と言うわけで第二話です。
アンケートを実施します。詳しくは後書きを。
ある少年がいた。
その少年の趣味は昆虫標本の収集。
それは純粋な昆虫への興味から来るものではなかった。
死んだ生物の魂はどこへ行くのか
その答えを得るために数えきれない程の虫を殺し、そして···
幼馴染で真面目に結婚を考える程親しかった『アリシア』という少女を一瞬の躊躇無く殺した
そして見てしまった。
彼女の額から逃げ去る金色の光を
それからと言うものの、その光を捕らえる事だけを目的に生きる事になる
多くの命をその手で奪いながら···
─────────
───────
─────
「ああ、クソ!!」
俺は苛立ちを隠しもせず電柱を蹴る。ゴンッと言う鈍い音が出るが気にする余裕がない。
昨日のBoB予選の決勝。サトライザーにトドメを刺した時に流れてきた、ヤツの過去らしきビジョンと本質とも呼べる想念。それのおかげで俺は頭がおかしくなりそうな目にあいブラックアウト。気が付けばアミュスフィアを付けたまま朝を迎えていた。
更に悪い事があった。どうも戦闘中の
閑話休題
流れ込んでくる思考の中には多少の近所付き合いのある人間の知りたくも無かった本音もあったので一旦外出する事にし、今に至る。
俺は既にバイクを持ってはいるものの、今の精神状態じゃ確実に事故るのが目に見えている。熱くてダルいが己の足で移動しているわけだ。
取り敢えず山上にある神社を目指す事にする。あそこの神主さんの思念は穏やかで心地良いのだ。それにこの時期なら訪れる人は少なく今の俺にとってはオアシスのような物。故に足早に人通りの多いアーケード街を通り過ぎるつもりだった。
たすけて···
「ん?」
弱々しい思念を感じた。何か、助けを求めているような···
それに、何故かその思念の持ち主をひと目見たいと感じてしまっている。こんな事は初めてだ。
取り敢えず、思念を感じた裏路地に入ってみる。
少し進むと表通りから見えない所で3人の高校生くらいの女子が同じ位の女子一人を囲っていた。囲われている女子は地面に座り込み、尋常じゃない様子で嘔吐を繰り返している。
その様子を見て、俺の中で何かが弾けた。
「どけ」
「え? きゃあ!?」
俺はリーダー格らしき女の首根っこを掴んで引っ張って退かす。その勢いで派手に地面に転がった様だが気にする事じゃない。
今だに辛そうな少女の状態に見覚えがあった。確か心的外傷後ストレス障害だったか。俺は少女の傍らにしゃがみ込むとその背中を優しく撫でる。
「大丈夫だ。落ち着いてゆっくり深呼吸をして」
そう言いながら背中を撫で続けると、少しづつ呼吸が落ち着いてきた。
「イッタイわね!何すんのよ!!」
突然の大声に少女がビクリと震える。その様子に思わず俺は彼女をイジメてたであろう女共をプレッシャー付きで睨みつけた。
「「「ひっ」」」
「次コイツに何かしてみろ、潰すぞ」
女共はほうほうの体で逃げていった。異臭のする汗ではない水で足を濡らしながら。
自分でも信じられない程ドスの利いた声が出た。あ〜、やっぱ昨日の事でイライラしてんな、らしく無い。
「おい」
「っ、はい···」
俺の呼びかけで初めて少女が顔を上げた。彼女のその鳶色の瞳と目があった瞬間、
ビジョンが流れる
ある女性がいかにも正気で無い男に銃を向けられる姿を
ビジョンが流れる
その男を少女が撃ち殺す光景を
ビジョンが流れる
学校で孤立してしまった少女の涙を
ビジョンが流れる
かなりの大きさのスナイパーライフルを持った水色の少女の姿を
泣きながら助けを求める幼い少女の姿を
「あの···」
「···あ」
ビジョンが消え、仮想世界から現実に帰って来た時のような感覚と共に、整った少女の顔がドアップで視界に映り込んだ。
···やらかした。アレはこの少女の過去と想念か!ああ、本当やらかした!!
「···すまん、ぼーっとしてた。取り敢えずあのクソどもが漏らして臭えから、さっさと移動するぞ」
「は、はい」
─────────
───────
─────
取り敢えず、彼女を連れて家に帰った。これだけ聞くと何やってんだと言われそうだが、俺の
今、俺達はリビングで向き合うような形でソファーに腰掛けている。テーブルにはハナさんが入れてくれたハーブティーが心の落ち着く香りを漂わせていた。
「···あ、あの、助けていただいて、ありがとうございます」
「良いって、ああ言う輩は気に入らないからな」
まあ、やりすぎた感が否めないが。
「···そいや、自己紹介をしてなかったな、楠田優輝(まさき)だ」
「朝田詩乃といいます」
「朝田な。よろしく。あと朝田は高一だろ?俺もそうだから敬語は無しな」
「うん、わかった」
取り敢えず、
「朝田、実はお前に謝らなければならない事があるんだ。その為に家に上げた」
「? 何?」
「俺には、一般的にテレパシーとかサイコメトリーとか言われている
「···え? ちょっと待って意味わからない「それで」」
「故意では無かったがお前の過去や想念を見てしまった」
「···」
顔を青くする朝田。そりゃそうだ。俺が見たビジョンから想像する限り、朝田は人を殺した事で周りから拒絶されている。
「本当にすまない」
俺は頭を下げた。今日知り合ったばかりの人間に過去と心の内を覗かれたのだ。彼女からしたら溜まったもんじゃ無いだろう。
「···私の過去を見たのよね」
「ああ」
「···私が人を殺したところも」
「ああ」
「っ、···なんで自分の秘密を打ち明けてまで謝ったの? 黙ってれば良かったじゃない」
「フェアじゃないからな。それに、朝田は良いやつだからな。話して良いと思ったんだ」
「···馬鹿じゃない、私は人を殺したのよ!」
「朝田は銃を向けられた母親を助けようとしたんだろ? 俺が見た断片的な過去から推測するに、母親を守る為に銃を奪ったは良いが、犯人がお前に襲いかり思わず銃を撃ったってところか。朝田が高校に進学できているところを見るに、正当防衛が認められたんだろう?」
「···」
「それでも、お前は正当防衛を免罪符にせずに、人を殺した事を受け止めている。お前は強いよ。強くて優しい女の子だ」
「···私が強い?」
「ああ。だが今まで、休まる事なく心の糸を張り詰めてきたろ? そんなんじゃ糸が切れちまう」
そう言って俺は朝田の座るソファーの丁度空いてる所に腰掛ける。そして、彼女の頭を優しく撫でた。幼い頃、力故に周りに拒絶され泣いていた俺に、母がそうしてくれたように···
「朝田は頑張った。だから全部吐き出して休め。休んで良いんだ」
「っ、···う···っ·······」
朝田は俺の胸に顔を押し付けるようにして泣き始めた。色んな理由で周りに頼れなかったんだろう。今は泣け。また歩いていける様に···
─────────
───────
─────
「どうですか、詩乃さん? お口にあいましたか?」
「はい、美味しいです」
「久しぶりにハナさんのお料理を食べたけど、やっぱり美味しいわね」
「いえいえ、奥様の料理には負けてしまいます」
女三人寄れば姦しいと言うが、ここまで男にとって居づらい環境になるのだと初めて知った。状況を説明すると、あの後しばらく経ってから両親が帰ってきたのだ。お昼に二人が帰ってくる事を忘れていた俺は大いに慌てた。俺が家に同年代の少女を上げた事を母に知られれば厄介な事になる。しかし、逃げ場がある訳も無く、朝田と両親はエンカウントした。
俺の懸念通り母は驚きながらも大喜び。そのまま自己紹介をすると朝田を昼食に誘った。朝田は家族の団らんに混ざる事に気が引けて断ろうとしたが、テンションマックスの母から逃げられるはずも無く、昼食を食べていく事になった。
父は朝田を見た瞬間からこうなる事を予想してたのか驚く素振りも見せず母の提案を許可していた。
「優輝とはどこで出会ったの?」
「となると···今日出会ったばっかりなの!?」
「良いわね〜、青春してるわね〜」
「え!?一人暮らし!?実家は東北!?」
「よし、詩乃さん、今日からこの家に住みなさい」
「詩乃さん、貴女が人を殺した事があるからと言って私も旦那もハナさんも貴女を拒絶しません。だって息子が手を差し伸べた人なのだから」
「うん、よしよし。辛かったわね」
「よし、今日は客間で私と寝ましょう!ガールズトークよ!」
···ありのまま今起こった事を話そう。いつの間にか朝田······詩乃が家に住む事になっていた。な···何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何がどうなってそうなったのか分からない···催眠術だとか誘導尋問とかそんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
と言うわけで詩乃が家に住むのにたちまち必要な物を家に運ぶことになった。もちろん力仕事に俺と親父も駆り出された。とは言え詩乃住んでいたマンションは家から徒歩5分と近かったし、運び込むのは当面の着替えと必需品、そして···
「アミュスフィア? 詩乃ってゲームするんだ」
「そうだけど、悪い?」
「いや、俺もアミュスフィア持ってるし公式大会に出るくらいにはやり込んでるよ」
「へ〜、どんなゲームをしてるの?」
「ガンゲイル・オンライン」
「え!?優輝もガンゲイル・オンラインをしているの!?」
「も、ってことは詩乃もか。あれ?でもPTSDは大丈夫なのか?」
「どうも仮想世界では大丈夫みたい」
「そうか。そうだ、今日のBoB本戦前に向こうで会わないか?」
「いいわね。本戦の観戦でもするの?」
「いや、その本戦に出るから会うとしたらその前じゃないと駄目なんだよ」
「本戦に出るの!?凄いじゃない!」
まさかの話題で盛り上がりながらも作業の手を止めず、予定より早く荷物の運び入れを終わらせた。
─────────
───────
─────
俺は自室に戻ってアミュスフィアを被った。詩乃との約束の時間までまだまだあるが、仮想世界でどこまで感覚が変わったのか確認しなければならない。力の制御はいつの間にか出来るようになっていたのは不幸中の幸いだった。
俺はベッドに仰向けで横になり仮想世界への扉を開ける言葉を紡いだ。
「リンクスタート!」
ニュータイプは親に恵まれればメンタルが強い説。
アンケートを実施します。本編だけじゃ分かりにくいかな?と思いシノン視点の話を入れるか迷ってます。皆さんの意見をお聞かせください。
シノン視点の話はいりますか?
-
いる
-
いらない
-
どっちでもいい