Justice中章Ⅱ:蠢き轟く脅威と去り逝く者達   作:斬刄

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新年あけましておめでとうございます。
今回はかなり長々としてますが、続きを投稿します。
それでは、どうぞ。


5話白昼堂々・後(レイナーレ・士郎・正輝ルート)

 

 

《バス停・ランサー視点》

12/6 9:30 

レイナーレが神虎と戦っている一方、ランサー単独でデッドマスターの配下を相手にしていた。彼女は骸骨兵士を量産し、逃さないよう囲んでいく。

 

先頭には片手剣と盾、長槍を持ち、後方は弓を構えている。

「チッ、今度は骸骨共がぞろぞろといんのか…おい坊主。

この結界の解除に、どれくらいかかる?」

「一枚だけじゃなさそうだ…層みたいに何重も張られてる」

「…今から俺が、ルーン魔術で炎の壁を作る。

八江って子供と、マスターのことは任せた」

 

彼らの頭上には、巨大な髑髏が浮いている。

デッドマスターが髑髏に腰掛けて、ランサー達を座って見下ろしている。

 

「亡霊兵士を何体揃えても無駄だってのは、これで分かったろ。

そろそろ降りてこいよ」

「…」

「挑発しても、傍観してるみてぇだが…降りる気がないってなら、こっちから仕掛けても構わないな?」

 

ランサーにとっては戦い甲斐のある敵がぞろぞろと集まり、寧ろこの状況に笑みを浮かべつつ楽しんでいる。

何体もの骸骨兵士で攻めても中々倒れず、苦しむどころか笑みを浮かべて見られていることに、少し不機嫌で気に食わない顔をしていた。

 

最初は骸骨兵士達を青槍に集中させていたが、倒すのは無理だと考えたデッドマスターは自ら髑髏から降りる。

 

ランサー以外を、残りの骸骨兵士達を士郎達に向かわせた。

 

「そんな…炎の壁があるのに、無理矢理侵入しようとしてくるっ…!」

 

ランサーはデッドマスターが足止めし、骸骨達は炎の壁があっても強引に突き進もうとしていた。

 

 

正輝の救援が来る前に、士郎達を数の暴力で潰そうとしていた。

八江だけがみんなの戦いを見て、怯えている。どうしようもできず、さやか達の背後でただ呆然と立っているだけだった。

骸骨達が、無防備な八江の元へと襲いかかる。

 

「自衛用の札はちゃんと持ってるよな!

それを使ってくれ!」

「えっと…こ、こう…ですか?」

 

不知火と八江が取り出した呪符は、一直線に発射された閃光を放ち、目の前にいる骸骨兵士を殲滅していく。

 

ミッテルトはレイナーレを助けに向かおうとするが、無人機達に行方を阻まれていた。

「姉様の元へ行けないし…仕方がないっスねっ!」

そのまま仕方なくさやかを援護し、シグナム達の戦いに介入する。光の槍を拡散型に変えて、眩い光を発したと同時に、周囲に針を放射させていく。

 

「つっ⁉︎障壁!」

〈Panzerhindernis〉

 

ヴィータの他にもシグナムとザフィーラも物理障壁で、光の針を防御する。さやかの方は三の型 遣らずの雨で刀をシグナムに向かって蹴り飛ばし、水分身と同じように飛ばした刀を分裂させる。

 

「何っ…⁉︎」

 

シグナムが物理防御の魔法を展開して、射出される刀を防ぐ。デバイスを持つさやかだけが蒐集の対象であり、光の槍を飛ばしてくるミッテルトに攻撃されても、無視してさやかを狙う。

 

(今は青いやつを狙う‼︎)

「またウチのこと無視されてるし⁉︎」

 

ミッテルトが士郎達の方を見ると一向に破壊できておらず、骸骨兵士達が迫ってきていることに青ざめていた。すぐさま光の槍を飛ばし、爆発させて広範囲による針の雨を骸骨共の頭上に降り注がせる。

 

骸骨兵士はバタバタと倒れ、炎の壁を突破されるのを防いだ。

 

「ちょっと、結界破壊するのに何手こずってるんスか⁉︎姉様もあの無人機達に囲まれて動けないし、ウチがレイナーレ姉様に加勢しても無人機相手に攻撃が全く効かないから、さやかと骸骨を優先してるっつーのに!

 

結界を解いてくれないと、こっちが追い詰られるんだって!

アンタがヘマしたら、全滅するんスよ!」

「分かってる…‼︎一体何枚張ってるんだよこの結界っ⁉︎」

 

八江という保護した少女も守らなければならない。結界を解除しようとしても、そうさせまいと骸骨達は集中的に二人を狙っている。

 

(あの光の針に刺されても、そこまで痛みを感じない…ただの目眩しなら)

「コイツら…さやかばっかり狙ってやが、痛っつ⁉︎」

「ミッテルト!」

 

綺羅のシャドーが音弾を飛ばし、それが腹部に直撃する。分身だから威力はそこまでなかったが、軽い打撲を受けてかのようにヒリヒリしている。

 

 

「え、ちょっなにこれっ⁉︎ウチもさやかと同じ扱いだから大丈夫な筈でしょ⁉︎」

 

威力を抑えた攻撃と疲弊で気絶させることくらいならと、ミッテルトにも最低限の攻撃をしている。襲撃してきた三人以外に攻撃されることはないとばかり思っていた。

が、その考えこそ甘かった。

 

「あ、ヤバっ…ウチら確保して、残りを殲滅する気だ。でもこんな拘束具なら光の槍でって…」

 

シャマルのサークルバインドで拘束され、身動きが取れなくなっている。無人機がミッテルトに近づき確保しようとする。

 

拘束魔法を破壊しようと光の槍を出現させるが、その時点で光を吸収する機能が無人機達に施され、威力も弱くなっていたことに気づく。

 

「え、マジっ…⁉︎」

 

何度も光の槍で壊そうとしても、威力も耐久も低下されている槍の方が脆く崩れていった。

 

「ランサー!炎を解いてくれ!

俺も前線で戦う!」

「…マスターがどうしてもって言うなら解くが、八江って子まで狙われるぞ」

「少しの間だけで良い‼︎

このままだと3人が連れ去られてしまう!」

 

 

炎のルーンを解除したら、そこから骸骨達が攻め入ろうとするだろう。1stがいる限り骸骨達が不知火と八江を殺すことはなくても、ミッテルトのように誘拐される可能性が高い。

 

頭上を見てもレイナーレもミッテルトのような状況に陥り、光を吸収されている。

 

ーーー彼らが追い詰められているその時、外側から強引に結界内へと侵入する3人が、レイナーレ達を助けた。

 

 

偽・螺旋剣(カラド・ボルグ)っ‼︎」

 

正輝、立花、浜風の3人と合流し、攻撃を仕掛ける。

 

正輝がシャドーを出現させて指示を送り、レイナーレを囲んでいる無人機達を射出した宝具と共に壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)で一掃する。

 

他のシャドー達は、ミッテルトのバインドを破壊し、救出したと同時に後ろに引く。

 

「うぉぉぉっ‼︎」

「撃ちます!」

 

響は骸骨兵士達に単身で突撃し、群れを殴り飛ばしていく。浜風も無人機に砲撃し、サザーランドの手に持っているアサルトライフルを破壊した。

 

「…やっと辿り着いた。

遅れてすまない、間一髪だったみたいだ」

「「正輝っ‼︎」」

「響はさやかを助けに行け、浜風は士郎達に加勢して骸骨共を叩き潰せ」

 

数で不利になっている時に、ようやっと正輝達が到着する。結界をこじ開けた箇所はすぐ元に戻り、入ってきた人も閉じ込めていく。

 

「来てくれて助かった!

でも、他のみんなはどこに居るんだ?」

「セイバーとクリスの2人は別の場所で交戦している…そっちの状況は?」

「すまない…まともに戦えるのが、俺含めて6人だけなんだ」

 

レイナーレ達が、1stと2ndに劣勢になっているのが分かる。正輝達が駆けつけてなければ、今頃さやかが守護騎士達に追い詰められて、蒐集されていた。

 

「…すぐにでも結界から抜け出すぞ。

アイツらを倒すよりも、全員の生還が最優先だ。

 

あと…見覚えのない子供を引き連れてること、帰ったら聞かせてもらうからな」

「助かったわ、正輝。

でも…私達戦えるかどうか」

「どういうことだ?」

 

二人は気まずそうな顔をする。

 

「実は…ウチとレイナーレ姉様があの機体共に光の槍で迎撃しようとしたら、光そのものを吸収されて何にもできないっす…精々持ってた強化アイテムとか呪符ぐらいしか私らに対抗する手段が」

「…ごめんなさい。

私達だと時間稼ぎすら、出来るかどうかも難しいわ」

 

二人とも自衛用に持っていた光の槍が、殆どの無人機に光を吸収する付加効果を付けられたことで、徐々に弱くなっている。レイナーレ達二人は、敵の対策によって前線で戦わせる事が出来なくなった。

 

「マジか…いや、謝るのは俺の方だ。

考えが甘かったかもしれない。

連中が俺達への対策を一つや二つしてくることくらい気づかなきゃいけなかったのに…とにかくレイナーレ達は、士郎と一緒にいて自前のアイテムで後方支援を任せる。

 

前線は俺達が出て、結界から抜け出す為の時間を稼ぐ。ランサーは…まぁ、横から割って入ってくんなって言うかもしれねーし大丈夫だろって…おいおい」

 

レイナーレ達と会話している最中に、響の様子を見ると危なげな状態に陥っている。

「…立花のやつ。2日前に俺が罠のことで話してたの完っ全に忘れてない?」

 

正輝と浜風は事前に罠の場所をちゃんと覚えており、動かずに防衛している。

しかし、響は守護騎士達に急接近し、地面のことなど全く気にしていない。

罠に気に留めない危なっかしい突撃をしているせいで、あと一歩足を引けば1stの仕掛けた罠を作動してしまう。

 

『おい立花っ、絶対にそこから一歩引くなよ!

そこに敵の罠が仕掛けられてあるから!』

「えっ、正輝さん⁉︎」

『仲間を守らなくちゃいけないのは分かるが、先攻しすぎだ‼︎とゆうよりお前、現場に向かう際に事前に罠の設置場所について話してたろ!

全然把握してなかったな⁉︎』

 

実際、何も考えずに響は危険地に突っ込んでいる。罠が踏んだことによって作動し、ケイオス爆雷が出現と同時に起動する。

 

「うわぁぁっ⁉︎」

 

ニードルの雨が降り注がれる前に、すぐさま正輝がBLUEとデバイスを起動させ、響を助けた。

 

「ローワン、セットアップ‼︎」

《defencer》

 

正面は盾で展開される防御魔法と、それ以外の視覚からの攻撃をBLUEで守る。

 

「…アホか。お前は」

「た、助かりました」

「てか、聞いてなかったな。

罠の場所のことも。

さやかが多勢に無勢だから、急いで加勢しないといけない気持ちに駆られてたのか?

それとも、ヴォルケンリッターの3人に話し合おうとか言って対話のために前に出てたとか」

 

ジト目して、何にも考えてなかった響を叱る。

船に入る前から正輝が響を嫌い、お互いに試練編でのやらかしもあって苦労したことも。その苦労から、響の性格が正輝と合わないことはお互いに理解してる。

 

「あー、まぁうん…こうなることは分かってたよ。それと、試練戦の時に約束したのも忘れてない?復唱してみ?」

「…話し合う相手が危険かどうかは、私だけじゃなくて他の仲間とも話して、許可が下りるまでは絶対に行かないこと。

私からのお願いも、正輝さんが納得しなかったら私の他に同意してくれる人が必要なことも」

「あー…そこはちゃんと覚えてるんだな。それじゃ話し合い云々は約束を守ってるのなら、罠のことは覚えてるのか?」

 

正輝との約束はすぐに言えたが、少し前までの話を思い出す為に考えようしたが返事することが出来なくなった。

正輝は響の返事し辛い表情に、察した。

 

「あー…単純に目先の仲間を助けようと、罠のこと忘れて猪突猛進に突っ込んだ。

で、お前は周りのことは何も見えてなかったんだな」

「はい…」

「とにかく今は話し合いできる状況じゃない…1stも2ndもいる。殺者の楽園でないにしても、そいつらと同等の脅威だ。俺一人だけじゃ仲間全員を守りきれないし、それとお前が脱落したらかなり不味い。レイナーレとミッテルトの力が全然通用してないし、俺とお前、浜風がこうして助けにきたとしても状況は好転しない。

 

てか、ここにいる誰か一人でも再起不能になったら余計こっちが劣勢になる」

「それじゃあ、どうしたら…良いですか?」

「…前回と同様、ザフィーラの相手をしてくれ。

さやかなら水分身を出現させて罠とか周囲の障害があっても、対応に身体が追いついてなかったら間違いなく隙が出来てしまう。

 

そうなる前に、俺も何とかさやかを後方へ引かせる。

 

さっきみたいに罠の把握が全然できてないなら…俺はお前ら二人が戦いやすくなるよう、罠の解除と無人機相手に戦う。

難しいかもしれんが…もし可能なら俺か仲間その守護騎士の誰か一人を無力化して捕獲できたら、そのままフェイトの家へ連れて帰る。

 

その後は、お前の納得するまで話し合えば良い、やれるか?」

 

最後の言葉を聞いてやる気を出した響が軽く頷き、ヴィータへと突っ込んでいく。正輝の指摘に、少し警戒して怯えていた響だったが、上手く彼女のやる気を引き出しつつ、さやかを守る。

 

「…それじゃ、切り替えて行くぞ」

「はい!」

(なぁシグナム、駆けつけてきたあいつにも…魔力の蒐集をすれば、項を増やせるんじゃ)

(今は青髪の子を最優先で狙う。

戦力を分散させるより、確実に蒐集する)

 

守護騎士達は高魔力を持つ正輝の方に視線を向けていたが、彼よりも疲弊してるさやかを最優先に倒そうとしている。

 

(さやか、聞こえてるのなら撤退しろ。

水分身で無人機を相手にしてくれ。

二人の相手は俺と響でどうにかする…残り一体の攻撃から逃げ切ってくれ。)

(分かった…3人相手と無人機達で苦労してたから助かったよ)

「手荒な真似はしない。

大人しくしてもらうのなら、手傷を負わなくて済む」

「それは無理だ、お前らが退いてくれ」

 

今度は正輝がシグナム、響はザフィーラの足止めをする。そのままレヴァンティンを振り下ろすが、シールド状のデバイスを目の前に出現させる。

 

「ぐっ…⁉︎」

「あれを回避したのかよ」

『こっちも無視しちゃいけないよ?』

「ちぃっ‼︎」

 

久野の用意したNMF、神虎も背後を取ろうとする。

サブマシンガンやビームを撃ってくるが、それを回避して避けていく。

 

「ローワン!全身甲冑、行けるか‼︎」

(了解です)

〈Panzergeist〉

仮に当たったとしても問題ないように全身に魔力の甲冑を装備し、最前線へと向かう。

そのままシグナムと正面きって挑もうとする。

「周囲から攻撃されても問題ないよう、大量の魔力を放出しているのだけは確かだ。

 

いくら防御に徹しているとはいえ、そんな状態で我々と戦うつもりか?

その魔法を維持して戦えば、魔力の消耗が激しくなることは分かっているだろう」

「さぁどうだろうな…?」

 

魔力の甲冑はシグナムも使っている魔法である為に、魔力消費が激しくなることも理解している。

彼の狙いが分からず、出方を伺っている。

 

(仮面の男と、守護騎士のもう一人…見えない場所から隙を窺っている連中だっているに違いない。

視野を広げて戦うのは…かなり厳しいな)

 

無人機達や守護騎士達の狙いを、さやかから自分へ向けさせようとしている。

その内心では焦っており、それを表情に出さないようにする。

 

*****

 

「またこの女か、拉致があかんっ…!」

 

その一方でザフィーラは響との戦いが続いていた。拳で相手するよりも氷の魔法で氷柱を響の周囲に出現させつつ、迂闊に動けないようにする。

 

「また氷っ⁉︎でもっ!」

 

ガングニールの拳で氷の柱を破壊し、ザフィーラの元へ近づこうとしていた。強引に前へ前へと進み、障害物は拳で破壊していく。

 

『じゃ、僕はそこを狙うよ』

 

響が氷柱を破壊したと同時に、サザーランドのスラッシュハーケンを飛ばす。それを正輝のシャドー達が乱入して彼女の身代わりとなり、響を助けた。

 

「んのやろうっ…何度も何度も乱入してきやがって‼︎良い加減にっ、堕ちろってーの‼︎

こうなったら周囲の分身ごとぶっ潰す‼︎

アイゼンっ‼︎」

 

いくら攻めても正輝とさやかの分身ばかりに何度も邪魔をされ、苛々しているヴィータがデバイスのカードリッジを必要以上に使い、そのまま分身ごとさやかを倒そうとする。

 

響の防御していた正輝のシャドーが一体回り込み、短剣を持って奇襲を仕掛ける。

分身を一掃する為に大技に隙が出来ることくらい、正輝は読んでいた。

 

『ヴィータ、後ろだ!』

(なっ…動けねぇ⁉︎)

 

ザフィーラの声を聞いたヴィータが振り向くと、既にサザーランドのスラッシュハーケンを飛ばして分身を吹き飛ばしていく。

無尽蔵に増えてくる無人機達が幾度も邪魔が入ってくることに、そんな状況に、正輝もまた苛々していた。

 

『危なっかしいなぁ。

見えない攻撃は、こっちでどうにかしておくよ。

分身は僕の機械達でどうにかするから、君らはカードリッジを温存しててよ。

弱ったところを狙えば良いからさ』

(チッ…倒しても倒しても数が減らない。

面倒だなっ…‼︎)

1stの神虎とシグナムの足止めをしつつ、仲間を守ったりしている。

戦いながらも、苦しい戦況にかなり頭を抱えていた。

絡め手で誰か一人でも離脱させようものなら、1stと綺羅のシャドーが乱入し、必ず妨害をしてくる。

そのままアイゼンを振り下ろすが、さやかは自分の水分身を踏み台にし、攻撃を回避する。

 

「んなのありかよっ…⁉︎」

「逃げられたか」

 

ーーーーー守護騎士達、綺羅のシャドー達、無人機達の猛攻と、さやか達の確保に専念する。

対して、正輝達はレイナーレ達全員の救出及び結界の脱出が為に防御と回避に専念する。

どれだけ無人機を破壊、綺羅のシャドーを撃破しても一向に減らない。デッドマスターが召喚した骸骨の兵士達も、いくら減らしてもまた増えていくから平気な顔をしている。

 

1stと2ndも直接戦闘に参加しておらず、大量の手駒で叩き潰そうとした。

 

ーーーどんなに分身達を増やしても、敵の数の方が圧倒的に、上回っている。

 

「多いっ…なぁ‼︎

倒しても倒しても全然減らない‼︎」

 

エクスカリバー(約束された勝利の剣)最後の剱(ジ・エンド・オブ・ソード)のような広範囲攻撃で一掃した方が手っ取り早い。

しかし、前線にいる仲間を引かせないと巻き込まれ、かつ発動時の隙が大きい。

正輝達も敵の猛攻を凌ぐことで精一杯であり、中々決着がつけられない攻防戦がもう15分ぐらい続いている。

 

 

(俺達は来たばかりだからともかく…レイナーレ達はもうランサーと士郎ぐらいしか、まともに戦える奴がいない。宝具で無人機と骸骨共を一掃することもできるが…シャマルと綺羅、後仮面の連中共とかが絶対、隙を狙ってくるはずだ。

 

仮に発動させたとしても、前線で戦っている響とさやかにまで当たっちまうし…どの道、管理局にも勘づかれるのは避けられないか。

 

あの仮面の二人組も狙ってくるだろうし、他のシャドーを別の場所に待機させたが…1stが見ている以上、大量の無人機とセンサーで発見されているだろうし)

 

大量の無人機達が来てから、守護騎士達もカードリッジを渋るよう温存している。投煙珠で逃げることも可能だが、その後脱出するための結界の破壊をする必要がある。

 

(ヤバいな…この戦い。

このまま長引くと、俺達が不利になる)

 

1stの狙いは撤退させないよう持久戦に持ち込み、疲弊したところ一人ずつ狙うつもりで動いていた。

(…消耗して手遅れになる前に、すぐに動いて撤退する。今の俺達の目的は、守護騎士達や綺羅達の撃破じゃないからな)

 

敵と罠の増加に正輝達全員はついていけず、逃げる為の体力すら保たない。大技を使うを限られ、レイナーレ達も光の力を使えずにアイテムで応戦するしかできない。

 

1stと2nd達は、このまま確保の為に数の暴力で押さえつけようとしていた。

正輝含めた3人が加勢したとしても、この場から脱出したくてもできないまま拮抗状態が続いている。

 

(こんなことになるなら全員で突撃するべきだったか?かと言って拮抗状態を打破しようとしたら…綺羅側に狙撃手がいる以上、間違いなくその隙を突かれる。

 

無人機達にも狙撃できるような技量を持ち合わせて、もう一人の守護騎士や仮面の二人組も絶対に狙うに違いない。

 

邪魔されないために、デバイスと仲間を信じるしか無さそうだな)

『…全員、聞こえるか?

今から結界を強引に破壊、投煙珠を使って前線を離脱する。感知を徹底してる1stに通用するかは分からんが…やるしか無い。

 

もし通用しないなら、二つ目として俺が突破口を開く。

士郎が強引に結界を破壊してから撤退する。

 

 

二つ目は俺も士郎も動けないだろうから、他は俺の隙を狙ってないか探ってくれ。二人組の仮面と、隠れている守護騎士は確実に狙ってくるに違いない。

 

 

薄々気づいてると思うが…状況は悪い、追い詰められている。だから今は、倒すよりもレイナーレ達を守護しつつ撤退する事だけを一番に考えろ』

 

 

ーーー

 

《結界内の建物の屋上・謎の仮面二人組》

 

高い場所から遠くから眺め、乱入しようと機会を伺っている。

正輝から奇襲を受けないように、遠くから観戦していた。

 

「既に戦っているな…」

「正輝も、仲間を庇って戦っている。

一応周囲の警戒をしておけ」

 

二人は正輝達が応援に駆けつけてから、監視していた。

本体がそのまま現場にいても自分達の存在を危険視しているのなら、別働隊の分身達を用意して奇襲をすることだってあり得る。

 

「正輝達が防戦一方の今なら、仲間一人を拘束するくらいなら可能。

それなら守護騎士に加勢するか、奴らが脱出を試みる隙を狙って仲間の一人を奇襲すれば」

「それも考えたが、あの分身以外にも正輝の実力や手札をまだ知らない。

不利だからといって、突入するのも無しだ。

仮にバインドで正輝の仲間を捕まえたとしても、こちらの存在を知られている以上対策を講じているに違いない。

前回と同様に反撃されてしまうだけだ」

 

強制転移により仲間を救出されて、前と同様に正輝の分身達に返り討ちに合うのが目に見えている。そのまま劣勢になっているのを様子見し、正輝達が逃げる準備を妨害するというのも考えていたが、正輝も味方を救って脱出するよを邪魔されることぐらい、想定してない訳がないからだ。

 

二人は奇襲に失敗した事で、慎重になっていた。

 

「…かといって、何もせずに隠密に動いたところでバレて拘束されただろう。

何か考えがあるのか?

「捕獲しても返り討ちに遭わず、逃げても守ってもらえるようにする方法が」

 

そう言って、一人が士郎達と同行していた一人に指を差す。正義側のいざこざに巻き込まれて同行するようになっていた力も皆無な子供、甘露寺八江を標的にした。

 

正輝達全員を動けないようにすれば、あとはどうとにでもなる。子供を人質にされた事で正輝達が必ず動揺することは間違いない。

 

 

自分達が守護騎士と協力し、人質にした子供を返すのと条件に大人しく闇の書の蒐集させて貰えば良い。その最中に逃げ、守護騎士の他に協力している彼らが正輝達の相手になってくれるだろう。

 

 

だが、1stから手を組んでいる人達にその子供にも丁重に扱えと言っていたことを何も聞かされていなかった。

守護騎士達は正輝の仲間にも攻撃したり、1st本人も捕まえようとしているのだから自分達も彼らと同じように動いても何も問題ないと甘く考えている。

 

 

原作ではなのはとフェイトを拘束し、最後のページを不要となった守護騎士達を差し出したこと。なのは達の姿を変身魔法で似せて、はやての目の前で守護騎士達のリンカーコアを蒐集している。

 

 

ーーーそうすれば、後は闇の書を復活させて氷結の杖「デュランダル」を使い、はやてもろとも闇の書を封印することが出来る。

 

 

そんな稚拙な思考を持ち合わせている二人にとって、ずっと守られている非力な子供一人を捕まえておけば、彼らも動けずに大人しく従うと判断した。

闇の書の蒐集なら命を奪うこともなく、二人の目論見も早く済み、状況は好転するだろうと戦いに乱入しようと行動に移る。

 

 

【そんな二匹の浅はかな考えが、1stの逆鱗に触れてしまうことも知らずに】

 

 

 

*****

 

 

【セイバー・クリス視点】

 

デパートの駐車場、さやか達とは別に戦いが始まっていた。正輝達がさやか達と合流しようとするが、乱入して足止めされる。

クリスとセイバーの二人が残り、綺羅の分身と部下、久野の無人機相手に戦っていた。

ブラックロックシューターはBLACK★Rock Cannonでセイバーとクリスの二人を狙い撃つ。

 

 

「んのやろぉっ‼︎」

【BILLION MAIDEN】

 

クリスは両腕のガトリングガンを展開させ、乱射していく。ブラックロックショーターと交戦中であり、互いに前へ出れないでいた。

 

セイバーが高く飛び上がり、近づこうとすれば、攻撃を止めたと同時に直感で見えない壁が出現したことに勘づく。ブラックロックシューターは左手でBlack Bladeを取り出し、飛び込んできたセイバーを斬りつける。

 

(なっ…⁉︎)

 

しかし、攻撃の直前に綺羅のシャドーを二人が前に出て、音壁を出現させて妨害してきた。

弾丸は床に落ち、後方に下がる。

 

「彼女に近づこうとしましたが…伏兵がいます。綺羅も…正輝と同じようにシャドーを使用していることは、本当のようですね。

クリスも隙の大きい攻撃は」

「あぁ、どーやら無理みてぇだな。

アタシらの位置まで知られてるのなら狙撃もできねーのかよ」

「ここで時間をかけても…敵の増援が来ます。

無人機とシャドーまで相手にしているなら、救出にも時間がかかる」

 

クリスが悔しそうに舌打ちをし、中々踏み込めないことに苛々している。わかっていたことだが、数はあっちの方が上回っていることはまだ分かっていない。

 

(アイツら、無事に合流できたんだろーな…)

 

レイナーレ達と合流したという連絡すら、まだ来ていないのだから。二人とも不安ではあったが、正輝達を信じるしかなかった。

 

「アタシらもアタシらで、目の前の敵をどうにかしねーといけねーわけだし…あのバカと一緒にいる正輝達は、合流できたんだろうな?」

 

 

クリスは喋りながらも弾丸を補充して、威嚇射撃していく。双方、柱に隠れて攻防戦を繰り広げていたが急に静かになった。

 

いくら敵の攻撃を待っても、隠れたままだ。

それどころか無防備にも綺羅のシャドーが隠れずに前へ出ている。

 

「急に出てきて、どういうつもりだ…⁉︎」

「クリス。

私が彼らを見張るので、外を見てもらっても良いですか?」

「お、おうっ…」

 

セイバーに任せて、クリスはさやか達のいる方へ目を向けた。通信は使えず、視認することぐらいしかできない。

 

「合流はできてるようだけど、何でみんなして止まってんだ…?」

 

さやか達と守護騎士達の戦闘が止まり、何かあったのかとバス停のある方へ顔を向ける。

 

「なっ…んだよ、あれっ…‼︎」

 

なぜ、外にいる彼らが戦いを止めているのかが見て分かった。守護騎士達が不利な状況下で、仮面の男がまた動き出していた。

 

彼らは正輝に邪魔されることもなく、彼の仲間が連れてきた非力な子供、八江を人質にして動けなくなった事を。

 

 

*****

 

〈正輝達視点〉

 

正輝達は投煙珠を取り出し、この場から撤退するタイミングを見計らって脱出しようとする。

それが今の、一番の最善策だった。

 

「そこまでだ。

変な動きをすれば、この子供に危害を加える」

 

が、球を地面に投げる前に仮面の男が八江の背後をとって首を掴む。宙に浮きつつ、簡単に手が出せないようにした。

 

この状況を喜ばしく思い、正輝達が疲弊した今なら闇の書のページを大量に回収できると大きく行動に出る。

 

その場にいる全員が声のする方に顔を向けると、戦いの手を止めていた。

 

「岩谷正輝。この子供を返して欲しいのなら、仲間に大人しくするよう指示しろ」

 

この場にいる全員の視線が、声のする方に向ける。仮面の男がバインドで八江の身体を固定させ、身動きが取れないように拘束した。

八江の首を掴みながらも、この場にいる正輝達を脅していく。

 

八江が苦しそうな顔をし、見ていたシグナム達は良心を痛めている。仮面の男は、八江の首を絞める力をより強めていく。

 

「く、くる、しぃ…助け」

「ダメっ…あっ!」

 

上を見上げていたさやかは、動きを止めてしまう。シグナム達も動揺し、驚いた様子だった。仮面の男はすぐさまさやか、不知火、浜風、ミッテルトをバインドで拘束していく。

 

「うげっ…⁉︎またっスか!」

「さやか!」

 

士郎とランサーの二人はバインドを回避し、三人を助けに行こうと向かう。しかし、骸骨兵士達とデッドマスターが前に出て、邪魔に入る。

 

「ちっ…!」

「その青い女以外にも、他に魔力を持っている奴が何人かいる。

手当たり次第奪え。

お前達の大事な主人の命を助ける為に必要なことだろう、手段は選べない筈だ」

『おい、シグナムっ…どうするんだ?』

 

仮面の男はシグナムの方に顔を向け、蒐集を促す。

もしここで蒐集を諦めば、仮面の男は捕まえたその子の首をどうするつもりなのか分からない。蒐集しなかったことで、この戦いに何の力も持っていない子供が巻き込むのは不本意ではあったが、仮面の言う通りにしなければどうなるかことぐらい予想がつく。

 

 

シグナム含む守護騎士達も困惑し、苦渋の決断を強いられている。

 

『ウチらの目的に、あの子供は全く関係ねぇだろ』

(あの仮面の男の言う通り、主人はやてを助ける為に私達が手段は選んでられないのは分かってる。

 

だが、魔法とは無縁の関係のない子供を見捨てて…はやてちゃんの未来を穢したりでもしたら)

『ねぇシグナム…どうするの?』

『綺羅のお陰で…闇の書のページを鑑みて、あと魔導士を20人近く蒐集すれば完成する。例え、この場で出来なくとも別世界で他の魔獣を蒐集すれば良い。

 

 

…シャマル、お前の判断に任せる』

 

仮面の男に首を絞めつけられて苦しくなっている子供を見ていられないヴィータ、協力者もいて誰かを犠牲にした上で蒐集するほどの焦りはない。

 

 

少し考えた末に、シャマルは旅の鏡に手を差し伸ばす。

 

『…今からあの子を助けるわ。その子は、ただ巻き込まれただけで関係ないもの』

 

守護騎士達が八江を助ける余裕があるのは、闇の書の蒐集が着実に勧められて、かつ綺羅達が協力してくれているからだ。

 

それが無かったら、八江を助けるという選択はできなかっただろう。仮面の男の言い分に従って、リンカーコアを蒐集していたに違いない。

 

「…は?何私達までアイツらみたいな馬鹿な事をしようとするの?」

「綺羅さん…どうして」

 

八江を助けようと決心して手を伸ばしたが、それを近くにいた綺羅がそれを許さなかった。

 

「…子供を助けたのはアイツらが勝手にやったことで、私達には関係がない。あの連中が無関係な子供をここまで連れてきて、馬鹿を見ただけでしょ?

連れてきた経緯は私達には知らないけれど、こんな場所へ態々連れてきて痛い目に遭ってるのだから、逆にこれは私達にとって好機でしょ」

「あの子供を助けないの⁉︎」

「助けるも何も、私たちが動かなくとも正輝率いる連中の中に善良なのが二、三人以上いるのよ。見過ごせないのなら大人しくリンカーコアを引き渡してくれるでしょうし。

 

私達は黙って様子見をすれば良いだけ。

殺す殺される云々は関係ない子供を巻き込ませたのはあっちであって、私達には関係がない」

(まぁ放っておいても、3rdが助けることぐらい馬鹿の1stでも分かることでしょ…子供を助ける為に大人しく蒐集されて、弱ったアイツらを蹂躙したら確実に全滅する。

 

もし蒐集を断って、正輝が仮面の男の二人組に対して抹殺に切り替えたら

 

 

あの仮面の連中が何者なのか知らないけど、蒐集してくれるのなら味方で良かったわ。アイツらだって単に捕まえただけで、命を奪うわけじゃないし。闇の書の項目が全て終わったら、私の目的も完了する。

 

携帯に決戦編ってデカデカと出てたけど、その最後は案外呆気なかったわね)

 

蒐集することで闇の書のページを増やすことができる。綺羅が仮面の男達に良くやったと言わんばかりの顔をし、助けるなんて面倒なことをせず、このまま正輝達の蒐集を成功させれば弱った彼らを倒せば良い。

 

「あの子供は、士郎さん達が連れてきたんですか?」

「…ここに来るまで色々あったんだ。

あの子も俺達のことで巻き込まれて」

『乱入してくるのは分かっていたが…』

合流してから、後で麻紀達の所にいた子供だと説明するつもりだったが。

 

『守護騎士の影に一体、遠隔操作してる奴シャドーを3体隠してる…今から4体に指示を出して首を絞めた仮面の奴を始末。

その子供を救出する。

動くときは、俺が救出に失敗した後で動け』

 

戦場を隠れ見ていた正輝は全員に念話しつつ、行動に出る。仮面の男達の背後に気配遮断を発動しながら移動しつつ、捕縛しようと近づいていく。

 

殺意と声を押し殺し、懐に入れる距離まで迫る。入ったと同時に宝具を構え、突入しようと構える。

 

ーーその時だった。

 

(…え?)

 

正輝が動こうとしたその時、目の前で起きたことに驚く。既に仮面の男の一人を無人機が撃墜し、落下している事に。仮面が喋っている最中に、新たに出現させたタレットで背後を狙い撃つ。

 

仮面達二人が子供を人質をとって挑発し、怒りを買ったたのは、何も正輝達だけではないのだから。

 

bgm:Treachery (bleach)

 

『…お前、動くなっつたか?』

 

正輝が手を出す前に、眺めていた1stがキレ気味に小声でボソリと呟く。二人の脅しは1stの容認以前に少女を人質に使うこと自体論外であり、悪手でもあった。

仮面の男2人は人質にした子供を殺すつもりはないが、正輝達の目の前である程度苦しませつつ動揺させることが目的だった。

 

 

「えっ、拘束が…」

『一応、守護騎士達と協力関係ってことで、多めに見てやったっつーのに…………』

 

さやか、不知火、ミッテルトの掛けたバインドを無人機のサブマシンガンで正確に破壊していく。

もし人質にしたのが【少女以外】なら二人の目論見通りに上手くいっていたかもしれなかっただろう。だが結果的に、あの場で仮面の男達が少女を人質した行為は悪手であり、男二人は何の意識もなく、1stの地雷を踏んでしまった。

 

 

背中を撃たれた仮面の男が八江を手放し、そのまま地面へと落ちていく。

 

「やったのは無人機か…?それにしたって何で」

『つっ…⁉︎おいさやか!

何呆然としてる、早くその子供を助けろ‼︎

このままだと落下してしまうぞ!』

『わ、分かった‼︎』

 

正輝も初めは目を丸くして理解できなかったが、とにかく手放した八江を助けに行くように念話でさやかに命令する。

 

1stを怒らせたもう一つの原因は、それはさやかと不知火が戸惑い、その隙を狙って魔法で拘束して動けないことだ。

少女が苦しめられてて動けなくなった他の少女の良心を利用し、躊躇して動けなくなった隙を狙って捕まえようするなんてこと全く容認していない。

 

 

ーーーーー何処にせよ、仮面の二人は久野の地雷を【二回】踏んだことに違いなかった。

 

 

「八江、ちゃんっ…‼︎」

 

仮面の男が手放してしまった少女は落下していき、慌ててさやかが浮遊しつつキャッチする。

無人機達も八江を助けるために動くが、先にさやかが確保に成功した。

 

「八江ちゃん、大丈夫っ⁉︎

怪我とかない⁉︎」

「は、いっ…ゲホッ」

(あの砲撃で巻き込まれてた筈だったのに、身体の何処にも傷一つ付いてない…しかも、さっきの首を締め付けられた跡だけしか)

 

喉を締め付けられて、苦しそうに咳を繰り返す。銃撃による爆発は、八江に被弾することもなく首を絞められた跡だけが残っている。

「1st⁉︎何やってんの‼︎私達はアイツらの救出をただ傍観すれば良いだけでしょうが‼︎」

1stが統括している無人機達の攻撃は、少女に対してのみ無傷、無力化されるように組み替えられている。

 

だから仮面の男の二人に躊躇なく、引き金を引いたのだ。

 

「攻撃だとっ…一体なんのつも『動くなっつーのはさぁ…!こっちのセリフなんだよぉぉぉっ‼︎‼︎』」

「「なっ⁉︎」」

 

ーーー仮面の男達が取った行為は、1stにとって酷く忌み嫌うものであり、到底許されることではない。

 

彼らは、1stがロリコンだということを全く知らない。仮に知っていたとしても、男の格好をした八江を男子だと誤認してた可能性もあっただろう。

 

どの道、少女を人質にしたということが状況をより一変させていく。無自覚なまま導火線に火をつけたしまったことに。

 

1stの無人機達は、一斉に仮面の男達に銃口を向けていた。

 

「も、目的は同じ筈『テメェらと一緒にするんじゃぁっねェェっ‼︎狙い撃つぜぇぇっ‼︎』」

 

周辺の無人機達は、仮面の男二人に向けて滅多撃ちにしていく。防御魔法で防いでいくものの、見えない角度からも攻撃が飛んでくる。

 

他の罠も緊急作動され、殆どのタレット、NMFが出現する。仮面の男は全方位に防御魔法を展開し、周囲を見渡してこの場から撤退しようと試みるが、隠蔽用の魔法が作動しない。

 

既に人質の交渉で作ったあの硬直状態の時間に、密かに仮面こと猫二匹を絶対に逃さないよう予め別の機体を配備させていた。

 

『よりによって、少女を脅しの道具に使いやがって‼︎あぁっ‼︎』

『ちょっと本当に何考えてんの⁉︎

敵は正輝達で、そいつらは』

『うるさいっ!お前は黙ってろ‼︎

まずコイツらを叩き潰す方を最優先にするっ‼︎』

 

仮面の一人がなんとかして助けに行こうにも、今度は地上部隊にいる無人機達が邪魔をしていく。全部隊が正輝達ではなく、人質にした仮面の2人を集中的に狙っていく。

 

 

一人が倒れ伏せ、もう一人が防御に徹していた。

 

『あの馬鹿っ…‼︎もういい!ヴィータ、今すぐ闇の書でソイツを蒐集して!早くっ‼︎』

『お、おうっ…』

 

綺羅がいくら呼びかけても、1stは聞く身を持とうとしない。彼女は咄嗟の判断で、弱った仮面の男の魔力を奪うよう指示する。綺羅にとっては二人の存命は知ったことではなく、有力な魔導士なら闇の書のページを多く増やしていく。

 

「…や、やめ、うわぁぁぁっ‼︎」

『蒐集』

 

ヴィータは仮面の男の一人が持っているリンカーコアを蒐集し、闇の書の項目が増えていく。蒐集を終えると変身魔法が解け、その正体を表す。

 

「おい…こいつら、姿を隠してたのかっ…⁉︎」

 

驚いて凝視しているヴィータだったが、そのまま蒐集を続ける。姿を隠していた一人は明るみになり、この場にいる全員に晒される。

 

「ロッテからっ…離れろ‼︎」

「うっ…⁉︎」

 

ロッテの蒐集を終えると、もう片方がなんとか立ち上がる。飛びかかってヴィータを蹴り飛ばし、ロッテを救出する。

 

そのまま地面を蹴り飛ばして、高く浮遊する。

1stの猛攻に耐えるために、もう片方も変身魔法の解除をせざる終えなくなった。

 

「ロッテっ、しっかりして!

ここは一度撤退して…!」

『おい、待てよ。一体何処行こうとしてんだ』

 

正体がバレて、すぐさまここから逃げようとする彼らを、監視している1stが許すわけがない。他の場所から続々と無人機が出現し、用意した増援部隊にはヴィンセント、暁と機体が二匹の周囲を囲い、続々と集まっていく。

 

 

レイナーレ達を襲撃した時に集めた数の3倍が、増援としてやってきた。二匹は結界内でも逃げる為に魔法を使用し、この窮地を脱しようとしていた。

 

そんなことが可能なら正輝達も苦労しない、1stの仕掛けた結界にそんな小細工は無意味だった。

 

「やっぱり…結果があるから転移することができない。

それに追跡できないようにする魔法も…」

『おい……まさか、本気で逃げれると思ってんのか?』

 

正輝と戦わせていた神虎もまた、他機体の向きと照準を仮面の男もとい二匹の猫に変更する。

 

『逃・げ・ん・な・よ』

 

ロッテは顔を青くし、転移魔法が使えない事に絶望した。さっきまで正輝達を襲っていた無人機達が、今度は二匹を相手に砲撃準備を図る。

 

『逃げんなよクソ猫共がぁぁぁっ‼︎‼︎』

 

1stの怒号と同時に、全部隊の標的は正輝の仲間から仮面の男だった猫の二人へと切り変わり、彼らを対象に四方八方から一斉に砲撃していく。

 

「結果的に2人を蒐集できたのはよかったとはいえ、また勝手なことを…!」

『シグナム、ヴィータちゃん、ザフィーラ!

そっちは無事⁉︎』

『三人とも大丈夫だ。だが、私達以外の他にも…かなり困惑してるみたいだな。

…それに、あの青髪の魔導士までも逃げられてしまった』

肝心のさやかは見当たらず、この混乱に乗じて咄嗟に逃げる。八江を抱えて撤退し、被弾しないようセイバー達と合流しようとしている。

無人機達と何重もの拘束の罠が、二人を一斉に陥れていく。

 

『待てや害獣共がぁぁぁっ‼︎』

「アイツ…急に怒り出して、あぁもう滅茶苦茶だな…あれ止めなくて良いのかよ」

『綺羅…お前の協力者が暴走している以上、こちらも動けな『分かってるから念話で話しかけないで!今あの馬鹿を説得してる最中だから‼︎』…駄目みたいだな』

 

更には神虎の天愕覇王重粒子砲を放ち、二人のシールドを突き破って撃墜させていく。砲撃はなんとか防ぎきったが、それでもロッテの怪我はかなり酷いものだった。

正輝達の殆どと、シグナム達はその光景にただ困惑し、傍観と眺めているだけだった。

 

「また、やりたい放題してっ…‼︎」

『あの外道供を捕まえるのに手を貸せ、綺羅ぁ‼︎』

「なんで私まで手伝わなきゃいけないの⁉︎

アンタ一人で勝手にやりなさいよ‼︎」

 

1stと綺羅の二人で口論となり、守護騎士達は困惑して、明らかに不利な状況だと判断しつつ正輝達から距離を取る。最初辺りは、綺羅の仲間とある程度連携が取れていたはずが、1stが怒りに駆られているせいか綺羅の仲間にもまず2箇所戦闘中だったところから影響を受けている。

 

*****

 

クリス達の方では綺羅達が騒つていることを確認し、ブラックロックシューター達も動きが鈍くなっている。

その隙を逃さない。

 

「デケェのくれてやらぁ!」

 

クリスは巨大なミサイルを2発飛ばし、爆発する。綺羅側が狼狽えている時に、彼女の配備したシャドーも指示されてないことに身動きが取れていない。

 

「はぁぁっ‼︎」

 

大爆発と同時に、爆炎と煙が広がる。

ブラックロックシューターはその場から脱出し、既に把握している。セイバーは風王鉄槌(ストライク・エア)の勢いを増し、そのままブラックロックシューターに急接近する。

 

「…終わりです」

 

エクスカリバーで武器ごと身体を斬りつけられたことで、ブラックロックシューターの戦闘継続は不可能となり、倒れ伏せる。

 

「っし、ズラかるぞ!」

 

このまま撃ち合いを続けていたなら合流も時間がかかっていたが、1stが大暴れしたお陰でなんとか突破口を作ることができた。

倒れ伏せて動けないまま、自己修復していた。

綺羅と、彼女側に付く黒い女達の形勢は1stの身勝手な行動のせいで逆転されてしまった。

 

*****

 

「…随分と、動きが鈍くなってるじゃねぇか?」

 

1stが離脱した影響はブラックロックシューターだけではなく、ランサーとデッドマスターとの戦いにも及んでいる。最初こそ五分五分に戦い、仮面の男二人が動いたことでランサーのマスターを人質にされたことで優位に立っていた。

しかし、彼らの行動は逆に1stの怒りを買い、二人の仮面を最優先に潰すことによって無人機の助力をさせてもらえなくなっている。

 

苦戦したとしても、マスターの不知火にまで手出ししようとしたら、1stは綺羅との同盟を破棄してデッドマスターにも無人機で襲っている。

 

 

ランサーは幼少を襲えないことを知った上で人質にされていたが、冷静に彼女の隙を伺っていた。少し考えると、マスターが少女であるお陰で命を狙われることはないのだから。

 

 

敵がマスターを狙わないことが、ランサーにとってこの状況は都合が良く、思う存分目の前の敵に集中できる。

 

 

しかも無人機達が手を貸すのを途中でやめ、一対一で真っ向から戦う展開になった時点でランサー側が圧倒的に有利となった。

 

「…⁉︎」

「遅ぇよ」

 

ランサーは薙ぎ払った大鎌を回避し、懐に入る。

赤槍で腹部を穿ち、勢いよく抜く。穴を手で塞ぎ、体勢を崩すデッドマスターに、今度は蹴り飛ばした。

 

 

彼女の力が弱まったことで操っていた骸骨達の何体かは崩れていき、持っていた鎌を手放してしまう。

 

苛立った顔で舌打ちをし、仰向けに倒れている。デッドマスターもブラックロックシューターほどではないが、再起不能になりかけていた。

 

これ以上戦えない二人はそのまま強制転移させられ、残る外敵は綺羅と守護騎士4人しかいなくなる。

 

「…ランサー、そっちは終わったのね」

「おう。マスターも大丈夫みてぇだな」

「助けに入ったのは良いけど、後で気づいたんでしょ。人質にされたところで、酷い目に合えば確実に1stって人がキレること」

 

仮面の男が動いてから正輝達に攻撃してきた無人機が動きを止め、空気が変わっていたことを。

 

「…全員無事ですね」

「ああ、これで何とか合流できたみてーだな」

「あ、クリスちゃん!セイバーさん!」

 

そのタイミングで、セイバーとクリスの2人が士郎達と合流する。

 

 

「急に、無人機がいなくなったな…あれ全部仮面の連中を」

「今は、私達が優勢ですね」

「無人機と戦っていたシャドー達を、今度は守護騎士3人にぶつけさせてる…釈然とはしないが、本当に運が良かった。

1stの身勝手で離脱したから、俺達は形勢逆転できたってところか」

 

 

 

「そっちもなんとかなったみたいだな…あの怒鳴り声と同じタイミングで無人機が一斉に動いた。二人が人質に取って、アイツが急にキレだして…もうゴチャゴチャしてて何が何だかっ。

どうして急にキレだしたんだ?

 

だって、あの仮面の男に捕らえられてたのは男の子だったと思うが」

 

正輝は、この綺羅達が有利なタイミングで1stが急に豹変し、仮面の二人を狙うことに執着して護衛を投げ出した理由が分からない。

運良く、

 

「えっと…ね。私達も後から気づいたんだけど…

八江ちゃんは12歳の女の子なんだって」

「あー…納得した。

だから、あそこまで怒ってるのか」

 

八江という子供のことを正輝・セイバー達側はよく知らず、久野が綺羅の助力を放棄しあそこまで激昂したのか理解してなかった。

 

 

これでヴィータとザフィーラ、シグナムの3人は正輝のシャドー達に押し負け、3人とも捕らえられるのは時間の問題だった。シャドーの影分身でもサーヴァントの性能を兼ね備えている彼ら一体一体を相手するのは至難だ。

 

 

その一方で無人機が二匹を追っているのも、正輝達は遠目で眺めている。

 

「…どうしますか?

この機に乗じて全員撤退しますか?それとも」

「八江って子供がまた巻き込まれたら、また動けなくなっちまうだろ。俺以外は先に帰っとけ、1stがあの二人を集中してるなら…この好機は逃させない。

 

俺はシャドーを増員させて、綺羅達を攻める。

綺羅本人か、そいつの仲間…いや、仲間の方は転移して無理だったな。それなら守護騎士達四人の誰か一人でも確保するつもりだ」

 

そう言って正輝は新たなシャドーを何体か出現させ、行動に移る。1stの罠はまだ残っているが、未だに綺羅側が動揺している好機を逃す訳にはいかなかった。

 

 

*****

 

 

「報告があります。総数35人、こちらに向かってきます。この場を撤た」

「ちっ…‼︎」

 

シグナム達も正輝の仲間達と同様に撤退しようとしたが、正輝本人はこのまま攻め入ろうとしている。綺羅のシャドーがシグナム達に報告してる最中に、頭部に刀が突き刺さって消えていく。

 

正輝はシャドーの人数を増やし、さやかの水分身も含め、総数35人が綺羅達を追撃してきた。

 

「くそっ…コイツら、私達を逃がさねーつもりか⁉︎」

「目の前の敵に集中しろ!

手を抜けば、我々も撃墜されかねない!」

(…襲った初めに青い子だけではなく『さっきの子を丁重に扱え』と奴は言っていたな…もしかしたら、私達もあの場の判断を見誤っていたかもしれない。

 

私達が一番先に助けるように動いてれば、こんな劣勢にはならなかったかもしれない。

いや…今となっては、もう過ぎた話か)

 

正輝の仲間達が撤退する代わりにシャドー(正輝)が前線に出る。シグナム達を囲い、一斉に襲いかかって来ている。

 

久野の最初の発言に早く勘づき、シャマルが綺羅の言い分に反対して子供を助けたのだとしたら、ここまで自分達が不利になるようなことにはならなかっただろう。

 

寧ろこうなることを予測できたら、綺羅側が仮面の男が人質にした子供を1stより先に助け、そのまま正輝達に交渉を持ちかけた方が幾分かマシだっただろう。

そしたら正輝達は武器を下げて、邪魔できないまま黙って蒐集させてもらう事だって可能な筈だったかもしれないーーーが、今更そんなことを考えてもどうしようもない。

 

その好機に思い付かず、苦しんでいる子供だけしか見えてなかった。あの状況でそこまで考えられなかったのだから、後から気づいても何の意味もない。

 

1stの援護は機能せず、今度は正輝のシャドーを使いつつ、数の暴力を以って綺羅達を追い込んできた。

 

「ちょっと何考えてるのよ‼︎

まだアイツらの戦いは終わってないでしょうが!」

『お前の方こそ手を貸せって言っただろ!

正輝との抗争は、また後でやるから‼︎』

(どうしよう…私の判断が遅れたせいで。

とにかくシグナム達を助けないと!)

 

1stも綺羅もお互いの言葉に全く耳を傾けようとはしない。シャマルは会話に割って入れず、喧嘩の仲裁よりも、シグナム達を助けることに必死だった。

 

彼女もまた、あの場で八江を助けていれば、別の意味で優位に立てていたかもしれないと反省するが、過ぎたことはどうにもならない。

口論を横見に見つつ、クラーレヴィントの糸ででシグナム達を援護していた。

 

「そっちの都合こそ後回しにしてよ‼︎

数が多すぎて、これじゃ守りきれないっ!

せめて仕掛けてるタレットや罠だけでも支援し…は?アイツ、状況を悪化させた上に通信を切ったの…⁉︎」

 

1stに電話をつなげているが、綺羅の言い分を無視して回線を切られた。援助を放棄し、人質にした二人の仮面の排除を最優先にさせたことで逆上している。

 

そもそも仮面の二人組は聞かれてなかったが、綺羅にも八江のことは丁重に扱えと聞かれていたのだから、シャマルが人質から助けることに任せておけば1stは戦線離脱する事もなかっただろうに。

 

ロリコンだという事は分かってて、仮面の人達も同じように捕獲しようとしていた。ただ違いがあるとするなら、彼らの横暴な捕縛や少女を苦しませて脅したことだろう。

 

あそこまで激昂するとは綺羅自身、思ってもなかった。

 

『報告に来ました。ブラックロックシューターとデッドマスターの武器と身体の損傷が酷いため、再起不能です。

回復のため、強制転移されました』

「う、そ…でしょっ…」

 

2人の脱落に、綺羅はまた焦る。

綺羅と彼女の仲間達だけで対応するなら、問題はなかった。何も戦力は、ブラックロックシューター達だけではないのだから。

一番綺羅が困っていたのは、守護騎士達(お荷物)を守りながらでなければならないことだ。

(不味い…正輝が仲間達の保身の為にこの場を大人しく引いてくれたら助かるけど、もし私達が不利になっているのを理解したのなら間違いなくこの場は攻めてくる。

 

もし守護騎士の誰か一人でも連れて行かれたりでもしたら…)

『正輝が出現させたシャドーが25人の内、10人 がこちらに向かってきます。

残りは守護騎士達と交戦中です』

「全力で防衛に専念しなさい‼︎

出来るだけ時間を稼いで!」

『了解しました』

 

上手くいくはずが仮面の二人と1stのせいで総崩れにされ、綺羅は顔を青ざめる。今まで正輝のシャドー達の相手を無人機達に任せっきりにさせていたが、1stの暴走で全く機能していない。

 

「綺羅さん…怒りたい気持ちは分かるけど。

ここは引かないと、私達全員」

「ちょっと黙ってて‼︎」

(こんなはずじゃなかったのにっ…!)

 

シャマルは他の守護騎士達に撤退するよう念話を送り、綺羅はこの状況の打開をどうするか必死に考えている。綺羅もスキルコピーによるシャドーで助力するのが精一杯だ。

 

(撤退するなら閃光弾かスモークグレネードで目を眩ませて…人じゃない分身達を相手に使って効果なんてあるの?

それならストレングス、チャリオット、ブラックゴールドソーの3人も転移して、このまま私達と守護騎士三人で正輝達相手に正面切って戦…無理無理無理無理‼︎

そんなの絶対に無理に決まってる!

守護騎士達3人と無人機で襲っても、まだ正輝の方は誰一人脱落してない上に、ブラックロックシューターとデッドマスターの二人がこれ以上戦えないのなら無理に決まってるでしょそんなの⁉︎正輝のシャドーの人数が100人近くだったのなら、抑えるのは無理よ。

青ロープに頼んで、どうにかしてもらえば…でも、【しばらくは動けない】って言ってたから助けてくれるかどうかも。

それに、正輝がセイバーとアーチャー、ランサーの他に英霊を備えてないとは限らないって言われてたし…本当に何体か備えたりでもしてたら、確実に詰む。

正面切って戦うのなんて絶対に自殺行為…だったら、もうここは賭けに出て無理にでも撤退する?

それこそ守護騎士達は諦めて私だけでも逃げる?

仮に生き延びたとして闇の書が無事なら、まだ私の計画は遂行できる。あいつらだって私含めて主人の身の安全を守める人材がいる以上、置き去りにされても仕方ないって割り切ってるのだから見捨てたって…問題無いわけがないっ‼︎はやてがあの四人がいないことを不審に思って、この抗争を探ったりでもして計画が頓挫したら…あぁもう‼︎

 

元はと言えば、あの馬鹿が暴走したせいでっ‼︎‼︎)

 

正輝相手に、簡単には撤退させてくれない。

1stが協力を放棄している今、守ってくれる無人機はいないのだから、撤退しようと背を向けたところを、狙撃されるだけだった。

 

(1stがこの場で協力してくれないなら、もう青ロープに頼んで…でもこれで、本当に断られたら)

 

守護騎士達を見捨てれば、闇の書を回収するのが綺羅も久野だけとなってしまう。

はやてにも帰ってこない守護騎士達のことを感づかれて、詰問されることになるだろう。

かといって強引な方法ではやてを黙らせようとすれば、協力関係の久野が黙っていない。引いても戦うにしても、どれを取っても多大なリスクが伴うから余計に焦ってしまう。

 

『2ndの綺羅と守護騎士一名を発見、速やかに確保します』

「もうこんなところにまで来たの…⁉︎」

 

シャドー(綺羅)の報告通り、5体のシャドー(正輝)が綺羅本人とシャマルを発見する。

逃げる準備と、考える余裕を与えない。

 

綺羅が逃げ切れたとしても、正輝達に守護騎士やブラックロックシューター達の誰か一人でも確保されるとなると、今度は人質交渉を要求されるのは目に見えている。

クラーレヴィントで魔法で縄を展開し、一人を絡めて捕縛しようとする。

しかし、一人一人がサーヴァントの身体能力を兼ね備えているためか拘束できたとしてもすぐに解かれてしまう。

 

綺羅が超音波による音壁を出現させ、これ以上前へ進ませないようにする。

 

(こうなった以上はもう仕方がない!

このままじゃ連絡もできないし、今後の厄介事が増えるのは不本意だけど計画が頓挫するよりはっ…!)

 

このままだと、全員逃げきれない。

守護騎士の加勢は綺羅達だけでは無理があると、1stに助力を要請したのに肝心な時に放棄したことに苛立っていた。守護騎士達に任せても正輝相手に力不足であり、余りに荷が重すぎる。

 

しかも正輝はサーヴァントの補正を施しているシャドー達を何十人か相手にするのだから、全員を守りながらで戦うなんて器用なことできるわけがなかった。

 

「…シャマルっ!

闇の書を使って、破壊の雷を放ちなさい‼︎」

「待って!そんな事したら管理局にまで」

「いいから早くやりなさいっ‼︎

このままだと貴方の仲間がアイツらに捕獲されてしまうわよっ‼︎閃光弾を使っても、水や影で出来たソイツらに全く効果がないの!

 

たとえ時空管理局にバレても、どうにでもすれば良い!それに貴方達の誰か一人でも捕らえられたら、はやてだって私達が独断で動いてることを不審に思うでしょうが‼︎」

 

このまま易々と逃げることもできず、芳しくない状況に、シャマルは諦めた表情をする。綺羅の言うとおり、英霊と同等であるシャドーを相手にシグナム達は疲弊し、1人でも確保されかねないからだ。

 

シャマルは諦めたような顔をして、闇の書を展開していく。

 

『…みんな、今から結界破壊の砲撃を撃つわ!

上手くかわして、撤退を!』

『やむおえんっ…!』

『くそっ、項がかなり増えたっつーのに!』

「闇の書よ、守護師シャマルが命じます。

眼下の敵を打ち砕く力を、今ここに…撃って、破壊の雷!」

 

シャマルは、破壊の雷を詠唱する。正輝が上空を見上げると、急に暗雲が出てきたことに危険を察知する。

 

「…つっ、こっちも退くしかないか」

 

綺羅と守護騎士達は撤退し、それ以上進められないと判断した正輝は追尾させているシャドーを正輝の影へ戻す。

ローワンのデバイスを起動させ、自分の身を守るよう防御魔法を展開し、防御に徹した。

 

「…悪いな、ローワン」

『問題ありません』

「あの雷っ…どうやらアイツら、闇の書を使ったのか」

 

結界は解かれ、正輝は逃してしまった。

綺羅とブラックロックシューター達はバイクと配下の浮遊頭蓋で、守護騎士達は飛行して撤退していく。

 

彼らの姿は、もう見えなくなっていた。

破壊されても復活していた結界は、雷を放った後に解かれていた。

 

『どうしますか?』

「追わなくていい…戻れ」

『承知しました』

 

一部残してたシャドーも守護騎士達を追うのを止め、正輝の影へと戻っていく。結界は解除され、無人機達や綺羅のシャドーは消える。

 

ここで戦っていた痕跡も結界が破られた時には、既に消された。

 

(ここまでやったんだ…これ、間違いなく管理局の連中も動くだろ…)

 

 

*****

 

正輝が撤退していく綺羅を眺めている一方、セイバー達は士郎達をフェイトの家族が住んでいるマンション前へ案内した。

 

「…よく無事に帰ってこれました。

正輝も今から戻ってくると連絡が来てます」

「急いで戻らないと、またあの連中が仕掛けた罠が復活してしまうからな。

とにかく家の中に入ろうぜ」

 

外に長居すれば、移動しなくとも必ず監視カメラやセンサーで正輝達を発見し、無人機が襲撃を仕掛けてくる。

 

「そのっ…セイバー、レイナーレから頼みたいことがあるんだ。俺とレイナーレは残ってセイバーと話をしたいから、他のみんなは先に行っててくれ。

 

…手短に話すつもりだ」

 

士郎がセイバーに声をかけ、マンションの前で足を止める。

それ以外は、マンションの中へ入っていった。

 

「…響、クリスの2人は士郎達をフェイトの家へ案内するのを任せても良いですか?」

「はい、分かりました!」

「…ならアタシ達は、先に戻っとくぞ」

 

こうしてセイバー、士郎、レイナーレの3人だけで大事な話をする。クリスだけが何かを察知し、あえてツッコまずに響と案内した。

 

「これで…私達と正輝以外はマンションの中に入りました。それで話とは何ですか?」

「こればっかりは、後で凛とアーチャーの二人は言うつもりなのだけれど…くれぐれも事が落ち着くまでは正輝には内密にして欲しいの。

 

最低でも、仲間が全員集合するまでの間は…」

「正輝に知られたら不味いことでも起きたのですか?」

「…まぁ、合流するまで色々あったんだ」

「麻紀達のことでね。知らせたら絶対に正輝の怒りを買うことになりかねない事になるわ」

「…ここまで来るのに何があったかまだ聞いてはいませんが、正輝に言えない事情が出来たのは本当のことなのでしょう。シロウやさやかに、ランサー達とも隠し事に賛同しているのでしたら信じます。

 

正輝も散り散りになった仲間を最優先にしている以上、今は何も追求しません。

 

 

また事態が終えた後で正輝に伝えてください」

「えぇ…ありがとう」

 

そう言って、レイナーレは電話で正輝に嘘をついてまで隠していたことをセイバーに話した。

一誠が誠司を裏切ったこと、2人を殺さず見逃したことを話した。

「…そうですね。電話で隠していたことは、今の正輝には聞かせない方が良い。四方八方に敵だらけな状況で、同盟を組んだ5thや6thと全く連絡が取れず、かなり神経質になってます。

 

それに貴方達だけではなく、私達の方でも一部の仲間には黙っておかなければならない事も起きている。

…特に、少年少女のような未成年には」

「そっちでも何かあったのか?」

 

悪魔と堕天使云々以前に元々一誠達ととレイナーレ達は敵対したから、レイナーレにとってはらしくない行動ではあったが、理にかなっている。

 

「ええ、私達も家に着いてからは酷く頭を悩ませてましたよ…とにかく、今までの出来事をまとめる必要がある。

話が済んだのなら、家に入りましょう」

 

*****

 

【管理局ーアースラ視点】

 

時空管理局では違法渡航者グループの調査を進めていた。続々と別世界で大型生物のハンティングされていることについて調査中だった。

 

過去に起きた、ジュエルシード事件。

その事件に関与していた正輝達の件も解決できず、地球での詮索は一層に危険だと断定され、撤退を余儀なくされた。

それ以降、リンディ達が引っかかっていたこととすれば、正輝が管理局に関与せずにジュエルシードを任せると言っていたはずが、どうしてあのタイミングで管理局員達を暗殺するほどの邪魔をしたのか疑問に思っていた。

 

彼の管理局への対応と、行動が明らかに矛盾している。その真相が闇の中にされたまま、まだ噂になった状況から更を悪い事態が発生する。

 

「膨大な魔力反応を確認!映像開きます!」

 

今度は膨大な魔力を放つ【破壊の雷】により、結界は解かれ、映像は既に戦いを終えた状態になっていた。

 

正輝含む彼の仲間達と一部残った無人機の残骸にも目を向けてはいるが、一番目を向けたのは闇の書だった。

 

「第一級危険指定ロストロギア。

闇の書…どうして地球に」

「クロノ君、知ってるの?」

「あぁ、知っている。

少しばかり…嫌な因縁があるんだ」

 

シャマルが闇の書を大事に抱えている映像が、鮮明に映し出されていた。この船にいるリンディ提督、クロノ、エイミィ、その他の管理局達の額に汗が流れている。

 

「やっぱり、厄介な事になったわね…」

「えぇ。それに先日、こんな映像まで送られてくるなんて…僕らの知らない間に、地球で一体何が起きているんだ」

 

また管理局員を襲っていたあの地球に関与しなくちゃいけない事に、しかも頭を悩まされているのは闇の書を発見だけではない。

クロノ含む管理局員全員が無人機の映像を見て驚かなかった理由は、管理局当てに【ナイトメアフレームのサザーランドが、15人の一般人を殺害する映像を1日前に送られていた】からだった。

 

どのように送られたかは分からないが、地球に対する警戒心がかなり強まっている。現地に行って調べるのも迂闊に手が出せず、何かしら悪い前兆が起こるのが事前に分かっていた。

 

「昨日と、その映像…彼らが只事でないのは確かなようだな」

「貴方は…ダイン提督」

 

彼は険しい顔で、これまでに起きた事例を確認しつつ地球への介入前に事前に調べるようにしていた。彼もまた虐殺の映像も貰い、リンディ達と共に管理内の地球に異変が起きないか手を組んでいた。

 

「管理局員を襲撃した男性…岩谷正輝。

彼はプレシア・テスタロッサの傘下であり、彼に率いる部下も並大抵の管理局員では絶対に対処できなかった。

 

歌で武装した少女達もいれば、我々の使うミットチルダ式以外の魔法を使う少女達を配下にしている。

そしてプレシア・テスタロッサはかつて死んだ自分の娘の代わり、プロジェクトフェイトで生み出されたクローン…フェイト・テスタロッサを作った。

更には、我々が所持しているデバイスを右手に触れただけで破壊し、魔法を打ち消した少年まで彼の仲間となっている。

彼らがジュエルシードだけではなく闇の書にまで干渉しているならば、混沌を招く事態を起こすのは目に見えている。

 

そして…地球からこちらへ送られてきたその胸糞悪い映像。前回のジュエルシード事件のことも考え、我々は危機感を感じている。

この映像が時空管理局に対して挑発しているのか、或いはこれ以上関与するなという警告か…」

 

闇の書とはいっても、ここまで不吉な事が起きると介入して事件を解決しようとする前に彼らの手で前の時みたいに蹂躙されかねない。

 

底が見えない沼に手を突っ込もうとすれば、引き返す事はできなくなるかもしれない。

 

「…本当に、そうなのかもしれません。

ですが」

「それでもなお、諦めない心を持っているのか。クロノ・ハラオウン…成る程、強い志を持つ子だ。

 

私も、このような脅しに屈して仕舞えば闇の書によって地球は彼らの身勝手により確実に滅亡する。闇の書の肥やしとなり、またあの悲劇が訪れてしまうことになる。

 

それは、時空管理局にとって絶対避けなければならない。全ては何が起きているのかを現場に立ち入り、この目で確かめてみなければからない。管理内である地球の現状は全く分からないだろう。

 

だが、君達だけの戦力で行けば返り討ちにされるのも十分わかっているはずだ。

だから、我々も増援として手を貸す。

既に上との承諾も得ている。

 

君達だけで死地に行かせるほど、上の連中は無能ではない。闇の書の事件については、我々も看過できないからな」

 

クロノは管理局としての責務だけでなく、闇の書に父親の死が関与していることもあってか、諦めるつもりはなかった。

 

「リンディ提督、貴方の意見も聞きたいのだが」

「…えぇ、映像を送られてからそちらと協力することは変わりありません」

「なら決まりだ。我々の技術も、事件解決の為に貢献しよう。存分に役立たせて欲しい」

「ご協力、感謝します」

 

硬い握手をしている一方で、リンディは黙り込んで考え事をしている。

闇の書がロスドロギアだというのは、かつて父であるクライド・ハラオウンを事故で失ったことを鮮明に覚えている。

 

他の提督と局員達に助力してもらうのは、何一つ不自然な事じゃない。

 

「提督…?どうかされましたか」

「ええ、何でもないわ…どうも釈然としてなかっただけなの」

 

ダイン提督の言い分をリンディは分かっているが、話があまりに順調過ぎていることに彼女は不安を感じていた。管理局の上層部が容易に増援要請を承認してくれたことも、気がかりだった。

 

フェイト・テスタロッサのようなクローンだけではなく、堕天使や悪魔もいるなんて報告したらリンディや協力したばかりのラウス以外の管理局員達も黙ってないだろう。

正輝が襲撃したこと、及び防衛していた彼の仲間達についての報告は仕方のないことだったが、最初に出会った時に【悪魔、堕天使の話は管理局に報告しない】という約束だけは守っていた。

 

(こればっかりは本当に言わなくて、正解だったみたいわね…)

 

これで時空管理局が危険分子が大勢いる地球を見過ごさない判断として殲滅作戦を行おうものなら、正義側以外にも悪魔と堕天使側に組織がないとは限らない。

もし彼らの言っていたことが本当で、その二種族が実在しているのだとしたら、他世界にいる彼らとも相手することとなる。

 

もしそうなれば、時空管理局にどんな大打撃を被る事になるか。

 

正輝達からは忠告をされていたとしても、こんな事上に報告でもして干渉しようものなら、全面戦争になりかねないことくらい容易に想像できる。彼女は、未だにレイナーレやリアス・グレモリーのような存在についてだけは何があっても極秘にしていた。

 

その理由は、たった一つシンプルな事。

 

ーー【公表すれば、地球どころかミットチルダにまで確実に混沌が起きかねないからだ】

(それにダイン提督と彼に付いている局員達の加勢も…余りにタイミングが良すぎて、何か引っかかるわ)

 

半信半疑で協力する管理局員達を詮索したい気持ちもあったが、ダイン提督の言った通りにリンディ達が戦力不足なのも重々理解している。

 

薄々怪しいと考えながらも闇の書の事件解決に専念し、その背景に何者かが手を引いて動いていることに気付けないまま、リンディ達が後悔するのはまだ後の事になるだから。

 

 

*****

 

12/6 12:00

【山の中ー1st視点】

 

なのは達との襲撃時は綺羅は自分達の行動を邪魔せず、1stも様子見で何もしてこなかった。1stも綺羅も、闇の書を蒐集させるために動いているならば邪魔されないと、最初に割って入ってきたように助けてくれると思っていた。

 

だが今回は、悪い意味で予想が裏切られた。

 

「ハァっ…ハァっ…!」

仮面の二人こと、ロッテ・アリアは恐怖で青ざめていた。1時間もの間、ずっと1stの無人機達に追いかけられ、何回も転移を試みては失敗している。

 

二人とも、人質にした子供の命を奪う気は微塵もなかった。あくまで闇の書の頁を増やし、覚醒することが目的なのだから、仮に断ったとしても子供を誘拐して人質交換にでもしておけばどうにでもなれただろう。

 

 

ーーー人質にする相手を、完全に間違えた。

 

1stの逆鱗に触れてしまい、憤慨させたことで追われている。今ある魔力を駆使しつつ、命懸けで必死に逃げるしかできなかった。

命乞いも、説得をしようとしても、初めから逃げの選択をした時点で聞く耳を持たないだろう。

 

(どこに逃げても、追っかけて来てるっ…!)

 

頭の中でどうしてこうなってしまったのかと何度も後悔する中で、彼女らの魔力は防御魔法を酷使してかなり消耗している。

 

倒しても倒しても、次々と敵の増援がやってくる。

 

死にたくないが為に必死で防御魔法を何度も展開し、転移することも姿を隠す事も阻害されていた。変身もできずに体力も消耗し、かなりボロボロの状態に追い詰められていく。

 

『このクソ猫共がっ…大目に見たってーのに…あんな、下らないことしやがって‼︎』

 

森林がある山に身を隠しても、戦闘ヘリと大量の小型ドローンが追跡を止めない。無人機は陸地のものは追ってこないが、飛行装備されている機体まで飛んでいる。

 

「い、やぁっ…やめて…」

『死をもって贖え‼︎』

 

1stの怒りはたった二人の使い魔に過剰な戦力を投入し、殺害を厭わない。魔力も殆ど底がつきかけ、逃げきれないことに恐怖しつつ嘆きながら命乞いしようとする。

彼の耳には全く届かず、そのまま無人機達に射殺するよう命じようとした、その時だった。

 

「……魔剣創造(ソード・バース)

 

そんな絶体絶命の危機的状況に、木に隠れていた池野麻紀と、木場祐斗が2匹を助ける。祐斗の右手には紫色の銃剣(魔⬛︎⬛︎クス⬛︎ェ⬛︎)を出現させる。

 

『…⁉︎反応がもう二人いる⁉︎おい誰だ‼︎』

「木場くん。まだ来るよ」

「…あぁ、分かってるさ」

 

彼は虚な目をしたまま空間に魔剣を出現させ、残っている無人機達に向けて、また射出していく。二匹を飛行しつつ追っていた量産型ヴィンセントと飛行ドローンは複数もの魔剣で串刺しにされ、爆散していく。

 

もう一人は幻想殺し・武器化でロケットランチャーを取り出し、頭上にいる戦闘ヘリを破壊する。

 

 

「二人とも随分、手酷くやられたもんだね…下手に1stを刺激するようなことをから」

「誰っ…近づかないで‼︎」

 

男は2人の側に近づこうとすると、身震いしつつ警戒する。また敵が現れたんじゃないかと、助けられても信頼しようとはしない。

ひどく怯え切っていた。

 

「あ…あんた達も、て…敵なの?」

「あぁ大丈夫、そんなに警戒しないで?

僕らは二人の敵じゃない。グレアム提督とは話をつけているから、とにかく逃すよ」

「アンタ達、なんで提督のことを知っているの…⁉︎」

 

グレアムという名前を出したことに驚き、2人は少し安心する。逃そうとしている一方で、その光景をどうでも良さそうに眺めているもう一人の男の周りに、黒い斑点を出現させていく。

 

『なんだよ今の攻撃っ⁉︎さっきの二人が守ったのか…剣を射出していたように見えたけど、まさか正輝の連中がコイツらを守ったとかじゃないだろうな⁉︎』

「話は後だ、裏ルートがある…僕らが安全に転移するよ」

 

携帯を取り出すとバーコードを使い、二匹と共に姿を消して行く。1stは神虎を先頭にして探っていたが、既にリーゼロッテとアリアは彼らの元へ転移されて行方不明となっていた。

 

『えっ、消えた⁉︎僕が転移魔法はできないようにしたはずなのに…何処かに隠れてんのか⁉︎

そんなこと出来るわけが』

 

既に画面にはLOSTと表示され、二人を見失っている。1stは周囲の無人機のカメラ一つ一つを確認し、血眼になって探そうとしても全く見つからなかった。

 

『ああっクソ‼︎人数は分かってたのにっ…‼︎

仕方がない…もう一度見つけたら、今度は確実に殺してやる‼︎』

 

いくら探しても2匹と、彼女らを助けた二人を発見することはできなかった。さっきまでいた場所を中々見つけられず、逃げられた事に苛立っている。

 

1stは仮面の男だったロッテ・アリアを追うのを諦め、招集させた無人機を元の位置に移動させる。

 

『指名手配の設定、完了…アイツらは、まぁ撤退してるよね。協力関係だったのに投げ出した事について怒られそうだけどさ。

 

 

そもそも仮面の連中が全部悪いんだ、うん。

僕は何も悪くないよ』

 

そう言って無人機全員に2匹の魔力、偽装させた魔法、優先事項を彼らの抹殺にするよう情報を更新する。

2匹を膨大な魔力が込められていた落雷が久野にも聞こえ、戦場になっていたバス停付近を確認すると、結界は解除されている。

既に正輝達はレイナーレ達を救出して撤退し、襲撃に失敗した綺羅達も守護騎士達と共に逃げていく。

 

レイナーレ達の救出による正義側同士の攻防戦は予想外の展開で区切りをつけることとなった。

 

【この戦いの影響が、後の展開に大きく響くこととなるとは、正義側も時空管理局も他の誰も予測しなかっただろう】

 

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