「おはよう」「おはよ~スピ‐」
「おっす、家芭!相変わらず乃木を背負ってご登校とは仲いいよな~」
クラスに入ると男子生徒がからかうような面持ちでそう俺の挨拶に答える。最初こそ驚かれたっもののもう慣れたのか男子は揶揄い女子は何と言うかよくわからない顔でこちらを見てくるようになった
「まぁ、なんだかんだ一番付き合い長いからな」
「そう言うのって確かおしどり夫婦?っていうんだっけか?」
「馬鹿言うなよな」
そんな軽口をしつつ園子の席まで歩いていく。俺の席はその子の後ろの席なので自分の席に行くついででもある
「ほら園子。席ついたぞ」
「わぁ~ありがとうナッキー♪スピ‐」
「全く.........」
園子を見て夏樹は呆れたような声を零すがどこか嬉しそうと言うような微笑を見せていた
「おはようございます。家芭君」
すると、園子の隣の席のクラスメイトの鷲尾須美がこちらに礼儀正しく少し硬い挨拶をする。彼女の鷲尾家と言うのも園子の乃木家のようにいいお家柄の事もあるのか一つ一つの所作から育ちの良さと言うのは失礼かもしれないがそう言ったものを見受けることができる。
「おはよう鷲尾。何度目かわからないけどもっと軽い感じで挨拶してくれればいいんだぞ?」
「そ、それは...........いえ、やはりこうじゃないといけないわ。挨拶はきちんとするのが礼儀と言うものだもの!」
「まぁ、それはそうだけどさぁ........もう6年も同じクラスの奴に毎朝堅苦しい感じにされるってのは少しなぁ」
俺は何の縁か6年間鷲尾と同じクラスなのだ。6年も同じクラスであれば必然的に顔を合わせるのも会話する数もそれなりに多くなるためによくもう少しフランクに接してほしいと伝えているのだが根が真面目過ぎる彼女はどうもいまだに堅苦しい
「うぅ.........で、でも1年前......いえ!2年前に比べれば........」
「確かにそうだけど園子程とは言わないけどもう少し肩ひじ張らないで欲しいかな」
「乃木さんは.............これで大丈夫なのかしら?」
机に突っ伏して幸せそうに眠っている園子を見て鷲尾は頭が痛そうにそう呟く。その大丈夫はきっと俺達の〝お役目〟の事だろう
「じいちゃんは常在戦場の想いで日々生きろってよく言うけどそれと同じくらい身構えてると疲れるから何事もほどほどがいいとも言ってたぞ............確かに園子は少し心配なのは事実だが」
俺のじいちゃんはここらでは少し有名だ。年は今100歳なのだがまるでそうとは思えないほどに貫録のある人で、俺の家が経営する道場の元締めみたいな人だ。結構見た目は怖いし、修行の時とかも滅茶苦茶おっかないけどそれでも基本的には優しい人だ
園子は少し気が抜けすぎな所はある..........が、これで誰よりもよく周りが見えているのが彼女だ。彼女の家の影響かはたまた天賦の物かはわかりかねるが心配と言うの口先だけの言葉だったっりする
(俺の〝目〟よりいい目してるよな園子って)
そんな事を考えていると、担任である安芸先生が入ってきた。時計を見ればもういい時間だった
「園子、先生来たぞ」
俺が肩を軽くゆすってやるとすぐに目を覚ます
「おはようナッキーいつもありがとね~」
「はいはい、そろろそ先生の話が始まるぞ」
夏樹はそう園子に伝えるとある一人のクラスメイトがまだ来ていないことに気が付く。割といつもの事なので若干忘れていたが恐らく今日もトラブルに巻き込まれていたのだろう........
「はざーっす!!間に合った!!」
そう言って勢い良く教室に飛び込んできたのは三ノ輪銀。彼女もまた俺や園子と同じお役目を背負っているのだが..........
「三ノ輪さん間に合っていません」
「イテ...........すいません.........」
空き先生は呆れた表情で軽く持っていた出席簿でポンッと叩く。
彼女は誰にでも明るく平等に接しているためにクラスの男女問わずに好感度が高い。若干男勝りな所はあるが根本が優しいためにそれも彼女の人気に拍車をかけているのだろう。
それからお俺達はいつも通り朝の挨拶に入った。それはどこの学校もさほど変わらない日常と言える。ただ少し変わってるとすれば神樹様に.........因みに神樹様についてはまぁ、凄い神様みたいなものと理解してもらえればいいだろう.......多分
そうしていつも通りに礼をしたのだが...........
「これは............」
鷲尾が驚いたように言葉を零す
何せ時が止まった様になったのだから当然だ....例えそれの〝原因〟を知っていても
その瞬間だった
突如として鈴の音が響き渡ると、視界を光と花吹雪が支配してそれが明けるとそこは──
「ここが樹海................」
幻想的............そんな感想を抱く。
確かにここは綺麗だと言える。最も、遠くにいる巨大な敵がいなければだが
「私達が勇者だなんて興奮する~!」
「三ノ輪さん遊びじゃないのよ!」
三ノ輪が興奮しているのを冷静かつ真面目な鷲尾が注意しているのを見ながら俺は敵を観察していた。と言うのも俺はこの中で確実に一番強いという自信とその力に伴う責任を背負わなくてはいけないからだ
「さて、三人ともとにかく変身しよう」
俺はその言葉と同時に端末を取り出す。
「私達が頑張らなきゃだね!」
園子も元気な笑みを浮かべる反面強い石の籠った目でそう宣言すると俺達は変身する
端末のアプリの一つを起動させると俺達を花吹雪が包み光が放たれる
そして........
「ほへ~結構カッコいいかも」
俺は和服に近い装いで腰をベルト代わりに青紫の縄で腰から下に垂れるマントのよなものを縛っており、腰には鍔のない刀を吊っていた。そして加えて背中には戦槌を背負っている
「おぉ~ナッキーかっくい~!」
「園子も似合ってると思うぞ」
「えへへ~そうかなぁ~」
全員が変身できたのを確認すると改めて敵を見据える。敵はどうやら水球みたいなものからして水属性と言うのがいいのだろうか?俺が使える技はちょっと水と相性が良くない....
「取り合えず俺が一人で先行するから合図するまで三人はそこで観察してて」
「え?いやいや家芭さんや。流石にそれは無理があるだろう?この銀様も.....」
「みのさん。取り合えず最初はナッキーに任せてみよ?」
園子は俺の事も知っているからか送り出そうとしてくれる。
「で、でも流石に三ノ輪さんのい言う通りだわ。一人でだなんて危険すぎるわ。もっと慎重に......」
「大丈夫だよ~鷲尾さん。ナッキーすっごく強いんよ~それに面白~い技が使えるんだよ」
「まぁ、流石に一人じゃ倒すのはちょっと厳しいと思うから俺が何とかアイツの情報引き出してくるから待って欲しい。勿論無理はしないからさ」
俺と園子が説得すると納得してくれたみたいなので俺は前に出て一度目を瞑る
そして瞳を開けると夏樹の瞳は赤く輝いていた
「さて.........家芭の力がどのくらい通じるかな」
夏樹は戦槌は抜かずに刀だけを逆手に持って駆けだす。身軽でとても素早い身のこなしに知っている園子以外の面々は驚きの表情を浮かべていた
夏樹がある程度の距離まで近づくと遂に敵が........バーテックスが動きを見せる
(アレは水球か?)
まるでバブルこうせんと言う様に無数の水球が襲い来る..........だが──
(見える.....どんな軌道でどう飛んでくるか全部見える...........)
(って、ヤバッ!!)
回避し続けていると今度は一直線に強力な水鉄砲が放たれてくる。幸い一直線に飛んでくるので回避は出来るがくらうのはヤバそうだ。
(水球はあんまり早くないから回避できるけど写輪眼ありきだし........数が多いから流石に接近するのはきついか?だとしたら遠距離攻撃が一番か?)
その一番威力高そうな攻撃も恐らくだが未完成のあれでも相殺くらいはできる...........はず
対抗策を練りながら相手の攻撃手段を探り続けるのであった
その頃............
「うわ!?なんだあの数!!流石にヤバいんじゃ..........って家芭の奴余裕で回避してやがる!すげぇ~」
「まるでどう来るかわかってるみたいだわ........」
銀と須美はなつきの様子を見てそんな感想を零す
「ふっふっふ..........ナッキーには写輪眼があるから当然なんよ~」
腰に手を当てて自慢げに園子がそう語る。園子は夏樹の鍛錬をよく見学してたこともあり夏樹の力をよく知っている。そのために対した驚きもなく自慢げにそう言うのだった
「写輪眼?なんだそれ?」
「んとね~目が赤くなってね?それで動体視力とかいろいろと面白いことができるようになってね!とにかく凄くなるんよ~」
「えっとつまり......あの回避能力はその写輪眼?で先読みしているからって事かしら?」
「世界って不思議だな~」
ある意味超能力と言って差し支えない為に2人からすればにわかには信じがたいが目の前の事はそうとしか説明できない為にそれで納得する。
「って、なんて威力だよあの水鉄砲!!流石にそろそろ私達も行ったほうがいいんじゃね?」
夏樹が回避できたのは確認できたが樹海の根にぶつかったことで生まれた煙がその威力の高さを示しており、銀はそろそろ自身も参戦するべきではと考え始めていた
「ま、待って!流石にあの様子を見たら私達じゃ足手まといになるんじゃ.........」
「けどよ~もし合図とかも出せない状態とかになったら拙いだろうし近くに行ったほうがいいんじゃないか?」
「そ、それは確かに..........乃木さんはどう?」
「ん~確かにナッキーも初めての事だろうし..........少し近くにいてみたほうがいいかも?」
「そんじゃ!早速行こうぜ!」
(さてどう攻めたもんか...........近接してもアレって刀できれるのか?いやまぁ、通じないわけないか。通じないなら勇者の武装が物理的攻撃手段だけなわけないし)
そろそろ園子たちを呼んでどうにか攻めに出ようかと思案していると..........
「お~い!家芭!!大丈夫かぁ~?」
少し離れたところで大きな声を上げて手を振る三ノ輪の姿を確認する。まだ合図はしていなかったがタイミング的にはいいだろう。
「こっちは......ってヤバ!!」
無数の水球がまた放たれ三ノ輪達の方に放たれていく。直ぐに夏樹は移動して目の前に立つと高速で印を結び........
「火遁・豪火球の術!!」
巨大な火炎弾を口から放ち、強引に相殺する。視界を水蒸気がふさがれたために、直ぐにその場から離脱するように言おうとした瞬間............
「うわぁッ!?」
「三ノ輪さん!!」
鷲尾の悲鳴にも似た声にその方を向くと、相殺しそこなった水球の一つが三ノ輪の顔を直撃するとそれはそのままとどまり、溺れさせようとしてくる
「しまった!!ならッ......!!」
毒ずく夏樹の顔を見た須美はある変化に気が付く。園子の言っていた通り、夏樹の瞳は赤く輝いているのだが、三つの黒い勾玉模様が浮かんでいるそれが突如形を変えるという不思議な光景を目にする。
(形が変わった?)
何が起こるのかと思った瞬間だった──
「神威!!」
夏樹が水に触れながらそう言うと、まるで夏樹の目に銀の顔を覆っていた水が吸い込まれていくように消える
「無事か?三ノ輪」
「ケッホ!コッホ、ゴッホ!..........おう!変な味がしたけどな.....でも今のなんだ?目の中に水が吸い込まれて言ったけど.........いや、それもだけどお前火吹いてたよな?」
「そこら辺の説明は後で。兎に角いったん退こう」
少し離れた影から相手を注意しつつ話し合う
「さて、どうやるか...............鷲尾はどう思う?」
「そうね............攻撃の量、威力が正直予想より高いと思ったわ........ただ........ごめんなさい役に立つことは何も.........」
「いや、量と威力ってだけでも十分役に立つ..........三ノ輪は?」
「もう根性しかなくね?ワタシと家芭なら多分突っ込んでいけるだろ!」
うーん.........力業。だけど確かに見た感じ近接タイプの三ノ輪を俺が援護しつつゴリ押しも確かに策に入れられるだろう
さて、ここまでを含め本命に聞くとしよう。
「園子。策は思いついただろ?」
「ふっふふ~ナッキーの言う通りピッカ~んと来たよ~」
参謀と言う意味でなら園子は多分この中じゃ抜きんでてる。それは長い関係からわかっていることでもあり、そもそもこの一人での戦闘も園子に期待していたところが大きい
「流石、園子。よしよ~し。偉いぞ~」
「えへへ~ナッキーに褒められた~うれしいなぁ」
「ふ、二人とも!戦いの最中ですよ!!それに、ははは破廉恥だと思います!」
園子の頭を撫でいつものようにしていたが、ここは戦場だ。破廉恥かどうかはともかくとして、早速園子の策とやらを話してもらわないと
それから夏樹の能力をよく知る園子による策の説明を受けると、鷲尾と三ノ輪は夏樹の力を知らないから若干の疑問を感じつつも動くのであった...........
********************
「............!」
影になった場所から鷲尾が弓による狙撃をする。隠れていたこともあり、その一射は見事命中し、バーテックスもそこへ向けて攻撃を放つ
するとそれを今度は、園子が槍を盾に変え攻撃を受け止めつつ、鷲尾と夏樹が協力して攻撃を凌いぐ
「火遁・鳳仙花爪紅!!」
手裏剣を取り出した夏樹が手裏剣に炎を纏わせて水球を迎撃していくが..........
「............ッ!!」
すると、水球では制圧できないと判断したのかバーテックスは高水圧砲みたいなものを放つ。それを園子の盾を三人で支えつつ隙を伺う
何とか押しとどめているがどう見ても拙い状況だ。そしてついに恐れていた事態が起こる.......
「「「「ッ!?」」」」
余りの威力に全員後方へ吹き飛ばされてしまう。が───
「神威!!!」
いつの間にか上空にいた夏樹。すると瞳術を発動させるとそこから〝三人〟が現れる
「作戦成功~隙ありだよ~」
園子の作戦は夏樹の影分身を変化させてバーテックスの意識を集中させ、やられた瞬間にこの中で唯一見方を安全に運搬できる夏樹が神威で自身と三人を別空間から樹海へ移動させる。つまりは夏樹の万華鏡による同術を利用した奇襲作戦である
「
「え?う、うん!家芭君!」
夏樹と須美によって反応がやや遅れたバーテックスの攻撃を迎撃していく
矢と手裏剣の弾幕で作戦の要になる園子と三ノ輪を守り続ける。夏樹と言えば無意識にいつの間にか須美をよ下の名前で呼んでいるが、須美にはそれを問いただす余裕もないまま作戦を遂行する
「いっくよ~三ノ輪さん!」
「よし!来たァ!!」
園子が夏樹と須美に守られながら後ろで三ノ輪を振り回し勢いをつけ、遂に──
「飛んでけ~~~~~!!!!!」
前方で守りに徹していた夏樹と須美が空中で体を捻り、左右にはけると勇者システムによって強化された園子の身体能力で三ノ輪をバーテックスに向けて投げつける。
恐らく忍術がなければ、三ノ輪が最大火力だ。
だが、これもあくまで時間稼ぎ。いくら最大とはいえ、物理攻撃が故に倒れるまで敵に近づいた状態でいないといけないため危険が大きい。だから本命は──
(まだ未完だけど.........一撃で奴をやるにはこれしかない!!)
空中で夏樹は新な術の印を結び始める。
そう、三ノ輪の攻撃をしている間に夏樹が術を練り上げ、最大火力を以って一撃で沈めるのが作戦だ
(申...辰...子...酉...丑...巳...戌...寅...申)
これは家で大切に保管された文献によると夏樹の先祖..........
その術は隕石をも砕き、雷すら断つ逸話を残す術
だが、夏樹はまだ隕石も雷も消し飛ばせるほどの威力は出ない。それでも夏樹が使えるどの術よりも化け物じみた威力を誇る
そして着地すると同時に、夏樹は体の底から絞り出すように叫ぶ──
「うおおおおおぉぉぉぉ──ッ!!」
その夏樹の雄叫びに呼応するように夏樹の右腕からは荒れ狂う様に雷が迸る
「銀ッ!離れろッ!」
銀に指示を出すと同時に最速で夏樹は樹海を駆け抜ける
その最中、夏樹の腕から迸る雷が幾千の鳥が囀るような音を立てる。それを知っている園子以外は放たれるであろう絶大な威力を前に息を呑む。
そして.............
「千鳥!!!!!!!」
術の名は『千鳥』。肉体を活性化させ、雷を纏った唯の高速の突き技........
だが、そのただの突き技は........突き詰めた速さによって放たれる一撃は.........
「ハアアアァァァァァァァ!!!!!!」
絶大だった...........
「終わった......の?」
バーテックスは夏樹によって貫かれ、存在を崩壊させる
夏樹、園子、須美、銀........この四人による当初の予定よりも早い初陣は無事大過なく、撃退を成功するのであった
四人はにとってこれが確かな自信になる、が
嘲笑う様に運命は動いていくのであった
二話まではとりあえず書けました!今回は夏樹たちの初陣です。とりあえずは主人公でもある夏樹がメインな感じの戦闘描写にしてみました。しばらくは更新できないでしょうが楽しんでもらえれば幸いです。
さて今回もここまで読んでくださりありがとうございます!