修正しました。
仮想世界に降り立った瞬間、昨日までと同じ世界なのか、同じアバターなのか疑った。それ程までに世界が視える、人々の思考が分かる、アバターが馴染む。まるで何でも出来そうな全能感に、俺は支配された。これは
しかし、その元凶というべき存在を思い出すと、高揚感はすぐさま冷めた。ヤツがいる。あんな危険な存在が、この世界にいる。俺の大好きなこの世界に、詩乃がいるこの世界にヤツがいる!!頭に血が上る。しかし、それではヤツには勝てない。大きく生きを吸い、熱を全て出すように吐く。
今のままではヤツに勝てない。だが、新たな武器が有れば勝てる。丁度お誂え向きのレアドロップがホームのボックスの肥やしになっていた筈。今の俺ならば十二分に扱えるはずだ。俺は直ぐ様自分のホームへと向かった。
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俺は新しい銃の調整と試射を終えるとストレージにそれを突っ込み、街に出た。すると今日初めて会い、家に住む事になった少女の気配を感じ取った。まだ待ち合わせ時刻まで時間はあるが待たせるのも忍びない。直ぐに彼女に会いに行くことにした。
丁度ロボットホースの停留所?があったので一頭拝借して向かう。乗って見た感じ、速度はバギーに負けてない。それに恐らくこっちの方が踏破性能は上だろう。本戦でも数カ所に乗り物が用意されているらしいので、ここで確認できたのは行幸だ。
詩乃の気配まで後2キロを切った。そこで、彼女の気配の直ぐ側で余り良くない気配がする事に気が付いた。はっきり言ってネチャネチャと粘着性を感じさせる嫌な気配だ。この手の気配の持ち主はストーカーである事が多い。
俺はロボットホースの速度を上げた。ショートカットの為に車道でなく歩道を選び、人垣を跳び越え、それが無理ならビルの壁を走った。
そして目に入ったのは銀髪の青年に腕を掴まれそうになっている詩乃らしきアバター。俺は直ぐ様ロボットホースの上からジャンプし銀髪ヤローに飛び蹴りを放つ。
「ラ○ダーキィック!!」
「ボガッ!?」
顔面に蹴りを受けた銀髪ヤローは吹き飛んでビルの壁に突っ込んだ。それを目尻に俺は詩乃の気配のする青緑色の髪のアバターに耳打ちする。
「行くぞ、詩乃」
「え? もしかして···きゃっ」
俺は答えを聞かずに詩乃を所謂お姫様抱っこしてジャンプ。そのまま追いついたロボットホースにまたがってその場を後にした。
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俺たちは一先ずホームに戻った。あの銀髪ヤローの事があるので決まった人間しか入れないホーム位しか安全が確保できないからだ。
「取り敢えず改めて、楠田優輝ことマフティー・ナビーユ・エリンだ」
「うそ、マフティー!?」
俺の自己紹介に驚く詩乃。それにしても髪型と顔立ちがリアルに似すぎだろ。
「そんなに驚く事でもないだろう?」
「驚くわよ!未だサービス開始から半年経ってないGGOで数々の伝説を打ち立てて来たマフティー・ナビーユ・エリン!今回の優勝候補じゃない!」
「あれ? 俺ってそんなにやらかして来たっけ?」
「光剣でバレットラインのないスナイパーライフルの初弾を切ったり、大量のレアドロップを市場やオークションに流したり、未だに死亡記録がなかったり、やらかしまくってるじゃない!」
「おふ、ようよう考えてみると結構やらかしてるな、俺」
「そいや詩乃のプレイヤーネームは?」
「シノンよ」
「···もうちっと捩ろうぜ。顔も目と髪の色以外はリアルとよく似てるんだしさ」
「うっ」
息が詰まる詩乃改めシノン。そう言えば···
「あの銀髪ヤローは何なんだ? シノンのストーカーか?」
「違う······と思うんだけど···」
「? どした?」
何やら悩み始めるシノン。しかし直ぐに顔を上げて話しだした。
「彼、シュピーゲルって言うんだけど、私をGGOに誘ってくれた人なの」
「となるとリアルの知り合いか?」
「ええ、同じ学校の友達······だったんだけど···」
「だった?」
「···今日、たまたまあそこで会ったとき、彼が気持ち悪くて仕方がなかったの。彼から何か粘着質な物を感じてしまって···」
「それ、多分合ってるぞ。俺も感じたしな。あの手の気配の持ち主はストーカーか片足つっこんでる予備軍だ。実際母さんのストーカーがあんな気配をしてたし」
ってあれ?
「シノン、俺の
「···いいえ、昨日まではこんなシックスセンスの様な物は持ってなかったわ。最初にこれに気が付いたのは···その···」
「?」
顔を赤くして俯くシノン。あ、なんかもじもじし始めた。どしたの?
「っっ!!貴方に慰められて胸に顔を押し付けてた時よ!!」
なるほど、あの時か。今思えば大胆な事したよな。それ以前に家に上げた時点で普段じゃあり得ないか。というかさっき仮想世界とは言えお姫様抱っこしちゃったよ! なんか急に恥ずかしくなってきた。
「「···」」
き、気まずい。ああ、でもあの銀髪ヤローの対策立てないと。
「あ〜、シノン? そのシュピーゲルってヤツと遭遇しない為にもここで観戦するのはどうだ?」
「···え? ここで観戦出来るの?」
「ああ、そこに空中投影タイプのモニター端末が有るだろう?」
「···貴方、稼いでるのね。さすが月収100万に届く男」
「いやいや、100万は流石に無い。大体50万ちょい位だって」
「それでも十分異常よ」
「うっ、まあ、そういう事だからシュピーゲルに会いたく無いならここで観戦するといい」
「ありがとう」
「どういたしまして。じゃ、俺はもう行くな」
「うん、がんばって」
「ああ、
勝ってくる」
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とうとう始まったBoB本戦。俺は運良く山岳の頂上に転送された。サトライザーの気配は森林フィールドから感じる。周囲2キロ範囲内にこちらに向かってくる敵は無し。これなら行けるだろう。取り敢えず気配を溶け込ませ、アイテムストレージから対サトライザー用の秘密兵器を取り出す。
それは芸術品と呼んで差し支えの無い程洗礼されたデザインの狙撃銃だった。名をSVLK-14S。『スムラク』とも呼ばれるコイツはマガジンが無い為単発だが、射程が4000mを超える化け物狙撃銃だ。俺のスムラクはスコープは疎かバイポット以外何も付けていない。しかし、これが俺の最適解。
俺は伏せた状態でスムラクを構え、目を閉じる。今の俺の空間把握は俺を中心に半径2キロ程の円を描いた範囲に及んでいる。それを形を変えてサトライザーの気配へと伸ばしていく。慎重に伸ばしたかいあって、気取られる事なくヤツを捉えられた。しかし、ここで撃っては恐らく避けられる。だから待つ。ヤツが獲物を定める時を···
それは直ぐにやってきた。狙われたのはドラグノフ狙撃銃を構えたスナイパー。スニーキングで後ろから忍びよりナイフで仕留めるつもりの様だ。俺は集中力を更に高め強引に意識レベルをゾーンに突入させる。流れる時間が極端に遅くなり、必要な情報以外は遮断される。予選でのヤツの動きと現在感じるヤツの思考からヤツがこの先どの様に動き目標を仕留めるのかを直ぐ様予測。最高のタイミングで着弾させる為に、その時のヤツの頭の位置と着弾までにかかる時間を直ぐ様計算。ヤツの頭に銃弾が飛んでいくようにスムラクを構え直す。
ビジョンが視える。
ゆっくりとした時間の流れの中、ヤツの動きの先と俺の弾丸の先がまるで出来の悪い連続写真の様に視える。そして、その二つが完全に交差した。
タァン!!
短くも鋭い銃声を置き去りにして.408chey-tac弾が飛んでゆく。そして、まるで吸い込まれるようにスナイパーに襲いかかったサトライザーの頭部を貫いた。撃たれた反動で横に倒れるサトライザー。動かないヤツの上にDEADの表示が上がった。
集中力を通常戦闘時のレベルまで落とす。すると時間が通常の早さに戻り空間把握も元の状態に戻る。周囲やここを狙撃できるポイントに敵影無し。どうやら乗り越えれた様だ。
倒した。ヤツを、サトライザーを。それは達成感と言うよりかは安堵に近かった。正直あんなサイコパスがいる中で大会を楽しむ事なんて出来ない。ようやく、ようやくこれから俺のBoBが始まるのだ。
俺はスムラクをアイテムストレージにしまうと、両腰のS&WM500カスタムを引き抜く。
「さぁて、本気で遊ぼうか!!」
俺は開放感に身を任せ山岳の頂上から飛び降りた。
サトライザーが呆気なく殺られたように見えますが元ネタが分かる人は仕方が無いと分かると思います。
シノン視点の話はいりますか?
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いる
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いらない
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どっちでもいい