悪の帝国のテクノクラート   作:トラクシオン

11 / 164
第九話【最後の箱舟】

半壊した都市に断続的に響く轟音。

 

一体のギャラクトロンが地面に崩れ落ち、サルヴァラゴンはそれを一瞥する事も無く振り向きざまにブレードを別のギャラクトロンへと叩きこむ。

的確にコアを貫き機能停止した事を確認したサルヴァラゴンは、また別のギャラクトロンへと顔を向け口を開いた。

そして今度は口内のパルスレーザー砲4門が火を噴き、敵の装甲に無数の穴を開ける。

 

まるで鬼神のような活躍を見せるサルヴァラゴンの傍らで、俺は肩で息をしながら壁へともたれかかる。

 

「ハァ……ハァ……」

 

もう肉体的に限界だ。やはり無理に操作してる分、限界も早い。

最後の敵機体が爆発してその場のギャラクトロン達が殲滅された事を確認し、俺はギガバトルナイザーをかざした。

 

「戻れ、サルヴァラゴン……」

 

自分でも驚くほどに弱弱しい声で指示を出せば、サルヴァラゴンは光球となってギガバトルナイザーへと戻って来る。

そして光球がギガバトルナイザーに吸い込まれた瞬間、俺は疲労のあまりその場に座り込んだ。

 

「流石にキッツイわ」

 

しばらく座って息を整え、自分の背丈ぐらいに伸ばしたギガバトルナイザーを杖替わりに立ち上がる。

 

あともう少しだ。

俺は体を引きずるようにその場から歩き出した。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

それから1時間は経っただろうか。

普段なら10分程度の所要時間で行けるところを、こんなにも長くかかってしまった。

疲労で素早く動く事が出来なかったというのも有るが、途中で邪魔が入った事も大きい。

 

「クソッ、ギルバリスめ……」

 

どうやら奴は俺の追跡にバリスレイダーも動員したらしく、道中で何度かエンカウントしてしまった。

その度にどうにか撒いたり、あるいはギガバトルナイザーを使って破壊したりする羽目になり、これだけで大幅なタイムロスだ。

 

「あの野郎、たった一人に粘着し過ぎだろ」

 

まあ俺が引き付けてる分、逃げて行った人々が安全なら良いだろうと思っておく。

ギルバリスへの文句をブチブチ言いながら、俺は格納庫内の宇宙船へと向かった。

狭い通路を右へ左へと歩いて行く。入り口を閉鎖してあったので敵は侵入していないだろうが、侵入対策に為の入り組んだ通路が疲労の溜まった体にはこたえる。

 

だが、目的地まではもうすぐだ。

 

最後の扉を開けば広大な空間が広がる。

視線の先には複数のキャットウォークが繋がった大型の宇宙船が鎮座していた。

 

この星を出る最後のチケット、移民船『アーク号』

 

アイル達が搭乗した宇宙船以外は全部この船と同型の移民船だ。

1000人以上が搭乗する事が可能な上、移住先の選定に時間がかかる事を予想して、数世代は船内に居住する事が出来る設備が備え付けられている。

 

とは言っても、アイル達はサイドスペースの地球に流れ着いてる可能性が高いとは思う。

ただ、原作通りに上手くいくとは限らないので、こうして冗長性を持たせておいたわけだが。

 

「こんな大きな船に俺一人か……」

 

俺はキャットウォークを通過して搭乗口へと向かう。

最寄りの搭乗口から船内に搭乗すると、人感センサーにより照明が灯った。

そのまま奥へと進んで行けば、そこには艦橋行のエレベーターが待っていた。

 

「艦橋へ行ってくれ」

《声紋を確認、ようこそパルデス・ヴィータ博士》

 

間髪入れずに流れた電子音声の後にエレベーターの扉が閉まり、上昇を開始する。

搭乗人数こそ地球の豪華客船と変わらないものの、長い航海を快適に過ごせるようにパーソナルスペースを広めに作っている為、かなり巨大だ。

そして艦体も大きければ、移動だけで時間もかかる。

 

縦移動だけではなく、横移動も交えたエレベーターに乗り、約5分程で艦橋へと到着した。

 

「アーク号、副動力機、起動」

《アーク号、副動力機、起動します》

 

艦橋の艦長席に座りながら指示を出せば、船体が微振動して艦橋の計器に明かりが灯る。

計器で艦体の状況を確認し、異常が無い事を確認した。

 

「これよりワンオペレーション態勢へ移行、アーク号起動シークエンスを開始」

《ワンオペレーション態勢へ移行、アーク号起動シークエンスを開始》

 

ワンオペレーション態勢へ移行するとともに、情報が艦長席のディスプレイへと集約される。

そこに複数用意された各発進口の状況が映し出され、俺はしばし熟考し、決断した。

 

「4番発進口を使う、移動経路の隔壁を開放、船体微速前進」

《4番発進口の使用を承認、経路の隔壁を開放、船体の移動を開始します》

 

全ての搭乗口が閉鎖され、キャットウォークが格納庫内の壁へと格納される。

そして巨大な船体がフワリと浮き上がり、微速で前進し始める。

格納庫と船体の間隔はギリギリだが、自動制御なので問題は無い。

 

そして前方には、格納庫の出口が迫って来る。

 

「4番発進口開放、フライホイール接続、主動力機点火!!」

《4番発進口開放、フライホイールを接続、主動力機起動します》




【オリ宇宙船解説】

宇宙船『アーク号』

全長:1500メートル
全幅:150メートル
全高:300メートル(船底から艦橋頂上部まで)

武装:40センチ三連装陽電子レーザーカノン砲塔×12
   30センチ三連装重核子砲塔×32
   8連装ミサイル発射管×80
   対空パルスレーザー砲多数

ク号作戦部隊の為に建造された移民船。
最後にクシアを脱出する事から、ギルバリスからの追撃を予期して他の移民船よりもかなりの重武装となっている。
その他の点では他の大型移民船と変わらず、ストレス軽減の為に広めにとられたスペースや娯楽施設、数世代は船内で過ごせるように充実した設備を備える。
ク号作戦部隊の消耗を予想して、最悪一人でも航行出来るように設計されていたが、
最悪の予想が的中して主人公一人で脱出する事になってしまった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。