第二のゲッターカオスのパイロット、レン・クーの暴走あっても辛くもインベーダー相手に勝利を収めた竜騎たち。
だが、次なる脅威が惑星イマガワに迫っていた。
その名はハート!
付近の惑星の政権より、イマガワの生き残りたちの抹殺を命じられたのだ。
「ブッヒッヒッ、お任せください。このハートに掛かれば、イマガワに居る死にぞこない共など、短時間で皆殺しにして差し上げましょう」
政権に命じられたハートは直ちに、多数の部下を引き連れてイマガワへと出撃した。
場所は過去に戻る。
誰の過去と言えば、ゲッター線に選ばれた第三の男、即ち最後の男たるマ・ドソクの過去!
彼もまた竜騎やレンと同じく、家族や仲間を始めとした全てを失い、惑星イマガワに収監された。
なぜ、このような経緯に至ったか、ここで語ろう。
「て、テメェ…! 何故、なぜ俺をやらずに、俺の家族を…!?」
マ・ドソクが収監されたのは、乗り込んできた警官たちに確保された為、だが、彼の体格は大柄であり、特殊部隊でも拘束が難しい巨漢である。
更にドソクは拳一つで裏世界の頂点に立った武闘派のドン!
裏社会の誰もが恐れる男であった。だが、そんな彼にも弱点はある。
それはドソクが心から愛した妻とその妻の腹の中で生まれの時を待つ赤子、その二人が敵対するマフィアに殺意がされたのだ!
「へっへっ、あんたが殺したような物だぜ? マ・ドソク。テメェの嫁さんとまだ生まれてねぇ赤ちゃんは、テメェの所為で死んだんだ! マ・ドソク! お前の存在を、お前自身で恨むんだな!」
ドソクの家族を殺したのに対し、当の本人はお前の所為だと恐ろしい形相で睨み付ける彼に告げる。
自分を殺さず、その家族を殺した目前の拳銃を持つ男にドソクは殺意と憎しみを抱き、正気を失い掛けていた。そんなドソクを更に怒らせるべく、煽り立てる。
彼が怒り心頭で突っ込んでくるのを待っているのだ。その為に数名の手下は拳銃や短機関銃を持っており、ドソクが怒って突っ込んでくるのを待っている。手にしている銃で射殺するために。
「大体、テメェ見てな生まれながらのクズが妻子を設けること事態が大間違いなんだ。こんな奴に惚れて、その餓鬼を身籠る女も同類よ! クズ同士お似合いのカップルだな! でも、運が良いな、この女も。なんたって、そこのクズの餓鬼を生む前に死ねたんだからな! 感謝しろよな!!」
怒りの余り正気を保てないように殺害したドソクの妻の死体を蹴れば、彼はもう我慢の限界であった。
「この俺を、この俺を何とでも罵倒するのは良い…! だが、ミョンジュを…! 俺を唯一愛してくれたミョンジュを侮辱することは許さん!!」
自分はなんとでも罵倒したり、侮辱するのは良い。
だが、妻を侮辱することは許されない。既に我慢の限界に達したドソクは、怒りに身を任せて雄叫びを上げながら銃を構える男たちに突っ込んだ。
「ぬおぉぉぉ!!」
「はっ! 遂に怒ったぜ! よし、蜂の巣にしろぉ!」
突っ込んでくるドソクに対し、男たちは銃を撃ち始める。
通常なら一瞬にして蜂の巣にされる大柄のドソクであるが、不気味なことに一発も当たらなかった。これだけの人数に撃たれて倒れないドソクを見て、銃を撃つ男たちは驚愕する。
「やった!」
「ぬぁぁぁ!!」
「嘘だろ!? なんで倒れない!?」
少し近い距離になったところで当たるには当たったが、ドソクは倒れることなく突っ込んでくる。顔は痛みを感じているが、痛覚よりも怒りの方が増しているのか、全力疾走で短機関銃を再装填中の男に近付き、怒りがこもる右手の大きな拳を顔面に向けて放った。
「ぶげっ!?」
その怒りがこもった右拳によるパンチは、殴られた男の顔面が変わるほどの威力であった。
近付いたドソクに対し、慌てて撃とうとする男たちであるが、既に拳の間合いに入られており、銃を撃つよりも前に彼の鉄拳を食らって吹き飛ばされるか、首の骨を折れる。
数名ほどの男たちは、ドソクの怒りの特攻で僅か二名ほどになっていた。
「ぎゃぁぁぁ!?」
「はぁぁぁ!!」
余りの恐怖に逃げようとした男はドソクに捕まり、先に逃げた妻子を殺した男に向けて投げ付けられる。首から男の背中に当たったために、投げられた男はその衝撃で首が折れて即死した。
硬いコンクリートの上に倒れた妻子を殺した男は直ぐに起き上がり、右手に握る拳銃でドソクを殺そうとしたが、既に彼は目と鼻の先に居た。引き金を引く前に拳銃を握る右手を蹴られ、ドソクに首を掴まれて持ち上げられる。
「くぇ…! か、かぁ…!」
「ぬぅぅ…!」
首を掴まれた男の足はコンクリートより離れ、物理の影響もあって首を絞める力が強まる。ドソクは片腕だけで男の首を掴んで持ち上げており、自分の妻子を殺した男を睨みつけながら首を絞める力を徐々に強めていた。
手で首を掴む右手を引っ掻いたり、浮いた両足で何度も蹴って抵抗する男であるが、ドソクはびくともしない。そればかりか力を強めて絞め殺そうとしてくる。その握力は、首を絞められている男の両目が飛び出しそうなくらいだ。
「か、かぁ…! くっ…!」
最後まで抵抗する男であったが、遂にドソクに絞殺された。右手の握力で首の骨が粉砕されたのだ。
絞め殺した男を投げ捨てた後、ドソクは吐血してから仰向けになってコンクリートの上に倒れる。怒りで活性化し、何発も撃たれても平気だったドソクの巨体であったが、怒りを晴らされた後、急激に力を失って倒れたのだ。
「今、行くぞ…!」
倒れた後、薄れゆく意識の中で既に逝った妻子の後へ続こうとしたドソクであったが、彼を選んだゲッター線がそれを許さなかった。
気が付いたドソクの最初の視線に入ったのは、惑星イマガワの独房であった。ドソクはゲッター線に導かれ、イマガワに収監されたのだ。
「クソっ…! なんで死ねないんだ!?」
何度も自殺や脱走を行い、その度に瀕死の重傷を負うドソクであるが、ゲッター線は彼を決して死なせなかった。
ドソクが何度も死のうとしても、ゲッター線は死なせようともしない。ドソクに取ってこのイマガワでの収容生活は生き地獄であったが、諦めの悪い彼は何度も死のうとした。
それは数年以上も続き、最初の掃除とメカブーストの襲撃の時でさえ、周りを犠牲にしてドソクだけが生き残り、インベーダーの襲撃ですら生き延びてしまった。
そして、今に至る…。
「大丈夫か!? 小僧!」
インベーダーの襲撃を奇跡と言うか、ゲッターの意思で生き延びたドソクは数少ない生存者の若い囚人を発見し、自慢の腕力で瓦礫を退かして彼を救う。
生きてるかどうか確認すべく、助け出した囚人の頬を叩いて反応を見た。頬を叩かれた囚人は気が付き、ドソクの顔を見て驚きの声を上げる。
「うわっ!?」
「生きてるな! よし、とにかく安全な場所に行くぞ。他にも生存者が居るはずだ。お前も手伝え!」
驚く青年の囚人に碌な説明もせず、ドソクは他にも生き残りが居るはずだと言って共に探すように命じた。それに応じ、青年の囚人は殴られると思って生存者を探す。ドソクの見た目で、従わなければ殴りつける様な男と判断したのだ。
「見付かりました。全部で十三人です」
「よし、お前ら! これからは俺に従ってもらおう! 俺はマ・ドソクだ。生き残りたければ、俺の指示に従え! 従わねぇ奴は何処へでも行け! 分かったな!?」
数時間ほどで十三名の生存者を発見すれば、ドソクは彼らに従うかどうかを問う。
この荒れ果てた収容所で個別に動けば生き残れる確率は低いので、生き残りたちは徒党を組めば生き残れると思い、ドソクに従った。
「全員一致だな? よし、まずは安全な場所を探す。そこから食料に水、医療品を確保だ。行くぞ!」
全員が首を縦に振ったのを確認したドソクは、彼らを従えて安全地帯を目指した。
「クソっ、いてぇぜ…!」
二番目のゲッターのパイロット、レンの暴走につき合わされた竜騎は首を抑えながら目を覚ました。
彼らの居る場所は惑星イマガワでは一番安全な場所と言え、そこに生き残りたちが集まり、シュンの指示の下にバラックを拵え、三機のゲットマシンや鉄人28号を集めた道具で整備していた。嘉承は座禅を組んで雑念を消し、無の状態を取っている。
同じく目を覚ましたレンは少し寝て冷静になったのか、自分のマシンであるクレイジー号のシートに座り、これから自分の物であるマシンの長所と短所を調べていた。
各々が生き残るための準備をする中、人だかりを見付けたドソク一行がそこへ姿を現した。ドソクが三番目の男と見抜いた嘉承は目を覚まし、彼の姿を見て口を開く。
「おや、どうやら探す手間が省けたようだ」
「おい、ここのリーダーは誰だ? 何をしているか分からねぇが、ここに居させて欲しい。手伝いもするぜ」
使えそうな物を探し回る生存者に問うドソクを見た嘉承は座禅を解き、立ち上がって茶を飲んでいるシュンに第三の男が来たと報告する。
「来ましたぞ、第三の男」
「なに? 速過ぎるな。あのデカいおっさんがそうか。ここの生き残り共を従わせるのに苦労してた所だ。助かったぜ」
この報告を聞いたシュンは立ち上がり、早速ドソクをゲッターに乗せるべく、彼の元へと向かった。
「何の用だ?」
「ゲッター線についてだ。あれは夢のようなエネルギーであるが、実際は悪魔のようなエネルギーだ。そのゲッターに選ばれた我々をどうする気だ?」
途中、ゲッターを調べ尽くしたレンがシュンの目前に姿を現し、これからゲッターに選ばれた自分たちはどうなるのかと問い詰める。
「どうするって、お前らは選ばれちまったんだ。もう後には引けないぜ」
「後には引けない。俺を同意なしに乗せたお前の言えることか。もっとも、俺にはもう何も残ってなどいないが…」
「お前も何もない口か。次の三人目も似たような物だ」
「フン、ゲッター線が救いの手を差し伸べたと言うのか。ならば、とことんつき合おう」
これに選ばれたのだから仕方ないとシュンが答えれば、レンは眉をひそめて睨み付けた。だが、レンもまた何も残っていない人間であるため、ゲッター線にとことんつき合うと告げる。
それが終わったところで、三人目であるドソクの元へ向かおうとした瞬間、居住区としている区画が空からの攻撃を受けた。
「っ!?」
「畜生、もう来やがったのか!」
爆発音が響く中、シュンはもう敵が来たと思ってドソクの元へ急いだ。レンは直ぐに自分のゲットマシンであるクレイジー号まで急ぐ。
『ハート様、数十人は殺しましたぜ!』
「数十人ですか。では、二射目を行ってもっと殺して差し上げましょう」
拠点を襲撃したのは、ハート率いる掃討部隊であった。MSである多数のブッシを率いて攻撃を行っているのが、ハートが乗るスーパーロボット、ミスターハートだ。頭部の目から光線を放ち、生存者たちを虐殺している。
数百人を殺害したところで、ミスターハートに乗るハートは虐殺を止めてホログラム映像を使って挨拶を行う。
『ブッヒヒヒ、生存者の皆さん。こんにちは。わたくし、ハートと言う者でございます』
ホログラムに映る脂肪の塊である巨漢ハートが紳士的に挨拶を行った後、攻撃した理由をまだ生きている生存者たちに説明する。
『皆様を攻撃したのは、わたくしのスポンサー様からのご命令でしてね。残念ながらあなた方には生存権はありません。大人しくわたくしたちに殺されてくださいませ。暴れなければ、楽に死ねますよ。オッホホホ!』
事実上、死ねと言わんばかりの宣言であった。
これに生き延びた囚人や看守たちは怒りで手製の火器で抵抗するが、ミスターハートと多数のブッシに敵うはずが無く、惨たらしく虐殺されていく。
『ぎにゃぁぉぁ!!』
「クソっ! また虐殺だ! なんで俺たちは殺されなくちゃならねぇんだ!!」
三度目の虐殺にドソクが怒りの叫びを上げる中、彼がゲッター線に選ばれし三人目と分かっているシュンは近付き、安全な場所があると言って騙して連れて行こうとする。
「おう、あんた! こっちが安全だ! 速く来い!」
「なに? 安全な場所だぁ? みんな、ついてこい!」
これにドソクに同行していた者たちがついて来てしまったが、取り敢えずクラッシャー号に乗せればそれで良いのでシュンは彼らを連れて行く。
「ん、なんだここは? 変な乗り物しか無いぞ!」
「あぁ、あんたはこの中だ」
「この者たちは拙僧に任されよ!」
「なに? よし、頼んだぞ!」
クラッシャー号に辿り着いた頃には、サイコ号とクレイジー号には竜騎とレンが既に乗り込んでいた。ようやくパイロットが揃ったので、シュンがドソクをクラッシャー号へ誘導する中、嘉承は彼が連れて来た生存者たちを安全な場所へ案内する。
「一体、俺になにを…?」
「ここに入るんだよ!」
「ぐわっ!? 何をする!? 開けろぉ!」
キャノピーが開いたクラッシャー号にドソクを誘導したシュンは、コクピットの近くに来たところで無理やり彼をコクピットの中に突き飛ばし、キャノピーを締めて無理やり乗せた。
ドソクがキャノピーを叩いて出せと叫ぶ中、シュンはサイコ号とクレイジー号に合図を出して出撃させた。ドソクを閉じ込めたクラッシャー号も残る二機のゲットマシンに続いて出撃させていく。
「ヒャッハー! 死ねぇ!!」
「よし、行った。こっちも、忙しくなりそうだ!」
三人が揃った三機のゲットマシンが飛び立つ中、シュンはバイクに跨って殺しに来たモヒカンの集団に対し、得物の大剣を素早く抜き、先頭の集団を纏めて切り裂いた。
『なます!!』
「な、なんだこのデカい剣の野郎は!?」
「刺身になりてぇ奴からかかってこい!」
「野郎、ふざけやがって! 囲んで嬲り殺せぇ!」
四台のバイクに跨ったモヒカン四名が断末魔を上げる中、シュンは残りのバイク集団に挑発を行い、戦闘を開始する。
『ぬぁぁぁ!? なんだ一体!? 降ろせェ!!』
「レン、最初のお前みてぇだな!」
『煩いぞ。とにかく、今は合体を優先だ。汎用の1で行くぞ』
騙されて乗せられた挙句、強烈なGに身体を引き裂かれそうなドソクが悲鳴を上げていた。
それを見ていた竜騎はレンに向けて最初のお前のようだと煽ったが、冷静沈着となった彼は安い煽りに乗らず、合体しろと指図する。
「ちっ、指図しやがって。なら、一番手は俺よ! チェンジゲッター、カオス1!」
『うわぁぁぁ!!』
レンに指図されたことに苛立ちつつも、竜騎は三機のゲットマシンはゲッターカオス1に合体した。その間にドソクが叫んでいたが、クラッシャー号は自動操縦なので勝手に合体している。
ゲッターカオス1になった後、目前に居る多数のブッシを殴り潰しながらハートが乗るミスターハートに突っ込む。
『いべっ!』
「ブタ野郎! この俺が丸焼きにしてやるぜ!!」
『人をブタ呼ばわりするとは躾のなっていない少年ですね。良いでしょう、このわたくしが貴方を躾けて差し上げましょう!』
邪魔なブッシをあらかた片付けた後、竜騎は拡声器を使ってハートを丸焼きにしてやると宣言した。この餓鬼の挑発に対し、ハートは乗らずに紳士的な口調で返して光線をゲッターカオス1に向けて発射する。
「へっ! そんなへぼ光線に当たるかよ!」
『すばしっこい餓鬼ですね。ならば接近戦で躾けましょう』
「はっ、タイマンでやんのか? てめえを丸焼きにすると言っただろ! 焼きブタになれ! ゲッタービーム!!」
光線を軽やかに躱す竜騎は、接近戦を仕掛けて来るミスターハートに向けてゲッタービームを放った。
人の作り上げた物なら破壊可能なはずだが、ハートが駆るミスターハートには通じなかった。ミスターハートの装甲は宇宙の鉱物を使用した特殊合金で出来ており、ゲッター線のビームが通じないのだ。
「な、何ッ!?」
『ブッヒヒヒ。このミスターハートの装甲は特殊合金を使用しておりましてね、それも宇宙ではとても希少な物らしいのですよ。よって、貴方のマシンのビーム砲はこのミスターハートには通用しません』
「クソっ、だったらぶった切ってやるぜ! ゲッタートマホーク!!」
『ホッホッホッ、無駄なことを!』
ミスターハートにはゲッタービームが効かないとハートが言えば、竜騎は苛立ってゲッタートマホークを取り出し、斬りかかったがゲッター線の刃ですら通じなかった。
「なんだとッ!?」
『言ったでしょ。効かないと! ほれっ!』
刃ですら効かないことに驚愕する竜騎のゲッターカオス1に対し、ハートのミスターハートは叩きを行う。その叩きは恐ろしく、ゲッターカオス1を吹き飛ばす程であった。
「畜生が! 今度は…!」
『落ち着け! 特殊合金ならばカオス2のドリルが有効かもしれない! カオス2にチェンジしろ!』
「あぁ!? てめぇ、暴走するんじゃねぇだろうな!?」
『いがみ合っている場合か! あの時は機体に呑まれ過ぎた! 今の俺は冷静だ!』
無駄な反撃を行おうとする竜騎を止めるべく、レンは重装甲に有効なカオス2に変形するように指示を出した。これに竜騎が反発し、暴走するのかと問えば、レンは今度は暴走しないと約束して説得する。
「ちっ! あのドリルはすげぇからな! オープンゲット!」
『分かってくれて感謝する!』
『うわぁ!? 分裂したぞ!?』
カオス2のドリルを思い出した竜騎は説得に応じ、合体を解いた。これにレンが感謝の言葉を述べ、状況を理解出来てないドソクは叫ぶ。
「ゲッター、カオス2!」
三機のゲットマシンに別れたゲッターカオスは、カオス2の体系を取って合体する。その様子をハートはただ眺めており、姿形を自由自在に変えるゲッターロボに拍手を送る。
『なんとも面白いロボットではありませんか! 先ほどから一変して細くなりましたね。パワーダウンしたんじゃありませんか?』
「重装甲なら徹甲弾になれば良い! ドリルミサイル!!」
ゲッターカオス2になってパワーダウンしたんじゃないかと問うハートに対し、優先操縦者となったレンは重装甲ならば徹甲弾を使えば良いと答え、左腕のドリルをミスターハートに向かって放った。
凄まじい勢いで発射されたドリルは真っ直ぐと、高速でミスターハートの腹に飛んでいく。やがて命中したが、ミスターハートの装甲は丸みがあり、更に当たった個所は傾斜であった為に弾かれてしまった。軍事的に言えば、戦車の傾斜型の前面装甲で徹甲弾が弾かれたのだ。
「何っ!?」
『おやおや、どんな物が飛んでくるかと思ったら、ただの豆鉄砲ですか。戦車の傾斜装甲をご存じで? 第二次世界大戦でソ連軍の殆どの戦車がこの装甲でしてね、ドイツ軍の戦車の主砲を良く弾いたそうですよ。今の戦車砲では全くの無意味ですが、巨大なロボットでは有効のようですね! ブッヒヒヒ!』
強烈なドリルミサイルですら弾く傾斜装甲を持つミスターハートに乗るハートは、驚愕するレンに向けて大戦時のソ連戦車のうんちくと巨大ロボットの傾斜装甲の有効性を語る。
「ならば、ドリルハリケーンで!」
『そんな隙を与えると思ってですか? ブッヒヒヒ!』
「ぐわぁぁぁ!!」
直ぐにドリルを左腕に戻し、ドリルハリケーンで反撃を試みようとしたが、ミスターハートは図体に似合わない速度で既にゲッターカオス2の至近距離まで迫っており、巨大な腕で細身のゲッターロボを叩いた。
高速戦闘を重視したゲッターカオス2にはその叩きは致命傷であり、一気に吹き飛んで付近の建造物の残骸にぶつかる。
『おやおや、何ともまぁ呆気ないものですね! では、そろそろと決着を付けましょう!』
そろそろ飽きたのか、ハートは動けずにいるゲッターカオス2に近付いてとどめを刺そうとした。
『おい、俺に代われ! どうやるんだ? どのボタンを押しても反応せんぞ!』
もうここまでかと思っていた竜騎とレンであったが、あれだけ吹き飛ばされても気絶していないドソクが急に操縦を代われと言い出し始めた。向かってくるハートのミスターハートに、カオス1でもカオス2でも敵わないことを知るレンは止めろとドソクに返す。
『何を言っている!? このマシンでは奴には敵わないんだぞ! 例えまだ試していないカオス3でも勝てる保証が無いんだ!』
『そうだぜ、おっさん! あんた、マシンに乗って一時間も経っても居ねぇし、操縦も分からねぇんだろ? ぶっ殺されに行くようなもんだぜ!』
「揃いも揃って、出来やしねぇとほざきやがって! まだその3を試してねぇんだろ! お前らはここで諦める口か!?」
例えカオス3に変形しても勝てる見込みが無いと言う竜騎とレンに対し、ドソクはやらない内に諦めるのかと論す。
あのミスターハートにパワーのカオス3で挑むのは愚の骨頂と思われていたが、試さない内にみすみす殺されるのはレンの性に合わない。ここはあのドソクに任せてみてはどうだろうかとレンは思い始める。
竜騎が向かってくるミスターハートを睨み付ける中、レンは合体を解いてドソクに委ねた。
「こうなれば賭けだ! オープンゲット!」
『おい!』
「大博打だ! あの男がしくじれば、俺たちは死ぬ!」
『そんな無茶な!』
『その大博打、必ず勝つ! 俺を信じろ!』
博打に出たレンはドソクの実力を不安視する竜騎に、彼がしくじれば死ぬと告げる。これにドソクはその博打は必ず勝つと答え、先頭を飛んで合体の隊形を取った。
『おや、まだネタがあるのですか? まぁ、見て差し上げましょう』
第三の合体にハートは少しは楽しめそうだと思い、その合体の様子を手を出さずに眺めていた。
ハートが見守る中、ドソクが乗るクラッシャー号は先頭を飛び、中央にレンのクレイジー号、最後尾に竜騎のサイコ号が合わさったのと同時に合体を行う。ドソクは説明書を少し読んだ程度であるが、合体はコンピューターが行ってくれた。
クラッシャー号を先頭とした合体で、ゲッターカオスはパワーと水中戦に特化した形態であるカオス3に変貌する。
他のゲッターカオスの形態と比べ、カオス3は大柄であった。まさにドソクに相応しい形態と言えよう。その形態を見たハートは驚きの声を上げる。
『ほほぅ、これは驚きです。あんな細身が、合体して今度は大柄になるとは…! 不思議な三体合体ロボですね。汎用とスピードで敵わないとみると、今度はパワーですか。良いでしょう、力比べと参りましょう』
ゲッターカオス3を見て直ぐにパワータイプと見抜いたハートは、自身が駆るミスターハートと力比べをするべく、ゲッターカオス3に接近する。
「力比べか。俺とお前、どっちが上か勝負だ!」
近付いて来るミスターハートに対し、ドソクは操縦桿を強く握って力比べを行うべく接近した。
かくして、第三の形態ゲッターカオス3のドソク対ミスターハートを駆るハートとの力比べの戦いが始まった。
尺の都合でまさかの3の不遇がいきなり発生です。
次回からは読者の方々が提供してくださったキャラクターのご登場となります。
二つ目の読者参加型はどっちにしたい?
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ガンダム宇宙世紀(0083)
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狂機戦争だけにしろ!