前回は会話のみで進む展開が多かった気がする……もうちょい地の文を増やさないと……
「暗い顔してんなぁおい……」
「んな顔されてたら折角の水羊羹が不味くなるじゃねぇかよ……」
「あ、あぁ……すまない」
「…………」
「……そんなに殺された女が忘れられねぇか」
「…………」
「…………そうか」
「ならいっぺん死んでみっか?」
「敵さんの前に飛び出せば蜂の巣であの世に直行だ……今のうちなら会えっかもよ?」
「…………」
「……いや、止めとくよ。俺は多分地獄行きだからな……彼女には会えないさ」
「なら、辛気臭い顔してないで制圧すッぞ……」
「とりあえず弾薬寄越しな……話はそっからだ」
「…………あぁ」
「エーミル、この状況をわかりやすく、かつ、俺が納得するように解析しろ」
『サー……ナンデコノオンナガ…』
現在俺は、受け入れがたい事実を目の当たりにしている。
「ふむ……ここがIS学園の整備室か……さ、エーミルに追加兵装を装備させようか?」
何故……何故だ?
何故……コイツが………
『クソおんナ……ゴホン、メルサ様がサージェントの前に立っております……後付け装備とやらを持ってきたものと思われます』
「あ、ああ……そうだな、わかった」
試合前日の今日の事だ、メルサが俺の前に現れた……どういうことだ?俺が警護の契約期間を終了し、別の傭兵を雇ったらしいが……?
「案外、傭兵を出し抜くのは楽でね……君に挑戦して勝ったことは一度もなったけどさ」
「つまり逃げてきたってことか?」
「その表現が正しいね」
「そうか……居ても良いがおとなしくしてろよ?」
「勿論さ……」
メルサは俺が警護していた頃何度か逃げ出した……と、言うべきか研究に行き詰まると黙って外出することが多かった。
大抵は少しそれに付き合ってから引き戻したが……今の警護役は何してるんだか……解約されてもしらねぇぞ?
「あ~……、それにだ、今回お前の開発した装備は使わないことにした」
「使わない?それは一体どういう意味だい?」
「使わない?どういうことだい?」
メルサはピクリと体を震わせると四季に問いかけた。
対する四季は、
「あぁ、それがな……「僕の開発した物が気に入らないのかい?」……あ?」
説明する前に話を展開すんじゃねぇ……とでも言いたそうな表情をする四季をそっちのけにして、メルサは機関銃の如く言葉を吐き続ける。
「見たところ君は自分で開発したようだね」
「でも設計図を見る限り所々修正がされているね」
「君は修正したんだね」
「でも元の案は君のものではないようだ」
「もしかしてあれかな?」
「僕の前でちょくちょく話していた女の案なのかな?」
「僕の天才的な発想の基に誕生した唯一無二の兵器よりもその女の兵器の方が良いって言うのかい?」
「ふざけてるのかい?」
「君は戦いとなったらふざけるような性格ではないと思ってたんだがね」
「僕の見誤りかな?」
「でも大丈夫さ」
「僕は間違いを認める性格だからね」
「僕の見解違いだとするなら僕は考えを改めるよ」
「君は冗談が上手でとても強い人間だ」
「これであってるだろう?」
「さっきから言ってることが理解できないし、冗談でもない……お前の開発した兵器はどれも強力すぎて今回の件では使えない……以上だ」
四季はそれでも尚ブツブツ言い続けるメルサを引き摺り整備室を出たのであった……何処へ向かったのかって?
勿論、自室……自分と妹、千冬の部屋へだ。
が、しかし……千冬にこれを見られるのはかなり不味かった。
「お、兄ちゃ……?誰?その…人……」
「あ、あぁ……千冬か……コイツは「も、もしかしてか、彼女とか?お兄ちゃに彼女……ふぇ……」なっ……お、おい!?」
涙目でプルプルする千冬、暗い表情でブツブツ喋り続けるメルサ……これらに挟まれた四季。
何とも形容しがたい……いや、この際はっきり言おう、形容したくない状況におかれた四季は、珍しくオタオタしていた。
殺すのは得意だがあやすのは苦手なのである。
「ち、千冬……コイツはメルサといってな、仕事でちょっとあった仲だ……そんな付き合いはない……言ったろ、お前が結婚するまで俺もそういった浮いた話は有り得無いって」
「ほ……んと?…嘘じゃない?」
「あ、あぁ……勿論だ、だから泣き止んでくれ……頼む……」
「グスッ……うん、私はお兄ちゃんの妹だもん……泣かないよ!」
なんとも絞まらないが……明日は試合である……
「不本意だけど僕の兵器は威力絶大だからね……確かに対戦相手を殺しちゃうかもだから他の武器を使うことについては納得するよ」
「そうか……試合開始直前に納得されても俺が言えるのは“知るかそんなこと”くらいしかないな……」
試合当日四季の立つその場所、エーミル専用に改造されたピットはカタパルトデッキと言うべきか……
四季は管制室に居座るメルサを相手にしつつ、今回の相手について考えていた。
(今回の相手は殺さずに倒さなければならない……ここが一番俺の勝率を格段に落としているポイントであり、越えなければならない試練でもある……と)
「エーミル、起動しろ」
『サー……システム、通常モードで起動』
サポート重視のオペレーティングモードから汎用的な活動を行う通常モードへとシステムを移行したエーミル……いよいよ戦いは始まる。
四季の表情も、妹や弟を想う兄の顔から、ひとりの戦場を駆ける傭兵としての顔へと変化しつつあった……
「バトルシステム、タクティクスモードで起動……不可視は……ナシだ、発生したオゾンによる二次被害の可能性はは抑えたい」
『サー……システム、アーマード起動……バトルシステム、タクティクス起動』
バトルシステムの種類は三種類……様子見と小手調べのタクティクス、向かってくるモノを排除するパニッシング、センサーに捕らえたモノ全てを抹殺するデストロイ……
今回は本当に殺さないようにするために、タクティクスで起動したようだ。
『フライトモードは如何しましょうか?』
「飛ばなくても、跳べるさ……」
『サー……このまま出撃しますか?』
「おう、出撃だ」
『サー……出撃します、Gにお気をつけを』
「今更注意するか?馴れてるさ……」
言わせてみれば嫌な馴れである……馴れてしまったのはいつだったか乗っていた戦闘機や、降下作戦の繰り返しによる影響だ。
『四季』
「あ?」
『必ず勝ってくれ、戦闘に勝利したエーミルのデータが見たい』
「お前は……はぁ……」
「グットラック……、アイツらの為にも勝ってやるさ」
そう言うと、アーマーを展開したエーミルを装備した四季(以後シキ)はダッシュしてアリーナへと跳び出した……戦いの幕開け、これより物語は本格的に動き始める。
『逃げずに来「ご託は良いからさっさと始めろ!!!」……っ』
シキの言葉に答えるように直後試合開始のブザーが鳴り響き、試合が始まったことを両者に知らせる。
まず始めに動いたのは相手のセシリア・オルコット(以後セシリア)……手にした得物、スターライトMk-2によるチャージショット……試合開始前にチャージしていたのだが……
「不意討ちはもっと上手にな……」
それで殺られるようならここにシキは存在しない。
シキは巧みに避けると、
「エーミル、ブースター点火……ホバーしろ」
『サー……』
滑るようにセシリアの周囲を移動し、撹乱すると……
「エーミル、ブーストチャージ」
『サー……ブーストチャージ』
その全てが軽く硬い合金の装甲で形成されたその巨体を、一時的にブースターの制限を軽々と超えたフルスロットルにすることによって弾丸にし、セシリアにタックルした。
「エーミル、ポストガン」
『サー……ポストガン展開』
シキが手にしていた大きいブロックが変形し、形を成していく……
ポストガン……巨大な杭を相手に撃ち込む銃器(一回きり)である。
「コピーウェポンも具合が良いみたいだな……」
『肯定、当社比3割増でオールグリーンです』
「なら良し……だ」
シキは直ぐ様体制を崩したセシリアにポストガンの銃口を押し付け、躊躇いなく杭を撃ち込んだ。
先程のタックルも含め、セシリアのシールドエネルギーがかなり大きく削れた。
「続いてイーグルダート……重心はヘビーダートと同設定で」
『サー……イーグルダート展開』
ポストガンが再びブロックに戻り、イーグルダートへと再構成された。
「気づいているか、エーミル」
『気づいています、サージェント』
「狙えるか?」
『私はサージェントのサポートAIですよ?できます……』
シキが後退し大きく跳び上がると肩部のカバーが外れ、小型スプレーミサイルがその弾頭を露にした……
小型スプレーミサイルは、全てセシリアのある一部を狙い発射された。
「塗装で誤魔化してるが、俺とエーミルの目は騙せないさ……残念」
『ミサイルの破壊を確認……サージェント、トドメを』
試合結果は……言うまでもない。
「慢心、お馬鹿な物の考え方、長く伸びすぎた鼻は……破滅を呼び込む……不運はそれが可笑しくてダンスを踊り、それを見て死神は陽気に歌を唄う。そいつの魂を刈り取りながら………シャルウィダンス?」
本作の千冬は四季の前だと少々幼い容姿に変身します……
(具体的な説明)
生徒の前だとドヤッキリッ……っと言った感じですが、四季の前だと丸く小さくデフォルメされます。
何故セシリアが攻撃される中手を出すことすらできなかったのか……次回公開される予定です(単にシキが強すぎたってのもありますが)