初めまして、始まりを始めました。   作:久幻月

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実は何も考えていない!

ちなみに舞台は「すとらいかーず」


1-1

 ゆーくん、ユノ、フェレットモドキ。

 ユーノ。

 ユーノ・スクライア。

 遺跡の発掘を生業とするスクライア一族。

 もう10年ぐらい前になのは達の世界にやってきて、事件も持ってきた。 

 

 ジュエルシード。

 願いを叶える願望機。 それは歪な形で私たちの街を巻き込み、数多に及ぶ思いを踏みにじり、良い意味でも悪い意味でも経験となり過ぎ去った思い出と傷跡。

 

 彼自らが発掘したその手腕はさすがというべきで、でも全ての責任を一人で背負い、背負い続けるところは悪いところだと思う。

 真面目で優しい性格。思いやりがあって、仲間を大切にする人でちょっと恥ずかしがり屋。家族がいない彼にとっては仲間というのは大切な存在だったのかもしれない。

 

 そして魔導師としても優秀、逸材、天才。そんな結界魔導師。

 そんな腕を買われて、若くしての時空管理局「無限書庫」司書長、兼若き考古学者。

 そんなフレーズとともに知識と美貌を持ち合わせた彼は、テレビにも出たり、新聞にも顔乗るようなそんな人。

 

 

 そんな彼が先日知識以外のことで大きく新聞を飾った。

 

 

「若き天才司書長、唐突の辞職!」

 

 そんな内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてなのかな…」

 

 この前あったときはそんなに気になるような、変わったことがあるようには見えなかった。

 それにそんな何かがあるなら私たちの誰かになにか一言あってもおかしくない。 どうして…? そんな風にまとまらない思考が、なのはの頭の中をぐるぐると昨日からシェイクしていた。

 

 言葉を貰ったのはなのはを含め、フェイトにハヤテに、クロノ、それに息吹。

 友人だった数名に、 

「僕はやっぱり遺跡に戻るよ、そっちの方がやっぱり性に合ってる。 ごめんね。 ありがとう」

 そんな勝手に自己完結したような個人念話(プライベートチャット)が数名同時に飛んできただけだった。

 地味に個人用念話を分けずに同時に行うとか、さすがユーノ君。 なんて最初に聞いて理解できない頭は的外れなことを思っていた。

 

「フェイトちゃぁ~ん」

「どうしたの?なのは」

「やっぱりわかんないよぉ~」

 

 そんなだらしない声と共にペタン...と擬音が出るような倒れ方で机に突っ伏した幼馴染に、幼馴染は開いていたタブレットを閉じ肘をつきながら、なのはの頬をつく。

 

 ぷにぷに。

 ぷにぷに。

 

「私もわからないよ……。はやてにも昨日聞いたけど同じような答え…」

「いぶくんはー?」

「息吹も同じだったよ」

「じゃあアリサちゃんとすずかちゃんはー?」

「それはまだだけど…たぶんそっちの線も薄いと思う」

 

 もともと魔法に関係なく今も日常的な付き合いだけの彼女たちに、他世界やらを渡り歩くと言っていた彼が地球側に伝えているとは思えなかった。

 

「じゃあフェイトちゃんのお兄ちゃんはー?」

「クロノも聞いてないって…、ちょっと怒ってたよ」

「たぶんフェイトちゃんのちょっとはちょっとじゃないような気がするな……、1回目であれだったんだから」

「あ…うん…」

 

 友人、親友だと思っていたユーノに何も言われなかったクロノは、きっとなのはとフェイトではまだ本当に理解できないものなのだろうなと、お互い心で思う。

 私たちは目の前に今いて、そんな存在が明日には何の連絡もなく居なくなる。 あるのは最終通達にもならない置き去っていった言葉のみ。

 痛いと思う。 でもきっとそれは失わないと解らないものだとも思う。

 そう、なのは思った。

 でも彼女は。

 

「私は少し違うけど、解るかな。 クロノの気持ち」

 

 目を閉じ胸に手を当てフェイトは言う。

 

「大切な誰かを失う…離れ離れになるのは、とても辛くて悲しくて痛いことだから」

 

 私もそうだった、と続ける。

 

「そんな時にいつもそばに居てくれたお兄ちゃんは、きっと辛いんだろうなって思って」

「それで昨日機動6課(こっち)に泊まらずに向こう(クロノ家)に帰ったんだね」

「うん。でも私はいらなかったみたいでさ、結局は念話で良かったかなーってちょっと後悔してる」

「うん…?」

「私が顔を出した時にはクロノもう既に燃えててね。 俺はあいつを捕まえて吐き出させてやるぞー!って叫んでてね?」

「あぁ…エイミィさんか…」

 

 あの人がそんな燃えているクロノの後ろで、ウィンクしながら舌を出している姿が簡単に想像できた。

 

「うん。だからやっぱり夫婦っていいなぁって思って」

 

 あれ?っと、なぜか流れが変わったことに気づく。

 

「結婚したいな……息吹と」

「唐突な結婚願望……まだ諦めてなかったんだね…」

「そうは言うけどなのはだってそうでしょ?」

 

 いやまぁそうだけどさーと続け。

 

「そんなこと言うと来ちゃうから、あの人来ちゃうから」

 

 そうぼやくと同時に、ウィーン、バァーーン! とブリーティング室のドアが開かれる。

 

「イブやんとの結婚と聞いて!」

 

 ここの部隊長である。

 

「ここのドア全部スライド式で自動だから…。 バーンとも言わないし手も使わないから」

「はやては黙ってようね」

「酷すぎる!」

 

 なのはが伏せていた頭を上げるとそこにはここ(機動6科)のトップの姿、しかしどこか疲れた様子の彼女。

 

「どうだった?」

「だめやね」

「カリムの方も?」

「手掛かりなし」

「理由も皆無か」

「うちらが思い当たる部分は無いっちゅうことやね〜」

 

 主語のない簡素なやり取り。 それでも解る。 なのはが先ほどフェイトと話していた続き。

 やはり、か。

 あげた顔が落ちそうになるけど顔が下がる程度で止まる。 視線に映るのは自分の愛機の姿だった。

 

「君の最初の持ち主はどこに行っちゃったんだろうね…」

 

 そんな愛機はキラリと光、答えを返すことはなかった。

 

「すずかちゃんやアリサちゃんには聞いたん?」

 

 ふと思ったことを言うようにはやて。

 しかしそれはさっき完結した内容で、それを言おうとした時にまた扉が開く。

 

「ああ、その件だけど地球組にはもう連絡回して聞いといたよ」

 

 聴き慣れた声がした。

 

「さすが手回しが早いねイブやんは。手も早い」

「あ、息吹」

「よく解ったね私たちがここにいるの」

 

 その言葉を聞いた息吹と呼ばれた青年は苦笑いをしながら答える。

 

「まぁたまたまっちゃたまたまなんだけどさ。探して歩いていたら、はやてが叫びながら此処に入って行くのを見てな。 あぁ、あそこかって。 でもはやて結婚は簡便な、友達で」

 

 はやてに手を振り、拒否を表す。

 

「はやてちゃんあうとー」

「残念はやて」

「うっさい!」

 

 そんなコントとともにちゃんとした笑顔になる青年に顔を向ける。

 中尾息吹。

 170センチとない身長、フェイトよりも少し低め。 すこし白めの肌、それでも男性としては色白な方だろう。 優しげな顔。大好きな顔。 小学生の頃からの幼馴染。 大好きな人。

 

「俺にも解らない、何故ユーノがこの機動6課の軌道に乗り始める時期と共に消えたのか…」

「そうやよね。 ぜんっぜん解らへんねん。 聖王関連の人たちはユーノ君と関係あらへんし、カリムのスキルに頼めるわけでもないし…」

「お兄ちゃんもダメだった。ブリッジ系統や執務官の繋がりもあらかた巡ってみたんだけどね……」

「私も全然駄目だったよ~。ヴィータちゃんと教導隊関係の人たちにあたってみたんだけどね」

 

 ダメだった。みんな答えは一緒、解らないのも一緒。

 

「まぁ考えてもしかたねんだろ? さっきクロノが有給申請連打してるって小耳挟んだし、ひとまずはあいつが何とかするだろ?まぁ俺も動くけど」

「クロノ君…」

「それで?」

 

 なのはの隣に座った息吹は、少し暗かった雰囲気を改善の方向に持っていき流れを変える。

 

「此処の様子はどうなの? 新人のフォアードの子達とか、まぁ見知った子しかいないけどな」

「エリオとキャロは元気で問題ないよ」

「フリードもね?」

 

 うん!とフェイトは笑顔で答える。

 

「スバルも問題なし。 そろそろ既存デバイスと滑走靴が付いてこれなくなるかなーってところ」

 

 ピッ。 と指で虚空をなぞると現れる3Dモニター。

 そこに現れるのは学生時代に自分たちで作成したと言われる、母親の戦闘スタイルを基礎とした滑走型近接戦闘術のための道具。

 たしか陸士108部隊所属の捜査官で姉のギンガが完成に近いものを持っていたはず。申請しておこうとなのはは思う。

 

「ティアナも同じ感じかな」

「私の目にやはり曇はなかったちゅうことやな! 見る目はええからなぁ」

「じゃあヴォルケンリッターたちの出番はまだ先か、せめて新人たちが新デバイスになったころか。 そこあたりに俺も顔を出すかな」

 

 はやての視線と言葉をガンスルーした息吹は言う。

 

「とりあえず俺は1回本部へと戻るよ、休憩に合わせてちょっと顔出しに来ただけだしな」

 

 席を立つ。

 

「ほいほーい」

「また来てね」

「あ、例の書類よろしゅうな」

 

 後ろ姿で片手だけ上げて返事をした息吹は廊下に出た途端に顔の表情が崩れる。

 本当に苦くて苦くて吐き出したいけど吐き出せないそんな顔。

 

(今のうちに……、動けるだけ動かないといけない。 ユーノが辞める? ありえない、流石にこれは乖離しすぎている。まさか…ついに動き出したのか…? あいつが…)

 

 チッチッチッチッチ。

 遠く遠く、しかし近くで時計の秒針が動き出す音が鳴り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 静かな廊下に靴の音が鳴り響く。

 ゆっくりゆっくりと音を鳴らし歩みが進む。

 

 ギィギイ。

 今にも壊れそうな扉を優しく開けた青年は暗い部屋の主を見つめ目を細める。

 主に近づくと共にお互いの全体が見える。

 

 入ってきた青年は美しい金色の髪に知性溢れるメガネが似合う青年。 巷で噂の考古学者、ユーノ・スクライアである。

 部屋の主は黒い髪を無造作にかき上げ、いい笑顔を作っている青年。

 

「本当に来るとはな、ユーノ」

 

 出てきた言葉は馴れ馴れしい言葉。

 

「読んで呼んだのは君だろ?」

 

 そして返ってきた言葉も馴れ馴れしい言葉。

 

「そりゃそうだ、でも本当にいいのか? 大切な仲間と親友(クロノ)を裏切ってきたんだろ?」

「うん。 でももう1人の親友の思いにも答えないといけないと思ってね……、ね? 友佐くん」

 

 旧知の仲、知っている仲。

 友佐と呼ばれた青年とユーノは昔から…昔の付き合いがあった。

 

「そうか…」

「そうだよ」

「いいんだな」

「いいんだよ。これは決めたことだよ。ずっとずっと昔から思ってたこと考えてたこと、だから…いいんだよ」

 

 思いを込めて覚悟したユーノの言葉に友佐は目を閉じ、そうかと呟く。

 

「なら契約だ、俺からの一方的な契約。 お前の覚悟を見た、だから俺は無理やりお前を巻き込む」

 

 友佐はユーノの前まで近づき手をかざす。

 

「巻き込まれたなんて思わない。 僕が君を巻き込むんだ」

 

 凛とした言葉が凛とした表情から紡がれる。

 いい答えだ。

 

 -Ich steige um.-

 

 その言葉が友佐から紡がれたとき、眩しいほどの、咄嗟に目をつむってしまう程の閃光が迸る。

 その眩しさにユやはりーノは目を閉じてしまう。 そのまま意識が落ちるとは露知らず。

 しかし最後に目を閉じ真っ暗な中、ユーノの頭の中に浮かび上がったそれは、

 

 

 

 

 

 

 すこし古びた日記だった。

 

 

 

 




まぁいろいろとオリジナル要素しか入ってないわけだけど…まぁ色々と勘弁して下さい。

私の頭の中の恐怖劇(グラン・ギニョール)がそうあれと流出を迸っているのだから!
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