悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

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第百五話【マグマ星人の謎】

「は?」

 

一瞬、ゼロは自分の耳を疑った。

しし座L77星――ウルトラ兄弟の一角であるウルトラマンレオとアストラの故郷。

それを破壊したのが波動砲だと?

 

ゼロは再びタブレットに表示されたデータを再確認する。

観測されたエネルギー勾配がほぼ同一、それはつまり、しし座L77星を破壊したのが波動砲である可能性が高い事を示している。

が、それを信じるには大きな矛盾点が有った。

 

「でも、L77星を破壊したのってマグマ星人なんだろ?」

 

そう、ゼロの言葉通り、しし座L77星を滅亡に追い込んだのはマグマ星人だ。

宇宙警備隊のアーカイブにも詳細が記されているし、その事実に間違いは無いはず。

ゼロの言葉を聞いたゾフィーは、その言葉を肯定するかのように一つ頷いた。

 

「ああそうだ、L77星を破壊したのはマグマ星人だ」

「だよな、流石にそれぐらいは俺も知ってるぜ」

「だが、マグマ星人がどのように惑星を破壊したのかに関しては謎だったんだ」

 

ゾフィーが手を翳すと、空中にホログラフィックディスプレイが投影される。

そこに映し出されていたのは、侵略者としてのマグマ星人の基本情報だ。

身体的特徴、戦艦等の武装、使用する武術、侵略の手口など、光の国が調べ上げたマグマ星人の特徴が網羅されている。

 

「別件で捕縛された多数のマグマ星人への尋問も意味を成さなかった、おそらくはかなり厳重な秘匿態勢が敷かれていたんだろう」

 

情報をスクロールしていたゾフィーの手が止まる。

そして、そこに表示されていた『とある画像』をズームしてゼロに見せた。

 

「だが最近になって、ある一隻の戦艦が拿捕された事で、その謎は解明したんだ」

「これは!?」

 

それを見たゼロは、驚きのあまり愕然とする。

 

その画像に映っていたのは、マグマ星人が使用する戦艦によく似た特徴を持っている一隻の宇宙船。

円盤状の搭乗区画と、その下部に装着された二本の筒状の主動力機関、そこまでは一般的なマグマ星人の戦艦と変わらない。

 

しかし、決定的に違う点が一カ所だけあった。

 

「波動砲、なのか?」

 

艦の中央、二本の主動力機関の間に設置された巨大な砲。

不自然なそのシルエットや接続部の処理の粗さから、明らかに後付けで設置された事が分かる。

そしてその砲口部の形状は、ゼロが以前に見たアンドロメダの波動砲と一致していた。

 

「この艦は『惑星破壊工作用特務艦』として運用されていたようで、搭乗していたマグマ星人は全員が尉官以上のエリートで占められていた」

「惑星破壊工作用……」

「そして搭乗員への尋問の結果、この砲こそが『しし座L77星』を破壊した兵器で間違い無いという確証が得られた」

「マグマ星人がこんなのを乗り回してたらヤバいんじゃ?」

「いや、その心配は無さそうだ、彼らもコレを持て余していたようだからね」

 

そこまで言った所で、ゾフィーは一旦言葉を切り、一つ溜息を吐いてゼロへと視線を合わせる。

空気が変わった事を感じたゼロは、どうしたのかという疑問を持ちつつも口をつぐみ、緊張した面持ちでゾフィーの言葉を待った。

 

「……これから話す事は、銀河連邦の構成国間で機密指定された情報だ、口外はしないように」

「そんな事、俺なんかに話して良いのか?」

「君は知るべきだと私は判断した。ちなみに光の国ではウルトラ兄弟、王族、宇宙警備隊各部門のトップしか知り得ない情報だ、心して聞いてほしい」

「お、おう……」

 

再度、ゾフィーがタブレットを操作すると、【警告】と題されたポップアップが画面上に浮かび上がる。

それはゼロが持っているタブレットにも同じく表示されており、長々としたセキュリティ・クリアランスに関する注意書きが画面を埋めた。

 

「宇宙警備隊隊長の権限を持って、ウルトラマンゼロに機密情報へのアクセス権限を付与する」

《生体認証によりゾフィー隊長本人と確認、ウルトラマンゼロに対して機密情報アクセスの権限を付与します》

 

ゾフィーの言葉に対して、タブレットから機械的な電子音声が流れる。

その途端、警告のポップアップが消え、画面に情報が表示された。

 

「何だこれ……」

 

画面に表示されたのは一枚の画像。

そこに写っていたのは宇宙空間に浮かぶ漆黒の物体。

表面は滑らかな金属のようで、四角錐の形をしたその物体は、一辺がまるで引き千切られたかのように拉げている。

 

意味不明な画像に首を捻るゼロに対して、ゾフィーは静かに語り始めた。

 

「最初にこれが発見されたのは約10000年前、星間輸送船の乗組員により偶然発見された」

「見た感じは、単なる宇宙船の破片に見えるけど……」

「ああ、だが尋常じゃない事が一点有った」

 

言いながら、ゾフィーが画像を指差すと、画像の下部分に目盛りが現れる。

その目盛をジッと見たゼロは、「は?」という腑抜けた声と共に愕然とした。

 

「そう、人工物としてはあまりにも大き過ぎるんだ」

 

ゼロがそういう反応をする事が分かっていたかのように、ゾフィーが落ち着いた声で物体の異常性を語った。

 

表示された目盛は物体の1番長い辺に合わせられていたのだが、その数値が尋常では無かった。

全長約30000キロメートル以上、地球と比較して約2.4倍ものサイズである。

そしてこの目盛が正しいなら、おそらくは一番短い部分でも20000キロメートル以上は有るだろう。

 

「勿論、宇宙警備隊からも調査員を派遣した。あまりにも不自然な点が多過ぎたからな」

「不自然な点?」

「先程も言ったが、まずは『人工物としては異様な程の巨大さ』だ。それも内部通路の大きさからして、建造した生命体のサイズは約1.5~2.0メートル程度と推測されている」

 

そう言いだしたのを皮切りに、ゾフィーによってこの物体の異様な点が羅列されていく。

 

・人工物としては異様な大きさ。

・これ程の大きさなのに、唐突と言って良いくらい突然に星間航路上に現れた事。

・物体の周囲で観測された、異常な程の時空の歪み。

 

そして……

 

「これが一番重要な点なのだが、内部を調査した隊員がコレを見つけたんだ」

 

再び画像が切り替わり、次の画像が表示される。

それを見たゼロは、驚きのあまり目を見開いた。

 

「何なんだよ、これ……」

 

そこに表示されていたのは、端が見えない程の巨大な空間に所狭しと設置された無数の砲台だった。

 

「ここに映っている全てが、マグマ星人の艦に搭載されていた惑星破壊兵器と同種の物だ」

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