Justice中章Ⅱ:蠢き轟く脅威と去り逝く者達   作:斬刄

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6話開幕(正輝ルート)

フェイトの家は海鳴の方へ引っ越しており、転居した場所へ向かっている。

なのはの家から少し近くのマンションに移動し、家には前に戻ってきた時と同じようにアリシアとプレシアが家にいた。

 

「あ!おかえりー!」

「ただいま、アリシア」

 

玄関では、待っていたアリシアが元気にお出迎えしてくれている。

フェイトに飛びかかって抱き締めている。

 

「ただいま…って言いたいところだが、帰って早々大変な事になったな」

「おかえりなさい。

話す前に食べましょ」

 

プレシアは着ていたエプロンを脱ぎ、リビングで一同食事した後に話すこととなった。

 

*****

 

「…なのは、聞こえてる?」

『うん、大丈夫だよ。

こっちも準備できてる』

 

 

夕食を食べ終えると、今晩襲撃された件で話していく。フェイトはレイジングハートとバルディッシュで通信を繋いでいき、ここまでの話を初めていく。

 

「じゃ…今からここまでの経緯を話していこうか。それじゃあなのは達の方から」

『えっと…夕方頃かな。フェイトちゃんと話してる最中に結界が張られたの。

 

話をしよう呼び掛けても聞いてくれない様子だったから、ひとまず体力を減らした後にバインドで何重も拘束して。

それで、フェイトちゃん達を待ってたら…すぐにその子の仲間が二人来て』

二人が話してる最中に結界が張られて、魔導士の一人がなのはの家へ襲撃されたことを説明していく。

 

(なのはが、ヴィータを返り討ちにしたのか…)

「それなら戦闘の映像はあるのかしら。

確か、嶺さんに改造を施してもらっているなら出来るはずよ」

『はい、レイジングハートとバルディッシュに撮ってあります』

ユーノがそう言うと、二つのデバイスが魔法で映像を展開し、四人の守護騎士達の姿を見せていく。

 

「母さんは何か知ってる?」

「…この魔法陣、ベルカ式ね。

持っている本も知っているわ」

『ベルカ式?』

 

プレシアは研究員だった頃の資料を取り出し、歴史に関する厚い本を持ち出す。過去にあった事故や、彼女が民間事業で働いていた間に調べていた魔法陣を開いて見せる。

 

「私達が使っている魔法には2体系あるわ。

まず私達が主に使うミッドチルダ式…省略してミッド式っていうのはミッドチルダで開発された魔法。なのはちゃんと娘のフェイトのように射撃・砲撃が主に使われているの。

 

もう一つの魔法は、四人が使っていた魔法はベルカ式と呼ばれている。対人戦闘に特化させたデバイスで、彼らの剣やハンマーのような近接系のデバイスを使うのが主流よ。

特にベルカ式カードリッジシステムはデバイスにカードリッジを差し込みつつ、それを炸裂させて瞬間的な威力強化を施すの。

 

昔は2体系の魔法を魔導士は使用していたのだけれど、ベルカ式は先天資質の依存、カードリッジシステムの扱い辛さとベルカの崩壊によって衰退していったわ。

 

そしてカードリッジシステムを扱える魔導士は、騎士と呼はれているの」

「あの弾丸…やっぱり一時的に魔力を高めていたんだ」

「端的に言えば、ミッド式は遠距離のバランス万能型で汎用性の高い魔法。ベルカ式は近接戦が主だけれど、扱いは一人一人の技量によるわ」

 

二人は、シグナムとヴィータが技を行使する度に、デバイス内にある弾丸を込めることで魔力を高めさせていたのを思い出す。

 

「ならさぁ、あいつらが持っている本っていうのは?」

「闇の書…持ち主と世界に破滅を呼ぶとされているわ。ジュエルシードも集めれば危険だけれど、それより強力なロストロギアなの。

時空管理局が危険視するくらいにね。

 

それにしても何でこんなものが地球にあるのかしら…」

 

ジュエルシードだけではなく、闇の書も地球にあることにプレシアは動揺を隠せない。

 

『破滅って…それじゃあ覚醒したら』

「全てのページが空白で、項目を集めていくことで闇の書の主人に力を得る。

覚醒の為には…なのは達のような魔導士を襲うことでリンカーコアの魔力を得つつ、ページを増やないといけない。

そして、覚醒したと同時に地球が滅ぶ。

 

主人がそれを望んでいるなら、こうして守護騎士は動いているみたいだな」

「じゃあ…滅ぼす為に動いてるの?

主人の為に私達を」

「シグナムって人は為さねばならないことがあるって言ってたけど、主人の覚醒をさせて世界を滅ぼすのが目的…なのかな?」

「…本来は4人とも闇の書のプログラムだから、感情はないはずなのだけれど」

 

プレシアに続いて、正輝も説明していく。闇の書のことについて聞けても、なのは達は釈然としない様子だった。

 

「…本当に滅ぼす気なら、手段は問わないと思うがな。

もしくは覚醒後のことを全く知らない、か」

 

原作通りに真っ向から襲撃し、四人とも闇の書を蒐集しようとしてきている。襲撃を仕掛けた時には四人とも蒐集に焦っている様子もなく、冷静な判断で撤退していった。

 

「そういえば、正輝アンタ…アイツらのこと、知っていたのかい?」

「ん…まぁ一応はな。こっちの仕事上で深く関わることになりそうだったし。

 

事前には調べてはいたんだが、正直こんな形で関わることになるとは思わなかったからな」

(守護騎士や闇の書については、原作を見て知ったなんて言えねーからなぁ…)

「それと闇の書の守護者らしき女を一人、二人組の仮面の男がなのは達の戦闘を隠れて見ていたんだ。

 

捕縛はできたんだが、あの無人機達に邪魔されて逃げられてしまったよ」

 

闇の書の四人だけではなく、仮面の男についても説明していく。

 

 

「それじゃあ…あの機械達や黒い子達も闇の書と何か関係が」

「違わなくもないが…えーっと、無人機や黒い子達に関してはまたこっちの問題だ。

闇の書とは間接的に加担している」

(あの場で協力していた以上、闇の書が綺羅達と絡んでいるのは間違いなかったからな)

 

守護騎士達がなのは達に返り討ちにされる事を予測し、タイミングよく乱入してきた。

闇の書の覚醒には助力してはいるものの、

 

「…皆さんは、正義側の事についてはまだ言ってませんか?」

「?アタシらは聞かされてないよ」

『私達は嶺さんから大体のことを』

 

なのはの方は家族の身に危険が及ぶとのことから嶺に何があったのか根掘り葉掘り聞かされているのが、

 

フェイト達には、未だに正義側の事象は何も分かっていない。

 

「あー…フェイト達には遠ざけさせたからな」

「正輝、いい加減話した方が宜しいのでは?

家族にも、現状を知っておかなければまた危険に晒されてしまいますよ」

『うん、フェイトちゃん達の為にもその方が良いと思うの』

 

正輝はアリシアとフェイトの顔を見つめる。

試練編に巻き込まれ、危険に晒されてもフェイトの家族は正輝を信じてくれている。

(確かに、もう何が起こるか分からない…か)

「ここまで関与している以上、黙っておくにはいかない。

 

 

なのはの方は既に姉さんから聞いてるみたいだし…俺達のことも話そう。この問題は、闇の書だけじゃなく俺達の抗争にも関与している」

「抗争?」

「今俺と姉を含めて4人いるんだ。

一人は味方なんだが姉と同様に連絡が取れてない。残りの3人のうち2人が今敵対してて、闇の書の騎士達と結託している可能性が高い。

もう一人は…麻紀を覚えているよな。

あいつんところの中に響の知り合いがいるんだが、そいつとも連絡が取れなくてな。

もう何やっているのかも検討がつかなくなっている。

 

敵は同じ正義側もいれば、敵対している組織も実在している。そして、ここに来るまでにもう一つ新たな陣営が俺達と相対している。

 

組織絡みだと管理局含めて5つどもえの状況だ」

正輝含めた正義側の6人のことについて話していく。ロープ達もまた掻き乱して圧倒的な力の差を見せつけられた事も。

 

介入して早々、闇の書よりも現状が一体どれほどまでに危険なのかを。

 

「…正輝達も大変だったんだね」

「問題はそれだけじゃない。さっきも言ったが、俺達以外にも仲間が大勢いたんだけど逸れている。6人の居場所と安否確認は取れたんだが…それ以外は。

 

今やれるとしたら、俺達は逸れた仲間と合流する事を最優先にやる」

 

悪い現状に重苦しい空気が漂っている。正輝の話を聞いただけでも、頭が痛くなりそうなものばかりだった。

 

正輝の着信音が鳴り、画面には秋瀬の名前が表示されている。

 

「ちょっと席を外す。拠点にいる仲間が心配しているから電話してくる。

 

詳しい説明は俺と一緒にいた4人に聞いてくれ」

 

そう言って正輝は外に出て、或に電話していく。既に時間は9時過ぎになっており、無人島を襲われてからずっと考え事ばかりで心身疲れていた。

(気が滅入りそうだな…)

『あぁ、やっと繋がったよ。全員が転移される事はなかったみたいだね』

「秋瀬か。

すまんな、連絡が遅くなって」

『うん、急に消えたからびっくりしたよ。

君達がいなくなってから何があったのか説明してくれるかい』

 

強制転移されてから誰もいない海鳴市のこと、なのは達の世界に転移されて以降の襲撃について現状を話していく。

 

電話越しに聞いている彼はずっと黙り込んだままで、ようやっと説明を終えると

 

『…これは裏で誰か動いてるのは間違いなさそうだね。この様子だと今後も、混戦状態は避けて通れないみたいだし』

「まぁ、だろうな」

 

管理局だけではなく他の陣営にも襲撃される事になったら、この少人数でフェイト達を守りきれるかどうか不安でもあった。

 

「それで…ちょっとメディアに代わってくれないか?フェイトの家族絡みで大事な頼みをお願いしたいんだが」

『うん、ちょっと待っててね。

今から呼んでくるから』

 

そう言って或は電話から抜け、しばらく待つとメディアへと交代する。彼女にこの世界に強制転移されて以降の出来事と、今後出てくる外敵を説明し、交渉する。

 

『…それで、貴方が不在だったら代わりにフェイトって子の家族を護衛して欲しいですって?』

「色んな連中が俺達を狙う以上、フェイト達も危険だ。母親のプレシアだけじゃ、子供を守りきれないかもしれない。

 

そこで何人か、フェイトの家を任せるかもしれないって考えてるんだ。魔術のことに長けてるキャスターなら、拠点の防衛を一層強くできる。

敵が襲撃したら、外をプレシアの傀儡兵と竜牙兵の召喚で徹底的に守りに徹する。マンションの正面を佐々木に、宗一郎が近くでキャスターとフェイトの家族を護衛する。

 

今のところ、三人か。本当にやばくなったら俺からバーサーカーとイリヤにも頼む。

 

今から、家族写真を送るからな」

 

正輝がフェイトとアリシアの写真を見せると、急に黙り込んでいる。同じ格好で、一緒に買い物している姿は彼女を魅了させていた。

 

この船にいるキャスターと宗一郎以外は誰も知らないが、隠し部屋(アルトリア専用)を持っている彼女の好みにどストライクだった。

 

「おい、メディア?なんか返事がないけど…」

『二人とも可愛いぃ…小ちゃくて、健気で、衣服をペアルックしているのとかもう尊いわよもぉぉっ』

「は?えっ…?」

『ご家族と仲良くなった暁に、二人にはセイバーと同じようにふりふりドレス、ゴスロリ、コスプレ、アイドル衣装の着せ替え放題…ウフフフフ』

 

小声で調子づいた声色が聞こえている。

その声に不審に思いつつも、彼の声が届くのは少ししてからだった。

 

「お、おーい…キャスター?

俺の声が聞こえてるか?」

『ハッ…んんっ!い、いえ。何でも無いわ…そう、何でも無いもの。

いいわ、引き受けるわよ』

「お、おう。まぁそれなら頼んだぞ。

くれぐれも失礼のないようにな?」

(ほ、本当に大丈夫なのか?)

 

メディア達がフェイトの家族を守ると約束してくれた事に安堵はするものの、この交渉が返って彼女とプレシアの趣向が意気投合させ、フェイトとアリシアに色々と着せ替えていくのをまだ知らない。

 

正輝にも、その影響を諸に受けることにも。

 

*****

 

12/3 朝方頃

 

「俺が先にご飯作っておいたから、2人とも通学の準備だけでいいぞ〜」

「「はーい」」

 

アリシアとフェイトは学校へ行っており、しばらくの間は護衛の為に子犬モードのアルフを鞄に入れつつ連れて出かけている。

今のプレシアは在宅勤務で働いており、彼女の個室でテレワークとリモートを使いつつ働いている。

 

正輝達は朝食を終えた後、別の部屋で今後ことについて仲間と会議を設けていた。

既にゼロの通達で闇の書の主人の家、海鳴市全域の情報を受け取っている。

 

集めたのは、1stが牛耳っている地域全体のことで話をすることとなった。

 

「えーと、私達は外に出ては行けないのですか?」

「不用意な外出はダメに決まってるだろ。出歩いた途端、あの結界が展開されて1stが用意した無人機が襲撃してくるから」

「そんな〜」

「戦闘中とはいえ、すぐに駆けつけてきやがったんだ。あのタイミングで助けにくるなんて対応が早すぎるしな。

黒い女共もさっきみたいに加勢してくるかもしれねーし」

響とクリス、浜風の3人は外に出ないように滞在している。理由は1stが街中の監視カメラで発見し、速やかに機体を転移させて襲ってくる可能性があるからだ。

 

「クリスさんと響さんの二人は、変身するには聖詠を歌わないと戦えない…でしたっけ?目視して敵を発見する前に特定されたら、結局狙い撃たれてますしね」

「だから、アタシらは家にいろってことだよな?」

「そーいうこと」

 

響達が歌おうと変身すれば、すぐさば声に反応し、1stが大量の無人機を送り込むのは目に見えている。歌っている位置を特定されて、不利な場所へ追い込まれてしまう。

 

「でも、たかだか歌っただけですぐ反応するもんなのかよ。

大丈夫なんじゃねーのか?

実際なのは達を助けた時だって、あの連中が駆けつけたのは後からだったろ」

「試練編前まで俺達はずっと監視されてたんだ。聖詠を音の探知機(ボイスセンサー)で特定するなんて造作もないからな。

 

今回のは緊急で助けに向かったけど、今後は聖詠した時点で1stに特定、即襲撃されてしまうってことも考えておけ。

聖詠を歌って装者に変身することもでき、その上なのは達を守れたのはそこまで徹底してなかったんだろう。

 

 

かといってこの家にただ籠るわけにもいかないし…散り散りになった仲間が助けを求めたら、シャドーを送り込んで向かわせる。

 

ゼロからの地図も貰っておいたし、早速確かめるぞ」

 

ゼロから各種罠のデータが送られ、それを確認すると至る所に大量の罠が貼られていた。検問、爆破、強制結界と街の中にはそこら中にに罠が貼られている。

 

「マークが沢山あるんですけど。あの時みたいに無人機体が沢山出現したりするんですか?

だとしたら…」

「それもあるけど、全部1stが街中に用意した罠だ。公共に置かれてる監視カメラも、1stが干渉している。

 

情報を提供してくれるだけ有り難いが、それでも目が回りそうだ…考えながら眺めてるだけでもすげぇ気持ち悪りぃって」

「それじゃあこれって、全部罠なんですか⁉︎」

「逆に何だと思ってたんだよ……」

「その、てっきり出てくる無人機の種類かと」

 

クリスが呆れながらも響にツッコんでいく。

正輝は膨大な量の罠を見て嫌気がし、気分が悪くなりそうにもなった。街を散策して情報を得たり、助けに行こうにも罠を掻い潜って進まなければならない。

 

罠は罠でも響の言う通り無人機の兵隊達が配備し、戦闘中に横から割って入るなんてこともあり得る。

 

「…まぁ、そういう捉え方もできるけどな。

本当に配置まで無人機を用意するくらいなら飛行可能な機体なっていてもおかしくない。

 

無人機も確かにあるかもしれないけど、対地砲・対空砲の設置、超至近距離での散弾、輻射波動、その他諸々…設置する箇所がわかっただけで、どの罠が飛んでくるかは分からない。

 

いずれにしても何の対策もなく外に出たら確実に襲われる。罠が発動した時に気づけても、判断が遅かったら奇襲をされてしまう。

防御も、回避もできないからな」

「にしたって、このマークの量は流石にヤバいだろ…」

「通り道全部、確保されてやがるな。

俺達がここに来る前から予め用意してたんだろ」

 

橋も路地裏も、必ず通っていく場所全てが1stのテリトリーになっていた。管理局が転移してくる場所も、発見次第で速やかに排除できる。逆に、そうしなかったらなのは達や他の市民達が管理局員に襲われた可能性だってあったかもしれない。

彼が一概にこの海鳴市を守っていたのは本当のことだが、ここまで徹底して守っているのは彼の幼女好きな面と彼女らの住む街を徹底死守している。

 

「罠の位置は大体把握できた。

それでも仲間との合流は、当分時間がかかりそうだな…リスクは大きいけどやっぱ一気に1stを叩くしかないのか?

うちの姉がいつ帰ってくるかわからねーし」

「正輝さん。罠が幾らあっても全部を確認するのは流石に無理だと思いますし…突破口の目処はあるのですか?」

「いくら厳重にしても一人で全てを管理するなんて到底無理だ。この包囲網をたった一人でやっているっていうゼロからの情報はかなり大きい。

 

いろんな場所と同じ時間で撹乱させているタイミングで、久野本人を討つことが可能だ。

ただ、その方法だと1stを直接叩く役と複数で暴れる役が必要になる。

それに…突破口の目処かぁ…」

ゼロからもらった情報はかなり有意義なものだが、問題は1stの打破をすぐにやるかどうかだけ。

 

「えぇ。撹乱させるにも今の私達だけでは人数が足りませんし、決行するにも相手の本拠地が分かればの話です」

「そうなんだよなぁ…予想としてなんだが、あの騎士達の対応がかなり早かったのが気になってな。なのはとフェイトを手早く守る体制を用意するなら、海鳴市の市民街に隠れ潜んでいる可能性が高い。

 

後は殺者の楽園がいることと、どこまでロープ陣営の連中が絡んでいるかだな。

ロープ陣営も、楽園も一体どこを隠れ蓑にしてんだか……そこんところも地道に探すしかないか」

 

作戦が立てられていない以上、街中を闇雲に探そうとすれば設置された通りの罠に嵌り、仲間探しも碌に出来ないまま、探しているメンバーとまで散り散りになってしまう。

 

「なのは達を襲ったあの連中も、散らばった仲間を襲撃する可能性だってあるし…あークソっ。

ホントどうしたもんか」

「あの、本当に敵が多過ぎますね…」

「本当に…全く以ってその通りだ浜風。

いつ何が起きてもおかしくない。

やっぱ1st打倒は現状無理そうだな…仲間を助けるときは、罠を掻い潜ってでも向かう事になるだろうし」

 

今のところは離れ離れになった仲間探しを地道にするしかない。久野が仕掛けた罠であっても、街に出て助けに行くことも考えなくてはいけない。

 

攻める事もできず、防戦一方になるしかなかった。

 

*****

 

12/3 夕方頃

 

「ただいまー」

「おう、お帰り」

 

学校帰りのフェイト、アリシア2人が帰ってきた。

プレシアは料理中で、それを正輝達は手伝っている。

決戦編の間は、終わるまでは正輝だけが船に戻ることができない。仲間も戻す際は、かなり近い距離でないと船に戻すことができなくなっている。

 

仲間を船に転移させないのは、正輝一人だけでは守りきれないから四人はこの家に留まっている。

 

「あのね正輝…昨日のことで話したいことがあるんだ」

「ん?どうした、フェイト」

 

二人とも学校の制服から私服へと着替えると、アリシアは元気よく母親に飛びつくが、フェイトは正輝の方に近づいてきた。

 

「学校で、なのはの友達から聞いたんだけど。

その、もしかしたら…すずかの家に正輝さんの仲間がいるって。

桜さんと、ライダーさんって人なんだけど」

「…それ、本当かフェイトっ⁉︎

さっき言った二人の他に、誰か無事なのか教えてくれないか!」

 

正輝が料理の準備をしてた手を止めて聞こうとした直後に、ドアのインターホンの音が鳴る。インターホンの映像機に近づくと、見知らぬ女子中学生が映っていた。

 

「何つータイミングで…」

「ねぇ正輝、彼女は知り合いなの?」

 

不安げなプレシアが正輝の顔を向ける。

テレビドアホンの音を無視しても、彼女はなかなか離れようとしない。必死にインターホンのボタンを何回も押し、鳴らしてばかりだった。

 

「…何回も鳴らしてるようだけど」

「ったく、しつこいな…俺が出る。

フェイトはさっきの話を四人に伝えてくれ」

「わかった」

(悪戯か?)

 

正輝は玄関のドアを少し開け、覗き込むように彼女を直視する。ドアの前に立っていた女の子が、グイグイと押しかけてくる。

 

「…あの、何の用で「こ、ここに来れば助けてくれる人がいるって教えて、もらったんですっ‼︎私、命を狙われて」は、えっ…?」

 

彼女は必死に助けを乞おうとするも、情緒不安定のせいか彼女の言葉が良く聞こえない。

 

「ち、ちょっと。支離滅裂で何言ってるのか全然分からないから落ち着いて」

「は、はい…」

「とりあえず助けてもらいたくてここに来たってことだけは分かりました。それじゃあ、警察や市役所へは行かなかったんですか?」

「…行きたくても、行けない事情があるんです」

「命を狙われてるんですよね?それだけで十分理由になると思いますが…言えない事情でしたらどうして見ず知らずの私達に直接助けを求めるんです?」

 

彼女は、気まずい顔で質問を返していく。

正輝からしたら助けて欲しいのか欲しくないのか、よく分からないように感じ取っていた。

 

「た、協力してくれた人がこの建物の階の人なら助けてくれるって」

「じゃあその協力してくれた人が誰なのか教えてくれますか?」

「ごめんなさい…誰か分からなくて」

「証言、証拠でも良いです。

一つでも特徴のある話し方だったり、録音機で声を保存していたり証明できるものってあります?」

 

助けてくれと言った言葉も、本当なのか分からない。せめて何か証明できる物を託されているのなら、入る余地もあるのではないかと。

 

「…その、持っていません。

声も男なのか女なのかよく分からなくて」

(え、マジ?

コイツ本当に助けを求めてるのか?)

 

その返事で彼女に対して信用することができなくなった。

 

「…すみませんが、助けてもらいたくてなんて言われても貴方を助けた恩人のことについて何か手がかりがないと助けようがありません。

 

そもそも、接点のないあなたがウチに助けを求めてるのか全く意味が分からない。市役所や警察がダメなら、責めて他の公民の施設に訪ねればいいと思うのですが?

もっと言えば探偵事務所にでもいけば親切に相談にのってくれますでしょうし、なんなら私から電話しましょうか?

 

それくらいなら出来るかもしれ「で、電話するのだけはやめて!」え…?いや、なんで電話したらダメなの?」

「その…電話されると、私の居場所を特定されちゃうから」

「…いや、どうして特定云々になるんです?

それともストーカー被害のような尾行の被害とかあっているのですか?」

 

また彼女は、気まずそうに黙ってしまう。正輝は微妙な反応に嫌気がさし、扉を閉めようかとも思った。

 

「…もう、他当たってくれません?

これ以上言うなら警察呼びますよ」

「ほ、本当に待って!

ここじゃないと絶対ダメなの!

守ってくれる間を居候してもらうだけだから」

「だから待ても何も、そっちが勝手に押しかけてるし。あとここじゃないと絶対ダメって…そもそもの話何でここじゃなきゃダメなのかも教えてもらえます?」

「そ、それはっ…」

「…ここにずっと居られても迷惑なんで、今日のところはお引き取り願いくれませんか?

 

せめて考えがまとまってから、またこちらに来てください」

肝心なことを聞いてもちゃんとした答えをしてくれないことに痺れを切らした正輝は、辛辣な態度で入居を断る。

 

助けて欲しいって言っておいて、誠意がそこまでない相手を家に入れる気はなかった。

 

「わ、私っ!

綺羅って人に命を狙われているんです!」

「…綺羅?綺羅って誰のこと?」

「せ、正義側の」

 

最後の返答に反応した正輝は、そばにいるプレシアに言伝をお願いする。

 

「…ちょっと出掛けてくるって俺の仲間に伝えてください。

ウチの事で関与してるみたいだから」

「そう…気をつけてね」

 

プレシアが正輝の仲間のいる部屋に向かい、正輝はリビングから外に出かける。

 

「ここだと長くなりそうだから…別の場所に移動しようか?」

「は、はいっ…」

 

正輝は彼女を連れて、近くの喫茶店へと移動する。1stが貼っている罠が仕掛けられてない道へ移動し、遠回りしつつ店に入っていく。

 

「で、名前は?」

「西園寺世界です」

「…一体何があってこっちに助けを求めた?

綺羅に何をされたんだ?」

 

事情を聞き、何をされていたのか聞く。逃げ出すほどだから、酷なことを要求されていたのかと思っていた。

 

「無理矢理連れてこられて、働かされたんです」

「…ふーん。

働かされたって、具体的には?

嫌がらせとかされたのか?」

「か、家事全般っ…嫌がらせというよりは圧迫した感じに脅されて。

嫌々ながらもやってました」

「それにしたって外見から見て至って健康そうだけど、酷く働かされているようには見えないんだが」

「脱出したのは3日後だったので、身体を壊す前に逃げ出せました」

「…そう、成程な。

すぐに逃げ出せたってわけか」

「はい…」

(家事で逃げ出すか…いやまぁ余りに細かすぎるところまで徹底してやれって言われたらなくはないが)

 

家事を2.3日程度で逃げ出すかとおも疑ったが、敢えてツッコむのを黙っておいた。

アーチャーこと黒沢よりも繊細なことまで過度の要求をされて、耐えられないなんてこともあるかもしれないと言及せずそのまま彼女の話を聞いていく。

 

「それに、その…私、新しい命を宿してるんです。いくら言っても、あの人は聞く耳を持ってくれなくて」

「…は?えっ?ち、ち、ちょっと待て。

いきなり何?新しい命?ドユコト?」

 

そう言った彼女はお腹を手でさすり、そうなった経緯を聞いていく。

 

「んー…えーっとつまり、そのなんだ。

お腹に子を宿してるってこと?」

「はい。

私だけじゃなくて、お腹にいる子にも危険に晒されて…暫くそちらに同居させて頂けますか?」

 

彼女は正輝の質問に頷き、彼は深くため息をついた。冷静になろうとしつつも、最初に店員が落ちた手拭きを取り出して両手を拭く。

 

拭き終えた後、少し右手で顔を拭う。

拭った後にガラスコップにある水を飲み、半分まで飲み干すと、今度は軽いため息を吐きながら瞳を閉じて冷静に考えようとする。

 

「ッーツ…フーッ」

 

が、平常を保とうとしても頭の中では彼女に対する盛大なツッコミが止まらない。

 

(……はあぁぁぁぁぁぁっ⁉︎

こんな年端も行かない子が身籠ってるってどういうこと⁉︎立花じゃねぇけど言ってること全然分かんねぇよ‼︎

ああぁっ、もう、ふざけんなってホントに!こんな物騒な話を直接フェイト達に聞かせなくて良かったわマジで‼︎

家の中で話さなくて良かったわもう。

あーもうっ、いや、もう、ふざけんなよ!

こんなヤベェ爆弾抱え込んでいる女の子を船に引き入れたのか綺羅は⁉︎

この子をこんな風にした奴も大概だけど!

大概なんだけど‼︎

 

マルコと愛のカップルとかこんな話聞いたら確実にキレるだろ洒落にならねーって。

その子を身篭らせた彼氏の顔をぶん殴りたいよ。まさか時限爆弾以上に凶悪な厄介毎抱えた人が飛び込みで来るなんて…こんなのいつ爆発してもおかしくないって。

 

…まぁ、一応外見で判断しちゃいけないし念のために聞くか)

 

頭を抱えつつも、何かしらやむ終えない事情で複雑な関係になったんじゃないかと深読みしつつも質問した。

 

「…えーと、歳はいくつ?」

「じっ…16歳です」

「で、相手は学生か?」

「……はい」

(えぇっ…自分で何言ってるのか分かってるの?)

 

質問をしても、答えて欲しくない回答ばかりが彼女に心の中で困惑していく。本当に歪な関係を持っていて、引き気味だった。

 

(あーもう、やめだ!やめ!

懐妊云々は個人的にどうしてそうなったかすっごい気になるし、色々とツッコミたい事は山ほどあるが、ひとまず…今、この事を深く言及するのは無しだ!)

 

若気の至りでなってしまったのかもしれないが、彼女はそのことで深く聞いてほしくないと嫌な顔をしている。

これ以上その事で聞くのは野暮だと思い、本題へと話を戻していく。

 

「あーうん。もういい、その詮索は後回しにしよう。話が長くなりそうだからな…今は、ここに来るまでの経緯を聞くのが最優先だ。

同居云々もちょっと考えさせて、後から返事する。

 

それで綺羅が、お前を無理矢理船に入れたんだな」

「眠らされて。気づいた時には船の中に」

(やっぱ話聞いてもありえねーって…まず俺でなくとも姉と先輩がこんな話を聞いても、『自分は綺羅の船に引き入れてたんだー!助けてー!』なんてこと絶対信じないって。

あの二人でもこんな話されて、信じて欲しいなんて無理だろ。

つーか、冷静に考えて綺羅がコイツを入れる必要性があるのか?綺羅が攫ってるって言ってるけど、役に立たない人間は切り捨てるスタンスなんだから、絶対無視してるだろ。

てか子を患っているって言ってるのにのに船に連れて、家事をやらせるか普通?

船に入れたところで厄介毎にしかならないだけだし…身籠ってる学生を利用なんて余計に不憫なだけだよな。人質にする対象ならごく一般人を選ぶだろ普通は。

てことは消去法で…麻紀が仲間にしたのか?

 

え、あの麻紀がこの地雷女を?

マジに麻紀が仲間にしやがったのか?

それとも、もし正義側っていうのがもし嘘だったら、第三者側の殺者の楽園とかロープ陣営の連中に脅されて来たって線もあるし…マジに何がどうなってるの。

一体こいつ船に連れて行った奴は誰なの⁉︎もしかして、殺者の楽園が無理矢理連れてきたとかじゃないだろうな⁉︎

あぁ頭痛くなりそうだよもー…もう知らないところで厄介毎が次から次へと増えてるような気がするんだが)

 

突拍子もない話を聞きながらも、頭を悩ませていた。

有耶無耶に返事する彼女が、安全ということはない。彼女が被害者だと発言しても、どうにも信用できなかった。

 

「…ふーん、そう?

ならどうやって逃げ出せたんだよ」

「それは、逃げるのに必死だったから何も覚えてなくて…!」

「の割には服はそんなに汚れてるわけでも、かと言って大層な怪我をしてるわけでもない。

 

なぁ、お前本当に綺羅に狙われてたのか?」

「だから、本当に狙われてたの!」

(なんか嘘臭ぇ…)

追い詰められて懸命に事情を説明しているが、対正輝の方は全く信用などしていなかった。強張った顔で正輝に訴えて、必死に助けを求めていても厄介毎を抱えている。

 

「ここに来れば安全って誰に教えてもらったんだ?

さっきも言ったが助けてもらえる施設なんて交番とか市役所とかいくらでもあったろ。まぁ状況を聞いた感じ、半信半疑ってなるだろうけど、別にこっちに助けを求めなくとも他なら最低限の保護をしてもらえたんじゃないのか?」

「貴方が綺羅の事を知ってるなら、民間に頼んでも意味ないことぐらい分かってるでしょ‼︎

もう頼れるのは貴方しか頼れないの‼︎」

(それが人に物を頼む態度かい)

 

市役所に頼んでも意味ないのも、命を狙われて必死なのも話を聞けば分かる。怪しいと思われてしまうことくらい簡単に分かることだと思っていたが、それすらも考えられないくらい彼女に余裕がなかったのか。

 

それでも、不自然な点はあった。

 

「えっと、それじゃ逃げたのは一人?」

「そうです…はい」

「協力者が、いるなら何人いた?

姿も見せられなかったのか?」

「命を狙われているから姿は見せられないって」

「それじゃあ西園寺さんは姿も見てない相手をすぐ信用した。声も女か男かも分かんないけど、とにかく死にかけだったから生き残る為には疑う余地はなかったと」

「は、はい…貴方の言う通りです」

 

状況を見てないから、何とも言えない。彼女の言っていることが曖昧で、どうにも信用することができない。

幾ら必死でも、傷一つもないのはどうにも不自然だった。

 

(ハァ…相当頭が悪いのかぁ、コイツは。

ごく普通の女子高校生が綺羅達を相手に、たった一人で逃げ出せれるほど間抜けな訳ねーだろ馬鹿か?

自分の情報を持っていかれる前にさっさと抹殺されているわ。

仮に協力者がいたとして、この女がここに来る事をどうして俺へ事前に話を通してすらいなかった?

こっちまで来てるってことは協力者が優秀だったとか?自分の命を狙われているのなら、俺の目の前にいるこのヤバい女は命を賭けてでも守らなきゃいけない程の大事な人だったってこと?

 

でも話を聞く感じ…なーんか辻褄が合わないんだよな。

 

コイツの言う通り通信や念話の傍聴がされてのを恐れてるなら…文字を浮かび上がらせたり、ライトで文字を見えるような細工を仕込ませた手紙を送るとか。そんなにコイツが自分を危険に晒してまで本当に大事なら安全な所に連絡する手段なんて幾らでもあったろ。

本当に優秀ならそれくらいは考えるだろうし、それとも綺羅に見抜かれて何も準備できなかったとか?

 

…そもそもの話、綺羅がごく普通の女子生徒一人を見過ごすようなポンコツなら誠司と蒼海が死ぬ事だってねーんだよ)

 

正輝は拙い話を聞きながらも、余りに彼女にとって都合の良い盛りに盛ったような気がして長々と彼女の言い分をに呆れた返事をする。

 

(話聞いた感じ、総じて嘘吐きとしか思えなくなってきた…証明するものなく海外に学校を作ってましたって言ったくらい相当酷っでぇわ。

 

黒寄りなんだろうけどさ…確たる証拠がないから確定じゃないし。かといって命を狙われてるのが本当なら見過ごすのはちょっと不味い気もするし)

「あーもう分かった、よく分かった。

ちょっと空き部屋を用意しておくよう交渉してくるから、ほとぼりが冷めるまでは暫くそこで大人しくしとけ。

こっちも忙しいんだ。

熱りが冷めるまでは部屋には出るなよ」

 

命からがら逃げ出せたにしても、衣服は多少汚れているだけで大怪我を負ったわけでも無い。

かと言って本当に被害を被っているが本当なら、後日狙われて殺害されるなんてこともありそうだと頭を悩ませている。

 

ーーーましてや、海鳴市に身元不明の女子高生の死亡遺体なんてニュースで流された日には、相当気が滅入ることになる。

 

(『後日、また来てくださいって言って追い出す』っつーのは逆に悪手になってたかもしれなかったしな…)

 

考えた末、折衷案として決戦編が終わるまでの間はプレシアの庭園にいる事を勧めるしかなかった。

その場所なら誰かに命を狙われることなく、落ち着くまで身を隠すことができる。

しかし、

 

「大人しくって…そんな簡単に!

これだけ貴方達の家に同居させれもらえますかって頼んでいるのに…それを空き部屋って…こっちは真剣なんですよ⁉︎真面目にやって下さ「そんなにも不服か?」ツッっ…⁉︎」

 

彼の提案に対して、彼女は反抗的だった。

望み通り狙われる事のない場所を用意したことで安心するかと思っていたはずが、別の場所に住むことに納得できない様子でいる。

 

「事情も、命を狙われて必死になるのも分かった。だから、こっちもできる範囲で保護する。

 

悪いが話を聞いても、マンションに同居させることはできない。だからといって、部屋は部屋でも特殊な場所だからよっぽどのことが起こらない限りは誰かに命を狙われることもないだろう。

 

アンタとアンタのお腹の子は俺達が守る、そこは信頼してくれ。

 

それでも以上喚くようなら…お前を危険人物として強引に牢屋に幽閉せざる負えない」

「わ、私はただこのマンションに同居させてもらいたいだけで!」

「【被害者】だから助けてくれと宣いてるようだが…俺側からしたらあくまでお前は面倒ごとを押し付けてきた【厄介者】か、【容疑者】でもあるからな。

 

そもそも何で同居してもらうことに固執している?不安だから俺達に守ってもらいたいのか?」

 

正輝が彼女に敵だということは言わないのは、確たる証拠がない以上、彼女を力づくで脅すわけにいかなかった。

正輝側からしたら、彼女が本当に敵かどうかはまだ決めれることじゃない。

 

「気持ちはわかるよ。こっち(正義側)の揉め事に巻き込まれて、命まで狙われてるのが本当だったのなら情状酌量の余地はあるのかもしれないしな。

 

でも、俺からはお前の発言も信用できかねないし、安全な人間とは言い切れない。

納得できたなら、もう黙っていた方がいい。

お互いの為にも。

 

でも仮にもし…凶器とか隠し持ってたり、それを使って脅すようならそっから先はもう言わなくても分かるよな?」

(コイツが敵だっていう線もある。

そん時は誰の差し金かは知らないけど、その場合は俺達を陥れようとする敵ってこともあるなーこれ。

…被害者面して、同情買わせるなんてことも)

 

正輝の脅しに、彼女の顔が少し青ざめたように見えた。

マンションに同居したいって願っていても、そんな不透明な言葉ばかりの返事でフェイト達と一緒に住まわせるなんてこと正輝でなくともプレシアも許せるわけがない。

 

「それで、他に聞きたいことはあるか?」

「その…探している人もいます。

ルークって男性はご存知ですか」

「…ルーク?知らんな」

「そ、そうですか。

赤髪の長髪と緑色の瞳をした男性の人です。

見かけたら連絡をお願いします」

 

彼女は、正輝に人探しのことまで頼まれた。

写真を取り出し、それを見せていく。

若い男性で赤い長髪が写っており、現代人のような服装ではなかった。

 

「…少し外に出る、暫く待ってろ」

 

店から出る前に小声で、シャドーに指示を送る。

 

「…シャドー。西園寺世界って女を…当面の間監視しろ。ナイフとか凶器を持たせてる可能性がある。

 

監視役として4体くらい配置につかせる。

不審な動きがあれば、すぐ取り押さえろ」

『了解しました』

(アンタとアンタのお腹の子を守るって言ってるのに、何で少し残念そうな顔をした?

…母親なら子供を守ってもらえることに喜ぶだろ普通は、どんな感性してんだ?)

 

世界に信用してくれと言っても、正輝自身は彼女に対してはほぼほぼ信用していなかった。

何処までが本当で、嘘なのか。

 

確証が余りに無いから、聞くだけ聞きつつ行動を様子見していくしかない。

 

用件を聞いた分身達は椅子やテーブルといった影に散り、正輝は喫茶店から出る。その店から少し距離を離し、正輝は頭をかきながら携帯を開いていく。

 

(問題が山積みで本当に頭痛ぇな…マジで姉さん早く来てくれ。

つーか連絡したい。 

もうなんか悪い予感しかしねーぞ)

『…プレシア、ちょっと良いか?』

『何かしら』

 

開いた携帯を操作しつつ、今度は念話でプレシアにある頼み事をお願いをしていく。

 

『時の庭園の部屋を貸してもらって良いか?

さっき来てた女と話してみたんだが、フェイト達と一緒にいるのは危険だと判断した。

 

かといって強引に追い出すのもな。様子見ってことで、当面の間はシャドーで監視する』

『…えぇ、それなら部屋の確認をしておくわ』

『ありがとうございます。どういう話をしたかについては、部屋に入れてから二人だけで話しますね。

 

フェイトとアリシアに聞かせるのは、余りに酷すぎるから』

 

プレシアのお願いも終え、最後に携帯の連絡先に登録している人物に電話をかける。証拠が無いのなら彼女の口から、証言をして貰えば良い。

 

「あー…もしもし俺だ。

ちょっと頼みたい事があるんだがいいか?

今日すぐに取り掛かるわけじゃないが、ちょっとした準備をして欲しいんだ」

 

正輝は電話をかけた。彼女が安全かどうかグレーな相手に対して、善悪の選定が可能な仲間にいる。メディアでも可能だが、彼女にはフェイト達の護衛と陣地の防衛を強化する仕事を既に任せている。

 

正輝が電話で頼んでいる相手は、

 

『ヤハリ申告サレタ通リ、電話シテキマシタカ。用件ハ女子高生ノ虚言ヲ見抜イテ欲シイトイウオ願イデスカ?』

 

西園寺世界の口からボロを出させる為に欠かせない人物だった。

 

 

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