ウマ娘 オルタナティブダービー   作:白兎のシロ

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第1章-2「始動」

「大隊長……あんな人じゃなかったのに…」

大隊長が去った後、ネイチャがポツリとつぶやいた。確かに大隊長の行動には、不可解な点が多かった。まず、大隊長は人間に対して友好的なウマ娘の一人だ。そんな大隊長が人類殲滅なんてするはずがない。さらに

大隊長が離れ側に言っていたことも気になる。とりあえず、やよいさんに相談しないと…

「やよいさん、さっきのやりとり聞いてたですよね。緊急事態です。出てきてください。」

そう言うと、僕がいつも使っている仕事机の下から、「ゴツッ」と頭をぶつけた音が聞こえた。

「あ、大丈夫ですか、やよいさん。」

机の下に駆け寄り、やよいさんが出るのを手伝った。

「そ、組織長!?ど、ど、どうしてそんなところに…?」

とても驚いた様子で尋ねるネイチャに対し、やよいさんは誤魔化すように早口で大隊長の県の話を促した…

「細かいことは置いておいて、とりあえず今後の方針を決めよう!」

やや納得のいかなそうなネイチャだったが、ことの大きさを考えてそれ以上追求しようとはしなかった…明日の首脳会議の予行演習中にネイチャがきたから、咄嗟に隠れてしまって出るタイミングがなかったなんて言えないよな。そう考えてちょっと笑いいそうになってるとやよいさんから睨まれた。

「そういえば、マスター。離れ側に大隊長からなにか言われてませんでしたか?」

ブルボン、ナイス!後で何か奢ってあげよう。

「そうだった。実は……」

大隊長から言われたことを伝えると、ネイチャが猛反対してきた。

「絶対それは罠だよ。大隊長のこと私はもう信じれないよ。だって、カケルに殴りかかったんだよ!」

僕もネイチャの言うことは一理あると思う。だけど、離れ際の大隊長の様子が一瞬だけ元に戻っていたのが気になる。

「私は、行くべきだと思う。今回の臨時小隊にはマルゼンスキーがいる。ルドルフが彼女に頼るときは、いつも自分では解決できない何かがある時だった。

やよいさんは大隊長との付き合いがこの中で1番長い。それにマルゼンスキーさんも大隊長からとても信頼されていたからこの話は本当だと思う。

「私は、マスターの選択に従いますよ。たとえ火の中水の中、どこまででもついていきますよ。」

ブルボン…なんかちょっとかっこいいじゃん…

「やっぱり、大隊長がわざわざ名前を言い換えたのには意味があると思うし、とりあえず行ってみないと何も始まらないと思うんだ。だから、スぺさんたちのいるアトランテに行こうと思う。いいかな、ネイチャ?」

そう言うと、ネイチャがやれやれという感じで納得してくれた。

「ただし、絶対無茶しないでね。」

「わかった、約束するよ。」

いつも心配かけてるから今回は本当に気を付けよう。

「よし、方針が決まったな。ではさっそく行動しよう。いくぞ!」

「「「おー!!」」」

 

「とりあえず、私は狙われているからあまり目立った行動はとれない。よって格納庫に行って移動手段を確保しようと思う。」

なら、私が護衛につきます。机の下に居た理由も聞きたいので。」

ネイチャの言葉でやよいさんの顔は急に青ざめた。

「さぁ、早く行きましょう。」

断る理由が見つからなかったのか、やよいさんはあきらめてネイチャについてきてもらうことにしたようだ。

「では、また後でな…カケル…」

「お、お気を付けて……」

 

やよいさんとネイチャがいった後、僕とブルボンは、第六小隊のメンバーを探すため、祭りの屋台へと向かった。第六小隊の残りメンバーは、マヤノトップガン、ツインターボ、スマートファルコン、ハルウララだ。

「確か、ファル子はライブ、マヤノは出店の手伝い、ウララとターボは、出店巡り、だっけ?」

「そうだったはずです。ここから一番近いのはマヤノさんの出店ですね。こっちです。」

流石、全出店を制覇したブルボン、全ての出店の位置を把握しているのか!

「……右……ですね。」

前言撤回、なんか不安になってきた。

何度か道に迷いそうになりながら、やっとマヤノが手伝ってる出店にたどり着いた。大隊長の言っていたタイムリミットまでは残り五分しかない。急いで裏にまわると、丁度マヤノが裏から出てきたところだった。

「あ、カケルちゃんだ。どうしたの?マヤに会いたくなった。」

「緊急招集なので呼びに来たよ。あと、いつも言ってるけど、ちゃん付けはやめてくれ。」

「えぇ~かわいいのに…」

マヤノが頬を膨らませていた。ちょっと可愛……

「と、とにかく格納庫に向かって!詳しい話は先についてるネイチャに聞いておいてくれ。」

「…アイ・コピー。じゃあ、あとでね、カケルちゃん!」

バチコンと効果音が聞こえるくらいのウインクを決めてマヤノは格納庫の方へ向かって行ってしまった。やっぱり、可愛……

「だ、だからちゃんづけはやめろって言ってるのに……」

半分ため息のように呟いたらブルボンが肩に手を置いて言った。

「大丈夫ですよ、マスター。」

「……何が大丈夫なの…?」

そう聞くと何かを諭すように衝撃の事実を告げられた。

「一部のウマ娘たちの中でカケルちゃん呼びは流行っているそうですよ。なんなら、私も呼びましょうか?」

「……全然ダメじゃん。なんで流行ってるの?あと、絶対に呼ばないで。」

今度呼んでる人見かけたら注意しよう……

 

次にファル子のライブステージに向かっていたところ、見かけない二人のウマ娘たちが声をかけてきた。

「どうしたんですか。なにかあったんですか?」

「あぁ、ちょっとね。君たち、名前は?」

もしかしたら、大隊長の手先かもしれないので、一応名前を聞いてみた。

「今日付けで第六小隊の研修生になりました、キタサンブラックです!」

「同じくマチカネタンホイザです!」

あぁ、そう言えば、やよいさんが第六小隊に新しいウマ娘が来るって言ってた……

そこまで考えたとき、一つ失念していたことを思い出した。

「ブルボン、ヤバい。テイオーさんのこと忘れてた。」

「た、確か昨日第一小隊から移籍してきた……そうなると彼女も第六小隊のメンバー……!」

「大隊長は第六小隊で脱出しろって言っていた。しかも、昨日のテイオーさんの異動は大隊長からの提案だったってやよいさんが言っていたから、もしかしたら今回、テイオーさんが何かしらの鍵を握っているのかも……」

「テイオーさんがどうかしたんですか?昨日、部屋を訪ねた時も返事がなくて……」

キタサンブラックが、心配そうに尋ねてきた。

「君たちも第六小隊の一員だ。状況の説明は後にさせてもらうけど、緊急招集がかかってる。今は格納庫に向かってくれ。」

そう言うと、二人はより一層真剣な顔つきになった。

「テイオーはどうするんですか、マスター?」

「とりあえず、今は一番近いファル子のところに向かう。その後でウララとターボを探しながら、寮の方に向かう。」

「なら、あたしがテイオーさんのところに行きます!」

キタサンブラックが言った。

「でも、君はまだ研修s__」

「こんな緊急事態に研修生なんて関係ないと思います!それに足には自信があるので!」

そう言うと、キタサンブラックは寮の方へと走っていってしまった。

「あ、ちょっと……」

「すみません、悪い子ではないんです。あの子、テイオーさんのこととなると頭がいっぱいになっちゃって…。追いかけて止めてきます!」

「いや、むしろテイオーさんを格納庫まで連れてきてくれ。そのほうが効率もいいし。なにか困ったことがあったらこれを使ってくれ。横のボタンを押せば、僕と通話できるから。」

そう言って、マチカネタンホイザに小型の無線機を渡した。

「ありがとうございます!必ずテイオーさんを格納庫までお連れします!」

そう言ってマチカネタンホイザはキタサンブラックを追いかけていった。

「よかったのですか、行かせて。」

「あぁ、なんか昔の自分みたいでね。つい、許してしまった。二人に負けないように俺たちも頑張らな__」

 

『全人類、全ウマ娘に告ぐ。』

 

突然、放送用のスピーカーから大隊長の声が聞こえた。その放送は、大隊長が残してくれた十分の猶予が終わったことを伝えているようだった。

「急ぐぞ、ブルボン!」

「はい、マスター!」

僕たちは一刻も早くここから脱出するために、急いでファル子のいるステージへと向かった。

 

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