家芭夏樹は忍びである   作:graphite

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初陣を終えて少年少女達は───

 

 

「「「や、やったぁ────!!!」」」

 

園子、須美、銀の三人が抱き合いながら喜び合い抱きしめてる前方にいる夏樹はと言うと........

 

(ふぅ..........でも、チャクラ使いすぎた............万華鏡も千鳥も消耗がキツイ.........)

 

チャクラと言うのはゲームで例えるならMP、うちはの秘伝書によれば繋ぐ力だそうだが...........そのチャクラを有している人類は現状はほんの僅からしいが、少なくとも夏樹の知る限りではいない。

 

万華鏡の発動は現状の夏樹では日に五度が限度.........それに加え千鳥も完成していないのもそうだが、元々の燃費の悪さから日に三度放つのが限界だ。今回万華鏡二回と千鳥一回でもうへとへとだ。長期戦にも考慮してもっと根本から鍛えなくてはいけない。

 

(あの三人を守るのが俺の役目だ...........男の俺が一番頑張らないと.........)

 

父と祖父に言われてきたこと。『男に生まれてきたのなら、なにがなんでも女を守れ』、と。時代錯誤なのかもしれない。けれど、自分には父にも祖父にもない〝力〟がある。力には責任が伴うと父と祖父は言っていた..........

 

「お~い!ナッキーお疲れ~!」

 

園子が両手を振りながらこちらに駆け寄ってくる。その後ろには須美や銀の姿も当然あり........

 

(今は........この結果を素直に受け入れる、か...........)

 

 

****************

 

 

樹海化が解けた後、俺達は学校の保健室で検査を受けていた。学校の保健室は俺達のお役目を考慮されているために設備のレベルは他のそれとは異なる。

 

「4人ともお疲れ様です。よく頑張ってくれました。そして、襲撃が予想よりも早まってしまってごめんなさい。これから訓練しようという矢先に..............」

 

「ありがとうございます先生。兎に角全員無事でしたし、これからですよ」

 

先生が申し訳なさそうにしてるのは少々居心地が悪かったのでそう伝えると........

 

「あ!なぁなぁ、そう言えば家芭の目の事や火の事とか聞いてないんだけど?」

 

すると銀が興味深々な目を向けてくる。そう言えばあとで話すと言った手前無視はできない。

 

「先生には話した事があるんだけど俺は忍びの.......まぁ、いわゆる忍者の家系でな。いわゆる忍術と言う奴だ」

 

「へぇ~ってことはあの火はいわゆる火遁って奴なのか!?」

 

「そういうこと。他にもいろいろできるがそれは訓練で追々だな。それと俺の目の話は多分園子から聞いただろ?」

 

「はい..........確か写輪眼で動体視力が向上して先読みができる........あっているかしら?」

 

「そう。付け加えていえば俺の写輪眼はその先..........万華鏡写輪眼って言って特殊な能力が右目と左目に宿るんだ」

 

万華鏡は写輪眼その先.............歴代でも開眼したものは稀有であり、それ相応の力に対する代償もあるが........まぁ、それは話すことじゃない。

 

「その能力が私達を出し入れしたあの技と言う事ね?ではもう一つは.........?」

 

「そっちはあんまり強くないけど.........まぁ、未来予知と言えばわかりやすいかな?10秒先の未来を見ることができる能力で、他者や自分に突然の危機に自動的に発動したりもする」

 

「それってそんなに弱いか?10秒でも未来がわかるなんてすごいじゃん?」

 

銀はそう言うがこの能力はそこまで強くない。何せ...........

 

「三ノ輪さん。これは確かに家芭君の言う通り強くないわ。だって、この能力はある意味では写輪眼本来の能力とそう変わらないもの。それで10秒だけならなおさらだわ」

 

そう、写輪眼単体でも未来予知に近い先読みができるのだ。ならばこそこの能力は確かに未来を見ることは出来るが腐りやすいのだ。

 

「流石須美だな。そう、写輪眼単体でも似たことができるからそこまでの恩恵はないんだよ。その上この力は消耗が激しくてな...........万華鏡は今の俺じゃ限界五回しか使えないのにこの技だけで2~3回分は消耗しちゃうんだよ」

 

「うげぇ........コスパ最悪だなぁ~」

 

苦々し気に顔をゆがませる銀。正直初めて使った時は未来が見えるとか強過ぎね?とか思った俺が秒でその消耗に気がついて愕然としたときの様で少し笑ってしまう。

 

「おい、なんで笑ってんだよ?」

 

「いやぁ.......俺も実は同じこと思ってな?その時の自分ってこんな感じだったのかな~って思ったら少しな?」

 

「そうだよナッキー。その時のナッキーったらすご~く変な顔してたもん」

 

実はそれが発覚したのは園子と一緒に遊んでいるときに園子が車に引かれるような未来が見えたので助けたのだが..........それと同時に能力の欠点に気が付いたもんで安心と若干の残念な気持ちからか相当変な顔をしていたらしい。

 

「でもそれよりも...........ナッキー?腕、大丈夫?」

 

俺達はそれと同時に腕に視線を落とすと包帯でぐるぐる巻きにされていた。千鳥の反動で火傷でやや無事とは言いずらい怪我を負ってしまった。上手く制御が効かなくて威力を出そうと思うとどうしても反動が出てしまう。これでも初期は骨折レベルだったのでマシにはなったが...........

 

「あぁ、このくらいなら何とも。流石にノーダメージであれはまだ使えなかったや」

 

「あれほどの威力ならしょうがない気もするけど...........その、本当に大丈夫なの?それにあの技は一体..........」

 

須美にとっては夏樹は同学年の中でも数少ない親しい相手でもあり、入学以来の長い付き合いなだけに心配そうな表情を浮かべて尋ねる

 

「須美も心配し過ぎだって。それとあの技は『千鳥』。通称『雷切』........雷で肉体を活性化させて、雷を纏った状態で放つただの高速の突き技だよ」

 

「ただの突きって...........あの威力と速さでただのって言えないだろ?」

 

銀はどこか呆れたように言うが、千鳥はそう言うものなのである。

 

「そりゃ忍術だからそう言う意味ではただの突きっていうのは無理があるけど、やってること自体はそう言う事なんだよ。本当にただ肉体を活性化させて一直線に高速で駆け抜け突きを放つだけ...........まぁ、速すぎるから普通はカウンターを喰らっておしまいだけどな」

 

この技は破綻している。術は確かに強力だが、ある一点において完全に破綻している。

 

「...........それって............そうか!家芭君には──」

 

知っている園子はともかくとして、須美は気が付いたようだ。

 

「流石だな..........そう、写輪眼がなければそもそも技として成り立たない。とは言ってもバーテックスの巨体ならカウンターをさほど気にしなくても言い分、写輪眼の必要性は低いけどね」

 

写輪眼ありきの術。高速で駆け抜けながら、相手の反撃を見切るだけの写輪眼あってこその大技だ。

 

夏樹からすればこのお役目において自身がもちうる写輪眼を除く最大の武器。と言っても完全に完成はしていない。ただ、恐らく完成まであと少し...........今回の威力はそれだけの高さを示したし、火傷も見た目こそあれだが今までに比べてはるかに軽い。

 

「成程ねぇ~.........でも、家芭さんや?女の子が心配してるんだからそう言うときは素直に謝るもんだぜ?」

 

銀が姉御みたいにややあきれてそう言われて今一度須美と園子の顔を見ると悲しそうにしていたので確かにあまりよくなかったと思わされる

 

「あぁ.........悪いな。心配かけてごめん」

 

「ホントだよ~それにナッキーすっごく疲れてるでしょ?」

 

瞳術に加え千鳥も使ったことによる消耗は........いや、初めての戦闘は思いのほか肉体的にも精神的にも来ているようだ。それを流石は幼馴染と言うべきか隠せるわけがなかった。

 

「まぁ、園子は気づくよな........正直このまま寝たい...........帰りは飛雷神で帰りたいとこだけど.......父さんには悪いけど迎えを頼もうかな........」

 

正直使えるには使えるがかなり制限が多い。その上、今はチャクラをかなり消耗激しているため高度な術なだけに使えるか心もとない。

 

「ひ、ひらいしん?どんな術なんだよ?」

 

「瞬間移動する術だよ。みんなを出し入れした瞳術も含め時空間忍術っていう奴なんだよ」

 

「何それ!?って、事は学校に絶対遅刻しないってことじゃん!うらやましい!」

 

遅刻常習犯の銀は心底羨ましそうにするがこの術は確かに便利だがかなり難しい術なのだ。

 

「いうほど便利とは言えないかな。この術は最近苦労して習得したばかりで制御だけで言えば千鳥以上に難しいんだ。だから生物は基本的に自分しか移動できないし、距離も限られる。それに、これどこにでも移動できるってわけじゃないんだ」

 

「どこにでも移動できるわけではない............何らかの条件があると?」

 

「うん。俺が直接手で触れてマーキングした場所、或いはそのマーキングが施された武具の場所なんかにしか飛べないんだ。だから須美と銀は送ってやれないんだ」

 

その後は夏樹が親に頼んで車を出してもらい、須美と園子を家に送った。銀はバーテックスの水を飲んだから少し検査をすることになった

 

 

******************

 

 

次の日、学校に園子を背負っていつも通り登校するとHRで俺達が突然いなくなったことの説明がされた。とはいえだ........流石に、どういうお役目なのかという詳細は伏せられた。

 

そして、その日の放課後の出来事だった..........

 

「ナッキー、調子はどう?」

 

「一日ぐっすり寝たから問題ないよ。そう言う園子は?」

 

「授業中も寝てたから大丈夫だよ~」

 

「それはどうなんだ?まぁ、今度のテストのときまた勉強教えてくれ」

 

そう、目の前でぐっすりと寝ていた。だが、これで成績は俺なんかよりも全然いいのだから不思議だ。しかも、寝てるのに当てられたら間違えたことは一度もないのだからホント園子らしいというかなんというか.........

 

放課や放課後はこうして園子と話すことが多い。男友達とも話すこともあるし、須美に声をかけることもあるが多くはこうして二人で話してるのがほとんどだ。昔はちょっとした理由があったが...........今はただそうしたいからこうしている

 

すると──

 

「の、乃木さん.......家芭君。あと、三ノ輪さんも........その........これから祝勝会に行きませんか!」

 

須美に声をかけられたと思ったら、顔を赤くして照れたように尋ねられる。

 

「いいな!園子と銀は?」

 

俺が二人に尋ねるとキラキラとした笑顔で答える

 

「賛成~!」

「ワタシも賛成だぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある大型ショッピングモールのフードコート...........まぁ、イネスなのだが........

 

「えぇっと............今日と言う日を迎えられたこと──」

 

長くなりそうなので少し割愛するが、二つの机をつなげ四人で卓を囲んでいるわけだが.........俺の正面に座っる須美は席を立ってまるで何かの儀式が始まるように語り始める。

 

「須美さんや............堅いって。須美はとりあえず座ってグラスもって」

 

まだ続きそうなので俺は須美の話を途中に割って入りそう、促す。

 

「え?で、でも.........」

 

「いいからいいから。こういう時はだな────」

 

こういう事を沢山やるとは言わないがそこそこの経験がある園子や銀は俺の意図に気が付きグラスを掲げる。須美もおずおずとだが、俺達に習う様にあげたのを確認して...........

 

「お役目お疲れ様!これからも俺達で頑張るぞ!乾杯!!」

 

「「乾杯!!」」カンッ

 

「か、乾杯!」カンッ

 

簡潔に、それでいて俺達が前を向いて取り組んでいくために誓いを立てるように乾杯をする。

 

「これでいいんだよ須美。こっちの方が断然楽しいし、気分がいいだろ?」

 

「う、うん............ありがとう家芭君」

 

「でもでも~すみすけから誘われてうれしかったんよ~ナッキーにどうやって誘うおうか相談してたんだ~」

 

「だな~鷲尾さんから誘われるのって初めてじゃん?それに合同訓練もまだだったからこうしてみんなで何かするのって楽しみだったんだよな~」

 

園子も銀もとても楽しそうに笑いながら答える。

 

「確かに。まぁ、でも正直そこが結構な問題だよな。連携なんてできたもんじゃないし」

 

「そうね.......このままだとまた家芭君ばかり負担になる戦い方しかできなくなるわ」

 

合同訓練は襲撃の周期を踏まえて予定を組まれている。だが、こうなっては周期などあてになるかどうか..........

 

「確かになぁ~家芭が滅茶苦茶強いから頼りきりになりそうだしな」

 

「確かにナッキーの負担も考えたら連携の練習ができないのは大変だよね」

 

この四人の中では勇者システム抜きにしても夏樹の力は偉大だ。確かに心強い反面それは弱点にもなり得る。先の戦いも夏樹の瞳術等々の能力は勝利に大きく影響している。

 

「そこまで気にしなくていいけどな。時代錯誤かもだけど俺はこの中で唯一の男なんだしカッコつけるぐらいさせてくれ」

 

肩をすくめながら何でもないように言う夏樹。ただ、勿論夏樹とて消耗の事を考慮してないわけじゃない。写輪眼の瞳力は使いすぎれば今でこそ失明のリスクはないが一時的には使えなくなるリスクはある。

 

「それで大怪我したら元も子もないわ............日本男児らしくて好ましくはあるけれども」

 

「ほどほどにしてね?ナッキー」

 

熱血系な銀はともかく二人は心配そうにするので「わかっている」と答えると須美は不意に思い出したかのように声を上げる。

 

「そう言えば...........家芭君、戦いの途中から私と三ノ輪さんのこと名前で呼ぶようになったけれど..........どうして?」

 

「あっ!確かに!家芭って乃木さん以外は苗字呼びだったし」

 

「へ?...........あぁ、そう言えばそうだったな。特に理由はないけど.........しいて言うなら呼びやすいし、なんかこうしっくりくるから?」

 

正直、名字で呼ぶかそうじゃないかなんてそんなものだろう。それも戦闘中となれば余計にそこらへんは曖昧になるだろう。

 

「もしかして嫌だったか?」

 

「寧ろそっちの方が親しみがあっていいんじゃないか?これからは私も家芭の事は夏樹って呼ぶよ」

 

「私も嫌じゃないわ。寧ろ私と家芭君は六年間同じクラスなのだから名前で呼ばれる方がしっくりくるわ」

 

二人がそう言うのでそう呼ばせてもらうことになったわけだが...........

 

「でも........その........乃木さんのそのすみすけって呼び方はちょっとやめて欲しいかな?」

 

やはり須美には園子の独特のセンスにはまだちょっと慣れがないのか戸惑いがあるようだ。まぁ、それを抜きにしても確かにすみすけは少し可哀そうか?

 

「えっ?じゃあ...........ワッシーナとか?アイドルぽくってよくない?」

 

確かにアイドルぽっいが.............言いずらくないか?

 

「それもやめて............乃木さんもソノコリンなんて嫌でしょ?」

 

「わー!素敵!!」

 

「ごめんなさい忘れて」

 

俺と銀は苦笑を浮かべる。だが、この独特のセンスこそ園子の最大の魅力でもあり、彼女を彼女たらしめているのだ。

 

「相変わらずだな園子は」

 

「ほへ?どういう事?」

 

「そういう所が園子らしくて安心するなってことだよ」

 

俺はそう言っていつも通り園子の頭を優しく撫でる。この行為もいつけば恥じらいもなく、園子が嬉しそうにはにかむ姿を見るのが普通に..........かけがえのない〝日常〟になっていた。

 

「えっへへへ~♪ナッキーの手は優しくて落ち着くんよ~」

 

「本当に二人は仲がいいよなぁ~」

 

「そうね...........六年間毎日人目もはばからずにこうしているのだもの........異常な事なのにもう日常だわ」

 

銀は呆れ、須美は夏樹と園子を除けば付き合いが長い分その光景を何度も目にしているせいで何とも思わなくなっていた

 

夏樹と園子にとってお互いがお互いの半身ような存在。はたから見れば兄弟にも見えなくもないが、その本質は全く違うのだ。

 

少しの間園子を撫でていると、園子は何か閃いたのか目を見開くと.......

 

「そうだ!閃いたよ~わっしーなんてどうかな?」

 

わっしーか...........俺的には正直悪くないんじゃないかとは思うが?

 

「うーん.........変なのにされるよりか...........」

 

「よーし!これからよろしくね!わっしー!」

 

祝勝会はその後、想像以上に盛り上がりとても楽しかった

 

四人とも人間性で言えば全く異なる...........だが、何故だろうか。この四人でなければいけないようでもあり、それぞれがこれからに思い馳せながら束の間の日常を噛み締めるのであった




だいぶ更新が遅くなって本当にすいません!大学が始まったことで生活リズムの変化もありますがそれ以上にノートパソコンが故障し修理中でなかなか投稿できずにいました。この作品は、事前に書きためていたもので、ゆゆゆは短いですがもう1話近日中に完成するのでそれを投稿したらまたしばらく更新できなくなります。とは言えそろそろ戻ってくると思うので戻ってきたらまた更新をしていきたいと思います。

では今回はここまでです。ここまで読んで下さりありがとうございます。またお気に入り登録、評価、コメントして下さりありがとうございます!
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