東方幻忘譚   作:水無 武蔵

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この作品は東方projectの二次創作です。
作者の独自の解釈をしていますので、苦手な方はお控えください。
それでも問題の無い方は最後までお楽しみください。


亀裂

  ~~博麗神社~~

 

 

 

 幻想郷の東の端に存在する博麗神社。そこの巫女である博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)は今日もグータラ生活を満喫している。

 博麗の巫女は代々、博麗大結界という幻想郷と『外の世界』との往来を遮断する結界を管理、そして異変の解決や妖怪退治を生業としている。

 

 だが、ここ数年(・・)は異変も起こらず、悪さをする妖怪もいないため、博麗の巫女としての仕事がない霊夢は暇を持て余しており、だらだらとした生活を満喫していた。

 

「___ぉぉぉい、霊夢!!」

 そんな霊夢の生活をいつも終わらせるように現れる存在がいる。ほうきに乗った白黒の服を着た少女が博麗神社に急接近し、着地の際に大きな砂埃を立てた。

 

「げほっげほっ、くっそー、また着地に失敗しちまったぜ」

 砂埃を起こした少女に対し霊夢は、ため息交じりに寝転ぶ体を起こして神社の外に足を運ぶ。

 

「・・・何してるのよ魔理沙(まりさ)

「暇だったから遊びに来たぜ!」

 呆れ交じりに発した霊夢に対し、霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)は服についた砂埃を(はら)いながらニカッと笑って言葉を返す。

 

「暇なら紅魔館に行ってパチュリーのところに行ってきなさいよ。あそこならあんたの好きそうな本がわんさかあるでしょうに」

「いやー、実はもう昨日行って本を借りてきたんだけど、その時にパチュリーがガチギレして、今図書館の中はトラップの魔法が張り巡らされて迂闊(うかつ)に近づけないんだよ」

 

 高らかに笑う魔理沙に対して霊夢は呆れて溜息を吐く。

 

 そんな平和な日々が続くと思われたその時、幻想郷の上空に巨大な亀裂が走る。それに気づいた霊夢たちは上空を見上げる。その頬には汗が伝う。

 

 本来、博麗の巫女や八雲紫が管理する博麗大結界は強力なもので並大抵の妖怪が破壊できるような結界ではない。だが、現在起こっているこの現象は、破壊というより空間の亀裂や歪み、という方が正しいのかもしれない。

 

 呆然と立ち尽くす霊夢たちの意識を切り替えらせたのは、悲鳴だった。

 どこからか聞こえた悲鳴に対して霊夢たちの体は反射的に動いていた。霊夢と魔理沙は悲鳴の聞こえた方角に向かって飛び立つ。

 

「おい霊夢、どうなってるんだあれは!?明らかに結界に亀裂が走っているぜ!!」

「そんなこと、私が知りたいくらいよ!」

 魔理沙の焦りに怒気を含ませた霊夢の言葉にも焦りを生じていた。今まで幻想郷では様々な異変が起こってきたが、それはすべて中で起こったことで結界事態に影響をもたらすものではなかった。だが今回は違う。結界が消えることで妖怪や外の世界にどのような影響を与えるか、霊夢にもそれは予想ができない。

 

「とにかく、早く悲鳴のした方にいこうぜ!」

「分かってるわよ」

 そう言って、霊夢たちは移動速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 里から離れた森の中で悲鳴は上がった。森で山菜を採取していた女性の目の前に突如として現れたのは、妖怪と呼ぶにはおどろおどろしい巨大な化け物の姿だった。

 化け物は亀裂の中から現れ、地上に降り立つと女性の方に振り返る。化け物は女性を見つけるとにやりと不気味な笑みを浮かべ涎を啜る。

 女性は金縛りを受けたかのように体が動かなくなり、ただただ震えていた。化け物は女性に近づき、その体を手でつかむと、頭から喰らう。その光景はあまりにも無慈悲かつ残虐な光景で身の毛もよだつような有様だった。

 

 そこに駆けつけた霊夢たちは化け物の姿を見て背筋が凍る。残虐な行為が行われていることもそうだが、彼女たちは本能的にその化け物の危険性を察知した。関わればただでは済まないと・・・・・・

 幸いにもまだ化け物は霊夢たちに気づかず、女性の肉を喰らっている。

 

「おい霊夢、どうする・・・あれはヤバいぞ」

「分かってるわよ。でも、今ここで退いたら里の人間たちが・・・」

「てことは、やるしかないか!」

 

 魔理沙はそう言うとすぐに攻撃を仕掛ける。箒《ほうき》に乗り、高速でその化け物に近づき、手持ちの八卦牢(はっけろう)を構えた。

「くらいやがれ!恋符『マスタースパーク』!!」

 魔理沙の八卦牢からすさまじい勢いで光線と弾幕が化け物に発射された。その攻撃は化け物に被弾し、姿をのみこむ。

 手ごたえがあった事もあり、完全に仕留めたと思った魔理沙は「よし!」と笑みを浮かべた。だが、その気のゆるみが仇となる。

 

 魔理沙の攻撃をくらった化け物は、背中に軽いやけどのような傷しかダメージを受けていないかった。化け物は魔理沙の方に振り向き一瞬にして距離を詰めた。

 油断した魔理沙は距離を取ろうと上空へ飛ぼうとしたが、化け物の拳が体にあたり、吹き飛ばされてしまう。魔理沙の体は森の木に衝突し、魔理沙の意識を刈り取った。

 

「魔理沙!」

 魔理沙の名前を呼んでも返事はなく意識がなかった。霊夢は化け物と距離を取りつつ弾幕攻撃をする。弾幕の結界によって動きを封じられた化け物は動かなかった。そこにすかさず霊夢が攻撃を仕掛ける。

 

「夢符『封魔陣』!!」

 霊夢のスペルカードによって発言した御札は化け物の回りを囲い、結界を発現させた。完全に身動きが取れなくなった化け物に更なる追い打ちをかける霊夢。

「霊符『夢想封印』!!」

 

 霊夢のスペルカートによって発言した弾幕は化け物に次々と放たれる。化け物は弾幕を受けて悲鳴を上げる。その姿を見た霊夢は弾幕を止めることなく撃ち続ける。化け物に被弾した弾幕によって煙や砂埃が舞い、化け物の姿が見えなくなり、次第に化け物の悲鳴も消えた。

 

 煙が徐々に消え、次第に化け物の姿が見えてくる。化け物は霊夢の攻撃を受け、地面に倒れていた。

 それを目視した霊夢は急いで魔理沙の元へ駆け寄る。

「魔理沙、しっかりしなさい!」

 

 幸いにも魔理沙の呼吸は整っている。だが、体の骨がいくつも折れており、苦痛の声が魔理沙から漏れる。

 魔理沙の無事を確認できた霊夢は安堵し、すぐに表情を引き締め、魔理沙を背負おうとするが、不意に聞こえた足音に振り返る。

 その時には化け物の拳が霊夢に伸びていた。霊夢はとっさの防御で危機を回避したが、防御した腕が折れた。霊夢は苦痛の悲鳴を上げるが、すぐに悲鳴を押し殺して化け物に向き直る。

 

 化け物はフラフラした足並みで霊夢に近づいてきていた。化け物も相当のダメージを負っている。だが、ダメージを負っていても衰えることのない攻撃力に、霊夢は冷汗が止まらない。このまま戦ったら勝てる見込みはあるが、魔理沙はおろか、自身を守る気力も無くなる。

 苦痛の混じる苦い表情を浮かべる霊夢。化け物との距離は少しずつ縮まり、化け物が駆けようとした刹那(せつな)、化け物とは別の方から足音が聞こえてきた。

 

 化け物はその足音を聞くや否や、動きを止める。それに気づいた霊夢は足音の主に方を向く。その者は里のものと言うにはあまりにも異様な格好をしていた。全身黒い服を着ており、顔が見えないほどローブのフードをかぶっていた。

 その者はゆっくりと化け物に近づくように歩み続ける。

 

「あんた!ここは危険よ!早く逃げなさい!!」

 霊夢は咄嗟に叫ぶ。このままではそこの人間も死んでしまうかもしれない。

 それを聞いたその者は笑みを浮かべる。

「忠告ありがとう。でも大丈夫、あとは任せてください」

 その者の笑みに霊夢は不思議と安心感を持った。誰だかわからないのになぜこんなにも心が落ち着いているのか分からない。

 

 そんなやり取りを待つ化け物ではなかった。化け物はローブの人間の方を向き、すぐさま距離を詰めて攻撃を仕掛ける。それを避けた者のフードがとれる。そこから見えたのは青年の顔だった。青年は化け物の懐の入り、打撃を一発いれる。お互いそこで動きが止まり、硬直状態になると思った刹那、化け物は悲鳴も上げることなく、塵のように消え去った。

 

 その光景に驚きを隠せない霊夢は口が開いたまま、ただ驚愕していた。

 青年はそんな霊夢を見て苦笑いを浮かべ、霊夢に近づく。

「大丈夫・・・ではなさそうだね。とりあえず安全な場所に運ぼうと思うんだけど教えてくれない?」

 青年の言葉にやっと我に返った霊夢は咳払いをした。

 

「・・・私はいいからそこの白黒のを運んでちょうだい。私の家に案内するから」

 そう言って霊夢は魔理沙のことを視線で伝えた。青年は頷き、気を失っている魔理沙を抱えて歩き出した。




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