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人の世に
その幻想郷を眺める一人の青年がいた。
彼は町に住む人々、多種多様の妖怪たちが交流する姿を見てフッと微笑む。
「何時までそこで眺めているつもりなの?」
不意に聞こえた彼女の声に釣られて振り返る。そこには空間の歪みのようなものがあり、そこから傘を差した金髪の女性が現れる。その女性はその中から出てくると、空間の歪みはゆっくりと消えた。
「人がせっかくこの場所を懐かしんでいるんだ。もう少し眺めさせてくれよ・・・」
「あら、あなたがそんなことを言うなんて・・・今日は雪でも降るんじゃないかしら?」
相変わらず失礼な奴だ、などと思いながら、彼は町の方に向き直る。
「・・・三年、か」
彼の言葉は悲しみの混じったものと同時に、嬉々としたものも感じ取れた。それを聞いた女性は、少し、渋い顔になるものの、すぐに飄々とした声で彼に声をかける。
「あなたがいない間、本当に大変だったわ。誰かさんの後処理が私ひとりじゃできないくらいには大変だったわ。あーあ、思い出すだけでも肩が凝ってきたわ」
「どうせ、あんたは藍《らん》さんや
「あら、信用ないわね。まったく誰に似たんだか・・・」
「そりゃあ、育ての親だろうな」
彼と紫が皮肉を言い合うといつもこうなる。紫の皮肉に対して彼はさらに皮肉で返す。最終的には屁理屈の言い合いになるのだが、今回はすぐに終わった。
「・・・また紫さんとこんな風に皮肉を言いあう日がくるとはな・・・」
「・・・」
紫は何も言わなかった。ただ無言のまま、幻想郷を見渡していた。彼もまた同じだった。言葉が思いつかないわけではない。ただ今は、この光景を目に焼き付けていたかった。
「・・・さてと、それじゃあそろそろ行くよ。早くみんなにも会いたいし」
「そうね、みんな驚くでしょうね。あなたが帰ってきたってしったら」
紫の言葉は、少し寂し気だった。
彼は紫の方に向き直り、頭を下げる。
「紫さん・・・本当に、今までありがとうございました」
「やめてよ、お別れみたいじゃない。嫌よ私は、こんなお別れ」
「・・・そうだな。ちょっとしんみりしちゃったな・・・・・・じゃあ、行ってきます、
紫の返事を待たずに、彼は背を向けて歩き出した。紫はその姿に手を振るだけだった。彼が見えなくなった後に、紫は手を振るのを止め、口をそっと動かした。
「・・・・・・行ってらっしゃい、
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