Justice中章Ⅱ:蠢き轟く脅威と去り逝く者達   作:斬刄

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2話一触即発[後](レイナーレ・士郎ルート)

 

12/2 21:50 廃ゲーセン

 

「さやかさん…さっきの二人は?」

「急用があるから、私達より先に出て行ったんだよ。もう大事な話も済んだから」

「そ、そうですか」

 

一誠とアーシアが出ていった頃に、さやかが2階に置いた八江の元へ向かっていた。

階段を降りていくと、一誠達が出て行った数分した後に、今度はレイナーレが士郎をジト目で指摘する。

 

「これで、私達が麻紀達を引きつけちゃう形になっちゃったね」

「ほんと、どうしてくれんのよ…」

「でも、聞いてなかったら麻紀が一体何をしてるのか分からないままだったんだ。少なくとも、麻紀側の有力な情報を俺達は手に入れることはできた」

「それは私達が生きて情報を持ち帰れたら、の話でしょ」

 

この場を脱せる方法があるからと乗っていたが、こんな揉め合いをするくらいなら一誠達のとリアス達含む麻紀で潰し合わせても良かった状況なのに、それでも助けようとするお人好しさに呆れている。

 

「あの場で二人を見殺しにさせることを選んでたら、その時間稼ぎもままなかったしな。

すぐに追いかけてきた可能性だってある」

「それも、そうだけど…」

「これ以上は俺も小言になりそうだからな。

これで、あの二人のことは済んだ。

俺達もこの建物から出る準備をしておくとしよう」

 

そう言ってランサーは、マスターである不知火と共に準備をしていく。

 

「なぁレイナーレ、どうして一誠達を…死体を処理するのが面倒だって言ったのだって。

いや、何でもない…言いたくないならこれ以上は聞かない」

 

士郎は、レイナーレが殺すのを諦めたことに不可解な気持ちではあったがこれ以上聞くのを諦めた。ミッテルトはムスッと頬を膨らませた顔のまま、不機嫌そうにしている。

 

「姉様がそれで良いなら何も言わないっすけど。ウチは、まだ納得してねーっすよ…」

「ミッテルトがそう思うなら、それで良いわ」

 

今まで麻紀の船にいた一誠が、誠司の死を証言したことで彼の死が確定したものだとはっきりした。二人に出会ったせいで厄介事には巻き込まれたが、話を聞いた限りだと麻紀の今の状態について大体の想像できた。

 

「でも一誠の言っていることが本当なら、誠司は死んでしまったんだな…」

「麻紀があんな風に狂ってしまったのも、アイツの死が原因になるわね」

 

麻紀が子供を盾代わりにしても、なんとも思わなかった事を彼本人が言動で示している。

 

「だが、これで分かったこともあった。

あの無人島を襲撃したのは、麻紀で間違いない。突撃させた民間人達や艦娘も俺達ごとあの歌で眠らせようとしたのも…‼︎」

「絶対に許されないよ、そんなの!

それで一体どれだけの人が…‼︎」

「麻紀って男が艦娘達を悪用してるなら…私も許せないわ」

「胸糞悪ぃ気持ちになるのは、俺も同じだ。

マスターなんかは、同じ艦娘だからな」

 

士郎は一誠達の事情を知って悔しそうに拳を握りしめ、さやかも憤っている。ランサーと不知火の二人も、一誠達の話から無人島での出来事を思い出して嫌悪な顔をしていた。

 

「…麻紀って奴が、殴り返される覚悟が無いってのはさっきの話で分かったな。

 

あの無人島で何人もの群れを使って散策させたのも人材集めってことだ。海辺で戦ったのも、全く歯応えが無い連中ばっかりいたのはこれで納得もいった。

要するにだ、ソイツは殴り返される覚悟が無いから何人もの身代わりを用意して、罪をおっ被せて、ずっと安全なところに居続ける…卑怯者ってことだ」

(赤龍帝によって施された力…確かに漲ってくるわね)

「ありがたいけど…力を与えるなら、私じゃなくて士郎かさやかにしなさいよ。

馬鹿なんだから」

 

ランサー達が話している一方で、レイナーレは一誠に託された力に驚いていた。

光の槍を取り出すと、赤いオーラを纏って強化されている。

授けられた力は麻紀達から逃げる為に活用しようと考えているが、どんなに強力な光の壁を展開しても相手が幻想殺しである以上、一撃で破壊されるだけ。

レイナーレに渡すよりは、さまざまな物を投影できる士郎や水分身を扱えれるさやかに譲渡して貰えた方がまだ助かった。

 

「…とにかく急いでここから出ましょう。

全員準備はできてるわよね」

「あぁ、駆けつけてくる前にこの店を」

 

休息は済み、レイナーレ達も廃ゲーセンから出る準備は十分にした。全員が店の出入り口から出ようとするが、レイナーレとミッテルトが悪魔の気配を察知する。リアス達と麻紀が、この店へやってきたことに。

 

「…いや、タイミング悪く。

あの連中が来たみたいだな」

「やっぱり、ここまで追って来ると思ってたわ。流石に時間をかけ過ぎたもの」

 

まだ外に出ずにドアノブに手をかけようとしたのが幸いだが、リアス達が廃ゲーセンの前に待っている。

 

「探しても見つからないと思っていたら、ここを根城にしてたのね。

隠れてないで出てきなさい」

(うわぁ…これじゃ出れないよっ)

 

さやかがドアの覗き穴を見ると、港で会った時と同様に待ち構えていた。リアス、朱乃、小猫、神羅と麻紀の5人が立っている。

 

「足跡から察するに…出て行ったのは二人か。

もしかしたら、この足跡から見るにアーシアとはぐれ悪魔の二人が、あの街まで一緒に逃げてたみたいだ」

「あらあら…堕天使がわざわざ囮になるだなんて」

「アーシアをはぐれ悪魔一人に委ねるなんて。

一体何を企んでるのかしら?」

 

一誠とアーシアが出て行ってから、そんなに時間が立っておらず、二人が残した足跡もそのまま地面に残ったままだ。リアス達は堕天使だけしかいない事に気配を察知し、はぐれ悪魔が遠くへ行ったことに気づく。

 

 

「君たちの最優先事項は、アーシアを助けることだ。コイツらは僕が相手するよ」

「…良いのかしら、麻紀に任せて」

「彼らを殺すのは簡単なことだ。

でも、生け捕りにするのは大変だろ?

君達の代わりに僕がやるからさ。

 

街には無人機達が牛耳ってて探すのはかなり大変だと思うから、敵が集まったら逃げてよ」

「そうね。なら彼らの確保は任せたわよ」

 

こうしてリアス達は街の方へ向かい、麻紀は廃ゲーセンの前に留まる。幻想殺し・武器化でメガホンを取り出し、士郎達に警告していく。

 

『君達は既に包囲されている!

全員捕まる気がないのなら、四肢のどれかを撃ってでも行動不能にさせて連行させるしかない!

 

それでどうだろう!

今いる正輝の仲間を一人渡してくれたら、他の誰かが痛い思いをすることもない。

僕も大人しく下がる事にするよ!』

「何よそれっ…そんなふざけた提案乗らないに」

『3分間待とう!時間が過ぎても沈黙を貫くか、逃走或いは攻撃を始めた場合は突入する‼︎』

 

レイナーレ達は麻紀の提案に乗るつもりはなかった。リアスは【用が済んだら始末する】と言っていたのだから、渡したところで生かすことは絶対にない。

 

「不味いわね…たった3分間でこの店を出る準備を模索しないと。

このままだと突入してくるわ」

「窓から確認したが、この建物の周囲を分身達が囲っている」

 

店にある窓を確認すると、警告した通りに店の周囲を待ち伏せしていた。何処から逃げ出しても対処できるように、窓の方にも銃を向けて構えている。

 

「こうなったら…光の槍を刺しても効かないのなら、いっそ地面に突き刺して爆発させるわ。

それで吹き飛ばすだけでも」

「待って1人だけじゃないっ…5人以上は間違いなくいるわ。

槍を投擲しても意味がないと思う」

「だったら本体を探せば、分身だって消えるんじゃないんっスか?

メガホンで警告してたソイツならワンチャンどうにかなるんじゃ」

「…いいや、そんな甘い希望は考えない方がいい。もしかしたら囲んでいる連中全員が分身達って可能性が高そうだ。

 

…こんな危険な場所に本人が出向くとは到底思えねぇ。ましてや子供を盾にする奴が、危険な前線に出て戦う必要なんてないからな」

「え、マジっすか。

包囲してるの…マジに全員分身なの⁉︎」

 

士郎達が慌てている中、時間は迫っていく。

この廃ゲーセンは既に麻紀の分身達に包囲され、どうすれば良いかを模索している。

 

このまま残っても、突入して蜂の巣にされてしまうだけだった。

 

『残り1分!まだ返答がないのか‼︎』 

「それが本当ならどうしようっ…アタシが水分身で戦うにしても当麻みたいに異能力を打ち消せる分身体なんでしょ?

 

そいつらを正面から相手にするってなると流石に部が悪いし」

「でももう時間ないっすよ!

どうするんっスか⁉︎」

『もう3分経った!

答えを聞かせてもらおうか‼︎』

 

麻紀が時間を測りつつ、再度メガホンを使って警告する。警告してから2.3分待っても、廃ゲーセンの中からは物音も立たず、士郎達からは何の返事も帰ってこない。

 

「沈黙は解答と捉えて良いんだ。

誰一人仲間を売る気はないと…あぁそう。

 

全員突撃‼︎」

 

麻紀はメガホンを消し、他の分身達に命令を下していく。続々と麻紀の分身が廃ゲーセンへ突入しようとしたが、窓を開けてミッテルトとレイナーレが空高く飛翔していた。

 

「…へぇ、あれだけ時間をかけたのに結局観念して上空に逃げたんだね。

でも無駄だ。そんな所にいたら、どうなるかぐらい分かってるだろ。

 

わざわざ逃げ場のない上空に移動するなんて、もう万策尽きたのかな?」

 

麻紀の分身達が猟銃を用意し、レイナーレ達を見上げていく。堕天使の羽で上空に浮遊している以上、麻紀の言う通り銃弾を守る障壁もなく、逃げ場もない。

 

二階にいる分身は窓からレイナーレとミッテルトを狙おうとしている。

 

(でも二人だけ上空へ逃げ出した?

他の連中は見捨てたのか?)

 

全員の分身が上を見上げた隙を狙い、ランサーが不知火と士郎を抱えつつ全速力で走り去っていく。さやかはデバイスで魔法少女に変身し、八江を抱えつつ2階の反対側の窓から廃ゲーセンを出て行く。

 

最速だけあって、足音に気づいた麻紀が振り向いた時にはランサー達の姿が見当たらなくなっていた。麻紀の分身達が、ランサーの足音に反応するが時既に遅い。

 

ランサーには既に逃げられてしまい、また空を見上げるとミッテルトが両手で小さい光の槍を二つ飛ばしていく。

 

投げた二つの槍は落下し、地面に刺さる前に強く発光する。線香花火のように槍から光の針が飛び散って地面へと落ちていく。

 

「またあの目眩しかっ‼︎

見えなくても良い!

飛んだ方向に撃ちまくれ‼︎」

 

麻紀の分身達に針の攻撃は効かないが、発光で標準を合わせないようにするには充分だった。適当に乱れ撃ちしつつ逃げていく堕天使二人を撃ち落とそうとするも、全弾外してしまう。

 

レイナーレが赤龍帝の力で強化させた光の槍を投げ、地面に突き刺しつつ爆発させる。分身達の何人かが吹き飛び、さやかはランサー達と同じ方向へ逃げていく。

 

「くそっ…全員逃げられた!

しかもあの爆発、急に威力を増したのって…まさか一誠がレイナーレに力を。

さっさと連中を追え!街の中に辿り着く前に正輝の仲間を誰か一人でも取り押さえろ!」

 

分身達はそのままレイナーレ達の方に走っていき、追っていく。指示をしていた麻紀のポケットから携帯の着信音が鳴り、電話を取る。

 

『ごめんなさい、麻紀。

上空からアーシアを探してる最中、この街に配備されている機体が私達を攻撃してきたわ。

特に青い機体が厄介なの…神羅が私たちを守る為に前線で戦ってくれてるけど。

 

他の場所からも増援が来てて、進む事が出来ない…このままじゃアーシアがあのはぐれ悪魔に連れ去られてしまうわ』

 

1stの領域に踏み込んでいる以上、リアス達が狙われるのは分かっていたことだった。久野が用意してくる敵機体は無尽蔵に増やし、何体撃破してもキリがなかった。

 

「なら今は撤退するしかないね…アーシアを取り戻す前に君達が全滅してしまう。

それだけは避けなくちゃ」

『その方が賢明ね。レイナーレ達の邪魔がなければアーシアを連れ戻す事が出来たのに…悔しいわ』

「仕方ないよ。僕もアーシアを探すのに尽くすからさ、気を落とさないで欲しい。

 

僕もさっき取り逃してしまった。まだアイツらは街の奥には入ってないからもう少し頑張るよ。

 

君達が使い魔を放っても街に配備されてる無人機達にバレるだろうし、奥へ入った時の対策は僕がちゃんと考えがあるから。

アーシアの二人組を見つけたら、ちゃんと君達に報告するから!」

『そうね、助かるわ…それなら先に引き上げるわよ』

こうしてリアス達の電話を終えると、麻紀は溜息をつく。

 

偽物とはいえ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁じ手(バランスブレイカー)を使える神羅がいるのに、それでもリアス達が苦戦して弱音を吐いている。

 

嫌な知らせを聞いて気分を悪くした麻紀は、リアス達に撤退するよう伝えた。

 

(神羅以外は、全く役に立たないじゃないか。

…無人機相手になんで苦戦するか、理解に苦しむよ)

 

かつてライザー眷属を相手に優位になっていたリアス達だったが、今では代役の神羅だけが1stの領域を進め、リアス・朱乃・子猫の3人は彼に守られているだけの姫様ポジションでお荷物になっている。

 

彼女達への力不足に呆れを通り越して失望していた。

 

彼はあの場でレイナーレ達を取り逃したことに苛立ちながらも舌打ちし、今まで明るく気丈に振る舞っていた声が段々と声色を変えて募っていた憎悪を吐き出していく。

 

「ほんっとうに…誠司を見殺しにして僕を裏切ったリアス・グレモリーと彼女の眷属達だけは最期まで頑張ってくれ。死ぬまでコキ使って、僕の為に命を尽くして貰うからね」

 

麻紀は死んだ誠司のことを思い出し、腑が煮え繰り返っている。

親友である誠司が死に、裏切った彼女達だけがのうのうと生き残った事に対する怒りと、彼らに対する殺意が全く消えていない事に。

 

死んだ魚のような目で、彼はそう呟いだ。

 

*****

 

 

「港にいてから…ウチらずっと逃げてばっかだし‼︎あれだって上手くいくかどうか分かんなかったのに、心臓悪過ぎてマジ最悪っ‼︎」

 

ミッテルトがかなりイラついているが、麻紀達を相手に戦っている余裕はない。士郎とランサー達に合流し、何処に移動するか走りながらも話していく。

 

「なんとか上手く脱出できたみたいだ…でも何処に移動する?あいつらすぐにでも俺達を追ってくるだろうし、どうするんだ?」

「…上空を見渡したら、逃げた方向に街があったわ。私が前に出て案内するから、そこまで移動しましょ」

「分かった!

そこならアイツらが下手に撃つことだって」

 

背後から数人の走る足音が聞こえている。生身ではない麻紀の分身達は疲れを知らず、すぐさま士郎達を追ってきていた。

 

「あいつら…まだ俺達を追ってきたのか⁉︎」

「しつこいわねっ…!」

 

遠くから見ると、15人の分身達が士郎達の元へと向かっていく。今度は、防弾チョッキとヘルメットを装着してサブマシンガンを用意していた。

 

その中の分身達の一人が、麻紀の容姿へと変わり声を出す。

 

「まさか…あの一誠が、赤龍帝の力を正輝達に与えるとは思わなかったよ。しかもレイナーレ相手に…本当にビックリした。

 

一誠の大馬鹿が、余計なことをしたせいで囲い込みが失敗になった。どういう方法で、赤龍帝の施しを受けたかは知らない。

 

でも僕にとっては、そんな事はどうでも良い。

一誠とアーシアが生きているのか、死んでいるのかも然程問題じゃない。

 

肝心なのは、【君達の誰か一人でも生け捕りにする】ことだ」

 

そのまま士郎達が走って行くと、街が見える。

麻紀の分身達に背後から追いかけてきており、更に街に近づいたと同時に別の結界が張られていく。

 

「また結界⁉︎今度は誰が…‼︎」

 

道路には1stが侵入できないよう雷光2機とサザーランドを5機設置されている。

白兜ことランスロットが一機、転移された。

 

まだ武器を構えてはいないが結界に侵入した士郎達に対して無人機達は感知し、一斉に体を向けている。

 

「あれって確か1stの無人機達かっ…街に配備してたなんて」

「ヤバくないこれ…ウチらが街に入ろうとしても挟み討ちにされるって」

「でも、ここを突破するしかなさそう…引き戻っても麻紀の他にリアス達とも相手するかもしれない」

 

一難去らず、ニ難と増えている。

進めば無人機達を止まっても分身達を相手にしなくてはならない。無人機は街に向かおうとするレイナーレ達に銃を構え、侵入を阻止しようとしてくるだろう。

 

「それで、このまま無理矢理突破するか?

後ろにいる分身共を相手するより、正面の無人機なら問題ねぇだろ」

「このまま突っ切って無人機を相手にしたら、今度は麻紀が遠距離から撃ってくるわよ。

一か八か、あの無人機と分身達を…ぶつけさせるわ。その為には」

 

そう言って、レイナーレはさやかの方を見る。

1stの正確ならさやかに対して攻撃することもなく、守ってくれるのではないのか。

それを逆手に取れば、麻紀達に対する襲撃を脱することができる。

 

「あ、私…?無人機達を上手く利用してってこと?」

「上手くいけば、追手を翻弄することもできる…このままだと全滅しかねないわ」

「まーたアドリブかぁ…これも失敗したら不味そうだし」

 

全員無事にこの場を乗り切るには1stがロリコン好きなのを予測し、絶対に無人機達はさやかには狙わないだろうという憶測での賭けをするしかない。

 

麻紀達を相手に三度も危機に瀕し、しかも即興で考えた案を実行するしかなかった。

 

「しょーがない…!頼まれたからにはアタシも頑張るよ」

 

さやかだけが止まり、レイピアを投げて麻紀達を陽動していく。反応した分身達は彼女に銃口を向けて撃ち、無人機達はさやかが狙われるのを確認すると共に待機から移動を始めた。

 

さやかは無人機が来るまで銃弾を回避し続け、到着すると彼女の前に立って身体を盾にし、彼女の護衛に徹していく。

 

「1stの領域に入ってもないのに狙っただけでダメなのか⁉︎でも他は逃がさない‼︎」

「みんな、アタシに構わずこのまま進んで‼︎」

 

サザーランド3機がさやかの護衛に徹し、麻紀の分身と交戦する。

 

仕方なしに分身達が残りのレイナーレと士郎達を追っていく。士郎達が進んでいくと雷光が超電磁式留散弾重砲を発射しようとエネルギーを貯めていく。

 

レイナーレが光の槍を投げ、士郎は弓矢を投影し、矢を放つ。二人とも大砲の口に向けて飛ばしており、中にある弾が暴発、そのまま雷光を爆発させた。

 

「へぇ、やるじゃねぇか…よっと!」

「ランサー!」

 

他の機体が突破した事で白兜も本格的に動く。

MVSことメーザーバイブレーションソードを右手で取り出し、士郎とランサーに斬り掛かってきた。

 

「不味いっ…分断された」

「先に行け、お前ら!」

 

白兜の後ろには不知火、甘露寺八江、レイナーレ、ミッテルトの4人がいる。四人の前に無頼とサザーランドが何機か転移され、道を塞いでいく。

 

それと同時に水分身が、道を作る為に何機かしがみついていく。さやかが魔法で高速移動し、レイナーレ達の元へたどり着いた。

 

「みんなごめん!

やっぱり、あいつら抑えるの無理だった!

「さやか⁉︎守ってた機体はどうしたんだ⁉︎」

「もう破壊されてる!爆発しそうだったから、アタシも逃げて来たの!」

囮になったさやかを守っていたサザーランドは、幻想殺し・武器化におけるミサイルランチャーで既に破壊されている。

麻紀の分身達もまたさやかを追って多数侵入すると、無人機達の追加とタレットまでも転移して迎撃していく。10人の分身がタレットを破壊しようと足止めし、残りの人数こと25人でレイナーレに狙いを変えた。

 

「無人機だってレイナーレなら絶対に守るわけがない…それ以外は足を狙い撃て!

せめて彼女だけでも連れて行くんだ!」

「あいつらっ!またレイナーレ姉様を‼︎」

 

士郎が無理をして突っ込んでいくが、別方向からサザーランドが新たに4機出現し、スラッシュハーケンを飛ばしたが、ハーケンは士郎に当たらず、地面の食い込んでいく。

 

士郎が勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を投影し、サザーランドの右足を切断した。バランスを崩し、ランサーの方へ転倒するが、槍で胴体を真っ二つにする。

 

白兜は他のサザーランドに任せ、士郎達を相手にしないまま、足首にあるランドスピナーを加速させていく。

白兜の向かった先は

 

「おい、やめろっ…行くなっ!

まだそっちにはっ…‼︎」

 

士郎は他のサザーランドを相手に斬り倒していくが、同時に徒労で息切れし、声を枯らしつつも叫ぶ。

 

甘露寺八江と一緒にいるレイナーレが、麻紀の分身達にも狙われている事に。

 

「逃げろレイナーレっ‼︎あの白い機体も、そっちに向かってきてる‼︎」

「つっ⁉︎」

 

士郎は精一杯に声を大にして叫び、彼女の耳に聞こえるように届く。振り向けば士郎を追っていたはずの白い機体はレイナーレの元へ駆けつけてきていた。

 

「なんでこのタイミングでっ…⁉︎」

「…レイナーレ、お姉ちゃん!」

 

レイナーレの近くにいる八江は、焦っている彼女の顔を見て、泣きそうにしている。麻紀の分身達に狙撃されており、白兜はこのまま急接近してくる。

 

不知火とさやかが白兜と麻紀達を止めようと砲撃と剣の投擲で迎撃して行くが、白兜の装甲は駆逐艦の砲弾では傷一つつけられない。麻紀の分身には当たったが、1.2体倒されたくらいであまり効果がなかった。

 

「つっ…⁉︎硬いっ!」

「レイナーレさん!避けて!」

(このままだと、殺られるっ…!)

 

だが、白兜の取った行動はレイナーレに背を向けてブレイズルミナスを展開し、分身達の銃撃を凌ぐ。

 

「えっ…⁉︎」

「…なっ、何で無人機がレイナーレを守ってるんだ‼︎まさか、もう1stが裏で正輝と手を組んでたとかじゃないだろうな⁉︎

 

こんなの、清き親友から聞いていた話と違」

 

分身の一人が言い切る前に白兜は右手にあるソードで、レイナーレに近づいた分身達を全て粉砕した。

 

「…助けてくれたのか?」

「いや、まだ油断すんな」

 

ランサーの言った通り、肩の荷を降りるのはまだ早かった。白兜は分身達を撃破すると、再度士郎の方へと向かっていく。

 

「やっぱりっ…⁉︎今度は士郎さんの方に」

「マジっ…ウチらを襲う気で」

 

MVSを鞘に納め、士郎一人を相手に高威力のバーストモードのヴァリスに切り替える。

一才の容赦をしない。

 

「身体は剣で出来ている…っ‼︎」

 

白兜はヴァリスを構え、士郎に狙いを定める。迎撃はできないと判断した士郎は、防御する為に詠唱を唱えつつ右手を突き出した。

 

熾天覆う七つの円(ロー・アイア)…なっ」

 

アーチャーと同じ防御用宝具を展開しようとしたが、白兜の電源が切れて停止する。構えていたバリスは撃つこともなく、身体はぐったりとし、頭は垂れ下がっていた。

 

「と、止まったのか…うわっ⁉︎」

 

他の無人機も停止状態になり、士郎達の緊張が解く。身構えていた士郎の肩の荷が降りて放心したままだったが、突然士郎の携帯電話の音が鳴って驚く。

 

携帯を取り出すと電話画面には?表示され、電話に出る。

 

『無事か、衛宮士郎。そこにある白兜と他の無人機の機能は、私が停止させておいた』

「…何で俺の電話番号を?機体を停止させたって、アンタ一体」

 

無特定の無人機には暴走しないよう、ゲフィオンディスターバーが内側に組み込まれている。

その装置によって機動源であるサクラダイトの活動を停止させた。

 

『話は後だ。機体が再起動する前にあるビルまで移動しろ。そこに辿り着くまでは私の指示に従ってもらう。

 

兎に角、私が抑えている間に街の奥まで進め』

「…分かった。

みんな、立てるか?」

「何とか…ここまで誰も怪我は負ってないわ」

 

士郎達は彼の指示通りに、街の奥へと移動していく。道中結界が展開されたが、戦闘にはならず近くには無人機達として利用していたナイトメアフレームが待機している。

大槍と大砲を手にしているグロースターと、刀を持っている無頼が機能を停止したまま配備されている。

 

「全くウチらに襲ってこない…てゆーか、街の中にまでこんなに用意してるなんて」

「本当なら、奥へ入ろうものなら囲んで潰すって事になってたんでしょうね」

 

侵入した士郎達に対して全く反応せず、電話をかけてきた男の指示通りに言われた場所へと向かっていく。

 

12/3 深夜23:30 街ーマンションビル

 

『良し、ここまで来ればあの連中も迂闊に入ってこれない。

1stの罠もこの場所には設置も、傍受されないようにもしておいた。

これで君達と安心して話すことができる』

「助けてくれてありがとう…でも、俺達のためにどうしてここまで」

『…そろそろ明かすとしよう。これから私が乗っている機体を君達の目の前まで移動させる。

たどり着いたら一時停止するつもりだが、君達は攻撃しないで頂きたい。

 

 

私の姿を見て貰えば、自ずと分かるはずだ』

 

ビル近くにある無頼がゆっくりと移動し、レイナーレ達の前に姿を表していく。先程の無人機とは違い、手を挙げつつ士郎達に敵意がない事を証明する。

 

士郎達の前で止まると、無頼の中から誰かが降りていく。

 

「あっ、アンタ…!確かワルプルギスの夜との決戦前に訪ねてきた」

「こうして君達に会うのは二度目だったか」

 

黒いマントと付けている仮面には見覚えがあった。士郎達が1stの包囲網を突破し、ここに辿り着くまでに助けていた。

 

「…そいつが、俺達に電話をかけたんだな?」

「助けてくれたんだ。移動してた時に、機体を止めたのもアンタのお陰か」

「その通りだ。深夜での活動は子供が彷徨かないからオート機能で任せている。

 

だから、私がある程度の停止や起動をさせても咎める事はない。二人は私のことを初見のようだが、ゼロと呼んでもらって結構だ。

 

君達を助けたのは口頭で伝えなくてはならない事がある。

だから、こうして出向いている」

「それなら俺達の仲間について今何処にいるか知っているか?唐突な転移で他のみんなは散り散りになっているんだ」

「君たちの仲間なら少なくとも鹿目まどか、巴マミ、佐倉杏子の二人は無事なのは確認済みだ。

 

彼女達はこの領域にいる。たとえ何者かに襲われても1stが徹底して守るよう手厚くしてくれるだろう。

だが、それ以外の詳細を言うことはできない」

 

1stが統制している場所にいることも聞いて、この街のどこかに必ずいると知り、同時に友達が無事でいることにさやかは安心する。

 

「3人が無事で良かった…!

でも、ほむらはまだ確認できてないの?」

「あぁ。彼女だけが、未だに見つかっていない」

「そうなんだ…でもほむらなら一人でも何とかなるでしょ」

 

さやかは残念そうにするが、ほむらのことだからなんとかなると気を取り直す。 

 

「ゼロ…俺達、正輝からの電話でバス停の所まで移動してほしいって事を頼まれているんだ。

 

 

ただ、麻紀達と接触して闇雲に逃げていたから今何処にいるのか分からなくなっている。

何か地図かあれば俺達も助かるんだが」

「なら地図も人数分渡すとしよう。

フェイト・テスタロッサの家は、既に高町なのはの家近くに引っ越している。

 

だが君達がバス停まで辿り着き、正輝が来るのをずっと待ったとしても、それを狙って1stと2ndが襲撃してくる可能性があるからな」

「襲撃って…合流する前に正輝達に携帯で連絡する事ぐらいは」

 

連絡を傍受されるかもしれないが、正輝と合流出来ないよりはマシだった。

 

「残念だが…本日の23:00以降に1stは2ndの同盟以外の他の通話機器を遮断されるだろう」

「なんだって⁉︎」

「だから、1stが解除をするまでは携帯での連絡は不可能になる。他の誰かに携帯電話を貸してもらうか、なんとか街にある公衆電話を探す事だ。

 

それも不可能なら、彼女の念話を頼りに動くか、別の方法を模索しろ」

 

1stは盗聴ではなく、連絡の遮断を取った。彼にとっては盗聴する必要が無く、仕掛けた罠に引っかかったりする時点で何処の位置にいるか特定できる。

 

いずれ合流する場所に向かうのだから、そこに待ち伏せの無人機を量産することになる。

 

ルルーシュの言う通り、どうしても連絡が取りたいのなら良心的な誰かに携帯電話を借りるか、公衆電話を見つけること。

電話先は正輝達にかけても繋がらないから、連絡先が分かる場所とすればなのはの翠屋ぐらいしか分からない。

 

「…正輝達との合流は、簡単にはさせてくれないって事ね」

「1stがこの街に罠を張り巡らせている以上は、可能な限り教える。

今から、絶対に狙わない人物を挙げていく。

 

まず、美樹さやか」

「あぁうん…やっぱりアタシか。

確かに狙ってなかったよ」

「次にミッテルト」

「…え?ウチ、ロリっ子認定されてるの?」

「あと艦娘についてだが、少なくとも幼少はセーフだとアイツは言っていた。

つまり不知火、君も狙う事はないだろう」

 

久野が用意した無人機達はさやかとミッテルト、不知火を狙おうとせず、あの場で狙っていたのはレイナーレ、衛宮士郎、ランサーの3人だけだった。

 

「確かに…二人と同じく、無人機達には狙われなかったわね」

「そして、その子も対象外だ」

「…待ちなさいよ、この子は男の子でしょ。

さっきの機体が急に守ってくれたのは驚いたけれど」

「いいや。

男の格好をしているが、その子の性別は女だ。

この街にある全無人機には、男か女かの識別反応が備えられている。

 

そういう事に関して、奴はかなりうるさいからな」

「貴方…本当なの?」

 

八江はゼロに自分が女である事を明かされ、顔を赤らめている。

 

「そ、そのっ…はい」

「なるほどね。無人機達が急に守るように行動をとったのはそう言う事だったの…」

 

あの場面で流れ弾に八江が当たるのを危険視し、最優先の標的を衛宮士郎から子供を抱えたレイナーレを狙っている麻紀の分身達に切り替えている。

 

麻紀が久野と正輝の二人で手を組んでいると誤解していたが、

 

「それなら、その子を抱えながら移動すれば狙われることも」

「勘違いするな。あの状況下でその少女の命が麻紀の分身達による射撃で危険に晒される確率が高かったら守っただけのこと。

 

抱えながら移動するのは手だが、あまり得策ではない。

 

抱えて街を移動したとしても、久野が設置した結界は貼られる。一定の罠が作動しない代わりに高確率で屋上と空中に無人機を転移させて、上から頭部を狙撃されるだけだ」

「…いずれにしても、さっき名前に挙げた四人以外の私達が移動する時は慎重に動けってことを心掛けないといけないわね」

「あぁ、そういう事になる。

無人機は敵として攻撃してくる事もあるが、方法によってはさっきみたいに利用することも可能だ。

 

最後に、正輝達の元に辿り着いたら海鳴市に紛れた偽の民間人にも気をつけるよう警告してほしい。

 

1stは結界を民間人と君達で区分けするようシステムに組み込んでいるからと全く気にしていないが、どうも嫌な予感がする」

「…偽りの民間人?一体どういうことだ?」

「私からの助言はここまでだ…これ以上は手を貸している事を1stに感づかれる。

本格的に協力するのはまた後になるだろう。

 

朝になれば、今度は無人機達を相手にしなければならないだろう。

君達の健闘を祈る」

 

そう言ってゼロは無頼に乗り、ランドスピナーを回転させつつその場から去っていく。士郎達を助け、1stがが統治している領域での言伝を残して。

 

「偽りってどういう事なの?

それとも、最後はただ意味深な事を言ってるだけなのかしら?

 

…そんなことを正輝に言ったとしても、私みたいに分からない反応するわ」

「でも、1stの側近であるゼロが言うのなら何かしら意味があるんだろう」

「合流してからって言ってたのだから、今考えるのは面倒よ。二つ目は正輝に伝えた後にでも考えましょ…私達は逃げるのに精一杯なのだから」

「…麻紀達の次はあの無人機達、か」

 

まだ人が乗っていないだけ相手をするのは気が楽だが、1stの仕掛けた罠によってランダムエンカウントみたいに移動毎に何度も遭遇するのを想像すると、それも面倒になる。

 

ゼロが無人機を停止させて助けたおかげで、街を難なく進む事はできた。このまま麻紀との戦闘後に街を移動すると考えると、レイナーレ達はかなり辛い戦闘を強いられる事になっていただろう。

 

*****

 

12/4 深夜1:30 屋上ビル

 

こうして一誠とアーシアを助け、代わりに自分達が狙われる事となっていたものの、1stが監視している領域へと踏み入った事で麻紀の襲撃から身を守ることができた。

さっきみたいに麻紀達が手を出す事は難しいが、麻紀達から無人機の襲撃になるだけで危険だという事に変わりない。

 

転移して早々に、ひたすらに追手を退いていくばかりで殆どくたびれている。

案内してくれたビルの屋上へと移動し、全員一息つく。

 

「あぁやっと…やーっと撒いたね…」

 

途中からゼロの指示に従って行動した事で麻紀達の手から逃げきれた。なんとか休息できる場所にたどり着けたことで、ゆっくりと地べたに座り込んで休めている。

 

「この屋上で寝るのか?」

「もうこんな時間よ。このまま移動するのは流石に厳しすぎるわ…私含めてみんな疲れたでしょ。

 

電話連絡は…ゼロって男の言うとおり、もうできないみたいね」

 

レイナーレは携帯の時計画面を全員に見せる。

全員が目覚めた時は9時頃だったのに、このドタバタ騒ぎのせいで

 

「うっわ…もう深夜1時半」

「そう言われれば、ウチも流石に眠たくなってきた…てゆーかここまで来るのにマジしんどすぎ。

 

ここんとこ頑張りすぎてたし、もうウチは寝るからね」

 

街を見下ろすと殆どの人が実家やホテルなどに帰宅しているため、今は人が少ない。

久野が用意した結界は常時作動させている。

 

「下手したら…この海鳴市中に罠が張られてるんじゃないのか?」

「正輝さんと合流するのも、これだとすぐには無理そうですね」

 

既に街全体が、久野の領域と化している。

その場所に土足で荒らしている敵正義側は見つけ次第殺害し、殺者の楽園の介入も容認せず、全く手を出さないのは中学生以下の少女とこの世界に住む民間人のみ。

 

危険区域の中心に、レイナーレ達は罠を回避しつつも辛うじて生き残っていた。

 

「士郎、当面は魔力を温存しておいた方が良さそうね。

合流する間に襲撃されることも考えたら…」

「…なら、俺はなるべく戦わない方が良いのか?」

「1番厄介なのは結界で閉じ込められて、逃げ場を失うことよ。あと…間違っても緊急事態以外は魔術を酷使しないで頂戴。

 

 

貴方まで倒れたら、一体誰が指揮系統を取るの?不知火と彼女のサーヴァントが代わりにやるなら貴方から頼みなさい。

さやかも強いのは確かだけども、統率はした事はないのだから」

「ど、努力するよ…もし無理そうなら、二人にもお願いしてみる」

 

この状況下で、結界破壊における士郎の投影魔術はかなり重宝される。とはいえ、士郎の性格柄上いくら忠告しても助けるために魔力を奮発しそうな気がしなくもなかった。

 

「あぁもうっ、色々ありすぎて…本当に疲れたわ…本当に頭痛い。

私も寝るわよ」

「おう、お疲れさん。

黒羽の嬢ちゃん達は特に頑張ってたもんな」

 

鉢合わせした兵藤一誠とアーシアのこと、麻紀の豹変ぶりと久野の無人機の襲撃。度重なる連戦で、ランサー以外は全員くたびれている。

 

「何で貴方だけ元気なのよ…」

「俺のやってた事は逃げるだけ逃げて、無人機相手に少し戦ったくらいだからな。戦いを避けてくれたお陰で、戦う余力が十分有り余っている。

 

それに、他の英霊を知ってるならこの程度で疲弊するほど柔じゃないことぐらい知ってんだろ?

俺が外を見張ってるからお前らはもう寝とけ」

 

今すぐに接触した麻紀達のことを正輝達に知らせなければならなかったが、1stが携帯にハッキングして盗聴される可能性が高い。

 

港に転移されてから休む間もなく、深い眠りについた。

 

 

*****

 

12/3 7:30 ビルの屋上

 

日の光が差しても温度は低く、特に冬の季節で外で眠るというのは体に堪える。既にレイナーレとミッテルトの身体には、さやかと不知火が既に引っ付いていた。

二人とも堕天使の羽毛を拝借することで、寒さを凌いでいる。ミッテルトにはまだ眠ったままで不知火の身体を暖めており、レイナーレはさやかの寝息で起き上がっていく。

 

「んっ…あれ?レイナーレさん」

「ちょっと寝苦しいんだけれど…私達の羽を毛布代わりにしてるわよね」

「あ、ごめんなさい。

だって本当に寒いんだもん。

そもそも私達、防寒着なんて持って来てないし…」

 

この寒い季節に、二人は身体を震わせていた。

人間よりも丈夫である悪魔や堕天使は、温度差に影響があってもどうにかできていた。

 

「貴方達ねぇ。士郎に頼んだら寝袋とか用意して…あぁそうね、ごめんなさい。

そう、だったわね」

 

レイナーレが寝ぼけていたのか、士郎には襲撃に備えて魔力を節約しなければいけないと忠告したのを思い出した。

防寒の方法がない二人にとって、レイナーレ達の羽は布団のように心地の良いものだった。

 

「しょうがないわ…もう少し寝て良いわ。

全員起き上がってから動くわよ」

「はーい」

 

全員が起き上がるまでの間、午前中ずっとビルの屋上で眠りつつ疲労が完全に回復するまで寝ころんでいく。

 

ーーーー正輝達と合流するには、まだ時間がかかりそうだ。

 

 




おまけー全員が起き上がって行動する前の話。

不知火「すぅ…zzZ」
八江「…zz」
ミッテルト「ええっ…まだ引っ付いてるっスよ。この二人」
レイナーレ「それくらい我慢しなさい。
みんな頑張ってたのだから」
さやか「二人とも、まだ寝たままなんだ」
ランサー「俺のマスターは冷静沈着だが、寝てるときはは案外呑気だな」
レイナーレ「…美樹さん。確認したいことがあるのだけど、貴方の魔法って回復だけじゃなくて水も扱うのよね?」
さやか「あ、うん。そうだよ
ソウルジェムからデバイスに変えられるし」
レイナーレ「それで魔力回復も可能なの?」
さやか「うん。なのはちゃん達と同じだから魔力も回復できるかな。
それがどうかしたの?」
レイナーレ「へぇ?液体を個体・融解させたり、熱湯を噴出させることは?」
さやか「ふっふーん!水分身も変わり身も出来ちゃうんだから、それくらいこの今のさやかちゃんに出来て当たりま…あっ」
レイナーレ「ふぅん…それなら、魔力回復できるなら魔法少女に変身して、かつ精製した水をゼリー状の温水にして温めることも可能よね。
水分身や変わり身もお手の物って言ったのだから。

不知火って子はともかく、貴方一人で寒さを凌ぐことも可能よね」
さやか「ギクっ⁉︎あーアタシ…士郎さんにちょっと用事頼まれたの思い出し」
レイナーレ「さて…今ここで私達二人だけで、お話ししましょうか?
一度貴方と二人だけで話してみたかったの」
さやか「ま、待って!堕天使の羽を一度モフりたかっただけで悪気はなかっ…し、士郎さん⁉︎
親指を立てて見送ってないでアタシを助けてぇぇぇっ⁉︎」
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