暇つぶしのハクミコオリ主   作:霜降り 

2 / 2
機械と二人

「おー、お前がセンの言ってたやつか?」

「君がセンが言ってた子だね?」

「そうだぞ!ハクメイっていうんだ、よろしくな!」

「こんにちは、ミコチって言うわ」

「僕はリン、よろしくね」

 

 センに紹介されたのは二人の赤毛と黒髪の女性だった

 ハクメイと名乗った赤毛の方は髪は曲がりに曲がりまくったくせっ毛というやつ、かなりボーイッシュな見た目をしており、一瞬男かと思ってしまった。

 それに対してミコチと名乗った黒髪の女性は髪をロングにしており、ハクメイと違って女性らしい見た目をしている。

 ハクメイは活発的な人で、ミコチは落ち着いた人といった感じ、なかなかいいコンビである。

 

「それで、看板を作ってほしいんだっけか?」

「そうそう、自分で作ってもいいんだけど、面倒くさくてさ」

「なるほど、どんな看板が欲しい?」

「あー、何ていうんだろ?こう三角になってて立てることができるやつ」

「ん、スタンド看板だな?こんな感じの」

 

 ハクメイは僕の注文を聞いて、スケッチブックに素早く何かを描くと僕に見せてきた。

 そこに書いてあったのは僕が想像したとおりの看板だった。

 

「そーそー、それそれ。お願いするよ」

「わかった。大きさは?」

「腰くらいで頼むよ」

「りょーかい」

 

 ハクメイはそういうと、定規を取り出してスケッチブックに絵を描き始めた。

 多分、設計図を作るのだろう。

 

「ところで、あなたも大工なの?」

 

 扉の前から一歩も動いてないミコチに対して尋ねる。

 雰囲気からして、彼女は大工じゃないと思うのだが、だとしたら何故いるのだろうか?

 

「あ、えっと、私はハクメイの付き添いというか」

「センのやつに、リンはポスターとかのセンスないから助けてやってくれって言われたんだよ。でも私もそういうのよく分からんからな、ミコチを連れてきたんだ」

「ちょっ、ちょっと、ハクメイ!」

「ふーん、なるほどねぇ」

 

 僕がセンスない、ねぇ……なかなか言ってくれるじゃないかセンのやつ。

 そっくりそのままその言葉を返してやりたいところだ。あいつの骨も結構悪趣味だと僕は思う。

 まあ、センスないのは正しいのだけど。

 だとしてもムカつくものはムカつく、今度何かしら嫌がらせをしよう。

 僕はそう決心した。

 

「と、ところでここは何のお店なの?色々置いてあるみたいだけど」

 

 ミコチが露骨に話題を変えてくる。

 少し、怒りが外に漏れていたようだ。

 

「ああ、電化製品を売ってるんだよ」

「「電化製品?」」

 

 僕の言葉にミコチどころか、スケッチに集中していたハクメイも反応してくる。

 そういえばこの世界に電化製品なんて言葉はないのだった、失言失言。

 

「なぁ、その電化製品?って何なんだ?」

 

 ハクメイは僕の言ったことに興味を持ったのか、一度スケッチを中止しこちらに質問をしてきた。

 

「ん〜、電気ってわかる?」

「えーと、雷がそうだったわよね?」

「そうそう」

 

 この世界で一番身近な電気といえば雷である。時点で静電気。

 

「それを使って動かす機械ってとこかな」

「えっ!?それって大丈夫なのか!?」

 

 ハクメイが心配そうに聞いてくる。

 多分電気を使うときいて、雷で動かすと思ったのだろう。

 

「あはは、別に雷を使うわけじゃないよ。うちで使ってるのは雷の何億分の一くらいの量。人体に影響はないさ」

「そうなのか?……雷といえば危険なイメージしかないんだが」

 

 日本とかでも天災の一つとして知られている雷だが、この世界ではさらに恐ろしいものになっている。

 僕たちは小人、つまり身長が小さい、そして身長が小さいということはそのぶん生活に必要なスペースが小さくなる。

 つまり小さな場所に住処が密集してるのだ。

 そんなところに相対的に見たら大きくなっている雷なんて落ちたら…………語るまでもないだろう。

 実際、雷が一つ落ちただけで沢山の犠牲とともに廃墟になった町もあるのだ。

 怖がるのも無理はないだろう。

 

「説明するより見たほうが早いかもね。ここらへんにあるやつ適当にいじっていいよ」

 

 僕がそういうと、二人とも興味深そうに……そして未だ雷の恐怖が抜けないのか、おっかなびっくりと店の中を探索し始めた。

 

「なあ、これなんだ?風車みたいなのがついてるけど」

 

 ハクメイが見つけたのは、プロペラがついた機械

 日本では馴染み深い、扇風機だった。

 

「これは扇風機って言ってね。そこにスイッチがあるから押してみな」

「こうか?」

 

 ハクメイがスイッチを押すとブオオオと、音を鳴らしながらプロペラが回りだす。

 扇風機の真正面に立っていたため、ハクメイの髪が大きくなびいた。

 

「おおっ!すごいなこれ!」

「夏に置くと涼しいからオススメだよ。……やりすぎるとお腹壊すけど」

「やけに実感のこもった言い方だな……」

 

 扇風機でお腹を壊す。多分人生で誰もが一回はやる行為だろう。

 僕は馬鹿なので数え切れないくらい壊している。

 

「なあ、これいくらするんだ?」

「あー、これはね。結構いかついよ?」

 

 ハクメイに扇風機の値札を見せる。するとハクメイは「うえっ」と驚きの声をあげた。

 

「構造が複雑だし、素材の形もちゃんとしないといけないからお金かかっちゃうんだよね」

 

 日本の扇風機と比べて僕が制作した扇風機は日本より性能が悪いのに値段が高い。

 これは別にぼったくりとかそういうわけではなく、理由があるのだ。

 高くなる理由、それの一番の原因は部品である。

 

 この世界、電気関係が発達していない……つまりモーターとかが売ってないのだ。

 そのため使っているモーターは自作、もちろんお金がかかる(主に加工で)

 スイッチも導線も、それどころかパーツも金槌でトンカンしてたりする。

 

 そんなわけでうちの商品は全体的にとても高い。

 それでも便利なものを置いてあるので売れてくれるのだが。

 

「こりゃ、ちょっと手を出せんなぁ……。てか売れるのか?これ」

「一回だけ奇特な富豪が気に入って買ってくれたよ」

「売れてないってことじゃないか」

「ねえ、これ何?もしかして時計?」

 

 ハクメイと話してると、ミコチがうちの商品を片手に質問してきた。

 ミコチが持っているのは、彼女の予想の通り時計である。

 いわゆるデジタル時計と言うやつだ。ちなみに僕の部屋に置いてあるのと同じやつ。

 

「うん、時計だよ。それうちの売れ筋商品」

「へー、面白い形をしてるのね。四角いし……数字で表すのも初めて見たわ。見やすくていいわね」

「丸い時計と比べて時間が正確にわかるのが利点だよ。あと目覚ましつき、バカみたいに音でかいけど」

「ほぉ、いいなこれ。いくらなんだこれは?」

「はい、お手頃価格だよ」

 

 二人に値札を見せる。

 それを見て二人はとても悩まし気な顔をした。

 

「言うほどお手頃じゃないな……」

「私達の食費一週間分てところかしら。買えるには買えるけど……結構悩むわね……」

「お手頃価格だよ」

「これがお手頃とは、もしかしてどこかのお嬢様だったりしないよな?」

「王子様かもよ?」

 

 ふふふ、と笑うとハクメイから呆れた目を向けられた。

 ちなみにミコチは未だに買うかどうか迷っていた。

 

「まあ、七日間断食すれば買えると思えばお手頃でしょ?」

「知らないかもしれないけど人は一日食べないと死んでしまうんだ」

「あれ?三日くらい持たなかったっけ?僕の経験的にそう思うんだけど」

「私は絶対に死ぬ」

 

 どうやらハクメイはかなりの食いしん坊さんのようだ。

 まあ、安心すると良い。人間水飲みで四日くらいまではいける

 この店を建てるために経験した僕の苦労を君も味わう良い。

 

「それで、買うかい?」

「ちょ、ちょっと、もうちょっと考えさせてもらっていい?」

「そうだ。ポスター考えてもらう分の報酬はそれの二割引きでどう?」

「買った!!」

「ミコチ……」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。