べるの嫌なのである。