ようこそ「エリート」、実力至上主義の教室へ   作:小狗丸

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Bクラスとの会話

「私はBクラスの一ノ瀬帆波。それでこっちは同じクラスの神崎隆ニ君だよ」

 

 髪を長く伸ばした女学生、一ノ瀬は竜治達に自己紹介をすると、自分の後ろについてきていた男子生徒も紹介してきた。

 

「これはごていねいにどうも。オレは……」

 

「雨田竜治君でしょ? 試験の最初に先生に紹介されていたから知ってるよ。Bクラスの拠点にようこそ、有名人さん」

 

 自分も自己紹介をしようとした竜治だったが、一ノ瀬にすでに知っていると言われた後、続けて彼女が言った「有名人」という単語に反応を示した。

 

「有名人……。じょしから興味をもたれるなんて、いよいよこの美形天才富豪オブジェクト操縦士学生のアマダくんに相応しいモテモテハーレムルートがかいしされるのかな?」

 

「雨田君って、そんな冗談言うんだ?」

 

 竜治が明らかな棒読みの口調で言うと、櫛田が何とも言えない表情で見てきた。

 

「すこし前に知り合ったしりあいっぽく言ってみたんだけど、にていたかな?」

 

 ちなみに真似をしたのは、生身でオブジェクトを破壊した二人組の「貴族」出身の方である。

 

「う〜ん……? 私はその人に会ったことがないけど、その人とはあまり関わらない方がいいと思うよ? 女の子から見たら、そういう人ってあんまりモテないと思うから」

 

「そうかな?」

 

 櫛田の言葉を聞いた時竜治は、一瞬青空に天才美形貴族のレーザー分析官の顔が浮かんだ気がした。すると竜治と櫛田の会話を聞いていた一ノ瀬が笑いながら話しかけてきた。

 

「あっはは! 雨田君って、面白い人だね。軍人でオブジェクトのエリートっていうから、もっと怖い人かと思ってたんだ」

 

「しっけいな。オレが指揮するPMC(民間軍人会社)『雨田機動警護隊』は、げんばの市民に愛されるフレンドリーなぶたいであることを常に心掛けているんだよ?」

 

 資本企業ではオブジェクトのエリートは、そのオブジェクトを保有している企業の重役として扱われている。竜治が今口にした「雨田機動警護隊」というのは雨田電機の子会社のPMCで、オブジェクトのエリートである竜治は雨田電機の重役であると同時に雨田機動警護隊の責任者であった。

 

 ふんす、と胸を張って言う竜治の姿が面白かったのか、一ノ瀬はもう一度小さく笑う。

 

「ふふっ。そうなんだ。……それで? ここに来たのはBクラスの偵察なのかな?」

 

「いや、ここにきたのはスポットの位置のちょうさだ。……やっぱりこの辺りのスポットはBクラスが?」

 

 竜治が聞くと一ノ瀬はそれに頷いて答える。

 

「うん。この拠点と、近くのスポットは全部押さえているよ」

 

 一ノ瀬の言葉に竜治は、この辺りにBクラスの拠点と複数のスポットがあることを確信して心の中で頷いた。

 

「そうなんだ。……そういえば、このあたりに他のクラスはいないのかな?」

 

「ああ、それだったら、近くの海岸でCクラスの人達が遊んでいるのを見たよ?」

 

 竜治は特に期待せず世間話の感覚で聞いたのだが、意外にも一ノ瀬の口からCクラスの場所の情報が得られた。


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