暇つぶしのハクミコオリ主   作:霜降り 

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なんか思いついたら投稿するやつです。


研究者と研究者

 ピピピピ!!ピピピピ!!

 

「んぅ……」

 

 耳元で鳴り響く音で目が覚める。

 若干の気だるさを感じつつ、布団から抜け出して目覚まし時計へ手をかけようとし……少し手がズレて目覚まし時計をベッドの裏に落としてしまった。

 

「めんどくさ……っとと」

 

 ベッドから出て立ち上がると、同時にめまいが起きて倒れそうになる。

 めまいの原因は、夜ふかしか、貧血か、それとも朝に弱いだけなのか、原因になりうることが多すぎて予想がつかない。

 

「あー、うるさいうるさい」

 

 自分で作って言うのもなんだが、流石に音量をデカくしすぎた気がする。

 ここは一軒家だからいいが、アパートなんかの壁が薄いところで使ったら恐らく周りの部屋まで聞こえてしまうだろう。

 もはや朝のちょっとしたテロである。

 

「ふわぁ……朝ご飯作らないと」

 

 ある程度目が覚めたからか、自分のお腹が食べ物が欲しいと訴えてきているのを自覚する。

 目を擦りながらも、食パンを用意。買ってから一日経っているためもちろん温かくなんてない。むしろ湿っている状態だがこれはこれで僕は結構好きだ。

 それとついでにコップに水を入れる。

 本音を言うのなら眠気覚ましにコーヒーを飲みたいところだが……、未だ抜けない気だるさの中わざわざコーヒーを作ることよりも面倒くささの方が勝ってしまうのは仕方ないことで……

 日本のコーヒーメーカーが恋しいものだ。

 いっそのこと自作をしてみようか?

 僕一人では時間はかかるがセンに協力してもらえば結構いいものが作れるかもしれない。

 彼女もコーヒーは飲んでいたはずだし。

 まあ、彼女は僕と違って面倒臭がるタイプじゃないだろうが。

 このあとバターもジャムも切らしていることに気づき、軽く絶望したのはまた別の話。

 

 

 

 突然だけど、僕はいわゆる転生者と言うやつである。

 最近人気のやつ……というには流行り始めたのが前すぎる気もするけれど。

 ちなみに目覚めたら異世界で赤ん坊だったパターンである。成人しているのに赤ちゃん扱いされるのはなかなかにきついものがあった。

 転生者とか異世界、と言っても別にチートとかバトルとかそういうわけでもない。

 それどころか、平和も平和。実にほのぼのとしている異世界である。

 世界観的には絵本みたいな世界だ。動物達が話すし、虫も話すし、付喪神とかもいるわ、小人だっている。かくいう僕も全長約8cmの小人である。

 

 正直、転生なら転生らしくチートとかしたかったなぁ、とは思ったけれど、まあ戦えるような精神を持つわけでもないのでむしろこの世界で良かったのかもしれない。

 それに最近は転生とチートはイコールで繋がらないらしい。転生して地獄みたいな体験をするよりは数億倍はマシだろう。

 まあ、この世界は"絵本のような世界"ではあるが、なかなかにリアルな世界なのだけど。

 

 まあ、当たり前の話であるのだけどこんな絵本の世界にも通貨という概念はしっかり存在する。

 そして、通貨はもちろん労働との交換で入手するものである。

 つまり絵本みたいな世界観のくせにしっかりと働かないと生きていけないのである。世知辛いのじゃ。

 実際職も食もなく、仕方無しに盗難みたいな犯罪はわりとあるあるな絵本要素どこ?な世界なのだ。かくいう僕も盗難には一回あったことがある。

 そのときは親切なキャラバンに助けられたのでなんとかなったが、もし盗まれてたらと思うとゾッとしてしまう。

 そして、そんな立場に自分が堕ちる可能性が普通にあるのにもブルッとする。

 そんな感じで結構闇深めな世界なのだ。

 と言っても前の世界より犯罪は少ないし、ほのぼのはしてるのだけど。

 ちなみにこのほのぼのは犯罪者にも適用される、どこか憎めないやつが多いんだよな。

 

 そんな世界に転生した僕だが、もちろん生きるために職を持っている、それも自営業。

 自営業、といった時点でご察しではあると思うけど、僕の仕事は商品の販売、噛み砕きまくればお店である。

 店名は『エレキテル』名前のまんま電気系のお店である、やめて、ネーミングセンスとか言わないで。

 場所は商店街から少し外れた路地裏、ぶっちゃけ立地的にはめちゃくちゃ悪い。

 こんな場所のせいで知る人ぞ知るお店みたいになっている。

 まあ、食べていけるくらいにはに売れているので問題はないけれど。

 

 こんな場所でも売れている理由はちゃんとある。

 僕のお店では電気系の商品を扱っているのだが……実はこの世界、電気などの機械系が殆ど発展していない。

 先程チートがしたかったといったが、実は僕はチートみたいなことをやっている。

 日本での知識を活かして電気仕掛けの機械をこの世界で売っているのだ。

 もちろん、売れる。立地なせいでめちゃくちゃ売れてるわけじゃないけれど。

 いわゆる現代知識チートと言うやつだ。

 

 現代知識チートなんて言っても、僕は別に研究者とか博士号を持っていたわけではないただの理系の一般人。

 売っているのは本当にちょっとした機械。

 この世界で勉強して、研究してなんとか暮らせるくらい売れてるレベルのものだ。

 正直、普通にレストランとかで働いたほうが良かったんじゃないかと思ってしまう今日この頃である。

 

 

 

「今日は閑古鳥が鳴いてるなぁ」

 

 『エレキテル』の開店時間は九時、それから一時間経ったが未だに入店はゼロ。

 人が来ないのは楽ではあるのだが、退屈である。

 暇すぎて出そうになるあくびを我慢しながら、頬杖をつく。

 

 さらに、それから一時間。

 こくんこくんと首が縦に揺れる。

 まずい、眠くなってきた……流石に店を開けた状態で眠るのはまずい。

 仕方なく顔を洗いに、椅子から立ち上がり洗面台へ向かおうとする。

 その瞬間、

 カランコロン

 入店を伝えるベルがなった。

 

「やけに眠そうな顔をしてるね、リン」

 

 ようやくお客さんか、と思ったが、どうやら違ったようだ。

 ドア前立っていたのは、色白の肌に長い白い髪、口元を隠す特徴的な服を着た全体的に儚い印象を抱かせる女性だった。

 

「なんだ、センか」

「なんだとは、なかなかの言い方だね」

 

 彼女の名前はセン。

 とある喫茶店で出会い、同じ研究者ということで気づいたら仲良くなっていた友人である。

 彼女の研究は、僕が電気工学とするのなら、生物学である。

 その生物学の中でも彼女は"生命"について研究してる

 彼女の研究内容については、何度か詳しく話を聞いているのだが、未だによくわかっていない。

 わかっていることといえば、彼女の研究に使われる音ランプという魔法のような技術があるということくらいか。

 

「それで今日は何の用?」

「別になんのようでもない。たまたま近くを通ったから来ただけ」

「冷やかしなら帰ってよ。仕事中だから」

「客は見えないみたいだけどね」

「いつもならもうちょい人来るんだけどなぁ」

 

 今日はこんなんだが、いつもなら五人くらいは来てくれる。

 どっちにしろ全然人が来てないとかは言ってはいけない。

 

「まあ、この立地だからね。路地裏を覗くだけじゃ見えないのも人が来ないのに一役かってるのだろう」

「店の場所変えようかなぁ」

 

 もうちょっと大通りによれば人が入ってくれるのだろうか?

 でも引っ越しは流石に面倒くさい。

 それに、今の場所は立地のお陰で安く使えてるのだ。

 いい場所はそれだけお金がかかる。払えなくなって盗賊堕ちとかは勘弁してほしい。

 

「ふむ、そうだな。看板とか立ててみるのはどうだろう?」

「看板?」

「たまにあるだろう?路地裏の前に看板を置いているやつだ」

「ああ、エッチなお店とかの」

「きゅっ、急に何を言うんだ!?」

 

 センの白い肌が真っ赤に染まる。

 あ、やべっ失言をしてしまった。センは恥ずかしいのかこちらに視線を向けてくれない。

 にしても彼女ウブ過ぎにも程があるのではないだろうか?

 思春期の女子高校生じゃないんだから、もう成人してるし、結婚を考え始めてもいい年だろうに。

 え?僕?

 正直興味がない、いつか運命の人が見つかるのかな〜とか思ってるくらいである。

 ふむ、そう考えると僕が彼女に何か言う権利は無いのかもしれない。

 

「確かに看板つけるのはありかもね、人目に付きやすくるし、付きすぎて忙しくなっても困るけど」

「作るのかい?」

「ん〜、面倒くさいなぁ。そういうののセンスもないし。誰かに頼もうかなぁ」

「アタシの知り合いに大工の子がいるのだが……頼んでみようか?」

「センって友達いたんだ」

「……どういう意味だ」

「いっつも森の中で引きこもって研究してるからねぇ。もっと人と関わったほうがいいと思うよ?」

「余計なお世話だよ」

 

 センの研究所はとある森の中の泉である。

 そんな場所だ。もちろん人はよりつかない、たまに肝試しに来るやつがいるくらいか。

 そういえば、そこで白髪の女性が魚の怪物を操っているのを見た、という噂を聞いたことがある。

 ほぼ確実にセンのことだろう。面白そうなので本人には教えるつもりはない。

 

「それで、頼むかい?仲介くらいなら"友達"として喜んでお金と一緒に引き受けるよ」

 

 センは友達の部分を強調して言ってきた。

 こういうところ可愛らしよなーと思う。

 

「まあ、頼んでみるかな。失敗なら失敗でいいや。はいこれお金」

「いい、さっきのは冗談だよ。そのくらいでお金を取るほどケチじゃないさ。明日には連れてこよう」

「あ、明日と明後日は休みだから明々後日で」

「……やはり、お金貰っていいか?」

 

 

 




主人公は性別不詳
見た目はご想像におまかせします。
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