「ずいぶん集まったな。これならレーションばかりたべなくてもすみそうだ」
ベースゾーンの建物で竜治は、Dクラスが集めた食べられる木の実や山菜を見て満足そうに頷いた。Dクラスの生徒達が「何故か」死に物狂いで食料集めを行なってくれた結果だった。
「お、おい……! だったらよぉ……何でそれ捕まえているんだよ!?」
竜治の言葉に須藤が怯えたような声を出してある物を指さす。須藤が指差したのは二つの虫かごで中には十匹以上の虫が入っていた。
「いや〜……。なんか、サバイバルのときのクセでつい捕まえちゃって……」
「俺も。あのサバイバル学習の記憶って、今でもたまに夢に見るんだよな……」
「……虫は後で俺が逃しておく。だから二人は絶対にそれに触れるな……!」
虫を捕まえた二人の危険物の密輸犯、竜治と池が申し訳なさそうに言うと、綾小路が固い意思を感じさせる声で二人に言った。
「ハイ。スミマセンでした」
「それで? これからどうするつもり?」
竜治が綾小路に謝っていると、そこに腕を組んだ堀北が話しかけてきた。
「食糧集めはもうする必要はない。だったら次はポイントを集めるための行動に出るべきよ。クラス全員にあんな馬鹿な賭けを言ったくらいなんだから、もちろん作戦はあるんでしょうね?」
「……さくせんも何も、オレがかんがえているのは最初にいった、スポットのせんゆうと他のクラスのリーダーのちょうさだけだよ」
竜治は堀北にそう答えると、数枚のメモ用紙を取り出した。それは竜治が「かみなりぐも」の観測データから使って描いたこの島の地図だった。
「これから2人1組になってしまの何処にスポットがあるのかをしらべてほしい。もしすでに他のクラスにスポットがせんゆうされていたら、何時までせんゆうされるか。詳しいじかんも調べてくれると助かる」
堀北は竜治からの指示に眉をひそめて彼を見る。
「スポットの位置だけじゃなくて占有されている時間も? まさか占有時間が切れた隙をついてスポットを横取りするつもり? ……呆れたわ。そんなのは他のクラスも当然警戒しているはずよ。チャンスがあるとしたら点呼の皆が集まる時間ぐらいでしょうけど、その時は私達も動けない。点呼の時に誰かいないとポイントが減らされるのを忘れたの?」
「ホリキタさん。そっちこそわすれた? オレ達Dクラスはそのポイントがすでに『0』なんだよ」
「……あっ!」
竜治に言われて堀北は今思い出した表情となって思わず開いた口を掌で隠す。
このベースゾーンに来る前、竜治達Dクラスの十一人は他の二十九人のクラスメイトにリタイアしてもらう前に、試験専用の300ポイントを全て使って、試験に役立ちそうな道具を揃えていた。ポイントが0になってからポイントが減少される行為をしてもポイントがマイナスにならないことは茶柱に確認済みだ。
ポイントが0ならばポイントが減少される心配もないのである程度思い切った行動も取れる。竜治はその利点を活かしてスポットを占有するつもりらしい。
「スポットの占有時間さえわかれば、どのタイミングでスポットに行けばうばいとれるかが分かる。あとはまあ、体力勝負だね」
そこまで言うと竜治は一枚のカードを取り出す。そのカードはスポットの占有に使うキーカードで表面には「アマダ リュウジ」と表示されていた。