Justice中章Ⅱ:蠢き轟く脅威と去り逝く者達   作:斬刄

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5話敵襲[後](正輝ルート)

セイバーとクリスが久野の無人機体達に足止めされている一方、響は撤退しようとする守護騎士の一人を捕らえていた。

 

『おい、ザフィーラ!』

『分かっているっ‼︎しかし、離れようにも』

 

守護騎士の3人は撤退しようとしているが、ザフィーラは響にがっしりと腕を掴まれており、中々離れることができない。

 

「ええいっ、放せっ…!」

「四人とも一斉に拘束してください!

この人だけでも確保するから‼︎」

 

なのは、フェイト、アルフ、ユーノのバインドが施され、ザフィーラを何重にも拘束するよう促していく。

 

「あんのやろっ…!」

「いや、待て。あのシグナル…ヴィータ、手を出すな。

綺羅の言っていた合図だ」

 

ヴィータがザフィーラを助ける為に戻ろうとするが、ブラックロックシューターは合図を出して援護に出ないようにした。一斉にバインドを仕掛ける前に、なのはの持つレイジングハートが気付く。

 

〈マスター、近くに生体反応があります〉

「…えっ⁉︎みんな、待って‼︎

その建物の中に、もう一人何かいる…!」

 

姿は小さい身体に、両手には不釣り合いと言わんばかりの削岩機のような巨大なグローブを、背中には尻尾が付いていた。

ザフィーラを助けようと、ストレングスと響が対峙する。

唐突に出てきて驚いた響は自衛の為に手を離し、咄嗟に防いだ。

 

「うわぁっ⁉︎」

 

解放されたザフィーラは後ろへと下がり、空中へ避難していく。

ストレングスがザフィーラを横目で見て、めんどくさそうな顔でさっさと退けと首を横に振った。

 

「……助かった、礼を言う」

「ちょっ、逃さないよ!」

 

響を吹き飛ばし、追おうとするアルフの背中を狙おうとする。ユーノの防御魔法で防いでいくが、ストレングスは狂気的な笑みで防御陣を岩みたいに防御魔法を削ろうとしていた。

 

「うわっ⁉︎」

 

そのままユーノを下へ吹き飛ばし、ザフィーラを救出するだけし、複数もの音が至る所で鳴り響いたのを察知したのか、路地裏へと逃げていった。

周囲に聞こえる音は、車輪やパラパラと言った音までチラホラ聞こえてくる。

空を浮遊しているなのは達が、下を見下ろすと

 

「っ⁉︎なのは、前っ!」

「え、っ…ふぇぇぇえええっ⁉︎」

 

なのはが驚いたのは、小隊が組めるほどの軍隊が押し寄せてくる光景だった。なのは達だけではなく、空を飛んでいるアルフとユーノ、守護騎士達までもが驚いている。

まるで戦争映画のワンシーンを見ているかのように、上から見上げれると壮観な光景が写っていた。

 

「なんだいっ…これ」

「逃すために、ここまで用意するなんて…」

 

先程の襲撃してきたロボット達だけではなく、アパッチや戦車までが何十機か集おうとしていた。

 

「でも私達、狙われてないし…四人を追う?」

「やめた方がいいと思う。

あの黒い子…今度は私達に銃口を向けてる。

深追いするより、正輝達を助けに行かないと」

 

次々と出現していく無人機達はなのはとフェイトのことを見向きもせず、正輝とその仲間に対しては集中的に狙っている。

対して、ブラックロックシューターの方はスナイパーライフルを大砲に変え、なのは達に構えている。

 

クリスは無人機を相手に、イチイバルの機能であるリフレクターを周囲にばら撒いて防ぐことしかできない。このまま戦っても、無数の機体が何体も出現し、この騒ぎに乗じて管理局側に気付かれるのも後々面倒になる。

 

「クソっ、キリがねぇ‼︎片方が撃てないんじゃ攻撃も碌に」

「そのままリフレクターを張れ!

俺が一掃する‼︎」

 

武器が破損した状態のクリスは、苦戦を強いられていた。敵は銃を下げ、今度は一斉にケイオス爆雷を投げていく。

 

複数もの爆雷から放たれる光ニードルで、隙間から狙おうとしていた。しかし、

 

最期の劔(ジ・エンド・オブ・ソード)ッ‼︎」

 

 

周囲を囲んだサザーランドを相手に、黒い剣圧を放つ。無人機は真っ二つになると、高圧電流が流しながら爆散。

空間を亀裂を生じさせたことで、光ニードルと無人機の爆発で生じた爆風、飛び散った破片をそのまま飲み込んでいった。

 

「よし…無事か?クリス」

「あぁ何とか…でも、こんなに早く援護してくるのかよ。1stって野郎はアタシらが来る前から用意周到に待ってたってことだろ?」

「そいつと組んでいる綺羅も仕掛けに来ている…本人はいないが、彼女の仲間までいる。

 

いずれにせよ、なのは達を襲ってきた連中と手を組んでいることだけは確かだ。そいつらとも相手しなくちゃいけない」

 

こうして綺羅と1stが手を組み、四人組を助力している。正輝は見上げ、ビルの屋上にいるブラックロックシューターを遠目で確認した。

 

(綺羅の仲間まで待ち構えてんのかよ…しかも絶妙な位置取りで撃とうとしてるなコイツ)

実際にクリスの武器を正確に狙い撃ち、フェイトとなのはの二人は正輝とクリスを発見し、近づいていく。

 

「正輝さん!」

「他も無事みたいだな」

 

なのは達と響達が駆けつけ、響を奇襲したストレングスも無人機の大量出現を機に、この場から撤退している。

 

「…もうズラかるぞ。ただでさえ仲間と逸れてんのに。

これ以上、無人機を増やされたら不味い。

今日のところは、なのは達を襲った連中を深追いするな」

「仲間とはぐれてるってどういう」

「話は後だ。とにかくここは引くぞ」

 

「綺羅の仲間もいない…機体も、邪魔するだけして撤退か」

 

正輝達は守護騎士達を追わずに撤退すると、綺羅の仲間と、1stの用意した無人機達は引いていく。

 

(合流までの間に無理にでもここを死守するのは可能だが、それを許せる連中じゃないのも分かっている。

 

 

携帯を見た感じ……うちの姉さんや、竹成さんも連絡がない。

だから、今は引くしかないな)

 

シグナムと白い機体を相手にしたセイバーが、遅れて合流した。鎧にヒビが入っているものの、その奥では白い機体を聖剣で斬り裂かれている。

 

「只今戻りました、正輝」

「セイバー…無事か」

「ええ。あの白い機体が邪魔してなければ、こちらも一人確保することはできたのですが…」

「気にすんな、こればっかりはしゃーない。

俺も俺で、捕らえた後どうしたら良いか考えてなかったしな……ここを離れよう」

 

1stが用意した白い機体をどうにか撃破したものの、邪魔がなければ響とザフィーラのように、シグナムを捕らえることもできたかもしれない。

 

ヴィータ達の張っていた結界が解かれ、正輝撤退していくのを確認したブラックロックシューターは銃をしまい、その場から立ち去る。

久野の機体も同様に撤退し、破壊された機体は粉微塵にされていく。

戦闘の痕跡を隠滅し、粉末状にしたものを久野の船へと転移され、再利用の為に回収された。

 

ーー試練編における開幕の狼煙は、この戦闘を機に上がった。

 

*****

 

正輝達となのは達は、近くのバス停付近まで移動する。

 

ヴィータの張った結界が無くなったことで、結界が解かれると人も車も元通りになっていく。

人の声、風と車の音が聞こえていた。

試練編前の時みたいに何事もなく再会することもなく、お互い別々での襲撃でそれどころではなかった。正輝達も急な転移の上に、なのは達が襲われているとは思ってもいない。

 

響、クリス、セイバーの三人は既に私服に切り替わっており、浜風は武装のみを解除する。

浜風の格好は制服姿だから、服を変える必要はなかった。

 

「なのはちゃん。お久しぶりだね」

「……慌ただしい再会だが、二人とも元気で良かった」

「フェイトも結構腕が上がりましたね。

先程の戦闘、見てましてよ」

 

フェイトの稽古に付き合っていたセイバーは、彼女の頭を撫でて褒めている。

 

「ありがとうセイバーさん。

…でも、話そうとしてる隙に油断して」

「仕方ありません。私も取り逃しています」

「ユーノ、お前その刀。

いや…模擬刀、なのそれ?」

「うん、魔力を纏わせて壊れないようにしてるよ。

 

恭弥さん達に剣術を教えてもらってるから。

騙されてたことで、より一層心身ともに頑張ってるよ」

 

戦いでのフェイトの怪我は少なく、特訓の成果が出ている。ユーノも正輝の知らぬ間に高町家の剣術を磨いている。

模擬刀だけでは守護騎士を倒す事はできないが、なのはの護衛とサポート役では優秀なくらいに動いていた。

 

「あの。少し気になってたんですが、正輝以外の3人は知っているけど…隣にいる人って誰ですか?」

「挨拶が遅れました、初めまして。

浜風です」

 

正輝達五人の中で浜風だけが、なのは達とは初対面になる。

彼女は軽くお辞儀し、挨拶した。

 

「まぁ…慌ただしい形で再会したわけだが。

襲ってきた連中といい、あの無人機達といい…話をするにも結構長くなる。

とにかく、ここで話しするのも」

「……家に帰ってからになりそう、だよね」

 

先程の戦闘中に色んなことが起こり過ぎて、諸々の状況を説明するにも詳しく話すのは時間が長くなる。

 

外に出てる時に話すよりも、家の中で通信した方が遥かに話しやすかった。

 

「俺達は当面フェイトの家にいるから、何かあった時は動けるんだが…なのはのところが手薄になるのは、どうしたもんか。

1stに関しては性格はアレだが、絶対に狙わねーだろうし。

残る問題は楽園と、襲ってきた四人組とそいつらに協力している仮面の二人組だな」

(でも待てよ。もし仮面が蒐集が目的だったとはいえ強引になのは達を襲うことになったら、それを見た1stはその2人組を絶対に許さないんじゃないのか?

 

もし綺羅が守護騎士達の味方側についてるなら、そこんところで一悶着あるだろ。

あの女が、なのは達のリンカーコアを蒐集しなくとも集めれる方法でも考えてるのか。

……あいつら、一体どうするつもりなんだ?)

 

仮面の男はなのはかフェイトを襲い、蒐集するように仕向けさせる。幼女を傷ましれることに看過できるわけがない久野を、どうやって綺羅が説得したか。

 

「それと……なのは、家の方は大丈夫なのか。

たしか前回のことで」

「あ、それは大丈夫。

嶺さんが去る前に色々と用意してくれたから。

いない時に襲撃されることも考慮して、家と私の方にも常に札とアイテムを持っといてって」

「そうか。それならウチの姉は家にいるか?」

「ううん、嶺さんはまだ来てないよ」

 

姉も試練編の事で、なのはの家を厳重にふるよう徹底している。何処までやったのかは聞かなかったが、追々なのはの家を訪ねることになった時に驚くことになることも思いもよらなかった。

 

「…参ったな。俺達のところは強制転移で他の仲間と逸れてるし」

「アンタ、仲間と逸れてるって…それかなり深刻なんじゃ」

「逸れてる仲間全員も連絡しようとしたその時に、あの騎士の連中がなのは達に襲撃してきたんだから。

 

まぁこの話も長くなるから、それも家に帰るまでは置いておくぞ。

なんだか外が凄く寒いしな。

もしかして季節って冬?」

「そうだよ」

「通りで寒いと思った…」

 

この件で話さなければならないことは非常に多く、外で話すには余りに全てを話しきれない。戻ってから今までの出来事を少しずつまとめていくしかなかった。

 

「それじゃあ帰るとするか。こっからフェイトの家へ行くにも海鳴市からだと遠くなりそうだし。

このまま警戒しながら移動かな」

 

そう言って、正輝達はフェイトの家へと向かおうとすると

 

「あ、待って正輝」

「ん?なんだ」

「アタシ達の家はそっちじゃないよ?」

「え?でも最初に会った時って」

 

フェイトとアルフが、正輝達を止める。

行き先は試練編前に帰ったはずの方向へ指を指しているが、二人は首を横に振っていた。

 

「その…実はね、つい最近引っ越ししてたんだよ。今は海鳴市に家を移してるよ?」

「え、マジ?」

「うん、なのはの家の近所にマンションがあるから。帰る方向はなのはと一緒なんだよ。

ついてきて」

 

正輝達は、そのままフェイトに案内されて家へと帰っていく。

その道中で、正輝の着信音が鳴った。

画面にはミッテルトが表記され、電話に出る。

 

「もしもし?」

『あっ…えーっと、正輝っスか』

「おぉ、ミッテルトも無事だったんだな。

そっちがかけてくれて助かったよ」

 

本人の声を聞いて安堵するものの、ミッテルトの声色がどうにも元気のない感じであった。

困り事でも起きたかのように

 

『ウチらも連絡できて良かった。あ、でも…ちょっとアタシじゃなくてレイナーレ様から話がしたいって言われたから。

変わるっスよ』

「…?レイナーレのやつにも連絡用の携帯電話を持たせてなかったっけか?

まぁいい、俺の方も離れ離れになった全員に連絡したかったところだし。

ミッテルトじゃなくてレイナーレが話をするってのも、彼女も考えがあってのことなんだろ。

それじゃあ変わってくれ」

 

すぐにミッテルトから、レイナーレに電話相手へと変わる。

 

『正輝?今変わったわ…』

「レイナーレか、よし…まず、そっちにそっちに誰がいるか、何処にいるのか確認したい。

教えてくれ」

『電話に出てたミッテルトとさやか、士郎がこっちにいるわ。

あと不知火って子と、ランサーって人もいるわね』

「無人島のメンバーも含めて飛ばされてんのか…あと海辺の公園ってことはもしかしたらなのはの家と近いかもしれんな。

 

今から海鳴市の地図を送る。

それと、レイナーレ達から先に伝えたいことがある。今さっきなのはとフェイトの二人が四人組の襲撃を受けたみたいだから気をつけろ。

特に魔力のあるさやかを狙ってくるかもしれないから」

『そう…分かったわ』

「仮面の男が二人先頭を監視していたから、そいつらにも気をつけとけ。

あと、そっちは転移して早々何かあったか?

ミッテルトが困り気だったみたいだが」

 

そう正輝は聞くと、レイナーレは何も返事をしてこない。返事がないことに何か答えづらいことでも起こっているのかと少し不安になり、何回も質問をしていく。

 

「…おい、どうした?

聞こえてるか?それとも、電話中に何か変わったことがあったのか?」

『……いいえ、待たせてしまってごめんなさい。

大丈夫、何も問題無かったわ』

「そうか、じゃあ引き続き頼む。

合流先は翠屋か、なのはの家。

どっちかで近い場所まで行けたら、さやかの念話でなのはか俺に連絡。いいな?」

 

転移して早々、魔導師四人と仮面をつけた二人組の男、1stの無人機と綺羅こと2ndの仲間による攻撃から、なのは達を助けに向かっていた。

よく分からなかった海鳴市から転移して他の仲間に連絡しようにも、タイミングが悪過ぎてどうしようもなかった。

 

「他は…クソっ、ダメか…」

『ただいま電話に出ることができません』

 

レイナーレ達の他に連絡をしようとしたが、全く繋がらない。遠距離から念話を飛ばしつつ連絡しようとしても、誰もその念話に干渉してこない。

 

「どうだったんだよ。風鳴先輩は無事なのか?」

「レイナーレ達以外のメンバーと連絡が取れない」

「そんな…翼さん、奏さん…まどかちゃんのみんなとも。

一体何処に転移されたのかな…」

「私以外の艦娘達も、訳もわからずに飛ばされてるなら…」

 

クリスと響は連絡が取れてない翼や奏を心配し、浜風も無人島にいた仲間側の艦娘も飛ばされているのではないかと落ち込んでいた。

 

「家に帰ったら船にいる秋瀬とはまた連絡するからな。

船の中にいる仲間も心配してるし」

 

正輝含め一緒にいる4人と、今さっき連絡してきたレイナーレ達の他に、船にいない仲間達が一体どこへ転送されたのか。

今の現状では皆目検討がつかない。

 

ーーーー頼む、みんな無事でいてくれ

 

未だ行方知れずの仲間とは連絡が取れないまま。

今の正輝達には、無事を願う他なかった。

 

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