知らぬことも必要であろう。
皆が集まった時に一人の少女が言い始めた。
「んじゃ、帰る前に我が友人と私の今後……未来を占ってみよう!」
「あん?なんだそれ」
「そしてここに10枚以上の紙があります」
「無視かよ!」
紙束を掲げながら自己主張する少女は少年の言葉を無視する。
「今からこれを宙に投げる! そしてそれをみんな好きなものを選んでとってね? その結果が、みんなの未来を暗示したものになるの! えーと…」
そこまで言って少女はおもむろに手元の本を読み、確認する。
「それは……この国の系統の占い辞典だね」
それに反応したのは金髪の少年、ユーノだった。
「既にこの国の言語を覚えたのか君は……」
驚愕をあらわすのは幼さ残す顔立ちだが一番の年長者、クロノ・ハラオウン。
「おい、友佐。 またお嬢が意味の解らんこと始めるぞ」
「あれじゃない? 昨日やってたテレビの」
「あぁ…あの決めゼリフがTON☆JI☆CHIのやつか」
「そそ」
「あれスゲェ胡散くせんだよな、俺はなんだか苦手だぜ? あの占い師…どぉに」
「解ったわ!」
唐突な少女の声に中断する会話。
「うぜぇ…」
「じゃいくわよ……ごほんっ」
心底うざそうな少年を無視し少女は言う。
「己が何者で、何を成し、何処より生じて何処へ行くのか。 当たるも八卦、当たらぬも八卦。 では参るぞ、ごんさん、げんさん」
おや? と少年、友佐は目を細める。
「スイッチ入ったね」
「だな」
いつの間にか話し込んでいたユーノとクロノも話をやめ、こちらに意識が向く。
そして少女の言葉に反応し2つのものが現れる。
「行きますかな、げんさん」
「委細承知。 お任せを」
現れたのは2等身の忍び装束に顔を御札で隠したもの。
現れた二人は飛び跳ねて、声高らかに音頭を取る。
「
「ふっ切って放つ、さんびらり」
「「よおおおっぉ、―――っはッ!」」
そして、空に言霊が篭った霊符が舞い上がった。
はらはらひらりと落ちるそれを、皆が選んで掴み取る。
友佐、喜芽、明日歌、ユーノ、クロノ。
当たるも八卦、当たらぬも八卦。各々の未来を暗示し、己が何者なのかを判ずるという札の結果が、示したものは……。
□
コンコン。
軽い音とともにドアの呼び具を鳴らし、中にいるであろう者を呼ぶ。
そして少しし、とっとっとっと。 軽い足音が1人分鳴る。
今日もブレなし…と。
そして両開きのドアが両方開かれる。
「はいはーい」
「おかおかー」
「「おかえりなさーい」」
二人の少女が前後分けて同時にお帰りの言葉を向ける。
「ただいま、アリス。 ダリス」
そう言って友佐は家に入るが、ふと後ろの気配が付いて来ないと察し、後ろを向く。
「どうした?」
「ううん。 なんでもない、それじゃあ失礼させて貰おうかな」
ちっちっち。 違うぞ。 此処に来て
「違うな、違うぜ」
「アウトー」
「デデーン」
「え?」
友佐と少女二人の言葉に困惑する。
そして友佐は、あのなぁ…と続ける。
「俺とお前は友達だ、友達だけどもうあの時から既に仲間になったんだ。 仲間は家族だ、大切に辛辣に近くにいるものなんだよ。 おまえだって解るだろ? 俺やおまえが最初に解りあったのはそこだ。 だから言う、違うと」
その言葉は違う、と。
いつも見慣れていた顔よりも、しっかりとして凛とした顔。
「そうだね、ごめん……。 あ、でもきっとこの
友佐の言葉に少し緊張していた頬が緩む。 あぁここはこういう場所だったな……と。
だから、
「ありがとう。 そして……」
「ただいま」
「あぁ、おかえり。 ユーノ」
懐かしく嬉しい言葉が返って来た。
□
玄関を入り少し長い廊下を進めば、そこは少し開けたリビングのような場所だった。
内装はどちらかというと遊佐たちの故郷の日本風、和風というわけでもなく。 ユーノ側のミッドチルダ風というわけでもなく、どちらかと言うと古いミッドチルダ……いや、ベルカ風と言ったところかとユーノは思った。
「この内装は日本基準にしたものなの?」
「はいそうですよ」
「なのです」
ユーノの問い掛けに返ってきたのは二つの返事。 アリスとダリスだった。
同じ外見で同じフリルのついたドレス風の服装。 違うのは色と最初に言うか、後に言うかであった。
ここに来るまでに軽い説明を受けた知識によると、一卵性双生児の姉妹であり、孤児であったところを引き取ったと言う。
そして助けたのは友佐ではなく、育てたのが友佐で、そんな友佐のことが大好きだと二人から聞いた。
「アリスとダリスの言葉は半分正解だ。 まぁこの内装は日本と言うよりは、日本の外の国を意識した作りさ。 と、まぁユーノの知識欲の器に知識を注ぐのはいいが、少し待っていてくれ、君の友人を連れてくるさ」
あぁ、やっぱり彼も此処にいるのか。 彼と彼の親友、そして彼女。 彼らと会わなく…いや、会えなくなってもう10年と言う時間が過ぎ、そして何の因果か解らないが彼に出会うことで止まっていた時間が動き出したかのように全てが繋がり、確信へと至っていく。
やはり彼は……。
そこまで考えてユーノは頭の考えを消し去る。
やめよう、今はまだその時ではない。 久しぶりに会う友人のためにここは先の為の会話の内容でも考えておこう。
そんなこと思い目を閉じて誘導された椅子に座ったのだった。
……………………
……………………
……………………
ごーん、ごーん。
壮大かつ厳選された古時計から鳴り響く音は既に2回目、ついにユーノの中にあったフェレット魂が我慢の限界を超えて雄叫びをあげそうになっていた。 というか上げた。
「おぉーーそい! 遅すぎるよッ!」
広々とした部屋の中で吠える。 仲良く反対側の椅子で寝ていた少女たちに気を使うことを忘れて吠える。
ユーノの中にある血液は最大稼動で駆け巡り回り、もう目から口から魔力スフィアでも撒き散らすのではないかという勢いでだ。
そしてそれは既に前出て行った友佐にではなく、友佐が迎えにいった少年に対してである。
「流石にないよ! どんだけ待たせるの! ゲームでも優先してるのに決まってるでしょ! て言うか絶対にユーノって誰だっけ? ってレベルで返されそうなぐらいだよ!」
最初は我慢していたさ、もともと我慢強くこういったことに限らずとも大きな学会やら発表会だって経験してきたわけであるユーノだ。
そんな心をもって、最初の30分ぐらいは久しぶりの再会だし、そのぐらいなら怒ることなく男の度量でも見せてあげようかなとか思ったけど。
流石にこれはない。
そして収まりきれなくて遂に友佐が出て行った扉へと視線を向け、腰を上げようとしたとき目の前の少女たちが小さくあくびをし、目を覚ます。 そしてゆっくりとした動作で立つ。
「ユーノさん」
「さん」
「「やっときますよ………はふ…」」
そんな出していない問に返する
「ごめんよ、ユーノ。 遅くなった」
そんな傷だらけで衣服が乱れた彼の足元には襟首を掴まれた銀髪の青年が。
「やーめーろーよー! さっきイベント終わったから、これから大型建築に資材ぶっぱするっていう使命があんだよおおおぉぉ!」
「いい加減諦めないと、アリダリに部屋の掃除させるよ?」
「ちょっ、マジそれ勘弁してくれねぇか…」
「じゃあちょっくら逝ってこい」
「うぉおおああぁ!?」
襟首を両腕で持ち上げ投げられた銀髪は、もんどり打ちながらユーノの前へと股の間からこんにちは!しながら転がり込む。
「…………ん? …え? まさか!? オイオイオイオイ、マジでユーノじゃねえか!」
そして驚く。
「久しぶりだね、喜芽。 髪の色が変わってるから確信してたはずなのに、最初見たとき少し不安だったけど、やっぱりあまり変わってないね」
扱いが。 とは言わなかった。
「へっ、たりめーだ。 俺は生まれてこの方生き様なんて変えてネンだ、おまえみたいな……、ましては俺のダチが俺を間違えるほど変わっちゃねえよ」
「そうだね…」
その言葉に少しだけ…いや、すごく嬉しくなる。
喜芽とはこういった人物だなと思い出し、懐かしくなる。
言葉の粗さとは裏腹に、仲間を思いやり、大切にしている。 一番槍の存在だけど盾も持っているのような男。 腕っ節はピカイチで小さないざこざにも自分から割り込み、鎮圧するほどの凄みを持っている人。
そんな彼が友佐と組んで何かをしている姿は今でもユーノの脳裏に焼き付いている。
憧れた人の一人。
「いやでもまさか本当にユーノだとはな!」
ん?
「いきなり部屋に乗り込んできた友佐が、いきなりユーノが来たぞ、来い。 とか言いやがるからよ、俺ァてっきりよ、この前やってたゲームのキャラのユーノだと思い込んでて、そんな2次元キャラなんか出てくっかよってゲームしてたんだが………」
そんな体制で何真顔で言っている。
開いた口がふさがらない。 ユーノが来ていると言われておきながら、解っていながらゲームをしていただと?
ユーノの中で完全に何かが切れた。
「いやまぁ無理やりこさされたわけだが……っておい! ユーノバカヤメろ!」
「本当に久しぶり、じゃあね」
足を踏み下ろした。
「ぎゃああああぁああぁあああああ!?」
目が、目がァ!? 状態で転がる喜芽を傍に3人はため息を下ろす。
「このバカが…」
「「さすがのダメ男です」」
「何も変わってないね……」
でもそんな光景も昔を思い出す一つ。
昔は良くこんなことあったっけかな。
たった数ヶ月の間の関係、でも本当の奇跡だったあの夏。 なくなったはずのもの。 変わってなかったもの。
本当に…。
「ただいま…」
原作本編が始まらない!
友佐勢の内容ばっか詰まっていく…。
次は黒すけかな。
股から顔がこんにちは状態→エレンの例のシーン。
誤字脱字、ルビふり修正などちまちまとやっていくと思うので報告でもあればよろしくお願いします。
TON☆JI☆CHI