東方翔霊録ーЯe:bootー   作:来翔

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どうも来翔です。
今回は2話目です。霊夢との出逢いになりますね。
旧作と違い、翔聖くんにはちゃんと幻想郷にいる理由が明言されるかもしれません。
では、本編をお楽しみくださいませ


幻想に満ちた世界で

「あの、霊夢さん。翔聖さんに説明しなくていいんですか?ここはどこなのか」

 

2人のやり取りにしびれを切らしたあうんという少女が霊夢に問いかける。霊夢は面倒くさそうな顔をしながら翔聖を見つめる。

 

「翔聖はここについて知りたい?どうせ、すぐに帰ることになると思うから聞くだけ無駄になるかもしれないけどね」

「逆に気になりすぎて帰れないよ」

 

翔聖の即答に霊夢はため息をつきつつ、面倒くさそうに口を開き始める。

 

「ここは幻想郷。忘れられたものたちが訪れる世界よ」

「忘れられたものって……僕は誰かに忘れられたの?」

「誰かから忘れられた程度でここには来れないわ。外の世界……あんたの世界で存在を忘れられた存在よ。絶滅した生物も対象と言えば分かるかしら?」

 

霊夢の説明を受けても翔聖はまだ理解できなかった。

 

「ま、当たり前よね。外の世界がどんなのかは知らないけど、妖怪とか妖精はいないわよね?」

「は、はい。空想上の生き物ってことでは認識されているけど……見たことは無いですね」

「そうよね。そんな空想上の生き物……幻想の生き物がこの世界、幻想郷で暮らしているわ。もちろんあんたや私みたいな人間も暮らしているわよ」

「え、霊夢さんって人間なんですか」

「人間よ。博麗の巫女って役割はあるけど普通の人間よ」

 

全部理解できた訳では無いが、ひとまず自分の知っている世界ではないのは理解出来た。

だが、何故自分がそんな世界にいるのか分からない。

 

「なら尚更……なんで僕はここにいるんですか?僕は幻想の生き物でも忘れられた存在でもないですし」

「ごく稀にあるわよ、アンタみたいに外の世界から入ってくるのは。外来人って呼んでるわ。で、なにか質問はあるかしら」

 

何か質問と言われてもなにかもかもわけらない翔聖は質問すら思い浮かばない。

あるとすればひとつだけ

 

「帰る方法はあるんですか?」

「基本的にはないわ。そもそも出入りが出来ない世界だからね。あるとすれば博麗大結界に穴を空けるかアイツに頼むかね」

「アイツ……?」

 

翔聖の問いかけに霊夢は、すぐに分かるわと返すと目を閉じ集中させるような仕草を取る。

翔聖は雰囲気が変わった霊夢の様子を見て思わず自分も真剣な表情になる。

しばらくすると

 

「れーいーむ?勝手に結界いじったわね」

「そうじゃないとアンタは出てこないでしょ」

 

どこからともなく声が聞こえてきた。翔聖が不意に声のした方向を見ると、変な空間から顔のみをしている女性がいた。

それを見るなり翔聖は

 

「うわぁぁっ!?な、だ、え!?」

 

昔読んだホラー漫画のような顔をしているに違いないと翔聖は思えるくらいに腰を抜かしてしまい、思わずあうんの後ろに隠れてしまう。

隠れられたあうんは物不思議そうな顔で翔聖を見ていたとか。

 

「そこまで驚く必要は無いと思うけど?」

「私達は見慣れてるけど、初対面の彼からしてたら十分驚く理由はあるわよ。紫」

「ま、そうよね。道理で見た事後ない子がいると思ったのよね、外来人ね?」

 

紫と呼ばれた女性は、変な空間から出てくるとあうんの後ろに隠れている翔聖を見てはニコッと微笑んだ。思わずその笑みに釣られそうになるが、背中に感じた違和感に後ろを振り向くとさらに叫ぶことになる。

 

「手ぇ!?何も無いところから、手がァ!?」

 

手が宙に浮いていて翔聖の背中に触れていた。再度女性を見やるといたずらっぽく笑っていたため、この手の主はこの人だと翔聖はわかり安堵の表情になる。

 

「全く……何してんのよ」

「だってつい反応が初々しかったから。こんな反応してくれるの少ないし……つい最近だと()()()で2人目だしね」

「ああ……アイツね」

「……あの〜2人で盛り上がらないでくれるとありがたいのですが……すいません」

「っと……ごめんなさいね。挨拶が遅れたわ、私は八雲紫。幻想郷の管理者を担っているわ」

「は、はぁ……。僕は神代翔聖です、えっと高校生です」

 

翔聖の聞きなれない言葉に霊夢とあうんは小首を傾げる。

どうやら、ここには高校はおろか学校という概念はないのかもしれない。

 

「外の世界での職業よね。確か学生って名前だったかしら?」

「は、はい。そうです、紫さんは博識なんですね。というか……そもそも幻想郷に学校とかあるんですか?」

「寺子屋という形で勉学をする場所はあるわ。人里で子供たちが教わっているわ。あなたの感覚とは全く違うものかもしれないけどね」

 

翔聖と紫が互いに話し合っていく中、霊夢はじっと紫を見つめていた。まるで本題に入れと言わんばかりに。

その視線に気づいた、紫は1つ咳払いをすると真剣な表情になり翔聖を見つめる。

 

「霊夢から聞いてると思うけど、本来ならばこの世界にあなたの居場所はないわ。あなたが忘れられた存在でない限りこの世界に来れる理由はない。帰る出口なら私が作ってあげるから暗くなる前に帰りなさい」

 

紫はそう言うと空間に謎のスキマを作った。そのスキマは1面中目玉だらけで入るのを戸惑わせた。

 

「こ、ここに入れば帰れるんですか?」

「ええ、外の世界に通じているわ。出場所は……あなたが幻想郷に迷い込んだ周辺になるわね」

 

雑木林かその辺の道路かと翔聖は考えると不良達が居ないことを祈ることにした。

まだ屯していたら囲まれてリンチに合う可能性もあるからだ。そんなことを想像してしまい悪寒が止まらなくなった翔聖がいた。

そんな翔聖を不審に思った霊夢は早くしないとばかりにお祓い棒らしきものでツンツンと背中をつつく。

 

「ま、待って急かさないでくださいよ!」

 

翔聖は悪態をつきながら

 

(ま、リンチされるだけならまだいいか。()()よりはマシか)

 

途端に翔聖の雰囲気が変わった事に霊夢は気づくも、下手に触れて面倒な事になるのは避けるためにそのまま見送ることにした。

 

「今度は迷い込むんじゃないわよ。今回はたまたま運が良かったんだから」

「はは……なんでかは聞かないでおきます。夜も眠られなくなりそうだ……。お世話になりました、ありがとうございました」

 

翔聖は苦笑いを浮かべつつ、手を振りつつ感謝の意を示すと紫の出したスキマに入っていく。

これで、翔聖も帰れたでたろうと安堵した3人。だが、その安心はすぐに消えることになる。

 

「……」

 

霊夢達の反対側に翔聖は立っていた。気配に気づいた3人は驚愕の表情を浮かべつつ翔聖を見やる。当の本人も何が起こったのか分からないような顔をしていた。

 

「……どうして?どうしてスキマを通ったのに翔聖がいるのよ。しかもスキマから出てないのに……」

「私にも分からないわ……っ!?」

 

紫は何かを感じたのか、急に上を見上げた。それに釣られて霊夢と翔聖も上を見上げるが雲があるだけで何も無かった。

お互いに顔を見合わせる翔聖と霊夢を他所に紫は唯1人訝しげな顔をしていた。

 

「翔聖君が幻想入りした理由が分かったわ。何者かによるものよ」

「何者って何者よ。アンタですら察知できない事をするような奴が翔聖になんの目的があって?」

「さぁ……そこは分からないわ。ただ分かってるのは翔聖君が幻想郷に迷い込んだのは偶然じゃない。意図的にということだけ」

(紫に気付かれずに干渉……。紫の反応から近くにいたのは確かね……バレれば危険なのは分かっているはずなのにそれでも干渉をして翔聖を幻想郷に連れ戻した。コイツ……何者なのかしら)

 

霊夢は思考顔で翔聖を見ているが、翔聖は何が起こっているのか分からずキョロキョロと辺りを見渡したりしていて大変落ち着きがない。

だが、この反応は至極当然と言えるだろう。自分の頭が処理しきれない程の事が起きているのだから。

 

「多分何回やっても翔聖君は幻想郷に引き戻されるわ。私は出来るだけ翔聖君が早く帰れるように努めるけど……あなたは少しでも早く帰りたいかしら。あなたの世界に」

 

紫の問いかけに翔聖は答えることが出来なかった。この反応に霊夢はやっぱり何かあるのだなと判断した。人に言えない事があるのだと。

 

「……僕は」

「早くしなさい。帰りたいか帰りたくないか。答えはたったの2択しかないわ」

 

翔聖に向けて掛けた霊夢の言葉は厳しいものだった。だが、翔聖にとっては心做しか背中を押してくれているように思えた。

 

「……帰りたくないです」

「そう、分かったわ。なら、霊夢貴女が面倒見てくれるかしら?」

「はぁ!?なんで私が見なくちゃいけないのよ。アンタのところで面倒見ればいいじゃないの。ただでさえゆっくりできない場所に1人増えただけでも気苦労が増える気がするわ」

「翔聖君を狙う相手は少なくとも私に気づかれないような実力を持つわ。でも、貴女なら警戒して手を出せないと思うわ。それに翔聖君が博麗神社に現れたのはきっと運命よ。それに幻想郷のルールを知らない彼を1人にさせるのは見殺しにするようなものよ」

「そんな運命……あー分かったわよ。面倒見ればいいんでしょ、見れば。どうせ私が頷くまで嫌という程何か言われるのは安易に想像がつくわ」

 

霊夢は仕方なそうな顔で頷いてみせると、翔聖の顔を見る。見られた翔聖は緊張のあまり、顔を赤くしてしまう。異性との関係がないのだから当然の反応であるが、当の本人にとってがその顔を見られるのが恥ずかしかった。ただでさえ、女性に間の抜けたところを見られるのが耐えられないの翔聖ならではである。

 

「とりあえずアンタを神社には置いといてあげる。でも、ずっとではないわよ?私にも私の暮らしがあるし、異性のアンタを置いておくのもね」

 

それは仕方ないと翔聖も心の中で賛同していた。常識的に考えれば、互いに未成年と思われる男女が親の許可なく同棲にような形を取るのは言語道断と言えるだろう。

本音を言えば、こんな美少女と過ごせるのだから翔聖にとってはメリットしかないが彼の良心がそれを許すことはなかった。

 

「アンタがここでの暮らしに慣れるか、その前に外の世界に帰れるようになったら神社から出て行ってもらうわよ」

 

霊夢は紫を見やる。まるでこれなら文句ないだろうと訴えるように。対する紫は仕方ないとため息をつきつつ頷く。

 

「ま、遊びに来るくらいならいいわよ。お賽銭を入れるのが最低条件だけど」

「何にせよ、あとは翔聖君次第ね。あなたはどうしたい?」

 

霊夢の出した提案に翔聖は苦笑いを浮かべる中、紫が問いかけてくるがその問いかけがなくても翔聖の答えは決まっていた。

 

「それでもいいですよ。見知らぬ赤の他人である僕にここまでしてくれたんですから、文句なんてありませんよ。むしろ衣食住ができる場所まで用意してくれているのですから文句なんて言えるわけがないですよ」

 

素直な翔聖の返答に霊夢は、優しく微笑む。

 

「そう、わかったわ。暫くの間だけど、面倒見るわね」

「はい、よろしくお願いします!霊夢さん」

 

ひょんな事から2人の生活が始まろうとしていた。

 

To be continued

 

 




ありがとうございます。
彼はどのような存在なのか、また彼を招き入れた人物は誰なのか。
それは何を意味するのか・・・

では、次回にまた会いましょう
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