「くそぉッ!......これじゃ動けない!ハメはずるいだろぉ......!」
場所は神樹様が作り出した結界内部、つまりは樹海
今現在、最初の襲撃から半月ほどたったある日の事。又しても周期外れのバーテックスの襲撃が始まった。俺達は迎撃に出るが、序盤こそ各々が思うままに攻撃を入れられていたものの銀の言う通り現在身動きが取れずにいた。
今回のバーテックスは恐らく天秤を模しているのだろう。そんな敵はまるでコマのように回転し、凄まじい突風を発生させている。なので今は園子が槍を突き刺したところに四人でしがみついているのがやっとな状況だ。
「あのぐるぐる...........上から攻撃すると弱そうだけど!」
「.............風があっては...........どうしようもないわ」
呼吸さえしずらいほどの突風だ。園子の言う通り上から攻撃できればとは思うが、須美の言う通り風をどうにかしなくてはどうしようもない
(風遁が...........って、使えたところでって感じだな)
こういう状況下ならば自ずと手段は忍術頼りになる。とは言え、風遁の術は使えないし、使えたところでこれだけの突風を相殺することが出来るかと言えば厳しい。
持てる技や術を踏まえて思いつくのは────
「........園子。あと10秒堪えてくれ」
「ナッキー?」
ただ1つだけの突破口を夏樹は見いだす
「銀!須美!俺が..........どうにか隙を作る..........だから!畳みかけろ!」
「わ、わかった!」
「う、うん!」
銀たちに指示が行き届いたところで、俺は右目を閉じチャクラを一気に練り上げる。
相手がコマのように常に回転するならシンプル且つ効果的な対処法はただ1つ
───────その軸を崩してやればいい
「っ...........神威!!!」
夏樹の選んだ術。それは瞳術だ。右目の瞳力である神威を使い、バーテックスの回転している軸を抉り取りバランスを崩す。至ってシンプルで非常に効果的だ。
今回のバーテックスは細い棒のような相手であり、その枝のような体を時空間へと抉ればまず間違いなくバランスの維持は不可能だ。ここまででも感じてはいたが、恐らく防御力は前回よりも低い。なので仮にここで夏樹がダウンした所で銀の攻撃力があれば楽に倒せるだろう
だが───
(目を開けてるのも...........きっ.........それに目が弾けそう......だッ)
この暴風の中、バーテックスの身体を神威で抉り取るまで瞳を開き続けるのはかなりつらい。また、当然だが神威による時空間移動はなんのデメリットなしにとは行かない。対象の質量や大きさが大きければ大きいほどチャクラの消耗や眼の負担が大きくなる。なので予想はしていたがバーテックスのような大きいものを対象に取り込もうとすれば、たとえ対象の一部分だとしてもそれに応じた消耗と負担が伴う。
「夏樹!........お前目から血が!」
銀が気が付いた通り、夏樹は目からは充血し、その上血が流れていた。
写輪眼にかかる負荷はそれだけ大きいのだ。だが、これ以外に策はない。最悪しばらく右目が使えなくなるかもしれないが誰かが死ぬより遥かにマシだ。
それに、このままでは銀か須美のどちらかがしびれを切らして特攻しかねない。仮にそれしかなくてもそれをすべきなのは間違いなく忍としての力を持つ自分自身だ。
「(いてぇ............けど!)根性おおおぉぉぉぉ!!!!」
雄叫びを上げ、さらにそこから強引にチャクラを練り上げ瞳力を強める。槍が瞳を穿つが如く、気絶しそうな程の激痛が右の瞳を貫く。そしてその瞬間は来た───
「!倒れる!反撃だあぁぁぁ!!!!!」
夏樹が遂にバーテックスの身体を抉ると、そのままバランスを失いゆったりと倒れていく。そこにすぐさま機動力および攻撃力に優れた銀が樹海を駆け抜ける。
「っう.................」
だが、夏樹は写輪眼の負担による激痛と倦怠感から右目を押さえて膝をつき、そのまま蹲る。
「ナッキー!!」
園子がらしくもなく悲鳴に似た大声で膝をついた俺に合わせて屈んでおれの様態を確認してくるが、作戦が成功した以上今は........
「大丈、夫.......だ.........園子も..........須美も.........攻撃を」
「で、でも............わかった」
園子は明らかに夏樹の状態が拙いことから、何か言おうとするが夏樹が全霊を以て作った隙に加え既に銀が攻めに出てるので諸々の心配を一旦飲み込んで槍を構える
そして、暴風が収まったことで須美も弓による攻撃を開始。そこからは数分と経たずに二回目の撃退..........つまりはお役目を果たすことに成功するのであった
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「家芭君。むやみやたらに身を削ればいいってわけじゃないでしょ?」
「すいません」
あの戦闘の後日、俺達全員安芸先生に呼び出され反省会をしていた。俺と言えば写輪眼の酷使によって右目を包帯で巻き暫くは右目の方は写輪眼の使用を親から禁止されてしまった。
「責任感が強いのはいいけど、あなた一人が傷つけばいいってわけじゃないのよ?それにあなたの力はこのお役目において非常に大きな戦力だわ。あなたが彼女たちを傷つけまいとすること自体は咎めないけど、それであなたが潰れてはそれこそ余計に彼女たちが危険になるのよ」
「はい..........」
正論の前に特に何も口出せず頷く夏樹。
「ナッキー.......守ってくれるのは嬉しいけどあぁ言うのはやめてね?」
園子がしおらしくそう言ってくる。あの時、写輪眼による消耗で戦いの後、泣きそうになるくらい凄く心配させてしまっただけに非常に申し訳ない。
「私もあぁ言うのはやめて欲しいな」
「家芭君が頑張ってくれるのは分かるけど............ね?」
銀や須美にも同じく心配をかけてしまったのでなるべくこういうやり方は控えるべきだろう。とは言え、流石に夏樹も二度はやるつもりは端からない。流石にバーテックスに対して神威を使うのはよほどのことがない限り負担が結果に見合わないからだ。
「二人もゴメン」
「..........あなたたちの弱点は連携練習不足ね。とは言え周期が乱れたのもあるけどこのままワンマンプレーやゴリ押しではどのみち直ぐに限界が来るわ。まずは四人の中から指揮を執る隊長を決めましょう」
夏樹という強力な存在のワンマンプレーは勿論、先の戦闘も追い込まれるまでは各々が思うままのゴリ押しで戦っていた。下手な連携よりもマシだと思いそうしたが、これから先もそれが通用するとは思えない。
なので、安芸先生の言う通り確かに指揮官役は必須だろう。どう決めるのかと夏樹が思っていると、どうやら先生は既に決めていたようで直ぐに指名した
「乃木さん..........頼めるかしら」
夏樹からすれば納得だ。夏樹は自分でも分かっているが正直独断専行が過ぎるし、銀は指揮をやらせるよりも攻めに集中させた方が非常に大きな戦力になる。
と、すれば自ずと選択肢は二つ。園子か須美のどちらか
特に須美は弓矢と言う遠距離武器なだけに、後方からの戦局全体を見渡せる視点も相まって指示出しにも向いてる。
が───
(須美は.......ちょっと不満そうだな。まぁ、普段の園子しか知らなきゃ当然か)
勿論須美も隊長候補だろう。須美は優秀だし性格的にも向いている。正直、須美がなっても何もおかしくはない。だが、個人的には園子には参謀としては誰にも真似できない柔軟過ぎる思考がある。未知の敵相手に園子のソレは恐らく最大の武器になる。
「私は柄じゃないし、私じゃなきゃ誰でもいいよ」
「俺も銀と似たような感じかな。攻撃専門の方が性に合ってる」
銀に同意する形で賛成する。とは言え
「須美はどうだ?園子が参謀で須美が隊長ってのもいいと思うぞ?」
別に隊長が何から何まで決めることは無い。戦術や策略を抜きにすれば、全体のグループとしての取りまとめには須美が1番向いている。参謀は園子で隊長は須美がやるのでも多少指揮系統が複雑になる点を除けば問題は無いだろう。
「え?...............ううん。私も乃木さんで賛成よ」
少し考えた後に須美は園子でいいと賛成の意を述べる。
それから先生に次の襲撃まで期間が空くとのことで合宿が開かれることになった。お役目の為...........そう分かってはいるが少しばかり楽しみにしているのはきっと俺だけではないだろう。
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樹海で一人の少年が嘆く
『■■...........なんで..........俺なんかを.........くそっ.......俺は───』
目の前で一人の少女が瀕死の重傷を負い倒れている
彼の眼は、三つ巴の写輪眼で───
『──────』
『っ......なんで.........なんで...........今なんだ..........帰ってから聞かせてくれよッ■■!』
彼女の答えに更に声を上げる少年。
『──────』
瀕死の少女は嘆く少年に微笑みかけた。
自身を責めるな、と
少年に感謝するように
『どうして俺は...........好きな人を.............守りたいものを守れないんだッ!?...........まだ!まだ俺は■■と..........』
憎悪や嫌悪、喪失に絶望。ドロドロとした黒い感情が内側からとめどなく溢れてくる。これほどの激情は少年にとって初めてであり、それが少年が望んだ力の引き金となる。
少年が一目惚れし、恋焦がれた相手によって生まれてしまった
『ブチのめしてやるッ...........全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部』
『鏖殺だッ!!』
次の瞬間、少年の三つ巴の写輪眼の変化が起きた
瞳に浮かぶ模様はまるで
更には、少年から濃紺のオーラのようなものが迸った
それはやがて人体模型の様に骨格を作り、筋繊維を作り、そして大男へとなる。
そう、写輪眼の先─────
心の闇を映し出す写輪眼は─────
そして───
ピピピ!ピピピ!ピピピ!
「ぁ...............」
家芭夏樹は目を覚ます
(また見たなこの夢............)
綺麗な黒い長髪の少女が少年を庇い大怪我を負い、そして少年が万華鏡を開眼し、自責と憎しみ.............ぐちゃぐちゃになった感情のままに力を振るう一幕
この夢を見るようになったのは、先祖の写輪眼を移植した時からだった
写輪眼は強い憎しみ、喪失を経験することでその瞳力は強まり、遂には万華鏡へと至る。夏樹は両親が隠していた万華鏡の開眼方法を知り、自身に幻術を掛けることで大切な者の喪失を経験した。だが、万華鏡は強力な反面大きな代償がある。それは
夏樹はそのリスクの克服の為に、初代勇者と共に戦った当時の家芭の人間の『永遠の万華鏡写輪眼』を移植した。それからよく、部分的にではあるがこうして変な夢を見るようになった。例えば、先の瀕死の重傷を負った少女以外にも園子に似た少女が出て来たり、その少女のお世話するどこか須美に似た雰囲気の少女だったり、先の夢で嘆く少年の弟などなど
(俺が万華鏡を開眼できたのは........彼からすれば運が良すぎた)
夢の中の少年も同じように自身へ幻術をかけ開眼しようとして失敗していた。失って初めて気づくものがあるとは言うが、少年の場合はあんまりだ。
(もしかしたら俺が万華鏡を開眼できたのは彼のおかげ........なんてな)
もしかするとこの眼は彼からの警告なのかもしれない。同じ道を辿るな、と
そんな有り得ないようなことを考えさせるのは、この夢が彼が生きていた時代の記憶だからだろう。勿論それに根拠はないし、夢で見るのはいつも断片的なモノだ。気がつけば忘れてしまう事もある。けど、勘がそれを正しいと言っている。
「あ............また俺泣いてたな」
視界がにじむ。
先の重傷を負った少女が出てくるときに限り、日常の記憶の断片でも何故か無条件で夏樹は涙を流していた。それはまるで彼の───
「................さて、園子を迎えに行くか」
涙をぬぐい、布団から出る。
彼や彼女たちが繋いだ『今』
彼や彼女達の紡いだ『想い』
それを背負うのはきっといつの時代も決まってる
それは───────
今回はここまでです。ストック分に手を加えて書いていますが、タブレットでは本当に書きずらくて不便です(´;ω;`)。GWはバイトが忙しくなる事もあり、これを投稿した後はしばらくまた投稿できなくなると思いますがまだまだ続けていくつもりです。
さて、この作品を読まれた方はお察しの通りわすゆ時空だけでなく実はのわゆ舞台のお話も考えてたりしています。勿論ヒロインは彼女です!まぁ、のわゆはまだ原作を読み切れてないので主人公の設定くらいしか決まってないし、saoにダンまちと先が長すぎるものもあるので本当にいつになるかはわかりませんが楽しみにして貰えれば幸いです。
では、今回もここまで読んで下さりありがとうございます!またお気に入り登録、評価、コメントしてくださり本当にありがとうございます!